幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》   作:右利き

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JOJO magazine、ついに届きました!
素晴らしいなぁ


79.ホワイトスネイク、始動

「くそッ! 地上に戻って来てみれば……『ボヘミアン・ラプソディー』はどうした!? まさかピノキオがやられたのかッ……!?」

 

 ピノキオがK・クリムゾンに破壊されてから数時間後。一体どれだけの人間、妖怪が犠牲になったのかなど誰にも計り知れない、最悪の異変が終わった時のことだ。幻想郷は赤い夕日を受けて佇んでいた。

 妖怪の山の土を踏み締め、ピノキオが殺された地点までやって来たホワイトスネイクは、虚空へ向けて叫んだ。彼の声からは今までの計画を(ことごと)く潰されてきたことによる怒りも感じられる。

 

「そんなバカな……ピノキオは妖精騎士と『魔弾の射手』のマックスに守らせていた。偶然とは思えない…………我々の存在を知る何者かが、ピノキオの命を狙ったということか!」

 

 「一体誰が」、とホワイトスネイクは歯噛みする。

 ホワイトスネイクと彼の友人たる存在は、ピノキオが『ボヘミアン・ラプソディー』を発動している間に地底へと向かっていた。本来エンプレスに回収させるはずであった、『生まれたもの』を直々に手に入れるためである。

 だが、そこで思わぬ反撃に遭ってしまった。エンプレスが取り憑いた古明地さとり、そして鬼の長である星熊勇儀とその部下たちの迎撃を受けたのだ。彼らは撤収せざるを得ない状況を迎え、今こうしてホワイトスネイクは妖怪の山に戻って来た。

 地底の住人たちの攻撃を受けることは全く予想していなかった2人だが、なぜそのようなことが起こったのかは既に分かっている。エンプレスの心を読まれたからだ。

 『ボヘミアン・ラプソディー』が解除されてから数時間しか経過していないが、地底から地上へ使者が送られた場合、ホワイトスネイクたちの計画はすぐに全て日の下に晒されてしまう。それだけは避けなくてはならない。

 

「ピノキオがやられたなら……()()は早々に進めなくてはならない。私と彼で、明日にでも動き出さねば『天国』への道が……」

 

 

「ほう……貴様、天国に行きたいのか?」

 

 

「!」

 

 ホワイトスネイクの独り言に、返事をする者が現れる。突然の登場による驚きと、言葉を聞かれてしまった焦りが彼の体を突き動かし、ホワイトスネイクは声が聴こえた方へ勢いよく振り返った。

 が、背後には誰もいなかった。

 

(いや違う! 敵は()()()()()!)

 

 

バシィイイッ!

 

 

「! まさか受け止めるとは……」

 

 襲撃者は心底驚いた声を出す。彼が放った手刀は、見事ホワイトスネイクの両腕に防がれてしまったからだ。奇襲であったのもそうだが、襲撃者は己のパワーにも自信があった分、それなりに驚いていた。

 背後にいると騙し、瞬時に元の正面へ回り込む。このような芸当が可能なのは、幻想郷でも限られた者だけだ。そして、時を消し飛ばす能力をもつのは彼一人だけである。

 

「ウシャアアアアッ!」

 

キング・クリムゾンッ!」

 

____________________

 

「ハッ!」

 

「貴様……中々実力のあるスタンドと見た。そして、ようやく会えたな。俺は()()()()と会いたかったぞ。消すためにな」

 

 ピノキオを(ほふ)った張本人、K・クリムゾンはホワイトスネイクのラッシュを能力によって回避する。少し距離を取ってから時を戻すと、見下すようにして顎を上げ、真っ直ぐホワイトスネイクを見据えた。

 

「……我々の敵か。貴様もスタンドだな? しかも、時を操る能力をもっている。我々の試練となるには、充分な実力をもっていると認めよう」

 

 ホワイトスネイクはたった一度で見切っていた。時間がどのように操作されているか、それを確実に理解したというわけではない。しかし、少なくともK・クリムゾンが時を操るスタンドであるということを、ホワイトスネイクは見事暴くことができたのだ。

 攻撃を防いだ。能力を見破った。K・クリムゾンはこの2つの要因から、ホワイトスネイクは今まで対峙したスタンドの中でもかなり厄介な部類に入ると確信する。いや、分類した。

 厄介であるなら消さなくては。いずれどんな厄災をもたらすか分かったものではない。K・クリムゾンの殺意はどんどん研ぎ澄まされていく。

 

「……この『無敵』の能力をもつ俺に向かって、「充分な実力」とはナメられたものだな。取るに足らない、ちっぽけなカススタンド風情が」

 

「反応できないことはない。時を操っているものの、私が認識できない『時』において攻撃をしなかったということは…………同時に、お前もこちらに干渉できないといったところか? 不便だな」

 

 拳を構えるホワイトスネイクに対し、K・クリムゾンは特に姿勢を変えるでもなく直立不動。正反対の行動をしているものの、2人は互いに互いを煽り、相手の精神を揺さぶろうとする。その点においては共通するものがあった。

 2人の睨み合いは数秒間続いた。数秒後、その時はホワイトスネイクによってもたらされる。

 

「シィッ!」

 

「!」

 

 ホワイトスネイクは地面を蹴飛ばし、K・クリムゾンとの距離を一気に詰める。

 掲げた拳は風を切り、狙った獲物へ真っ直ぐ打ち込まれた。だが、当たることは決してない。時間を吹っ飛ばし、K・クリムゾンはホワイトスネイクの背後へ回り込む。

 しかし時の消し飛んだ暗黒の世界で、K・クリムゾンはある事に驚くことになる。

 その世界で彼の目には、他者の未来の動きの軌跡が見える。ほんの数秒後のホワイトスネイクは、背後に回ったK・クリムゾンに応戦せんと構えを取っていた。

 

「……最初から後ろに回ることは想定済みだったようだな。だが、俺も馬鹿正直にそのまま突っ込むことはない。一歩だけ距離を取るか」

 

 K・クリムゾンはその言葉の通りに、振り向いて背後にラッシュを仕掛けているホワイトスネイクから距離を取る。経過時間はきっかり5秒。K・クリムゾンは能力を解除した。

 

「……! これはッ…………!?」

 

「時間を吹っ飛ばした!」

 

 時が元に戻り、5秒後の世界を再び認識したホワイトスネイクはようやく全てを把握した。K・クリムゾンの時を飛ばす能力について。

 だが、同時に強い焦りも覚える。ホワイトスネイクは時が消し飛んでいる間にラッシュを打ち、戻った瞬間に手を止めてしまった。両拳の間から見える向こうの景色には、不敵な笑みをこぼすK・クリムゾンの姿が見える。K・クリムゾンはこの時を狙っていたのだ。

 

「手が止まっているぞ。ガードしなくていいのか」

 

「ぬぅ!?」

 

 

ドゴォオオッ!

 

 

「うがあアアッ!!」

 

 K・クリムゾンはホワイトスネイクが再びガードするよりも早く、その剛拳を彼の腹部に叩き込んだ。苦悶の表情を浮かべるホワイトスネイクだが、K・クリムゾンは一切の容赦なく拳をねじ込んでいる。

 

「どうした。能力は使わないのか? 抵抗しないのか? 無意味な行為だがな!」

 

 

ドボォアアア!

 

 

 K・クリムゾンは拳を一度引き抜くと、立つのもやっとな状態のホワイトスネイクの胸に第二撃目を加えた。人間ならば心臓がある中心部だ。

 かつてブチャラティにやったように、拳で胴体を貫いてやった。傷口とK・クリムゾンの手首との隙間から、ホワイトスネイクの真っ白な体色とは打って変わって派手な赤色の血液が流れ出る。ドバドバと止めどなく。

 K・クリムゾンは「仕留めた」と確信した。触れている感覚は確かに有り、生温かい血液は自分の腕を確かに伝っている。これは紛れもない事実だ。

 そう思っていたが…………

 

 

ザザッ……ザッーーーー

 

 

「!? な、何だ! これはッ!?」

(猿……か!? こいつは! ス、スタンドではない)

 

 突如、ホワイトスネイクのビジョンに、ブラウン管テレビの砂嵐のようなものが現れる。何とも言えない、耳を突く豪雨のような音とともにホワイトスネイクの体はモザイクに包まれてしまった。

 しかし、それも束の間。すぐにモザイクは消えた。

 砂嵐が消え、中から現れたのはホワイトスネイクではない。彼の代わりに胸をK・クリムゾンの腕に貫かれ、既に絶命している猿の妖怪の死体であった。

 

「いつ入れ替わった!? こいつ、まさか最初から……」

 

 K・クリムゾンはハッとする。

 彼は無意識に能力を発動していた。時を消し飛ばす方ではない。額にあるもう一つの顔、墓碑銘(エピタフ)による未来予知の能力である。

 頭の中に刷り込まれる、数秒後の未来の光景。それは自分の目から見た一人称視点の景色ではなく、自分すらも客観的に映す三人称の写真のよう。

 エピタフで予知した未来の光景には、背後から攻撃を仕掛けるホワイトスネイクと、頭部から何か銀色に光る円盤のような物が取り出されるK・クリムゾン自身の姿があった。

 

「まずいッ……! キング・クリムゾンッ! 時よ、消し飛べェーーッ!!」

 

 

グニュウウウウウ

 

 

「こいつ、俺の背後に……いたのか…………」

 

 エピタフで見た未来は、時を消し飛ばすことによって確実に回避することができる。未来の映像にあったように、ホワイトスネイクはやはり攻撃を仕掛けてきた。

 スローな動きとなったホワイトスネイクの横薙ぎの手刀がK・クリムゾンの頭部を狙う……ものの、K・クリムゾンは首を少し後ろへ傾けて避ける。そして水中を漂うダイバーのように、空中を漂いゆっくり後退した。一抹の安心は得られた。

 ひとまず攻撃は避けたわけだが、K・クリムゾンとしては少し気になることが出てきてしまった。ホワイトスネイクの能力についてだ。やつは一体、自分から何を()()()()()のか?

 

「頭から抜き出したところから考えるに、間違いなく頭部に関わる何かだろうな…………視界や嗅覚といった感覚を円盤状にして奪うのか? 少なくとも、俺と同じで2つ以上の能力をもっているのは確定した」

 

 猿の妖怪を自分に見せかけた『幻』の能力と、円盤状の何かを奪う能力。

 彼自身の知るところではないが、K・クリムゾンの憶測はかなり実際の能力の詳細に近いものであった。たしかに、他者や自分に対して()()()()()()()()()

 だが、K・クリムゾンはすぐに思ったことを心の奥底にしまい込んだ。彼の目的はあくまで、流れ着いた者を消すこと。能力など、殺してしまえばどんなものをもっていようとも同じである。

 

「時間だ。時は再び刻み始める」

 

「……! おっと、外してしまったか…………」

 

「慎重なやつだな。まさか身代わりを用意しているとは。まともにやり合って勝てない相手と踏んでいたからか? 正面からの迎撃には自信が無いと」

 

「そういうわけではない。私の能力は触れて発動するタイプだからな……そのことに既に、お前は気付いているんだろう?」

 

「!」

 

 K・クリムゾンの目元がピクリと動いた。

 「なぜバレた?」と思ったから。それに他ならない。

 できる限り図星だと悟られぬよう(エピタフの存在は隠したいため)、無表情と無言を貫こうとするK・クリムゾンへ、ホワイトスネイクは言葉を続ける。

 

「お前の能力とパワー、そしてスピード。たしかに『無敵』を自称するだけのことはある。ではなぜ、そんなに距離を取る? 何か悪い予感でもしたかな? 私の能力を知っているから、そういう対応をするのだろう?」

 

「………………」

 

「……答えないか。まぁ、いい。お前の能力のことも分かりかけてきた。()()()()()、さっきよりかは多少は変わるだろう……」

 

 そう言ったホワイトスネイクは、自身の人差し指を歯で噛みちぎった。分断したのではなく、あくまで表面に傷を付けただけだ。

 K・クリムゾンにはこの行動に見覚えがある。それはかつて、彼の本体の組織を嗅ぎ回ったJ=P・ポルナレフと裏切り者のジョルノ・ジョバァーナが行った、時が消し飛んだことを認識する方法だ。

 傷口から垂れる血液に注目し、一瞬にして垂れ落ちた血痕が増えた時、K・クリムゾンが能力を発動したことに気付くことができる。

 まさかそれをホワイトスネイクも考えつくとは。

 

「どうした? 己が『無敵』だと言うのなら、かかって来ればいいじゃあないか」

 

 挑発されている。かつての自身(ディアボロ)であれば、まんまと乗って時間を吹っ飛ばしただろう。それでも、負けることはないだろうが。

 しかし、今のK・クリムゾンはジョルノ・ジョバァーナとの戦いに敗北している。あれはディアボロの娘、トリッシュの言葉に反応してしまい、退き際を逃してしまったのが原因だ。

 ここから注意深く行動しなくては、あの時のようにかえって自分の身を危険に晒す。それだけは避けなくてはならない。今はどうするべきか。行くか、それとも退くか。

 

 

バキバキバキ バキィ!

 

 

「!」

 

「何だ!?」

 

 K・クリムゾンが頭を巡らせていると、間近で木々が倒れていくような音が響いてきた。

 自然に倒れたわけではない。それはすぐに分かった。

 二人の間に割り込むように、木々を押し倒しながら巨大な影がヌッと現れた。土のような茶色の湿った皮膚に、大量のイボがある。前まで後ろも、足の指は4本。口は左右の目の端と端よりも後方へ裂けている。

 現れたものの正体は超巨大なヒキガエルであった。

 

「ギョロロロロ…………」

 

「……妖怪か!」

 

「……ちょうど良い。こいつを利用させてもらうか」

 

 ヒキガエルの妖怪は前足を薙ぎ払い、K・クリムゾンを攻撃する。だが時を飛ばすまでもない。K・クリムゾンは攻撃を跳んで回避した。

 その隙を突き、ホワイトスネイクはヒキガエルの上に飛び乗る。すると、その巨大な頭部に向かって腕を突き刺した。脳が潰れ、血が噴き出す。といったことはなく、その代わりにヒキガエルの目が虚となり、動きが止まった。

 ホワイトスネイクの能力は、これより発揮される。

 

「『お前に命令する』! 『私の手足となり、敵を排除しろ』!」

 

「…………!」

 

 ヒキガエルはビクッと震えると、改めてゆっくりとK・クリムゾンの方へ振り返る。ホワイトスネイクは不敵な笑みを浮かべ、ヒキガエルの頭に手を突き刺しているままだ。

 これこそホワイトスネイクの能力の一つ。彼は対象の頭に直接手を差し込み、命令を下すことができる。ヒキガエルの妖怪はたった今、ホワイトスネイクの傀儡(かいらい)となった。

 

()()()能力か」

 

「ああ。そうとも。さぁ、踊れ」

 

 ヒキガエルは上体を起こし、両前足をK・クリムゾンへ振り下ろした。しかし避けられる。舞い上がる土埃に紛れ、ヒキガエルの左手側へと跳んだ。

 それを見たヒキガエルは、今度は大口を開けて舌で攻撃する。まるで大砲のように撃ち出された舌先は、K・クリムゾンのいた地点を大きく抉った。土や砂利を吹き飛ばすが、舌先もそれらもK・クリムゾンを捉えることはない。

 今度は消えた。時間を飛ばされたのだ。

 

「背後…………いや、頭上(うえ)かッ!」

 

「ご名答」

 

 ホワイトスネイクが見上げれば、上から拳を構えたK・クリムゾンが降ってくる。

 急ぎ腕をヒキガエルから引き抜き、腕を重ねてK・クリムゾンの攻撃を防いだ。だが、パワーはホワイトスネイクの方が劣っていたようで、ダメージは受けないがヒキガエルの頭上から弾き出されてしまう。それと同時にヒキガエルの動きも完全に止まった。

 

「ん……?」

 

 ホワイトスネイクの代わりにヒキガエルの上に乗ったK・クリムゾン。彼はそこで、奇妙な物を見つけた。銀色に輝く円盤の一部が、ヒキガエルの頭から回転しながら出てきている。

 K・クリムゾンはそれを見て確信した。これだ。これが、エピタフで予知した未来で自分がホワイトスネイクから奪われていた物だ。

 おもむろに円盤を引っこ抜くと、K・クリムゾンはそれをまじまじと見つめる。

 

「……何かのディスクか? 表面にはカエルの顔が映っているな。持ち主の顔か。壊れは……しないか。ゴムのように元に戻る」

 

 バギッと円盤を半分に折るが、バネかゴムのように跳ねながら元の形に戻ってしまう。K・クリムゾンの力では破壊するのは無理そうである。

 そういえば、この円盤はカエルの頭部から出てきた。同じように、自分の頭部に円盤を挿し込めるのではないか? K・クリムゾンは試しに円盤を側頭部に近付けてみる。

 

「ぐおっ!?」

 

 円盤は吸い込まれるようにK・クリムゾンの頭部に入ってしまう。円盤全体が入るわけでなく、半分までしか入らなかったが、この円盤が()()()()()()()()()はすぐに判明した。

 K・クリムゾンが動きを止めている間、ホワイトスネイクは彼を睨みつけながら立ち上がる。彼はどこからか円盤を取り出すと、K・クリムゾンへ狙いをつけた。投げつける気だ。K・クリムゾンが持っているカエルのディスクとは違い、ホワイトスネイクが投擲しようとしているディスクの表面には何も映っていない。

 ホワイトスネイクの能力は、未だ未知の部分が多い。空っぽのディスクに、一体何の力が眠っているというのか。

 

「戦いの途中に他ごととは……殺されても文句は言わんのだろう!」

 

「フン!」

 

 

バチィイイッ!

 

 

「うぐッ!?」

 

 ホワイトスネイクがディスクを投げようとした直後、それを既に予知していたのだろう。K・クリムゾンは素早く頭からカエルのディスクを抜き出し、ホワイトスネイクが掲げた空のディスクへと投げ当てた。

 ホワイトスネイクは思わずディスクを手放してしまい、2枚のディスクは地面に落下する。

 

「そろそろ時間だ。お前を今殺せないのは残念だが…………さすがに2()()を相手する体力は、昼間に使い切ってしまっているのでな。また会おう」

 

「! 待てッ!」

 

 ホワイトスネイクの言葉を聞かず、K・クリムゾンは時間を消してどこかへ消えてしまった。エネルギーを感知して位置を特定しようとしたものの、気配も完全に消されており、追跡は不可能となる。

 早々とした撤退。先のジョルノたちとの戦いで大切なことであると再確認した。能力も相まって、K・クリムゾンの動向を探れる者というのは、幻想郷内でもかなり少ないだろう。いや、ひょっとしたらいないかもしれない。

 ホワイトスネイクは西の空から差す夕日を浴び、木々の間にただ目をやって歯を強く噛み締めた。ここまで何一つ上手く行っていない。刺客は全て倒された。切り札(ピノキオ)も殺された。

 今度は自分たちの番だ。自分たちが動かなくてはならない。しかし、地底では情報が漏れたことで返り討ちに遭っている。目的を達成するには、『天国』へ行くにはどうしたらよいのか。

 

 

ドグシャアアアン!

 

 

「!」

 

「ホワイトスネイク……ここにいたスタンドはどうした? 始末したのか?」

 

「……いや…………逃げられた。敵は時を操るスタンドだ。君と同じく」

 

 突如、ディスクを引き抜かれて項垂れているヒキガエルが、大量の血しぶきを撒き散らして何かに押し潰されてしまった。全身にバレーボール大のクレーターが無数にできている。

 そんなヒキガエルの死体を踏み締めて現れたのは、ホワイトスネイクの友である。黄金の肉体に赤い液体を纏い、彼はホワイトスネイクに歩み寄った。

 

「……我々は何としてでも『天国』に向かわねばならない。試練は、強敵であるほど良い……そうだろう? ホワイトスネイク」

 

「ああ……そうだ。友よ」

 

「共に行動するのをやめ、二手に分かれるぞ。私が幻想郷にはびこる住人たちを倒す。その間に、君が『天国』への足掛かりを掴むのだ」

 

 スタンドはホワイトスネイクへカエルのディスクを手渡す。彼は既にディスクを頭に挿していた。ディスクを挿し、あのヒキガエルの妖怪の『記憶』を見たのだ。

 ホワイトスネイクが取り出したディスクは、対象の記憶である。あのヒキガエルのディスクで見えたのは、妖怪の山のどこかにある池にて、守矢神社の洩矢諏訪子がカエルたちと戯れながら水浴びをしている様子。

 スタンドはホワイトスネイクに、「守矢神社へ向かえ」と言った。神であるなら、()()()()()()()()際、幻想郷に何が起こったのか知っているだろう。それを暴けとのことだ。

 

「……幻想郷は強者揃いだ。君一人で全て倒せるとは…………とてもじゃないが思えない。地底でも、あの星熊勇儀と互角だったろう」

 

「………………」

 

 スタンドは自分の拳を見つめる。

 正確に言うと、互角であったのは見てくれだけだ。特にパワーは勇儀の方が上であった。あの怪力無双の鬼の拳とスタンドの拳がぶつかった際、ヒビが入ったのはスタンドの方である。

 今やすっかり修復したものの、ホワイトスネイクは分かれて行動することに反対だとしていた。それは賢い彼も分かっているはずだった。それでも分かれようとしているとなると、彼には他にやりたいことがあるのだ。

 

「君ならば、守矢神社を制圧することは簡単だ。能力を使えば…………私はあくまで、『天国』へ向かう上での邪魔者を消すだけだ。全て根絶やしにするつもりは毛頭無い」

 

「と言うことは、博麗の巫女を消すつもりか?」

 

「ああ、そうとも。それに、この山を降りれば、吸血鬼の館があるらしい……懐かしい響きだろう? 吸血鬼だ。なぁ、我が本体よ……」

 

 スタンドの狙いはそちらの方が大きいようにも聴こえた。

 ホワイトスネイクは思う。彼のことだ。万一にもやられることはない。この地に来てからも、彼はさらなるパワーアップを遂げている。自分さえ上手くやれば……それで良いのだ。自分たちに失敗など無い。

 悲願を邪魔するジョースターは、幻想郷にはいないのだから。

 

 




to be continued⇒

あくまで参考までに、ということで。

  • 東方をよく知っている
  • ジョジョをよく知っている
  • 東方もジョジョもよく知っている
  • どちらもよく知らない
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