幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
彼の一日は午前7時頃から始まる。
スタンドである彼には必要のないことだが、必ず11時には床につき、8時間以上の睡眠を取る。寝る前に温かいミルクを飲みたいと思っているものの、幻想郷、それも人里では牛乳はあるもののホットミルクは中々手に入らない。牛乳を加熱するだけではいけない、ちょっとしたこだわりがあるため(味の問題)、仕方なく温かい緑茶を飲む。これもいらないことだが、20分ほどのストレッチも行っている。長座はしっかり爪先を掴める。
彼が自宅としている建物は人里南西部にあり、一番近い場所はというと『無名の丘』。しかし本人は行ったことがない。二番目に近いのは『迷いの竹林』。こちらも行ったことがない。三番目に近いのは『三途の川』だが、この場所の存在をそもそも彼は知らない。
彼の名前はキラークイーン。
本体名は吉良吉影。15年間誰にもバレることなく殺人を繰り返してきた、恐ろしい殺人鬼にして凶悪なスタンド使いである。
彼が住む人里は新年を迎える準備を進め、いよいよ時を待つだけ、という雰囲気。キラークイーンは人里で住むのに金を得るため、あらゆる店や現場へ赴き、人々の手伝いを行っていた。初めの頃こそ相手にされることも少なかったが、今では警戒も解けて真逆の対応を取られている。呑みに行くのに誘う連中もいるが、断ることは少なくないし、行ったとしても楽しくないのが本心である。本体が本体であるため、スタンドの性質によって振り回されている、とも言えなくもない。非人間と人間の付き合いの難しさに拍車をかけていた。
今日も朝早くから家を出て、先日に約束していた門松などの装飾に手を貸しに行っていた。新年を過ごす吉良はいつも通りに一人だったため、仕事によって元と変わらない日常となっても特段思うこともない。いや、種族を人間に限定しなければ一人ではないと言えるだろうか?
いつもは朝から昼、昼から夕方にかけて仕事三昧といったところだが、今日は珍しいことに午前10時にて作業が終わってしまった。依頼人も「早くに終わっちまったねぇ」と申し訳なさを苦笑いでにじませていた。給料を受け取り、現場を離れたキラークイーンは予定の無い午後をどう過ごそうか、と考えつつ通りを歩んでいくのだった。
「…………」
(今日はもうやることが無いな……まっすぐ帰ってもいいが、退屈な時間を過ごすことになる。別にそういう気分でもないが、喫茶にでも寄って時間を潰そうか)
大通りを歩くキラークイーンの足は彼がよく知る喫茶店へと進んでいく。入店自体は少なくとも、家から近いのでよく前を通るのだ。そこのお茶と団子は美味いとよく聞くので、良い機会だと思って食べてみようと思う。
「!」
だが、彼の足はしばらくして止まった。店はすぐ目の前だが、彼の視線はさらに奥にあるものへと移っていた。
彼が見ている光景とはある女性が『素材屋』という店から出てくる場面。素材屋とは漢方やその他薬の素材となる物を売っている店なのだが、キラークイーンの注目の理由はそこには無い。問題は出てきた女性の方だ。腰よりもさらに低いところまで伸びる長い銀髪を結い、人里で売れば値段を張りそうな、地味だが高貴な服を着ている。顔もいい、ルックスはまさに万人が想像する美女。キラークイーンは
(…………美しい………………満月のように真っ白だ。彼女と私の距離は30m近くあるが、それでも分かるぞ。皮膚に傷跡は無いし、爪もしっかり手入れがされているな。どの爪も指先からの長さが均等に切られている…………まさに
『手』への執着。本体から引き継いだ
自分でも気が付かない『強化』によって視力を上げたキラークイーンは、喫茶店の前から微動だにせず、じっと女性を見つめている。一時期慧音を狙っていたこともあったが、S・フィンガーズやF・Fが現れたことにより断念してしまっていた。これは良い機会だ。
女性は店員に別れを告げ、店を去り始めると、キラークイーンの足も連動して彼女の方へと進み出す。あの手こそ、
(どこへ帰る気かは知らないが、この私のところへ来れば清い心で付き合えるぞ…………伴侶がいるんだったら仲良く消し飛ばしてやるさ。ククク)
『おや〜〜? スタンドも人間に恋するんですね? 文の記事に書いてなかったし、これは良い記事になるかも?』
「!! 誰だッ…………!?」
カシャッ
「!?」
「こんにちはーー。
謎の女の声が背後から聴こえ、振り向いた瞬間にカメラのシャッター音とフラッシュがキラークイーンの顔面に炸裂する。人里でカメラを持つ者などそういるはずがないと思っていたキラークイーンだが、フラッシュで
茶髪でウェーブのかかったツインテール、紫と黒の市松模様のスカートを穿いた女。変わった帽子と、胴体の格好に明らかに合っていない下駄、そして彼女自身が発した「種族は鴉天狗」という言葉。キラークイーンの頭の中にある言葉が蘇った。
「鴉天狗……新聞記者……射命丸文の仲間か……?」
「ん! えぇーー。もしかしてあなたも文の新聞読んでるのーー? ま、しょうがないか。私のやつは人里に出してちょっとしか経ってないし」
「……私の質問に答えてほしいんだが」
「あ、そうだったね。ごめんナサーイ。文とは……腐れ縁、的な感じ? ライバルというか何というか。お互い知り合いではあるんだけどねーー」
「………………」
実年齢で言えばはたての方が上ではあるが、やはり外見が女子高生かそれぐらいの年齢層であるためにタメ口が目立つ。キラークイーン自身はたてと会って間もないというのに、彼女のノリには少々ウンザリしている部分もあった。見た目通り、ギャルっぽい女の子のようである。
「君、さっき私のことカメラで撮っただろう。その写真を消してくれないかな。そういうことはそもそも苦手だし、無許可で人のことをカメラに収めたことが知れれば、君の記者としての名が悪くなってしまうぞ」
「え〜〜。おじさん、そういうことするのね。業務妨害ですよ! 訴えてもいいのーー?」
「どこへ訴えるつもりなんだ? 日本国憲法で裁かれるならば私の勝訴は揺るがないぞ」
「え? う〜〜ん…………閻魔さまに…………かなぁ? いや、でも閻魔さまって何の法律で…………あん! もういいや! 分かったわよ。消す消す! あ、でも待って。質問に答えてくれたらね」
「手短にしてくれよ……」
「あの女の人のこと、好きなのーー?」
ふてぶてしいやつだ。だが、ここでの対応を間違えてはいけない。下手に言葉を発して写真を消されないままとなれば、後々厄介ごとへと必ずつながる。それはキラークイーン、いや吉良吉影の勘がそう確信していた。
しかし、「手が綺麗だったから殺して自分のものにしようと思った」だなんて、口が裂けても言えるわけがない。ここは嘘で誤魔化すのだ。
「……まぁ……綺麗だとは思ったよ…………」
「思わずついて行こうとするぐらい? すごーい! 一目惚れの瞬間初めて見ちゃったわ! そうだ。ちなみに…………あの人どなたか知ってる?」
「? さぁ……見当もつかないな。有名人かね」
「結構ね。彼女は八意永琳。知らない? 先日の永遠亭襲撃事件のこと。彼女もひどい目に遭ったらしいのよね〜〜。ご愁傷様って感じ。だけど、あの様子だともう大丈夫みたいね。彼女の回復の記事を文は書いてないし、私の記事にしちゃおっかなーー」
はたては何でもないように、永琳やその他永遠亭の住人が蹂躙された事件を口に出す。キラークイーンはその場にいたわけでも、現場を見に行ったわけでもないが、そこでの惨状はS・フィンガーズたちから聞いていた。多くの兎たち、そしてスタンドが殺されたと。そのスタンドたちとは浅からぬ因縁があったが故に殺されても何も思わなかったが、異変を起こすような集団をたった一人で壊滅させる
それにしてもだが、先程の女性が永琳だと知れてよかった。そうキラークイーンは胸を撫で下ろす。はたてが現れないままであれば、永琳について行き返り討ちにされる可能性が高かっただろう。そこに関しては、キラークイーンははたてに感謝していた。
「何でもいいが、私は君の質問に答えたぞ。これで写真を消してくれるんだろう?」
「んーー。約束だからね。はい、消した。今の操作見てたでしょ? 私は約束をしっかり守るからね」
「……ん、便利なものだな。携帯電話とカメラが一緒になってるのか。私の本体が使っていたのはどちらか片方の機能しか無いものだった」
(…………この物品が幻想郷に流れ着いたということは……
「へぇ、そうなんだ。不便そーね。まぁ、カメラ機能なんて使わなくても私には『能力』があるからいいんだケド」
「…………能力?」
「そ! 私はこのケータイとかカメラとか、色んな物を念写に使える能力をもってるのよ。どこか遠くの風景だって、簡単にこのケータイの中に入れられる。ほら、これ迷いの竹林ね。イタズラ好きの兎たちがまた穴掘ってるわ」
「……!!」
(なんだと…………念写ッ!?)
はたては携帯電話に竹林の様子を写し出し、キラークイーンの目の前へと小さな画面を差し出す。彼女が言うように、竹林では数人の兎たちがスコップを持って直径5m程の円形の穴を掘っている。だが、キラークイーンはその画面に注目こそしているが、意識は全く別のことへと移っていた。
(念写…………杜王町にいた時、我々の正体を追っていた仗助の仲間に同じ能力をもったやつがいた……名前はたしか、ジョセフ・ジョースター……!)
「この能力使ってさァーー、一回永遠亭の事件の光景を念写してみたんだけど…………うげーーっ! さすがにグロすぎて記事にはできなかったわ。あんなの載っけたら読者が逃げちゃうもの」
(ね、念写能力は危険だ…………! それにこのはたてとかいうやつ、記者だと言うじゃあないか…………こいつが私のことを探り出せば…………
「あれは記事にするのやめたから、何か他にネタ無いかなーーって人里に来たんだけど、ぜーんぜん釣れないわ。おかしな噂拾ったぐらいで」
(もし……もし
「ねーー、ちょっと。聞いてる?」
キラークイーンの本体、吉良吉影はハーヴェストの本体こと重ちーに出会ってから様々なトラブルに苛まれてきた。その連鎖は未だ終わりを迎えていないようで、まるで出会うべくしてはたてと出会ってしまったかのようだ。はたてはまだ何も感じてはいないようであるが、何かがきっかけとなって自分のことを調べられれば非常にまずい。その現実にキラークイーンは『殺害』の選択肢を見出した。
そんな彼の強い視線と沈黙を感じ、はたては自分の話を聴いているのかと声をかける。ハッと我に帰り、平静を装いながらキラークイーンは返事をした。
「あ、あぁ。噂が何だって?」
「そうよ。噂、噂! なんかねーー、最近幻想郷の至るところで光る物体が目撃されてるらしいのよね。フワフワ浮いてて、茶釜みたいな形で、『ザ・正体不明!』って感じのやつ」
「……UFOじゃあないのか?」
「UFO? あぁ、本で読んだことあるわ。未確認飛行物体だっけ? 宇宙人が乗ってるとかいう……」
「………………」
はたてが落ち着きなくフラフラしている間、キラークイーンの手が彼女へと迫る。念写能力を知らぬ間に使われ、自分が人里内で殺人を犯していることがバレることは絶対にあってはならない。はたてはこの場で消す…………と考えたものの、彼の手がそれ以上はたてに近付くことはなかった。
天狗は妖怪の山で独特の社会を築いている。このはたてを今殺してしまえば、彼女の仲間が異変に気付くに違いない。ただでさえK・クリムゾンの件でピリピリしている天狗たちなのだから、下手に刺激する真似をすればどんな報復をしてくるか分からない。そんな考えが頭をよぎり、キラークイーンの動きを止めていたのだ。
(ど、どうする…………こいつ、人里に来ていることを他の天狗に喋っているのか? 大通りには人が多すぎるからこのまま殺すわけにもいかないぞ…………だが、どこかへ誘導しようとしたとして、素直について来るのか?)
「う〜〜ん……ここはUFOかなぁ。他にネタ無いもんね。私としては俗っぽくなくて、紅魔館の主でも目玉ひん剥くような記事を書きたかったところだけど。スタンドさん、お邪魔したね」
「あ、おいッ……!」
「ん、もしかして、自分のこと記事にしてほしかった? それなら…………ざんね〜〜ん! 書いてあげな〜〜い。写真を消せって言ったのはあなたなんだからね。でもまぁ、気が向いたら作ってあげてもいいわよ? それじゃ、私はネタのUFO探しに行くんで」
はたてはキラークイーンの制止を聞かず、背中に茶色の翼を展開する。羽の形状はまさしく鴉のそれである。しかし、本物の鴉のように翼の表面が油っこく艶が光っているわけではない。見た目からすでに分かるぐらい、柔らかさを感じるような手入れがなされていた。
興味もない翼に気を取られた一瞬、はたてはキラークイーンが伸ばす腕をかいくぐり、人里中心へと飛び去ってしまう。一連のやり取りを見ていた里民たちは不思議そうにキラークイーンへ視線を向けていた。
(くそッ……!!)
追いかけたいのは山々だが、これ以上のアクションは自分の首を絞めてしまう可能性がある。はたてが飛び去った空を忌々しく見つめながら、変な噂を立てられて自分の活動に支障が出ないことを祈りながら、キラークイーンはその場を後にするのだった。
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(本当に……参った…………はたてがどこへ飛んで行ったのかも分からない…………やつへの対処も……どうやって正体を隠し通すッ……!?)
喫茶店前から立ち去り、歩くことおよそ一時間。キラークイーンは自宅へ戻らずにずっと付近の道を歩き続けていた。生まれてしまったトラブルを解決せねばと、彼は頭をはたらかせるが良いアイディアは中々浮かばない。
やはりと言うか、彼の頭の中から『殺害』の文字が完全に消えることはないようで、ほとんど殺した後のことについて考えていた。
「…………ッ!」
(殺すのは……簡単だ。触るだけでいいからな…………問題はその後なのだ。やつの死体を木っ端微塵にして死んだ事実を隠すことはできるだろうが、他の天狗たちが人里へ探りを入れてきた場合はまずい……天狗を消せる者は限られているために、すぐ目星をつけられてしまう……)
上白沢慧音、S・フィンガーズ、F・Fは容疑者のリストに加えられようとも互いによく関わり合っているため、すぐに容疑が晴れるだろう。他者からの信頼もある。しかしそうなると、証拠を掴んだか否かは問わず、真っ先にキラークイーン自身が疑われてしまう。あえて力の強い者と関係を断っているため、誰も彼の擁護に役立たない。やはり殺すのはリスキーだ。
「……今の状況なら…………使えるか? 誰かに
自分の左手を開き、その表面へ視線を落としながらそう呟いた。
追い込まれ、絶望した時にだけ使える爆弾。まだそれは、この幻想郷の誰にも喋っておらず、バレてもいない。あえて、誰かに自分の正体を打ち明けて、
「あ〜〜ーーったくよォーー。全く見つかりゃしねぇ。飛倉の破片だぁ? 本当にこんなチンケなところにあんのかァ? ぬえのやつ嘘ついてんじゃあねぇだろうな」
「!」
キラークイーンが歩くその先で、気怠げな声を上げる者がいる。突然の声に驚いたキラークイーンが顔を上げると、左へ伸びる脇道から人型の存在が姿を現した。
奇怪な姿。体毛は無く、ツルツルした青系統の色をした肌。歯が剥き出しで、ホホジロザメのように黒目だけの瞳。そして異様に長い右手の人差し指。キラークイーンはすぐに理解した。きっかけは
「君……スタンドか」
「あぁん、何だ…………? その姿、アンタもスタンドか。人間しかいねぇと思ってたが、俺と同じように流れ着いたスタンドもいるんだな」
「………………」
青いスタンドは路地から木箱を引っ張り出し、それにどかっと腰を下ろす。すると、どこからか3匹のネコが姿を現し、座ったスタンドの周りへと集まる。脚に顔を擦り寄せたり、膝の上に飛び乗って撫でてもらうのを待つネコたち。そんな彼らにスタンドは荒々しく頭の毛を触り、キラークイーンへと言葉を続けた。
「……あーー、まぁなんだ。同じくスタンドのよしみで聞きたいことがあンだがよォーー。見ての通り、俺は今探し物をしてる」
「だろうな。見て分かるよ」
「さっきの独り言を聞いてたら分かると思うがよ、俺は今『飛倉の破片』ってやつを探してる。フワフワ浮いてる木の板みてぇなやつだ。アンタ見たことないか?」
「いいや……分からないな。話に聞いたこともない」
「そうか……それじゃあ別にいいんだ…………しょうがねぇなぁ〜〜っ、面倒だが、自力で探すとするか……」
スタンドは自らの欲しい情報をキラークイーンがもっていないと知り、目に見えて落胆する。落胆というより、語尾を伸ばす癖のせいで気怠さがさらに増したようにも思える。キラークイーンとしてはどうでもいいことであるが。
ネコはその間もずっとスタンドにくっついており、離れようとしない。完全に彼に懐いている様子だ。それによく見てみれば、そのネコたちの尻尾の先は二つに分かれているではないか。キラークイーンは見るのは初めてだが、スタンドはこのネコが普通ではないことを知っているらしい。
キラークイーンはスタンドを無視し、そのまま通り過ぎようと歩を進める。が、彼はここであることを思い出した。それは、鴉天狗はたてのこと。
「UFOなら……」
「うん?」
「UFOなら、探しているやつがいたな」
「……UFOだと?」
「木の板と言ったか…………浮いてることは一致している。誰かの見間違いだとするなら、もしかしてその飛倉の破片がUFOと勘違いされているのかもしれないな」
「おいおいおい、いくらなんでも木の板とUFOを見間違えたりは………………待てよ」
スタンドは指を顎に添えて考える。
彼が思い出していたのは依頼主、ぬえの言葉である。飛倉の破片は彼女がある理由のために幻想郷中にばら撒いた。そこで彼女は、彼ら破片を集めさせているスタンドたちに「破片に認識能力を狂わせる仕掛けを施してある」という旨のことを言っていた。『UFO』……認識能力が狂わされているのであれば、それが飛倉の破片である可能性は高かった。
このことをキラークイーンが知ることはないが、スタンドは勝手に納得して彼に
「そのUFOを追いかけてるやつってのは、どーゆーやつなんだ? 男か、あるいは女か? 年齢はどれぐらいだ。ジジババか? ガキか?」
「年齢は十代半ばといったぐらいの女。ツインテールに、黒と紫色の市松模様のスカートを穿いている。人里の人間は大体どいつも似たような格好だから、すぐに分かるはずだ」
「若い女か……黒と紫。派手だな。服装はすぐに分かるはずだ。礼を言うぜ」
「別に大したことじゃあないさ……」
「まァ、お礼と言っちゃあなんだが、こいつをやるよ!」
スタンドは木箱から立ち上がると、自分の足に乗っかっていたネコの背中を鷲掴み、キラークイーンへと投げつけた。驚いた顔を浮かべるネコを両腕で優しくキャッチすると、ネコが楽になる体勢へと持ち変える。キラークイーンには青いスタンドよりもネコに対する優しさはあるようだ。
「そのネコは人語がある程度分かる。世話はしやすいだろうよ。独り身にはちょうどいいかもな」
「…………」
「あァ、そうだった。どっちへ行けばいいのかは聞いてなかったな。たびたび悪いが……」
「東だ。あっちの方角だ」
「……あぁ。助かるぜ」
スタンドは短く二回目の礼をすると、木箱とネコを置いてキラークイーンが示した方角に続く路地へ姿を消した。キラークイーンが後に路地を覗くが、スタンドの影は既に跡形も無くなっていた。
空っぽになった路地を確認し、近くに他の人間がいないことを知ると、キラークイーンは抱いているネコの顔を自分の方へ向ける。そしてその可愛らしい表情に向けて最初の仕事を与えるのだった。
「君には、前の主を追ってもらおうか」
スイスでジョセフが食べてたサーモンの燻製、アニメ版だとすごい美味しそうですよね。六部で何気に楽しみにしているのが「シャケの反対は豚だ」のところ。
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない