最近マジで気温の変化がおかしい…………
そう思った人は多いでしょう。ですが、これらは怪異や化け物が起こしているわけじゃないのです。
そう、全て
本編いきます。
暗い………………
虚しい…………
身体中が痛い…………
ここはどこですか…………?
私は一体…………
早くここから出ないと…………
何か、何か…………大切な………
約束があった気がする…………
………………何も思い出せない
何で、何で、何で
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでナンでナンでナンでナンでなンデなンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ
もう、休んじゃってもいいのよ。
………………?どういうことですか………それは?
誰もいない。退屈な空間だが、それは自由に動ける証拠でもあるんだ。
……………自由
ここなら好きなことが幾らでもできるのよ。永遠に。死ぬ必要もない。
……………永遠…………死……。
…………どうした?あれだけ欲しがっていた自由がやっと手に入ったんだぞ?
そうやってただ、踞ってるだけでいいのか?
ほら、立って。一緒に行きましょ。
色々な声がなりやまない。頭にガンガン響く。苦しい、辛い、熱い、痛い。
あ、あぁ…………手が、私の手が………赤く、染まっていく………
今にも壊れてしまいそう。も、もう…………いや
もういやだ。
ジャキン
金属音が響いた瞬間だけ、赤いリボンを付けた女の子が見えた気がした。
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「さて、ハル。何が起こると思う?」
私達は未だ、神社から動いていなかった。いや、動けていなかったのほうが正しいか。
ハルが怪しげな鋏を祭壇(?)に対して捧げた後、さっさとこの場を離れたかったのだが、鋏を返してから神社に何か異様な空気が立ち込め始めた。
なので、離れようにも内から沸き上がってくる好奇心に勝てず、何かが起こるまで ここで待つことにした。
ハルが話してくれた内容によると、彼女はこの神様にあったことがあると言っていた。正直、本当にそんなものが存在しているかどうかは、甚だ疑わしいところだが、気になってしょうがない。何しろ、相手は「神」なのだ。確かめざるを得ないだろう。この状況では。
きっと、あの子だってそうする。確かめるに決まってる。
ハルは私の問い掛けには反応せず、じっくりと鋏の持ち主を待ち続ける。無視されても私は気にしなかった。何故ならば、未知との遭遇が体験できる絶好の機会かもしれないのだ。胸が高鳴るというもの。
すると、祭壇に立て掛けてあったはずの鋏が突如消え、すぐ近くに空間から裂け目が出現した。そして、瞬きも許してもらえないほどの速度であの巨大な鋏を持った化け物が現れたのだ。
「ッ!お前は………!?」
「…………コトワリさま。」
ハルがポツリとヤツの名前らしき単語を呟いた。コトワリさまか……。ふむ………縁を断ち切る神様だとしたら、少し予想していた姿と違っていたな。さっき、襲われたときにヤツは縁結びを断ち切るどころか
あのときは偶然にも居合わせたため、助かったが、それにしても姿と役割が一致していなくて分かりにくい存在だといえる。
だが、同じ化け物でも不思議なくらい心拍が落ち着いている。敵対心がないからと言われれば、そうなのだが、何故だろう。
しかし、こちらに敵対心がないからと言って、向こうにも敵対心がないとは言い切れない。コトワリさまは、裁ち鋏をジャキジャキ言わせて、戦闘態勢に入っている。
そして、容赦なく私達に向かって斬りかかってきた。
「ハル!」
私はハルを咄嗟に抱え、ヤツが攻撃してきた逆側に横転した。間一髪、回避することができた。一か八かの賭けだったが、上手くいった。
だが、コトワリさまは私達のほうに刃を向けてこなかった。寧ろ、さっき私とハルが立っていた方向に再び向き直っている。
(アイツ、何故私達に追撃をしないんだ?)
コトワリさまの目線(?)の先に視線を向けると、そこにはストラップが落ちていた。見覚えのあるストラップ。私はドキッとした。まさか。そう思い、ポケットに手を突っ込んで、入っていたはずの物を探す。しかし、案の定そこには入っていなかった。
急に冷や汗が滴る。あれだけは駄目だ。ヤツにやるわけにはいかない。何とか取り戻そうと躍起になるが、既に遅かった。
ジャキン
手を伸ばすことすら叶わず、今まで大事に扱っていたストラップを両断され、バラバラにされてしまった。コトワリさまは満足したのか、再び時空の狭間へと消えていった。
「クソッ!ヤツめ………!壊すだけ壊して逃げていっただと………!」
慌てて回収するも、やはり人形は無残な姿へと変貌していた。明らかに切断した回数は一回の筈なのに、手足が綺麗にもぎ取られていたのだ。壊されただけでなく、私に精神的苦痛を仕掛けてくるとは。とんだ神様だな。
「クレイさん…………。それ大切なものなの?」
「…………あぁ、そうだな……。これは従妹に貰ったものなんだ。『お前をたとえ見失っても、これだけは失くさない。安心しろ。』と絶対に手離さないと決めていたんだが、何一つ守れずに両方とも失ってしまったのでな……。フフ、滑稽な話だろう?笑いたきゃ笑え。私は構わない。」
「笑ったりしないよ。絶対に。」
「…………!フハハハッ………!お前は優しいな。しかし、そんなに私に同情しなくてもいいのだぞ?私達はついさっきまで他人だったんだ。そんなに感情を入れ込む必要は━━━━━
「私も持ってるの。大切な物。」
いつになくハルは真剣な表情になり、髪に結んであったリボンをほどいて、私に差し出した。
「お、おい…………これは……………。」
「私の友達
私はなんとくなく察してしまった。そうか、ハルはきっとこの町を去るんだ。表情からして、私を励まそうとしてくれてはいるのだが、どこか後ろめたいところが引っ掛かっていると見られる。
恐らく、友達は何らかの形で別れることになったのだろう。それで名残惜しくなって最後の思い出の為に生まれ育った町を廻る。でなければ、少女が一人で出歩いている説明がつかない。気持ちは分かる。私もそんな状況下に立たされれば同じ事を繰り返すだろう。
自慢じゃないが、私は人の動きや反応に敏感なのだ。そうでなければ、あの子がストレスで震えていたことに気付くことすらなかったであろう。まぁ、人の動きに敏感でも、結局大事な人は救えてないのだがな。
「そうか、ハル。お前も色々大変だったのだな。少し安心したよ。ここにも私の仲間がいたとはな。それで………その友達とは仲直りは出来たのか?」
「…………うん。会えなくなる前にお礼が言えて良かった。」
「さて、そろそろ動くとしようか。ストラップは後で修繕すればいいさ。」
手に握りしめたまま、歩きだそうとしてもハルはその場から動かずにじっとそのストラップを見詰めていた。
「ん?どうした、行かないのか?」
「何か挟まってる………?」
「本当か、ハル?」
ハルに言われた通り、ストラップをもう一度確認してみると、切られた隙間に確かに何か挟まっている。これは紙切れか………?何故、こんなところに挟まっているんだ。よく見ると、紙には殴り書きで何か書かれていた。
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助けて、姉さん。
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「クレイさん、これって………。」
「間違いない、あの子の文字だ。」
クソッ、何て事だ。従妹が必死のSOSを表しているのに、何でこんなところを彷徨いているんだ私は。一刻を争う事態だというのに、悠長に探索している場合じゃなかった。
私はその場から駆け出して、探索を開始しようとした。がハルに腕を掴まれてその衝動に刈られた気持ちは一気に落ち着いた。
「待ってよ、クレイさん!また置いて行かないでよ!それにその従妹さんいるところ分かるの!?」
「あっ……………全く考えていなかった………。」
「う~ん…………じゃあ、まずは図書館に行ってみようよ!もしかしたらその従妹さんがいるかもしれないし。」
「図書館だと?」
その場所を聞いた時は最初、何故そんな見当違いな所を探さねばならないのだ、と思ったが、確かに一理ある。この街の図書館は大きいほうではないが、古い書物などは数多く眠っていると町の人から聞いたことがあった。
あの子が行方不明になった原因が分かるかもしれない。そうなると探索方も変わってくる。
「フム、ならば一刻も早く向かおう。情報を仕入れることは確かに救出に繋がるかもしれん。」
「うん、じゃ行こう!………あ、そういえば、その従妹さんの名前を聞いてなかったけど何て名前なの?」
そうだ、探すべきの対象の情報を伝え忘れていた。丁度良い。この際に教えておこう。
「そうだな……彼女の名前は━━━━━━
ルキア。神谷 ルキアだ。