幽波紋の奇妙な幻想 《Drifted Destiny》   作:右利き

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お久しぶりです。最近とても忙しく、おそらく今年度中はこんな調子でしょう。月一で投稿できたら良いぐらいだと思います。


95.邪仙と死体とインディアン

 小雨が降る中、霍青娥は雨粒の上に立っていた。

 あり得ない話だが、彼女の靴の裏には確かにいくつかの雨粒が貼りつき、彼女の足場になっている。雨が空中で止まるわけがなく、そもそも液体が足場になるはずがない。

 切断された指の断面を押さえながら、ハイエロファントは分析する。

 「スタンドバトルをしよう」という言葉と、明らかに服装に合っていない仮面。実際スタンドエネルギーを青娥から感じられるため、おそらくその仮面がスタンドなのだろう。

 だとすると、青娥が雨の上に立っているのは仮面のスタンド能力だということになる。

 

「チューブラー・ベルズ、あなたは下がっていてくださいまし。巻き込んでしまうわよ」

 

『…………お言葉ですがミス・青娥。2人がかりでやる方が早く……』

 

「あなたって真面目よねェ。でも、もう中に侵入されてしまっているんですもの。あなたの不手際は報告しないであげるから、今は私に従っていただける?」

 

『……えぇ……承知しました……』

 

 青娥に半ば脅される形で言われ、チューブラー・ベルズは渋々といった具合で墓石群の陰へ姿を消す。こうして邪魔者が居なくなったところで、青娥は「さてと」とハイエロファントに改めて目を移した。

 指の切断面から、ボタボタと絶え間無く血が出ている。

 手を押さえながら、青娥が仮面の隙間から送った視線に、ハイエロファントは仮面のスタンドの能力を推測しながら己の視線をぶつける。

 ハイエロファントを倒すのが目的なのか。それとも言葉通り、戦うことが目的なのか。彼が青娥を推し量るには、まだ時間が足りなかった。

 

「スタンドさん。私に、ぜひ貴方の名前を教えていただきたいわ。さっきの戦いは最後まで観ていたけれど、名乗りを聞いてなくて。ほら、私も名乗ったでしょう?」

 

「………………ハイエロファント……グリーン」

 

「ふゥん……ハイエロファントグリーンっていうのね。名前から変わってるわ。そこらの妖怪とも、()()()()()()()。ホントに不思議ね」

 

「……僕は君の質問に答えた。それで、君は僕と戦いたがっている。それは構わない。きっと君は、そうでもしないと引いてくれない人間だ。しかし、僕の手の内は君に筒抜け。公平(フェア)じゃあない」

 

 ハイエロファントは青娥に向けて言った。

 青娥は目的が何であれハイエロファントと戦いたい。しかし今、ハイエロファントに関する情報を、彼女が一方的に得ている状況である。ハイエロファントは彼女にそのことについて意を唱え、仮面のスタンドの能力を聞き出そうとしたのだ。

 かなり無理のある主張ではある。青娥が嘘を言う可能性だって高いのだから。しかし、ハイエロファントの中では、もはや青娥が自分を()()()()()可能性は消えたようなものだった。

 不意打ちを仕掛けられるのなら、その内に殺したはず。それをしていないということは、戦いそれ自体を楽しみに来た方なのであろう。言葉通り。

 

「つまり、私が貴方のことを一方的に知っているから、貴方も私のことを知っていないといけない。そう言いたいのね? お互いの情報をお互い知った状態にしたいと」

 

「あぁ。その仮面なんだろう? 僕の指を切断したのは。それに、今君が宙に浮いているのも。霊夢や魔理沙の箒とは違う。浮いているというより、立っている」

 

 ハイエロファントは大体の予想をつけていた。

 霍青娥は止まった雨粒の上に立っている。

 そして雨が降り始めてすぐに彼女は現れ、ハイエロファントの指を切った。指を切ったものの正体は見えておらず、分からなかったものの、おそらくは()()だ。

 雨。

 

「私の着けているこの仮面は……確かにスタンド。能力を教えて差しあげますわ。それは、『降っている雨をその場に固定する』能力」

 

「!」

 

「ウフフ。「それだけ?」って顔。そう、それだけですわ。固定した雨粒は能力を解除しない限りどうやっても動かせない。何がぶつかろうと、重力を無視してその場に留まり続けるの。貴方の指が切れたのは、その場で動かない雨粒の刃に触れてしまったから」

 

 すると、青娥は腕を空中に伸ばす。

 その先をよく見てみると、スタンド能力で静止した雨粒が数滴。

 ハイエロファントは彼女の行動を見て何かを言おうとしたが、喉から出かけた言葉はすぐに引っ込んでしまった。

 青娥の指が雨粒に触れると、ハイエロファントの時と同様、触れた指は切断されてしまう。しかしその後、おかしなことが起こった。

 

「なっ……ど、どうなっているんだッ……!?」

 

 ハイエロファントは思わず声を漏らす。

 切断された青娥の指は、固体と液体のちょうど中間体のような状態になり、グジュグジュと蠢きながら宙に浮いていた。重力を無視し、雨粒に乗っているわけでもなく、浮いているのだ。

 切断面から血は出ていない。手からも、指の方からも。

 これは少なくとも、ハイエロファントに起こったのとは全く別の現象であった。

 

「雨を固定する能力だけじゃあないのか!? 一体何が起こっている! ()()()()能力なのか!?」

 

「いいえ? 私の能力でもない。それに嘘も言ってないわ。とにかく、この仮面を着けている人物だけは止まった雨に触れても怪我を負うことはないのよ。こうやって、体を分離することができるわけね」

 

 青娥はそう言うと、空中に漂う指をあっちこっちへ飛び回らせる。どうやら体から離れた部位であっても、自分の意思で自由に動かせるようだ。

 何にせよ、青娥が己の持っているスタンド能力を明かしたため、これで2人は公平に情報を得た状態となった。だが、青娥は素直に話してくれはしたものの、少々煙に巻かれた感じは拭えない。ハイエロファントは警戒を強めるばかりであった。

 

「さぁ! いよいよ始めましょうか。私はその洞窟の先の方々にスタンドバトルを止められていたけれど、ようやく思い通りになるわ」

 

 青娥は自身が乗っていた雨粒を蹴り、後ろへ跳んだ。

 彼女の背後には既に固定された雨粒がいくつもあり、それらによって青娥の肉体はバラバラに分離。そしてあちらこちらへ飛散する。

 どこまでも驚かせてくる青娥だが、ハイエロファントだって気後れすることはない。彼女を放っておけば、きっと大変なことになる。彼の勘は常にそう叫んでいた。

 

「くっ……! エメラルドスプラッシュ!!」

 

 バラバラに分かれる青娥の体。

 その中で最も大きいもの(胴体)に狙いを定め、ハイエロファントは固定された雨に注意を払いながら、緑色のエネルギーの奔流を放つ。

 だが、その攻撃が青娥に当たることはなかった。

 未だ降り注ぐ雨で再び胴体をバラバラにし、エメラルドスプラッシュを回避。そしてハイエロファントを嘲笑うかのように、彼の頭上で結合し始める。

 

「ウフフフ。私はこっちよ〜〜」

 

「ハッ!?」

 

 

ガブウゥッ!

 

 

「うぐあああ!」

 

 ハイエロファントのすぐ背後で、頭上にいるはずの青娥の声が聴こえた。

 するとその直後。ハイエロファントの左腕を、謎の口が噛みついた。青娥の声を発していたのはこの口だ。歯の大きさや顎そのもののサイズからして少女のもの。間違いなく青娥の口であろう。

 仮面で見えないが、その能力を使えば可能な芸当だ。

 雨で分離させ、ハイエロファントの背後へ回らせていた。

 

「ぐううあああっ!」

 

「あら危ない」

 

 ハイエロファントは左腕に喰らいつく口目掛けて、右手の手刀を振り下ろす。

 だが、それより速く腕を離れ、口は青娥の元へ帰還。手刀は空を切った。

 不意打ちが決まり、最初から有利な状況とは言え、彼女は仮面のスタンドを以ってしてハイエロファントを上回っていた。完全に使いこなしていると言える。

 その証拠に…………

 

 

ズバアァーーーーッ!

 

 

「う、あぁああ!!」

 

「さっきの緑色の弾幕(エメラルドスプラッシュ)は片手で撃つことはできないの? それとも、撃てるけど何かしらの弱点があるから滅多にやらないとか」

 

 空を切ったハイエロファントの腕。

 その周りでは既に、雨粒は固定されていた。

 腕は振り下ろされた勢いのまま、その十数の雨粒に貫かれてしまったのだ。

 エメラルドスプラッシュは片手でも撃つことは可能。しかし、狙った方向へ全て飛ばすのは難しく、その点を補うために基本的には両手で撃っている。

 青娥が言うように片手で撃とうとも、己の負傷は免れないのは知っていた。

 

 

ギュゥウオオッ

 

 

「!」

 

 余裕を見せていた青娥だが、ハイエロファントを知る者からすれば、彼女は彼を侮りすぎていると評価するだろう。彼は単調な攻撃だけをするスタンドではない。

 脚をほつれさせ、墓石の陰に回らせていたのだ。

 四方向から鋭い触脚が飛び出し、青娥を狙う。

 今度はハイエロファントが不意打ちを仕掛けた。

 

「私は言ったはずだけれど……貴方の手の内は全て分かってるわ。この触手だって、そう攻撃してくるのは粗方予想はついてましたわよ」

 

「くッ…………!」

 

 触脚の槍が青娥に届くことはなかった。

 固定された雨粒が、既に彼女を囲んでいたのだ。触脚はそれらに阻まれた。

 回転する鉄球、弾丸のように飛んでくる爪さえ防ぐ雨粒。ハイエロファントでは突破することは到底できない。

 雨粒に防がれ、勢いを失くしてしまった触脚。当然のことながら、紐状のそれは空中で(たる)んでしまう。青娥はそれを見逃さなかった。

 青娥は触脚を2本掴み、それを思い切り引っ張った。

 

 

ズバァアアッ

 

 

「ぐあああッ!」

 

 触脚を引っ張られたハイエロファントは思わず前のめりになり、そして顔に斜め一文字に裂傷が走る。顔の前の雨粒は固定されており、そこに青娥はハイエロファントを顔から突っ込ませたのだ。

 固定された雨粒はガラス板の刃のように、その上を歩くのは虹の上を渡るように。それが仮面のスタンドの能力、『キャッチ・ザ・レインボー』である。

 

「さぁさどうするの? 顔からまた紐状に解いて、雨粒の刃を逃れるかしら? そうしたらそこら中の雨を徹底的に固定して、墓地中刃物だらけにしてしまうわよ」

 

 仮面で隠れて見えないが、口振りからして青娥はひどくご機嫌だ。

 地下にある霊廟にも、『チューブラー・ベルズ』以外のスタンドはいる。彼女がスタンドに興味を持ち始めたばかりの頃は彼らを使()()()()()()()()()、他の者から止められ、知識欲求は満たせなかった。

 だが今は、侵入者はどうしてもいい。その場で止めろと言われている。ならば、別に構わないだろう。彼女はただ知りたいだけだ。スタンドが何か。彼女は自他共に認める、好奇心の塊なのだから。

 

「うっ……ぐッ……エメラルドスプラッシュ!!」

 

 顔に刃を押しつけられながらも、ハイエロファントは上空にいる青娥に向けて結晶弾を放つ。それを見た青娥はすぐに掴んでいた触脚を解放するが、ハイエロファントの攻撃は相変わらず当たることはなかった。結晶弾は雨粒に弾かれ、それぞれ明後日の方へ消えていった。

 

「……うーーん。こんなものかしら。最初から飛ばし過ぎたかもしれないわね」

 

「ハァ……ハァ……何?」

 

()()()()()! もういいわよ! ハイエロファントさんを捕まえちゃってーーーー!」

 

「!?」

(芳香!? 誰だ……新手の敵かッ!?)

 

 青娥は姿の見えない何者かに向けて叫んだ。

 彼女の口から発せられた、「芳香」というワード。ハイエロファントには聞き覚えの無い名前だった。響きからして女なのだろうが、辺りを見回してもそれらしい人影も見当たらない。

 すると…………

 

「ゲコッ……ゲロゲロ」

 

「ゲコゲコ」

 

「…………何だ……? カエル……?」

 

 突如、ハイエロファントの周りの墓石上に3匹のカエルが現れた。一つの墓石に、一匹のカエル。ハイエロファントを囲むようにして座り、鳴いている。

 青娥はその光景をただただ眺めているだけ。カエルが数匹現れただけであるが、ハイエロファントは思わず不気味さを感じてしまう。

 そして次の瞬間!

 

 

ギュォオオオン!

 

 

「何ィ!? ワ、ワイヤーだとッ!?」

 

「それが芳香ちゃんが使うスタンドよ」

 

 カエルが一斉にブルッと震えたかと思うと、なんとカエルたちの体から鉄でできた太いワイヤーが飛び出した。

 あり得ない状況にも関わらず、カエルは特に暴れるでも逃げるでもなく、墓石の上にじっと座ったまま。自分の体から異物が飛び出していることなど、全く気にしていないようである。それが自然かのように。

 それに、青娥も気になることを口にした。この『ワイヤー』がスタンドだというのは理解できる。だが、芳香と思しき者はいない。まさか、このカエルが芳香なのか? ハイエロファントは推測する。そんな余裕はもう数瞬で消えてしまうが。

 

「うぐゥッ!?」

 

 3本のワイヤーはそれぞれハイエロファントの両手、そして首を貫く。しかし幸い、あるいはわざとなのか急所は外しており、死に至る傷にはならなかった。

 切り裂くのではなく、フックで貫くのなら問題ない。ハイエロファントは以前よりも自由に体を解くことができる。引っ掛けられたフックの穴を中心に、そこから手と首を紐状にほつれさせていく。

 そして、簡単にフックを逃れることができた。

 と、思ったのも束の間。

 

(こ、このワイヤー……解いた僕の体を追跡してくる! それに……うぐッ!? 先端のフックを避ける度に解いた触手が雨粒に当たってしまう!)

 

 半身を紐状に変え、器用に3本のワイヤーから逃れようとするハイエロファント。だが、それを利用しているのか、ワイヤーは青娥が固定した雨粒にハイエロファントの触手を誘導、直撃させてくる。あるいは青娥がワイヤーが追い込んだ場所に雨を固定しているのか。

 いずれにせよ、このコンビネーションは厄介である。

 青娥はこのワイヤーのスタンドについて、初めに明かしてはいなかった。ハイエロファントが公平を申し出た時、彼女は自分の持っている仮面についてだけ明かし、ハイエロファントはそれで了承した。申し出た本人が了承したのだ。青娥の中では、これは不公平だとは一切思っていなかった。それよりも、彼女はハイエロファントが欲しかった。

 

「ダ、ダメだ! 避けきれないッ…………!」

 

 紐状にした体を元に戻し、ハイエロファントはワイヤーに捕まった。先程と同様に両手と首にフックが引っ掛けられ、もはや逃げられない。

 両腕を左右に引っ張られ、ハイエロファントは磔にされたような体勢になる。青娥はそれを見届けると、彼の前へ静かに降りてきた。

 

「芳香はね、キョンシーなのよ。私が仕立て上げた、私の忠実な(しもべ)。とても可愛いわよ。死体だからこれ以上死ぬこともないし」

 

「……悪趣味も悪趣味だ。特定の人間を弄ぶ。君のような男を、僕は一人だけ知ってるぞ…………死体を操るという点で言えば、あと一人老婆も数えられる」

 

「よく言われますわ。まぁ……この話には大して関係ないのだけれど、あの娘が使うこの鉤針のスタンドには釣り堀が必要になる」

 

「……何の話だ……」

 

「あの娘がこちらへ鉤針を寄越す時、何かしらの水面が要るの。そして、こちらへ鉤針を()()()、疑似餌が必要になる。それがあのカエルたちよ」

 

 青娥はハイエロファントを捕らえるワイヤーの出所、カエルたちの方へ目を向ける。

 芳香と呼ばれるキョンシーは、どうやら別の場所からスタンド攻撃を行っているらしい。カエルたちは依然その場から動こうとしないが、それは彼らが疑似餌と言われていることと関わっているのだろうか。だとしたら、このカエルたちは芳香に操られているのだろうか。ハイエロファントはそう考える。

 

「さっき私が言ったこと、覚えてるかしら?」

 

「僕を捕まえる、と言っていたと思うが」

 

「ええ、そうよ。せいかーい! 流石ですわ、ハイエロファントさん」

 

「……君のそれはわざとなのか? 慇懃無礼にしか取れないぞ」

 

「まさか〜〜、私はちゃんと貴方に尊敬の念を抱いているわ。魅力の塊、スタンドですもの。私に新しい世界を見せてくれた……感謝しかありませんわ。それで、捕まえてどうするかについては……」

 

 青娥はそう言いかけると、いきなり空中を掴んだ。

 すると、その場に止まっていたはずの雨粒がいくらか、同時に動き出す。青娥が掴んだ()()はまるでガラス板。雨粒で構成された、割れたガラスの破片のような立派な刃物である。

 青娥はそれを、ハイエロファントの太腿に突き立てた。

 

 

ズブッ……ズブズブ

 

 

「うああああっ!?」

 

「私はもっと貴方のことを知りたいの。連れて帰って、隅から隅まで調べ尽くさせてもらうわ。初めに切断した貴方の指、もう再生してる。この脚は抵抗されないように切除するけど、どれぐらいの負傷なら再生できるのか…………それも知りたいわ!」

 

「うううっ……! ぐあアアアア!!」

 

 雨粒の刃物はハイエロファントの右腿に深々と突き刺さり、青娥は完全に切断しようと力を込めて雨粒を動かす。青娥は己の望みのために、家族でさえも捨てられる女。他人がどうなろうとも、己が満たされればそれで良い。そしてそこには、一切の悪意など存在しないのだ。それが彼女の恐ろしさである。

 ハイエロファントは絶叫するが、青娥は尚も手の力を緩めることはない。そしてついに、脚が切り離されると思ったその時。

 

「ハッ!」

 

 

シュバァアアッ!

 

 

「!」

 

 青娥は突如急上昇し、そして彼女のいた地点を何者かの腕が薙ぎ払った。

 小雨を振り払ったその腕には生物のものではない関節があり、まるで人形か機械のよう。そして現れた顔はミイラの如き様相。おおよそ生き物とは思えない身体的特徴だが、ハイエロファントは知っている。()は味方であることを。

 

「……避けられたか」

 

「サ、サイレント・ウェイ……!」

 

「……! 新手のスタンドってことね……」

 

 イン・ア・サイレント・ウェイ。現在博麗神社に身を置いている、アリゾナ砂漠のインディアンを本体にもつスタンドである。

 青娥は上空から彼を見下ろし、驚きの表情を浮かべた。その特異な外見に、ではない。()()()()()()()()()()()()()()である。

 青娥はハイエロファントへ加勢する者にも注意を払い、自分の周りを雨粒で囲んでいた。近づこうものなら、誰であっても穴だらけになるはずなのだ。だというのに、サイレント・ウェイは無傷で青娥の元に辿り着いた。

 能力で突破したというのか。大方そうだろうが、概要が分からない以上、青娥も無闇に手を出すことはできない。青娥はサイレント・ウェイに対し、最大の警戒心を抱くのだった。

 

「まずはこの鉤針(フック)から引き離すとしよう。身動きするな。ハイエロファント」

 

「あぁ……すまない」

 

 サイレント・ウェイはそう言うと、雨で濡れた土に勢いよく指を突き刺した。『ザクッザクッ』と、わざとらしく音を立てながらそれを何度か繰り返す。

 すると、サイレント・ウェイが触れた土は震えながら、徐々に何かの形を作っていく。それは手のひらに乗る程のサイズの、昆虫とモグラが混ざったような不思議な形状。しかも、その土の塊は生きているかのようにモゾモゾと動くではないか。

 サイレント・ウェイはその謎の土の塊を3つ作り出すと、ハイエロファントを捕らえているワイヤーへ投げる。

 土がワイヤーに触れ、そのほんの数秒後……

 

 

『うぎゃあああああーーーーーーッ!!』

 

 

「!? よ、芳香ッ!?」

 

 どこからともなく、少女の絶叫が木霊する。

 そして、ハイエロファントを貫いていたフックは彼を解放し、カエルの中へとすばやく戻っていってしまった。ハイエロファントの目には、一瞬カエルから血のような物が飛び出してきたようにも見えていたが、ようやく自由を手に入れ、さほど気にしてはいない。

 ハイエロファントを解放され、芳香までどうにかされてしまった青娥立場は一気に逆転してしまった。『好奇心は猫を殺す』とは、よく言ったものだろう。

 

「あ、貴方……芳香に一体何をしたの!?」

 

「……さぁな。自分で考えればいい。だがその前に、俺と戦って能力を使っているところを見ないとな。お前の使う、()()()()()()()()()()()()()()俺。どちらが強いか比べてみるか?」

 

「……!」

 

「大陸の人間は生憎好きじゃあない。速さには自信がある。この『イン・ア・サイレント・ウェイ』が、お前の肉体を九つの部位に切り裂くだろう」




サイレント・ウェイは幻想郷に来てから、結構外の世界の情報を知ろうとしてそうなイメージ。中国=大陸というのはそういうことです。

to be continued⇒

あくまで参考までに、ということで。

  • 東方をよく知っている
  • ジョジョをよく知っている
  • 東方もジョジョもよく知っている
  • どちらもよく知らない
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