幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
ここまでやってこれたのも皆さまのおかげです。感謝しています。
必要なものは14の言葉である
『生まれたもの』は目醒める
信頼できる友が発する14の言葉に知性を示して……
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幻想郷がいよいよ新年を迎えた一月一日、ペットであるお燐やお空は、地霊殿唯一のスタンドであるザ・フールとともに他のペットたちとパーティーを催していた。ペットのくせに酒やご馳走を並べてワイワイ騒いでいるが、主人であるさとりはかなりの放任主義であるため、何かしら不祥事が起きない限りは特に彼らの生活を規制することはない。
ではさとりはというと、宴会を楽しむペットたちを他所に、自室にこもって趣味である執筆作業に没頭していた。以前にも述べたように、さとりは心を読む能力をもっている。それ故、心を読むことのできない本そのものも例外でなく、登場する人物の行動、言葉、感情にとても惹きつけられるのだ。その心が先行してしまった結果、今現在はさとり自身が、物書きとなって人間の感情を生み出しているのである。
「………………」
(14の言葉……か。勇儀さんと配下の鬼たちが言ってた言葉。面白いから取り入れようと思ったのだけれど……)
デスクに向かって座っている回転椅子をグルグルと回しながら、さとりは長いこと考え事をしていた。それは彼女が言うように、『14の言葉』について。先日とある用事のために旧都に出向いた彼女なのだが、そこで鬼の星熊勇儀に面白い話を聞いたのがキッカケである。
なんでも、勇儀は最近ペットが飼い始めたと言っていた。話を聞いていく限りでは、そのペットの正体はさとりが飼うような哺乳類や鳥類といった動物や妖怪ではなく、完全な化け物。知性があるのかどうかも不明だが、とにかく勇儀には懐いていると。そしてその不思議な存在は時折見たことのない文字で14つの言葉を書き出すという。試しにその文字を見せてもらったさとりはその文字が英語であると理解し、単語の意味を明らかにした。
「らせん階段、カブト虫……廃墟の街…………イチジクのタルト、カブト虫……ドロローサへの道……カブト虫……特異点、ジョット、エンジェル……」
原稿の右横に置かれた紙に目を移し、単語を口に出して読んでみる。一つ一つの単語の意味は大体分かるのだが、これらの語群が一体何を表しているのかは一切分からない。適当に書き出している可能性だってある。しかし、さとりはどうしてかは自分でも分からず、謎に満ちた言葉たちに何かしらの意味を見出そうとしていた。
「う〜〜ん。『カブト虫』は4回、『特異点』が2回。カブト虫は分かるけど、どうしてそれが4回なのか? 特異点って一体何? 気になって全然落ち着かないわ! 一番のヒントは最後の『秘密の皇帝』かしら……」
彼女の独り言は止まらない。元々謎解きが好きな分、誰もが好むようなパーティにも出席しないぐらい彼女は14の言葉に惹かれているのだった。
結局そこから数十分も考え続け、執筆作業は難航。一旦中断し、お茶でも淹れて休憩しようと決めた。彼女は椅子から立ち上がり、カップやティーポットの置かれている棚へ向かう。食器を取り出し、茶葉とお湯を入れて自分の一番好きな時間だけ味を抽出。透明なお湯が淵の方まで朱色に染まり切ると、カップを片手に持ったまま再びデスクへ。腰を下ろして原稿用紙と向かい合った。
「フゥーー、フゥーー…………」
湯気の立つ紅茶に息を吹きかけて冷ましつつ、さとりはとりあえず14の言葉についての思考をリセットする。ずっと考えていては趣味の方が捗らない。また後日、再び旧都に出向いて謎を解明しようとするのだった。
「………………」
カップの中身を半分ほど飲み干すと、紅茶の熱気を受けてほんのりと温かくなった右手で背中を掻く。位置は一般にうなじと呼ばれる場所よりも3cmほど下の部位。14の言葉について考えている時から、いや、原稿を机の上に置いた時よりも前かもしれない。
「んん……かゆい…………痒み止めの薬、まだあったかしら……」
さとりは背中に手をやりながら立ち上がり、食器の棚とは別の棚へ塗り薬を探しに向かう。その途中、彼女は部屋の壁際に置いている姿鏡の前で立ち止まった。普段体のどこかに出る痒みとは比べものにならないため、彼女は鏡で患部がどのような状態になっているか見てみようと考えたのだ。
服を半分はだけさせて鏡に背中を向け、角度に悩みながらもなんとか首を曲げて自分の背中を鏡越しに見る。痒い箇所はたしかにピンク色に染まり、ぷっくりと腫れていた。何より直径5cmはあろうかというぐらいの規格外のサイズ。腫れの想像以上の大きさに驚いたさとりだが、それよりも「はしたない」という気持ちが大きく出てなんとも言えない恥ずかしさに襲われる。さっさと塗り薬を探し出し、指にたっぷりと付けて患部へ塗り込むと、彼女は服を戻してもう一度デスクに向かった。
「はぁ…………虫に刺されたのかしら。こんなに大きい腫れ。アブか何か? でも地底にいたっけ……」
薬を塗った患部は確かに痒みが引いていく。腫れはすぐには治らないが、こちらは時間をかけて戻していくしかないだろう。さとりはペンを持ち、目の前の原稿に字を書き連ね始めた。
しかし……
「…………ッ!」
数分もせずにまた痒みが出てくる。片手で服の上から掻いていたが、それでもまったく満足することはない。我慢も限界のさとりは服の中に手を入れ、爪を立てて腫れを掻きむしろうとする。
「痛ッ!?」
すると突如、人差し指に鋭い痛みが走る!
驚いたさとりはすぐに手を戻し、痛みがじんと残る指先に目をやった。指先には数箇所、小さな穴が空いており、血が滲み出ている。
だがなぜ? さとりは一瞬だけ頭の中に『?』を浮かべるが、彼女の体は意識に関係なく動き出す。気付いた時にはデスクの引き出しから孫の手を取り出し、それを背中へやっていた。
バギャアァ!
「な、なんッ……!? これは……一体何が……!?」
孫の手は砕け散り、その破片がさとりの服の中や床へ落ちる。明らかに普通ではない。孫の手は新品というわけではないが使い古したものでもない。よって、いきなりバラバラになるはずがない。反っている部分が完全にささくれた孫の手を捨て、さとりは姿鏡の前へ走る。そして再び背中を確認すると、そこには驚くべきものがあった。
大きな腫れの表面に人間の、いや、それよりももっと禍々しい何かの顔面が浮き出ていたのだ。
「何よ、これッ!? まさか妖怪ッ……!?」
『チュミミ〜〜ン! 失礼ね。誰が妖怪だって! あたいの名前は『
「スタンド……!? 一体いつ私に…………!」
『そんなことはどうでもいいのさ! 古明地さとり、あんたはあたいが利用してやるよ。ハハハハ!』
背中に浮き出ているくせに、エンプレスは思いの外表情豊かである。だが今はそんなことはどうでもいい。さとりはどうにかしてエンプレスを切り離そうと考える。おそらく、自分の手や孫の手はあのギラついている牙で噛まれてしまったのだろう。ならば、エンプレスを自分の体から離すのには、牙ではどうにもならないような硬度の物を使うしかない。例えば、金属でできたナイフとか。
さとりは食器棚へ走り、いきおいよく引き出しを開ける。
「くっ!」
『あら、何をするつもり……』
ガキィイィ〜〜〜〜ン!
「……さ、刺さらない……!?」
『ケケケ、無駄さ。無駄無駄! あんたにあたいを傷付けることはできないんだよぉ!』
さとりはナイフをエンプレスに突き立てるも、その強靭な顎と牙によって防がれてしまった。ナイフを噛んだ状態でも器用に喋るエンプレスだが、予想以上の力をもっているために侮れない。
歯の先に捕まったナイフをエンプレスから離そうとするさとり。しかし、エンプレスはずっと噛んだまま離そうとしない。妖怪であるさとりの腕力よりも、顔だけのエンプレスの顎の方が強いのだ。力づくでナイフを引き剥がそうとしたことが裏目に出てしまい、さとりはナイフを取り上げられてしまった。
『ケケケケケ……ペェッ!』
ザシュゥッ!
「あうッ! ぅああぁああ」
(ナ、ナイフを口から飛ばして…………私の首を切ってくるなんて……ッ!)
『惜しかったねぇ〜〜! 切ったのは頸動脈じゃなくて、皮膚下の静脈だったか』
食器棚に手を突き、さとりの首の右側から暗い赤色の血が流れ出る。さとりはエンプレスに為されるがままの状態だった。彼女ももちろん弾幕を扱うことができるものの、エンプレスは自分の体と一体化している。それが腕ならまだしも背中ときた。エンプレスを倒すことはできるだろうが、自爆は自分自身も危険に晒してしまう。心を読む能力も、直接攻撃に使えるわけではない。さとりは頭を捻り、エンプレスを封じ込める方法をなんとか考えようとしていた。
そんな中、彼女はデスクの前にあるソファとそれらに挟まれたテーブルへ目をやる。テーブルの上には紅茶を入れたティーポットを置いていたはずだが、それが見当たらない。「どこへやった?」と思ったその時、背中に再び異変が訪れる。何かがメキメキと背中から伸びていくような、経験のない感覚である。
『プハァ〜〜ッ! 紅茶じゃあ大して腹は膨らまないが、置いてあったから遠慮なく頂いたよ! これであたいは
「な、何!?」
『ヘイ、古明地さとり! 母親が子供にしてやる遊びと言えば、『お馬さんごっこ』でしょーがッ!』
ガシィイッ!
「あぁッ!」
何かがさとりの後ろ髪を掴み、一緒に彼女の頭も後方へ引っ張られる。その正体がエンプレスであるのは間違い無い。しかし、エンプレスの顔が付いているのはどちらかというと背中の真ん中に近い部分であり、さとりの髪はそこまで掛かるほど長くはない。
つまり、エンプレスは自分の口ではなく、別の何かで髪を掴んでいることになる。さとりは反射して自分の姿を映す鏡に目をやり、その正体を理解した。
「う、腕ッ!? いつの間に生えたの!?」
『さっきも言ったよ! あたいも他の生物みたいに、食べれば成長するのさ! テーブルの上にあった紅茶は美味しく頂いたわ。でももっともっと食べたいわァ〜〜〜〜』
「何ですって…………?」
『たしか……一階であんたのペットたちがどんちゃん騒いでたね。そっちへ行こうかッ……!』
ミシミシ……ミシッ ミシィ
さとりの背中から生えてきたエンプレスの腕。それは一本だけであるが、力が込められることによって筋肉が隆起し、さとりの頭部よりも大きくなっていく。
エンプレスがこれから何をするのか、さとりは想像することはできたものの、いざ
「や、やめ……!!」
ドメシャァアッ!
「がぶふッ!」
硬い拳が柔らかい肉を打つ、何とも言えない音が部屋中に響いた。エンプレスの拳はさとりの頬にヒットし、彼女の体を宙を飛ぶ。凄まじい勢いで吹っ飛び、轟音を立てて部屋の壁を突き抜けていってしまった……
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ガッシャァアア〜〜〜〜ン!
「わぁ! な、何!? 何かが上から降ってきたよ!」
「さとりさまの部屋からだ……!」
地霊殿の中で最も広い空間、それはエントランスである。飼い主であるさとり自身でもどれだけいるのか分からない数のペットたちが入るスペースはここしかなく、その代表とされている火焔猫燐はこの場で新年の宴を開いていた。
先程まで楽しく騒いでいた彼らだが、宴は上から降ってきた何かによっていきなり中断されてしまう。エントランスには2階へ続く階段があり、そしてその二層は吹き抜けとなっている。さとりの部屋はその吹き抜けのすぐ横に位置し、彼女の部屋から何かが降ってきたのを地獄鴉の霊烏路空が目撃していた。
彼女らがご馳走を並べていたテーブルは破壊され、せっかくの料理も土埃を被って台無しになってしまった。お燐とお空は喋ることのできないペットたちを優先してテーブルから離れさせ、降ってきたものの様子を窺った。土埃の中では「ぐちゃぐちゃ」と何かを咀嚼する音が聴こえてくる。お空はお燐からの無言の指示を送られ、大きな翼で滞空する土埃を薙ぎ払った。そこにいたのは…………
「さ、さとりさま!? どうして上から…………」
晴れた土埃の中には、気を失ったのであろうさとりがうつ伏せになって横たわっていた。主人の異常を心配したお燐はさとりの元へ駆けようとするが、それをお空が制止する。彼女はさとりの他に、別の気配を感じ取ったからだ。
「待って、お燐。さとりさまの背中、何かが動いてる」
「え? あ、本当だ。あ、あれは……?」
「どいてて。私が撃ってみる」
「だめだよ、お空! さとりさまも巻き込んじゃう!」
『チュミミ〜〜ン! 良い判断ね。そして美味しいご飯! あたしもこんなに立派な姿に成長したわぁ〜〜』
さとりの背中で肉塊が
「あ、あんた! もしかしてスタンド!? さとりさまに何をした!? 何が目的でさとりさまを……!」
『ケケケ。あたしにはあたしのご主人様がいるのよ。あたしは彼のために動いている。この地底に、あの方が望むものがあると聞いてここへ来た! 古明地さとりはあたしがそれのある場所へ行くための足になってもらうわ』
「そんなことさせない! さとりさまからも出て行ってもらうよ!」
『口で言うのは簡単さッ! 具体的にどうやって引き離すんだい? お得意の弾幕を使ったら可愛い彼女に傷が付いちゃうわよ!』
「うっ……お燐、どうする?」
「……そんなのあたいは分かってるもんね。『スタンド』は『スタンド』でないと倒せないんだっけ? それが幻想郷でも同じなのかは分からないけど、あたいたちにもスタンドの友だちがいる!」
お燐がそう口走った直後、さとり、もといエンプレスの周囲に舞っていた土埃は彼女を中心にして渦を巻き始める。周囲を回転するスピードはどんどん速くなり、それとともに周りに散った砂も土埃の方へと集まっていく。気体のように軽く、薄い色をしていた土埃はやがて確かな質量と密度を得た。できあがった壁でエンプレスの姿が見えなくなると、お燐はその
「スナマル! さとりさまにくっ付いているスタンドをやっつけて!」
『アギーーッ!』
『! 砂のスタンド……!?』
渦巻く砂は何本かの柱に分かれて宙へ打ち上がり、空中からエンプレスへ突進を仕掛ける。彼は『愚者』の暗示をもつザ・フール。かつて花京院やポルナレフとともに打倒DIOを目指した誇り高き犬、イギーのスタンド。
実体はなく、いくら攻撃を加えようとも砂そのものであるザ・フールにはダメージが通らない。一方的に敵を攻撃することができる彼だが、エンプレスはそれに対してどう出るのか?
『ヘイッ、メーン! 砂だから何だってんだい! しゃらくせェェーーーーッ!!』
『ウッシャアアーーーーッ!』
『あちょッ! あちょあちょあちょあちょちょちょォーーッ! ハヤァアーーーーッ!」
ドバァ! ドバドバッ ドバァ〜〜ーーッ
ザ・フールとエンプレスのラッシュはさとりの上でぶつかり合い、細かい砂の粒をそこかしこにばら撒く。ザ・フールも充分な手数とスピードで攻撃していると思うが、エンプレスのパワーとスピードも想像以上。勢いだけならばザ・フールをも超えている。DIOの刺客としてジョースター一行に立ち塞がった時は、ジョセフの腕に乗っかっている程度で、強力と言えどもあくまで人間を
数十秒殴り合ったところで、最初に動きを止めたのはザ・フール。砂の波となってお燐の元へ流れていくと、そこで機械的な本来の姿を構築する。まだまだ互いに様子見程度の手合わせをしていないが、このまま殴り合っていては
『チッ……野郎、認めたくねーが俺以上のパワーとスピードをもってるぜ。そしてどんどん強くなってやがる。助けたいんだったらお前らも手を貸せ!』
「でも、弾幕を使うわけにもいかないし……どうしよう……」
「……うっ…………く…………」
「……! さとりさま!」
『あら、目を覚ましたのかい。目覚めなかったらあたしが叩き起こしてたけどね!』
さとりは小さい声を洩らして目をゆっくり開ける。立ち上がろうと手を床に突いて上体を起こそうとするも、意識がまだハッキリしていないのだろう。フラフラのままで上手いこと直立することができていない。頭からもドロリと血を垂らして、危険そうな状態である。
「うぅ…………お、お燐……お空…………私のことは……大丈夫よ……頭を打ってフラフラしてるだけだから……」
「さとりさま!」
「待ってて。今私があのスタンドを吹っ飛ばして助けるから!」
『ヘイ、カラス! 思い上がるのもいい加減にしな! あたしは古明地さとりを身代わりにすることができるんだよ。大事なご主人様が死んでもいいなら攻撃しても構わないけどねッ!』
「…………!」
お空はエンプレスに制御棒を向け、弾幕発射の照準を定める。だが、エンプレスはターゲットを仕留めるのに直接関係のない者も殺す、根っからの悪。実際、今もエンプレスの腕はさとりの髪を掴んで、お空から発射される弾幕をさとりを盾に使って防ごうとしている。
だが、先程までエンプレスに為されるがままであったさとり。いよいよ何かを決心したのか、彼女の顔は少し
「大丈夫よ……2人とも。私はこれから
『ウフフ。聞き分けが良くて助かるわ。あたしの心を読んだのね? そして、お前も何かを知っている。道中全て、洗いざらい話してもらうわよ。ほら、さっさと歩きな!』
「うぐっ…………」
「ほ、本当に大丈夫なの……? さとりさま……」
「大丈夫よ。お空。私は絶対戻ってくるから…………新年のお祝い、私の分まで楽しむのよ」
エンプレスに髪を引っ張られ、痛みと苦しみが彼女を襲っているはずなのに、さとりの表情はお空とお燐を安心させるために柔らかなものになっている。エンプレスに急かされるまま、さとりは地霊殿の玄関へと向かうが、その視線はチラリとザ・フールの方を向いた。さとりは何か、彼に伝えたいと思っていることがあるらしい。彼女の視線に気付いたザ・フールは、それは「私について来い」というメッセージだと確信した。
さとりはフラフラとおぼつかない足取りのまま、いよいよ地霊殿を後にする。お燐とお空はさとりに「心配するな」と言われたが、2人にとって流石にその場でじっとしていることは難しい。黙ったまま、主のために何ができるかを考え込む。そんな彼らを置いて、ザ・フールはさとりの後を追うために動き出す。
「スナマル? 何やってるの? もしかして、さとりさまについていくつもり!?」
『ケッ、てめーらはパーティーを楽しんでな。さとりから「ついて来い」って言われたから行ってくるだけだ。役立たずとか言って、追い出されたら行くとこないしな』
「でも、もし尾行がバレたらさとりさまが危ないよ。スナマル、どうするの?」
『俺は砂だぞ。ちょっとやつらとの距離を空けておいて、擬態しながら追うんだぜ。匂いを辿ってな……』
ザ・フールはさとりが歩いていた跡に鼻を近付け、「クンクン」と追い始める。
彼が擬態して追おうとしている中、お燐やお空も彼について行こうと考えるも彼女らではあまりにもバレバレだ。一応2人とも自分の姿を変えられることはできるも、それでもエンプレスはさとりがペットを何匹も飼っているのを知っている。少しでも動物が目に入ろうものなら、さとりのペットだと思って彼女に何をしでかすか分からない。お燐たちは諦めるしかなかった。
すると、ザ・フールの動きがいきなり止まる。何か気になるものでも見つけたのか、さとりが開いて出て行ったドアをじっと見つめて放心していた。
「スナマル……? どうしたの?」
『……外に出て行ったのはさとりと、あの
「……? ねぇ、本当にどうしたの?」
『匂いが2人分ある……それもさとりが出て行った後に一人、出て行ったやつがいる!』
さとりとエンプレスは同じ匂い。よって、彼女らが歩いた道には一人分の匂いしか残らないはず。しかし、まるでさとりの匂いを上書きするようにして別人の匂いがその場に留まっていたのだ。ザ・フールたちはずっとエントランスにおり、扉の方は常に視界に入っている。よって、さとりの後に誰かが外へ出て行ったのは絶対に分かるのだ。
しかし、誰が出て行ったのか、そもそも誰かが出て行ったこともお燐やザ・フールたちは気付いていなかった。扉が開く音も全く耳にしなかった。犯人は透明人間よりも厄介な存在であると言えよう。その一切の痕跡を全く感じさせないのだから。
『……! 待て!』
「!」
「今度は何なの、スナマル!? 私そろそろわけ分かんなくなってきたよ!」
『今……上を何か通ったぞ』
「上……? ペットの鳥たちじゃなくって?」
『さとりのペットの匂いは全部覚えている……だが、この匂いは知らねぇ……! しかも、一匹だけじゃあねぇッ! 地霊殿に、いや、地底に
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「…………ペットたちは今回お休みだねぇ〜〜。文字通り
フオン フォン フォン フオン……
追跡者の正体は……?
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない