幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
しかし、おそらく次話で決着でしょう。
もっと文字数は増えますが、ちょっとグダグダですみません……
「ハッ!」
壁がボロボロに焼け落ちた部屋の中で、永琳は倒れた状態から目を覚ます。勢いよく顔を上げた影響か、目眩に少々苦しまされる。そしてたった今気付いたことだが、永琳は全裸で倒れていた。
服を脱いだ覚えはない。脱がされた記憶も。しかし何が起きたのか、それだけはすぐに理解できた。自分は、
これが蓬莱人の特性。不死身と言われる蓬莱人は、決して死なないわけではない。言葉がおかしいが、死んで終わらないだけである。殺されることはあっても、天へ逝くことはない。永琳は一度殺され、蘇ったのだ。
「ッ…………!!」
大事な部分を腕で隠し、自分を殺した者の気配を探る。弾幕が壁をぶち抜いて広くなった空間には、まだ確かに何かの息づかいが聴こえていた。
『……やはり不死身ってのは本当だったのか。だが思ってたのとは違ったなァ〜〜。不死鳥のように新しく生まれ変わる、と言った方が正しいか』
「あ、あなた……私は一体どれだけ眠っていたの……!?」
『あん? ほんの数秒……お前からすれば何時間も眠ってたような感覚なのか? どうでもいいが…………』
バッ!
『ム……!』
(逃げやがった…………)
永琳はリンプ・ビズキットが質問に答える瞬間、身を翻して部屋から走り出る。いきなりの行動に呆気に取られるリンプ・ビズキットだったが、彼に焦りは無い。永琳を追う駒は、既にこちらへ向かって来ているのだから。
廊下を疾走する永琳だが、部屋を飛び出してすぐに脚がもつれて転んでしまう。急いで起き上がろうとする彼女だが、後方に伸びた脚がなぜか動かない。しかも、足首には何者かが掴んでいるのであろう手の跡が浮き上がっているではないか。永琳はすぐに理解した。
「うっ……あ、あああぁあ!」
『永琳さまァ〜〜』『見捨て……ないでぇえぇえええ』
『なんで……ナンデェ…………』『逃げるのォーー?』
『ナンでアナタは死んデないんダァ〜〜〜〜』
『もっともっと生きたかったのにィ』
「うぅ……兎たち…………」
姿は一切見えない。だが永琳は確信している。今自分に向かって声をかけてきているのは、かつて自分や輝夜に仕えた地上の兎たち。キング・クリムゾンに惨殺され、永遠亭から少し離れた場所へ全員埋葬した。
部屋から少し顔を出し、リンプ・ビズキットは独り言を口に出す。
『元部下たちだ。八意永琳。GD.st刑務所じゃあ
本体スポーツ・マックスが服役していた、州立グリーンドルフィンストリート刑務所(通称G・D・st刑務所)には獄死した囚人を埋葬する墓地があった。スポーツ・マックスはそこに埋まっている死体と、自身が作成していた剥製たちを利用して空条徐倫やエルメェス・コステロを追い詰めたのだが、彼女らの戦う動機はエルメェスの姉の仇打ち。エルメェスの姉、グロリア・コステロを殺害したスポーツ・マックスは彼女の死体をドブの中へ捨てたがために、刑務所内でエルメェスに対して姉の死体を向かわせることはできなかった。
しかし今、大した因縁の無い相手であるが、八意永琳に対してはそれができている。リンプ・ビズキットは
『とっくに死んでるが元部下たちだと分かった上で弾幕を使えるかァァーーーーッ!? てめぇは終わりだぜッ! 八意永琳ッ!!』
「………………」
ベタベタと床や壁、天井を這ってくる音が聴こえる。死んだ者にはもはや上も下も関係ないのだ。透明であるが、まるで肉の塊のようになっている兎たちは、その質量で永琳を押し潰さんとしている。いや、死んでも生き返るのは分かっているので、完全に死ぬ前にリンプ・ビズキットが止めるだろう。
まるであの時の繰り返し。K・クリムゾンに拷問された時と同じ。自分は何もできず、同じ不死であるが守るべき姫にも魔の手が及んでしまった。今頃妹紅と竹林のどこかで殺し合いをしているのだろうが、ゾンビはそちらへも向かっているかもしれない。自分は、相変わらず何もできずに終わる…………
「終わって……たまるものですかッ…………! 私は月の賢者と呼ばれた八意永琳。誇りはあのキング・クリムゾンにボロボロにされたけれど、二度も三度も同じことを繰り返すことはないッ!
『……!』
永琳は自分の前方に向かって右掌を突き出す。微かに漂っていた土埃は、その手を中心に渦巻いて集まっていく。彼女の妖力は弾幕へ変化していっているのだ。リンプ・ビズキットは「信じられない」と言った様子で見ていたが、悪い予感を覚えてすぐに部屋へ身を隠す。こちらも表情は分からないが、ゾンビ兎たちも何か気配を察知したようで、焦る声が上がり始めてきた。
カードは無いが、放とうとしているのだ。スペルカードによる、大技を。
「あなたたちは既に死んだ身。あのゲスのスタンドに利用されているだけ…………私はこれからも毎日、あなたたちを弔う心をもち続けるわ。だから、もう一度眠ってちょうだい」
『ヒ、ヒィィィ』『うわぁぁ、やめてェ』
『撃たないでェェェ』
「いいえ。撃つ」
右掌は眩い閃光を放ち、永琳とゾンビ兎たちを廊下の端と端へ吹き飛ばす!
「秘術.天文密葬法ーーーーッ!!」
ドバァアア〜〜〜〜ッ!
『ぶげッ』『うぎゃッ』
『ガブフッ』
白と紫色の球状弾幕が見えない敵を確実に排除していく。質量で永琳を仕留めようとしていた兎たちだが、彼女の弾幕群に勝つことはできなかったようだ。短い断末魔を上げ、兎たちはひっそりと消滅していく。
被害はそれだけではない。渾身の大技なのだ。廊下の壁をほとんど消し飛ばし、冬のからっ風と爆風が入り混じる。生まれた強風はリンプ・ビズキットが身を潜めた部屋に吹きつけ、中にあったあらゆる物をさらに破壊する。残ったのは煤に塗れた廊下の床だけ。永遠亭の右半分が消えてしまった。永琳はあの質量の弾幕を片手で撃ったため、その反動で上手く右腕を持ち上げられない。フラつきながらもなんとか立ち上がると、建物の残った永遠亭の左半分へと向かい始める。
「ハァ……ハァ……あとは……あのスタンドだけ。ハーヴェストッ! 聴こえる!? 今すぐ私の元へ集まるのよッ! 全員集合ッ!」
声帯を絞り、声を張り上げてハーヴェストを招集する永琳。リンプ・ビズキットを倒す算段があるようである。声が聴こえたハーヴェストたちは、ぐずぐずしながらも永琳の元へ集い始めるのだった。
一方、最初の部屋に残っていたリンプ・ビズキットはと言うと。永琳の大技の威力に驚き、未だ張り詰めた緊張がまだ解けない状態にあった。
『クソッ……! 想定外だ…………身の方はともかく、精神は想像以上に強かった…………! 女だぞ!? ましてや最近拷問にあった! クソォ〜〜……
床をバリバリと引っ掻き、苛立ちを抑えようとするリンプ・ビズキット。自分を二度殺した相手であるエルメェスと、自分の思った通りにいかない永琳を重ね、どちらかと言うと彼のメンタルの方がやられかけていた。
だがピタリと引っ掻くのをやめると、彼は床の別の位置に目をやる。まだ使える死体は存在しているのだ。まだ、まだチャンスはある。逃げ帰るのは簡単だが、それをやったら? ここで失敗してしまった場合自分の身はどうなるか? 幻想郷に流れ着き、『ホワイトスネイク』と出会ってしまったのが最大の幸運であり不幸である。自分に価値を見出すと同時に、自分を捨て駒同然の扱いをする。リンプ・ビズキットは退くに退けない状態。やるしかないのだ。その道しか無い。追い詰められたのは永琳だけでなく、リンプ・ビズキットもだ。
『目には目を、歯には歯を……だ! 八意永琳……真に幸福を掴むのはこの俺だッ!』
今年もよろしくお願いします
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない