深夜廻 もう一つの物語   作:はるばーど

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あ、今更感がありますが、この物語は基本原作要素少な目でオリジナル要素のほうが濃いです。


といってもここまで読んでくれた人の大半はもう理解してるでしょうけどね(笑)


そうは思ってなかったよって人は新しい物語として、読んでいって下さいね。



それはともかく本編いきます。


夜更け
第四章 コトワリ神社


怒りの矛先は人間に向けろ。

 

 

 

 

暗闇の奥で彼がその言葉をいっていたのは記憶に新しい。

 

 

 

 

そして、それは自分も例外ではない。

 

 

 

 

私は環境が生み出した化け物だ。

 

 

 

 

この記録を読んでいる人がいるならば、貴方は何を言っているんだという気持ちに陥るでしょう。

 

 

 

 

しかし、現に彼のような憎悪の塊に犯されても最初からおかしくなかった。

 

 

 

 

そんな状況で私は育った。

 

 

 

 

支えてくれる人は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

彼らが私を悪の化身に変えた。

 

 

 

 

世の中というのは非常に理不尽に構成されている。

 

 

 

 

弱肉強食の理。

 

 

 

 

俗に言う大量殺人事件の犯人は大半が環境下が最悪な者か、考え方が元から下衆な者だ。

 

 

 

 

だけど、私にとってはどっちが死のうと知ったことじゃない。加害者も被害者も全て同類。関係ないとはいえ、罪がないとも言い切れない。

 

 

 

 

愚かな愚民どものせいで、私達の血筋は長い間苦しみ、痛め付けられてきた。

 

 

 

 

だが、私はチャンスを与えられた。この機会にもっと消す。もっともっと、消し去ってやる。

 

 

 

 

死者がどれだけ私のことを恨み、憎み、嫌おうとも構わない。

 

 

 

 

どっち道奴らは所詮、敗北者。死んでしまったということは即ち、人生という賭け(・・・・・・・)に負けたことに等しい。

 

 

 

 

正にこれこそ「死人に口なし」ということなのでしょう。貴様達にとやかく言われる筋合いはない。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「ハル、先に用事を済ませることが条件だと言っていたが、一体何処へ行こうというのだ?」

 

 

「神社。もうボロボロになっちゃってたけど、まだ神様があそこにはいるから。」

 

 

「??????。」

 

 

 

 

彼女は何を言っているんだ、と首をかしげるクレイ。その場所は我々やハルにとってはとても大切でとても印象深い所なのだが、初めて向かうクレイにとっては疑問しか残らない。

 

 

 

 

大切な用事だと言っていたから、 先に済ませようと意気込んでついてきたのに、目的地がまさかの神社だったとは。それに「神様」という単語が妙に引っ掛かる。

 

 

 

「神」などこの世にいるのか?あれは、概念的な象徴ではないのか?いや、私が関わってきた宗教は欧州で多く布教されているものだから、神社のそれとは勝手が違うのかもしれない。

 

 

 

 

あくまで別物と考えよう。それに今更、神がどうこう言っていられる状況でもないんだ。

暫く徒歩で進み続けると、絵馬と神社と思われる建築物が姿を表した。と言っても鳥居が我々から離れた場所に設置されていたため、裏側から侵入したことを私は悟った。

 

 

 

 

「しかし、随分と脆くなっているな………。」

 

 

 

 

長い間、水に浸かっていたかのように所々の木造が朽ちている。柱に触れてみただけですぐに分かった。それに辺りの平地が苔まみれで水分を吸収した土がぐちょぐちょと生々しい足音を立てる。

最近は雨が全く降っていない。ここだけ雨が降ったとも思えないし、何故濡れているのだろうか。まさか、ここがダムの底でもない限りそんなことはないはずだ。

 

 

 

石畳も常識ではないような構造をしている。式神や藁人形にも似た人形の形を模している。人がここで神様に生け贄にでもされて、両断するなんていう物騒なことをしていたのだろうか。

何にせよ、長い間放置されていた神社というのはろくなものではないのだろう。

 

 

 

私とハルはお賽銭箱の前にくるとそこで立ち止まった。ハルはここにお参りするためにここにきた、今まではそう考えていたが私の思惑は悉く打ち砕かれた。

 

 

 

 

「いっ!!?ハル!何だその真っ赤な鋏は!?」

 

 

 

 

ハルがポシエットから取り出した鋏は尋常なものではなかった。何しろ、血に濡れていて人殺しを繰り返したかのように紅に染まっていたからだ。そして、普通の鋏よりも遥かに大きい。ポシエットいっぱいに詰まっていたようで、取り出した際のポシエットはすかすかになっていた。

 

 

 

 

「これを神社に返しにきたの。」

 

 

 

 

そう言い残し、彼女は賽銭箱に10円を乱雑に投げ入れた。だが、反応が一切ない。まぁ、普通ならば当たり前な光景だが、この町では寧ろ何も起きないほうが珍しい。

 

 

 

ハルは再度、お賽銭を放り込んだ。今度も反応は一緒だった。何も起きない。静寂がただただ私達を包み込むだけ。

 

 

 

 

「なぁ…………。私が言えたことでもないのだが………。もう、この神社に神様は宿ってないんじゃないのか?」

 

 

「そんなわけないよ!必ずいる!だってまだ………約束を果たしてないんだよ!」

 

 

「ッ!す、すまない。」

 

 

 

 

いきなり怒鳴られてしまい、怯む私。普段なら不良相手でも身震い一つ見せないはずなのだが、彼女の覚悟というか信念の前には思わずたじろんでしまった。

 

 

 

 

(フッ、本当に面白い少女だ。見た目は幼いが私やそこらの不良よりもよっぽど肝が座っている。強い女だ。…………私にも彼女ほどの覚悟があればもっと早く、あの子を救えたのだろうか……。)

 

 

 

 

ハルに対する賞賛と己の反省点を振り返りながら、何か起きるまでの間、ぼんやりと絵馬を眺める。ざっくり解読してみた所、ここの神様は縁を断ち切る役割を担っているらしい。

 

 

 

願い事の内容が、悪縁を断ち切ってほしい、などと人との縁を切りたいというものが記されている。語尾には必ず感覚を開けて、「もういやだ。」と付け加えられていた。

 

 

 

 

一見、普通に祀られていた神社に見えるが、よく見ると随分と物騒な話題も書き記されている。「あいつとの縁が切れますように。」ここまでは良かった。だが、次からの文が常軌を逸していた。

 

 

 

 

「…………人というのは、実に哀れだな……。」

 

 

 

 

私は苦虫を潰したような表情を浮かべる。あえてここに記しておくのは止めにしよう。思い出しただけで吐き気がしそうだ。幾ら願い事とはいえ、限度というものがある。憎悪の塊だ。縁を断ち切るだけでなく、他人の不幸をも願うとは。腹立たしく、実に醜い。

 

 

 

私は初めて、彼女が日頃言っていたことをやっと理解した。こういうことを彼女は毎日考えていたのか、と。

 

 

 

「ようやく、お前に彼女の想いが通じたな。コトワリが犠牲になった甲斐があったってもんだ。」

 

 

「あぁ………そうだな……。……………ッ!!?誰だ貴様!?」

 

 

 

気付かなかった。金髪の男が横に何の音もなく忍び寄っていたものだから、つい驚いてしまった。ハルは気付いていないのか、無言でお賽銭箱の前で棒立ちしている。

 

 

 

(ハルはコイツが見えていないのか!?)

 

 

 

 

「やぁ、クレイ。会えて嬉しいよ。………ん、私が何者かって?ただのしがないオジサンだよ。そうカッカすんな。」

 

 

「そういう意味じゃない!貴様、一体何処から現れた!?何故、私の名を知っている!?答えろ!」

 

 

 

舐めた野郎だ。見た目は随分とふざけた風格なのにどことなく邪気が溢れ出ていて、異様な雰囲気を放っている。

実に不気味なヤツだ。もしかして、あの子はコイツに何かされたんじゃ……!?

 

 

 

「いちいち質問の多いヤツだな。まぁいい。教えてやるよ。まず、私はここにはいない。遠くから使ってお前の脳内に直接、語り掛けているんだ。分かるか?お前の考えてることが全部筒抜けってことだよ。」

 

 

「何だと!?」

 

 

「そ。だから、お前があの娘のことを考えていたことも全部お見通しってわけ。あ、でもだからって私はお前の敵ではないからな。ただ、少しからかいに来ただけだ。」

 

 

「なら今すぐ私の前から失せろ!あの子について何も出来ないお前に用はない!」

 

 

「おお、怖い怖い。どうやら予想以上に従妹に溺愛してるようだ。」

 

 

 

煽りを言い残し、彼は頭の中から姿を消した。

 

 

 

(何だったんだ………今のは…………。)

 

 

 

ただの徘徊者だと思いたかったが、私の推測通りならば、彼ら死者はきっと理性が正常に保てないのであろう。殺されたならば、尚更だ。凄まじい憎悪にみまわれて、周りが見えなくなって行く。

 

 

 

だが、今のヤツは頭がまともだっただけでなく、私を惑わそうとした。このような力を徘徊者が使えるとも思えないし、おそらく別のナニカ(・・・)であると考えるしかない。

いずれにせよ、今の男は何か目的があって動いている。これだけは断言できる。

 

 

 

「クレイさん?どうしたの?」

 

 

 

ハルが何事もなかったように、話し掛けてきたので、クレイは微妙な反応しか返せなかった。

 

 

 

「ん、ん?あ、あぁ、何でもない。少し考え事をしていてな………。」

 

 

「…………?」

 

 

 

ハルは何でもないなら、それでいいと思いたかったがそうもいかなかった。何故なら、彼女に余計な心配を掛けまいと、平気そうな顔を浮かべているクレイの瞳の奥深くに何か心に決めたときに宿る小さな炎が漲っていたからである。

 

 

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