幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》 作:右利き
受験生というわけではないのですが、共通テストの問題を解いていました。数ⅠA、話に聞いてはいましたが非常に難しかった…………
灘高校でも100点満点は数人しかいなかったのだとか。
「おらぁッ!」
パシィン!
「うっ、クソ! またひっくり返らなかったぞ!」
「おっと惜しかったなァ〜〜〜〜。次の俺のターンで勝負あったな!」
命蓮寺のすぐ近く、直方体の墓石や文字の薄れた卒塔婆などが並ぶ墓地がある。近くというよりほぼ隣接しているようなものだが、寺でその住職である聖白蓮が大変なことになっていることなど知らず、呑気にメンコをして遊ぶ連中がいた。
彼らはスタンドだ。先日封獣ぬえに利用され、飛宝集めに奔走させられたイタリアから来た暗殺者たちは、日本生まれの(彼らの目からして)珍しくも地味なメンコに夢中になっている。リトル・フィートと、マン・イン・ザ・ミラー。そしてその横で地面に座り込むザ・グレイトフル・デッドの3人である。
「てめーら……よくそんなくだらねぇ遊びに熱中できるもんだな。ガキの遊びだろうが…………」
「へっ、おめぇはやってないからそんなこと言えんだよ。グレイトフル・デッド。ちょっとやってみろ。それとも、俺に負けたくないから「くだらねぇ」とか言ってんのかァ? マン・イン・ザ・ミラーに連戦連勝の俺によぉ!」
「くだらねぇ…………」
「リトル・フィート! もう一度だ! 今度こそは返り討ちにしてやるぜッ!」
グレイトフル・デッドはリトル・フィートの挑発を受けず、そのまま腕の中に顔を埋めて寝る体勢を取った。リトル・フィートはマン・イン・ザ・ミラーの7回目のリベンジマッチを受けた。手に持つメンコで一気に3枚を吹っ飛ばし、さっそくマン・イン・ザ・ミラーを追い詰める。
各々がそのようにして墓地で時を過ごしていると、外から一人の少女が走って来た。緑髪で茶色のワンピースに身を包み、髪の中からは犬のものに似たフサフサの耳が垂れている。彼女は山彦という妖怪の幽谷響子。居は山であるが最近この命蓮寺に入門したため、よく付近に出没している。
彼女は切羽詰まった様子で、メンコを楽しむリトル・フィートたちの元へ駆け込んで来た。
「た、大変だよみんな! 命蓮寺がぁ〜〜〜〜!!」
「燃えたのか?」
「燃えてないよ! ここからだったら見れば分かるでしょッ! リトル・フィートさん!」
「財政難だろ」
「建ててからそんなすぐにはならないよ。マン・イン・ザ・ミラーさん!」
「…………スタンドエネルギー……」
『!!』
「そう! さすがグレフルさん!」
「略すんじゃあねぇ」
グレイトフル・デッドは身を起こし、命蓮寺の方を見た。彼の言葉を聞いた直後、リトル・フィートたちも顔色を変え、その場の空気が一気に張り詰める。
たしかに彼の言う通り、命蓮寺の方から全く身に覚えのないスタンドエネルギーが感じられる。ビーチ・ボーイではない。彼は星たちの人里への布教に付き合わされているため、そもそも命蓮寺にはいない。スタンドの信者もぜひ増やしたいため、PRにスタンドたちも同行してもらいたいとのことだったが、ビーチ・ボーイ以外はあまり見た目が相応しくないという理由で彼のみ連れて行かれてしまったのだ。
新手のスタンドの存在を察知したグレイトフル・デッドだが、せっかく起こした身を再び丸めてしまう。それを見た響子は「えぇ!?」と驚嘆する声を上げた。
「た、戦いに行ってくれないのぉ!?」
「当たり前だ。俺たちはあくまで
「まぁ…………確かにな」
(そういやグレイトフル・デッドのやつ、白蓮に居候を誘われた時に「住んでやる」って答えてたな…………)
「ひ、聖がやられちゃったんだよーー! 変なのにぐるぐる巻きにされて、グシャグシャに潰れてって…………訳分かんないけど、とにかくあのスタンドを止めないと!」
「あのなぁ〜〜、響子。お前が俺たちを頼りたい気持ちは分かるぜーー。だが、俺たちだってタダで動くお人好しじゃあねぇんだ。いわゆる、『お礼』ってやつを先に提示してくれねぇとな…………」
グレイトフル・デッドたちは響子と違って命蓮寺に入門したわけではない。本当に、ただの居候なのだ。彼らは白蓮側が住んでくれとお願いし、自分たちはそれに仕方なく乗っかったと解釈している。ギャングの世界でチームの者以外と繋がりを絶っていた経験からか、あるいは得をした者勝ちという考えからかは分からないが、彼らは白蓮を助け出すことに関して積極性を見せない。リトル・フィートは響子に対し、戦ってほしいのならその報酬を出せとまで言う。出さないなら、主を失った命蓮寺を好きにできるとという考えがあるのだろう。
響子はしばらく黙って考える。その結論はこうだ。
「今度、人里でご飯奢るからさ…………」
「………………」
「だめ……?」
「…………どうする? グレイトフル・デッド」
「……好きにしろよ」
取引は成立した。響子が子どもだから、という理由でグレイトフル・デッドは呑んだわけではない。実を言うと、彼ら3人は星から人里にある人気の焼き鳥屋のことを聞き出していた。本来命蓮寺の教えでは酒、肉類は禁じられているらしいのだが、白蓮本人以外は基本的にその戒律を守ろうとしていない。もちろん、裏での話だが。
「焼き鳥が美味しかった」という星と一輪の話を盗み聞きしたマン・イン・ザ・ミラーはそのことを残るスタンド2人にも伝え、白蓮に話さない代わりに星たちに自分たちの言うことを聞かせていた。スタンドたちはその焼き鳥屋を報酬としたのだった。
「じゃあ、みんなついて来て! 聖を倒したスタンドは山門のすぐ前にいるよ!」
「とっとと終わらせて焼き鳥屋へ行くぞ。約束は守らせるとして、響子の小遣いで足りるかは分からねぇがな」
「そん時は借金させてでも奢らせるぜ。子どもで借金だなんてよ、俺たちの周りでもそういなかったな」
「いや、実年齢で言えばイルーゾォたちの方が若いだろ」
響子に連れられ、スタンドたちは墓地を抜けて命蓮寺へ向かった。勝利を確信しているため、頭の中は既に焼き鳥のことでいっぱいである。3人もいれば負けるはずがない、と。それも仕方がないことであろう。これから戦う相手が、スタンドである以上絶対に逃れられない攻撃をしてくるなど、想像できなくても仕方がないことだ。
「着いた! あのスタンドは!?」
「着いたっつーか、ほんのちょっと回り込んだだけだがな。道のりは50mもねぇだろ」
響子に淡々とツッコむグレイトフル・デッド。しかし、彼の視線、注意は周囲に向けられて最大限の警戒をしている。自分たちが勝つと思っていても、油断することは決してない。容赦もだ。どこから奇襲を仕掛けられてもいいように、戦闘態勢は山門を潜る前から取っている。
グレイトフル・デッドと同じく、辺りを見回すマン・イン・ザ・ミラー。彼は本堂へ続く縁側の手前に、女性が倒れているのを見つける。よく見れば、彼女は白蓮だった。
「おい、白蓮があそこでぶっ倒れてるぞ!」
『!』
「え! ひ、聖! 大丈夫!?」
マン・イン・ザ・ミラーが白蓮を指差しながら叫ぶと、彼女の存在に気付いた響子が心配の声を上げながら駆け寄っていく。マン・イン・ザ・ミラーはそんな響子の周りを。リトル・フィートは他の場所へ視線を移し、警戒を解くことなくスタンドを探す。あちらもグレイトフル・デッドたちの存在に気付いたらしく、スタンドエネルギーを隠しているのだ。ここからは聴覚、視覚での探査が重要である。
そんな中、グレイトフル・デッドはあることを考えていた。先程の響子の話によると、白蓮は明らかにスタンドに何かされているはずである。何かに巻かれ、潰されたと。響子がそれを話したということは、それは彼女が目撃した紛れもない事実ということになる。幻覚という線はない。響子に気付いていなかったとして、誰もいない命蓮寺でなぜ幻覚を見せる能力を使う必要があるのか。響子のことに気付いていたなら、なぜ響子を追跡しなかったのか。
そして、なぜ今、白蓮をあの場へ放ったままなのか。
(囮か……!)
「響子、そこで止まれ! そいつは囮だ! スタンド攻撃が始まるぞッ!」
「え…………」
ズギュン ズギュゥン!
「あうッ!?」
『な、何だァァーーーーッ!?』
「響子の体に…………ありゃあ靴か!? それと竹箒! 体の中に沈んでいってるぞ!」
グレイトフル・デッドの声を聞き、足を止めた響子。そんな彼女の周りに突如、かなり使い込まれていそうなボロボロの靴と竹箒が浮かび上がる。それらの出現に驚いていると、今度は猛スピードで響子の体に突っ込んだのだ。
響子の体に食い込んでいく靴と箒だが、その部位からの出血は見受けられない。おそらく、何かしらのスタンドパワーがはたらいているのが理由であろう。響子を襲った現象に釘付けになった3人であるが、響子を助けようと動く者はいない。彼らの目つきは彼女を守ろうとするものではなく、相手を確実に仕留めるという決意の現れた、明確な殺意を宿しているものへと変わっていた。
「侵入者……うち3体はスタンドか。まんまと入ってきたな。このシビル・ウォーの空間に」
『!』
「きっと私を倒しに来たのだと思うが、それは不可能だということを先に忠告しておこう。お前たちでは、私を倒すことはできない」
古ぼけた物品が体に侵入していく響子とスタンドたちの間を、何か円盤のような物の群れが横断してきた。それらは滑るようにして移動し、3人のスタンドたちの目の前で止まるとカシャカシャと音を立てて組み上がっていく。出来上がったのは人型のガラクタ人形。しかし、3人はこいつが敵であるということをすぐに理解した。
「てめぇの目的が何なのかは知らねぇが、俺たちもナメられたままで黙ってられるほど優しかねぇ。つまらねぇゴタゴタは御免だが、報酬と依頼人もいるからな。少し痛い目見てもらうぜ」
「やめておけ。お前たちにできることは、このまま右へ回って元いた場所へ戻ることだ。ここまで言っても、まだ「やる」と?」
「たった一人でどーやって勝つってんだァ? こっちはよォーー、3人だぜ。「やる」かどうかって質問はこっちのもんだ」
「…………分かった。そこまで望むのなら…………だが、『
『……!』
スタンド、シビル・ウォーは腕を組む。「何かが始まる」と勘繰った暗殺チームのスタンドたちは咄嗟に身構えるも、シビル・ウォーから攻撃されることはない。
シビル・ウォーと3人が睨み合いを続けている内に、物品が侵入する響子の体の部位が弾け飛ぶ。そして白蓮の時と同じように薄い膜が現れ、響子に巻き付いて折り畳んでいってしまった。可哀想なことにそれを案ずる者は一人としていなかった。
シビル・ウォーは3人を見つめ、自分の能力についての説明を始めた。
「私の名前はシビル・ウォー。能力は、私の能力の射程内に入った者が過去に捨てた何かを蘇らせるというものだ。どんどん蘇るぞ」
「! ということは……響子の体の中に潜り込んでいく箒や靴は、響子が過去に捨てた物というわけか」
「唐突に何を言い出しやがる…………
「そういうことではない。スタンド戦は、たとえば自らの弱点を相手に教えるような…………『
「…………
ドッヒャァアア〜〜ーーッ!
グレイトフル・デッドは吐き捨てるように出した言葉を皮切りに、残るマン・イン・ザ・ミラー、リトル・フィートと共にシビル・ウォーに飛びかかる。
3人が一斉に前方から向かうのではなく、マン・イン・ザ・ミラーとリトル・フィートは左右に分かれ、シビル・ウォーを両サイドから挟み込むように攻撃を仕掛けた。グレイトフル・デッドは掌底、マン・イン・ザ・ミラーは両拳、リトル・フィートは鉤爪でシビル・ウォーの命を狙う。3人の攻撃が確実にヒットすると、3人ともが思った瞬間、シビル・ウォーの体は先程のように再びバラバラに分解される。素早く攻撃を避け、グレイトフル・デッドの数m後方で再び元の形へ戻った。
思いの外動きの速いスタンドである。強力なスタンドパワーをもっている者は、一部例外はあれど何かしら弱点があるものだ。例えばキング・クリムゾンは強力な能力とスピード、パワーをもち合わせている代わりというように、射程距離と持続時間が著しく短い。それでも、本体がいない今では射程距離の弱点は無いようなものだが。
シビル・ウォーの弱点はおそらくスピードでも射程距離でも、持続力でもない。能力の射程距離を『空間』と呼ぶところからも、それほど短くないことが窺い知れるからだ。そして持続力も。シビル・ウォーは体を再構築しながら、3人に呼びかける。
「……お前たち人殺しか。いや、ただの人殺しじゃあないな。さしずめ、殺し屋か何かと言ったところか。ここまで亡霊が現れることなんてなかったぞ」
「何…………!?」
シビル・ウォーを方へ振り向いたグレイトフル・デッド。彼の視界に入ってきたのは、荘厳なる和風木造建築には合わない、スーツやバスローブを纏った男女たちであった。ゆらりゆらりとフラつきながら立ち上がり、口を開け、目が虚になっている。そして全員に共通していることとは、体が欠損していたり、眉間に穴が空いていたり、腹部の肉が弾け飛んでちぎれかけている肋骨や背骨が見えるという、まるでゾンビになって蘇ったかのような様相である。
リトル・フィートは一瞬、彼らが誰の『捨てたもの』なのか分からなかった。しかし腹部が弾けている中年男性を目にすると、それと同時にあることを思い出す。あれは自分の能力で小さくした車を呑ませ、胃の中に入ったところで能力を解除し、殺した男だ。依頼を受け、
「す、捨てたものを蘇らせるッ……! そういうことかよ…………! ありゃあ、俺たちや本体が今まで始末してきた人間どもだッ!!」
「ご名答。お前たちの『罪』さ。殺し屋なんだから当然背負っているわけだな」
「それがどうした! リトル・フィート、一度殺した標的ならもう一度殺せばいいだろうッ!」
もう一度殺せばいい。確かにその通りである。3人が知るところではないが、シビル・ウォーの蘇らせる亡霊は殺しても捨てた物としてカウントされることはない。よって、同じものが2つの物品が同時に出現することはない。能力が発動している限りは殺しても一時的に障害を退けられるだけで、亡霊の数自体は減らないのだが。
マン・イン・ザ・ミラーは先陣を切り、シビル・ウォーに突進を仕掛ける。だが、彼の拳がシビル・ウォーを捉えることはなかった。分解して逃げられたわけではない。立ちはだかった者がいたのだ。それはマン・イン・ザ・ミラーがリトル・フィートに向けて言った「また殺せばいい」が通用しない…………いや、
「う、うぅぅ……嘘……だろう…………!!」
『マン・イン・ザ・ミラァァアアア…………お前は
「イ、イルーゾォ……!!」
亡霊の中に紛れていたのは、マン・イン・ザ・ミラーの本体であるイルーゾォだった。彼はイタリアのポンペイにて、自分の所属するギャング組織のボスの娘であるトリッシュを護衛するジョルノたちと戦った。最期はジョルノの仲間のパンナコッタ・フーゴのスタンド、パープル・ヘイズの殺人ウイルスによってドロドロに腐らされてしまったのだが、彼は今蘇った。皮膚がドロドロに爛れて溶け、他の亡霊に負けないぐらいの負傷具合のまま。
イルーゾォの亡霊はマン・イン・ザ・ミラーに腕を伸ばすが、マン・イン・ザ・ミラーの方は全く動くことができず、今にも捕まってしまうそうであった。もし掴まれたのなら、彼の体の中に未だ内在しているパープル・ヘイズのウイルスが再び猛威を振るうのだろうか。頭の中でそう考えるだけで、避けるという行動には全く移せなかった。
そして、蘇ったのはイルーゾォだけではない。全身に火傷を負い、無数の弾痕が体中に刻まれた坊主頭の男ホルマジオ。さらに、主に左半身がぐちゃぐちゃに損傷している金髪の男プロシュート。残る2人の本体も、漏れなく亡霊として蘇っていた。
『うぉおおおおおああぁぁああああッ!!』
『リトル・フィートてめーー……お前がもっと速ければよォ〜〜、ナランチャのエアロスミスに負けねぇぐらいのスピードがありゃ、俺たちは死なずに済んだんだぜーーーー。お前が弱かったから!』
『ペッシに氷を持たせていた俺も、その時点じゃあ
「プ……プロシュート…………!」
「やめろォオオ! ホルマジオ! あんたはそんなこと言う人じゃあなかっただろーが! あんたはいつだってこの俺に自信を持っていたッ!」
「これが『シビル・ウォー』だ。過去の『罪』に潰されて、死ね」
亡霊のホルマジオとプロシュートは、無理矢理体を動かしてリトル・フィートたちに掴みかかる。パワーが強いのは両者ともスタンドの方であるが、今ではその力関係も逆転している。ホルマジオのパワーに押され、リトル・フィートの背中は軋むぐらいのけぞってしまっていた。グレイトフル・デッドも腕をプロシュートに引っ張られ、ちぎられるのではないかというぐらい関節が悲鳴を上げていた。
「チクショォオオオオオッ!! このクソスタンドがァァーーーーッ! 絶対に赦さねぇええええ!!」
マン・イン・ザ・ミラーの怨嗟の絶叫が響き渡る。イルーゾォに完全に掴まれてしまった彼は、触れられた右手を中心にどんどん体が爛れ、発疹がぶつぶつとできていく。放置すれば確実にするパープル・ヘイズのウイルス。解除するには、全身に回るまでにシビル・ウォーを倒さねばならない。しかしそれを許す状況ではない。
シビル・ウォーはニヤリと金属質の顔を歪めると、飛宝が置いてある倉へと歩き始めた。その行為は勝利の確信に他ならない。折り畳まれた響子と白蓮。自分の本体にパワーでねじ伏せられるリトル・フィート、グレイトフル・デッド。殺人ウイルスに感染したマン・イン・ザ・ミラー。彼らの狂騒を聞きながら、シビル・ウォーは倉へと向かうのだった。
既にマン・イン・ザ・ミラーの能力が発動しているとも知らずに。
「マン・イン・ザ・ミラー!
「! …………あぁ!」
グレイトフル・デッドはマン・イン・ザ・ミラーの合図を受け、何かを命蓮寺へ投げつける。そしてリトル・フィートの代わりに、一人でプロシュートとホルマジオを押さえつけ始めた。
マン・イン・ザ・ミラーは手鏡を携帯していた。それは居候を始めてから白蓮に貰ったものである。白蓮は彼の能力を聞いて、「ぜひ使うといい」と彼に手渡していたのだ。その時は「簡単に信用するなんてバカか?」と嘲笑していたマン・イン・ザ・ミラーだったが、今は違う。ラッキーと思うと同時に、ほんの少しの感謝の念も抱いていた。
その手鏡を使い、彼はシビル・ウォーを鏡の世界に閉じ込めたのだ。やつがこちらを観測できない今こそ、行動を起こす時なのだ。グレイトフル・デッドが投げたのは小さくなったリトル・フィート。彼に託された目的とは…………
「リトル・フィート! お前が『水』を回収して来いッ! この亡霊共は俺がどうにかする。急げェーーーーッ!」
「あぁ! 任せな、グレイトフル・デッド!」
シビル・ウォーは言っていた。自分の能力は水によって清めることができると。水を使えば、この亡霊たちを消すことができるはずだ。仲が良いと言えば彼らは否定するだろう。しかし、互いに寄せる信頼は絶大である。だからこそ、彼らは自分の命を互いの背中に託せたのだ。
そしてマン・イン・ザ・ミラーはと言うと、ウイルスに感染した右腕をイルーゾォの腹部へ叩きつけ、彼の体を前方へ大きく吹っ飛ばしていた。ウイルスによって体がボロボロになっているところへ叩き込んだため、腹に大穴が空いて立ち上がることが難しくなってしまっている。
襲ってきたとしても、イルーゾォは自分の本体。傷つけるなんて真似は微塵もしたくない。しかし、彼らはやらねばならないのだ。自分たちの目の前にいるのはあくまでもシビル・ウォーの能力によって提示された、あくまでもビジョン。本物ではない。かつて本物の彼らの本体が抱いていた誇り、そして覚悟は確かにそのスタンドたちにも受け継がれているのだ。
マン・イン・ザ・ミラーは右腕をまだ感染していない肩から手刀で切断し、落ちた腕を踏みつける。彼の覚悟はこれからだ。
「イルーゾォ……あんたが見せた覚悟は俺たちが受け継ぐ。滅ぼしたりはしない! シビル・ウォーを始末し、誇りを奪い返す。真の覚悟はここからだ」
私の思うジョジョらしさって、5部あたりから加速し出すんですよね。5〜8部はめちゃくちゃ好きです。神聖視してます。
to be continued⇒
あくまで参考までに、ということで。
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東方をよく知っている
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ジョジョをよく知っている
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東方もジョジョもよく知っている
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どちらもよく知らない