私はですね、自然とか生物が好きなので今回の冬は……
ちょっと長かった
茶番は置いといて本編いきます。
ここは…………どこでしょうか…………。
見渡す限り、辺りは多くの木が佇んでいます。
どうやらここは森のようです。
「うぐっ…………。頭が……………。」
頭痛が走り、つい頭を押さえる。ズキズキと痛み、頭が破裂しそうなくらい痛いです。それに記憶が曖昧になっていて混乱状態にも陥りそうです。
ええと、神社に潜む化け物を撃退して…………あれからどうなったのでしょうか。
どれくらいの時が過ぎたのかわからない。
……………!こともさんは…………!?
あの子は大丈夫なのでしょうか。
とにもかくにも、まずは情報が欲しいところです。状況が全く把握出来ていない。
すると、近くからガサガサと草むらが蠢き始めた。背筋が寒くなるのを感じる。
心臓もそれに合わせ、鼓動が加速する。
また真夜中に鬼ごっこをしようというのですか。
いいでしょう。
かかって来なさい、それほどまで私を殺せるものなら殺してみなさい。私は友を見つけるまで歩みを止める気はない。
いくら身体を引き裂かれようとも、切り刻まれようとも。
私はもう、目の前の事実から逃げたりしない。
そして、いつでも襲われても良いように身構えたその時、巨大な赤い裁ち鋏が大きく口を開いて私に襲い掛かってきた。
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神社から歩きだし早数分。私達は商店街付近にやって来た。ここまで来るのに随分と苦労した。何しろ水没した村をまるまる越えてきたのだ。
沼に足にとられるは、気味の悪い反吐がでそうな形をした徘徊者に追い掛けられるわ、おまけに配水管を通らされた。ヌメヌメしていて、生臭かったので、綺麗好きの私にとっては辛いものがあった。
中には鼠どもが大量にいたし、しわくちゃの老人みたいな地面を這う赤ん坊の徘徊者。それに腹部に人の顔を宿した巨大な沢蟹が徘徊しているのには驚かされた。
蟹の頭部があってその下に人の顔。某RPGゲームの四作品目に出てきそうな雰囲気だった。
そして何より驚きだったのが、地震が配水管の中でのみ発生していたのだ。
超自然現象、いわば徘徊者どもにはもう慣れたが、自然の災害だけは慣れることが出来ない。というか慣れてはいけない。
慣れてしまってはいざというときに困るからだ。理由は単純明快。命の信号を受け取れなくなってしまうからだ。咄嗟の判断力が鈍くなる。非常事にそれだけは不味い。
とまぁ、こんな感じで道中散々な目にあった。
そして、今はこの廃墟と化した商店街にいるわけだ。住んでいる住人は当然いない。この場にいる人間は私達だけだ。チャコもいるが、徘徊者に対抗出来るとも思えないのでノーカウントで。
「しかし、随分と遠い道のりだな………。」
この町を狭いなどと思っていたが、そんなことはなかった。それどころか、かなり広い。私が元々住んでいたところは都心部で交通手段といえば、いつも鉄道だった。
当然だがこの町に鉄道なんて便利なものはない。歩きだけで、こんなに探索をしたのは生まれて初めてだ。
悪態をつくようなことを口走ってきたが、悪いことばかりでもない。
地下水路では退屈な空間が続いていた。けれど水路を脱した後、普段見慣れている町が新鮮に見えた。
暗闇に包まれ、どこか悲しげな町。昼間とは一変した町。私はこんなところに住んでいたのかと改めて思い知った。
身の回りだけでこんなに面白いことが転がっているとなるとつくづく世界は広いと感じさせる。だがそれと同時にルキアはこんな憂鬱とした場所に取り残してきてしまったという罪悪感も彷彿としてくる。
ハルはそんな何処までも続く暗黒の街をものともせずにドンドン進んでいく。先程から辺りを見回す頻度が増しているため、おどおどした様子は感じられる。けれど何処か勇敢だ。誰かが彼女に取り付いているかのように。
目的地である図書館に私を案内してくれているその姿は何処と無くルキアに似ていた。
あの子は確かに臆病者だった。いつも何かに怯えていた。他人が通りかかる度に、いつも私と弟の背後に回って隠れようとしていた。それほどの小心者。
しかし小心者には小心者なり意地がある。彼らの警戒心は人一倍強く、危機を察知しやすい。いち早くに対策を練ることができる。影に潜むことに徹することで生きている。ルキアにもそういうところがあって、現に何回か弟を含め、助けて貰ったことがある。
我々のような安定した性格を持ったものには分からない感覚だ。
故に何かしらの覚悟が決まったとき、より強く成長できる。
この暗闇を歩くのに、最も適した力だ。臆病でもなければ、一瞬にして呪い殺されてしまうだろう。抵抗できないものに抵抗しようと試みても無駄だということを彼女は教えてくれる。
「…………図書館ってこんなに遠くにあったか?」
しまった。つい弱音を吐いてしまった。
あまりにも長い道のりで自宅の付近も越えてきたのに一向に到着する気配がないため、私の気持ちが限界を迎えていた。
「この町の端っこにあるから。ほら、見て。」
そういうと彼女はスカートのポケットから丁重に折り畳まれた用紙を取り出し、私に見せてくれた。
それは地図だった。いかにも子供っぽいクレヨンの手書きでこの街の地図が描かれていた。正直、高校生の私としては見辛いものがあったが、道のりはかなり的確だった。
重要場所にはしっかりと付箋で記されているし、何より今いる細かい道まで記されているのだ。私には到底真似できない。地図を今すぐ書けと言われても、きっと乱雑になってしまう。
「そ、そんなに私の地図が気になる?」
またまたやってしまった。気が付くと私は、凄く真剣な形相でただの地図を睨み付けていた。
はっとなって私は手を上げたまま、慌てて後退する。
「す、すまん!い、いやほら!良く書けているなと思ってだな!」
「……………?あ、それより見て!図書館に着いたよ!」
ハルが指を指しながらそう発言していたので、刺された方に目をやると、確かにそこには図書館がこじんまりと佇んでいた。
あまりにも町の外れにあるので、その姿は何処と無く寂しそうにみえる。
しかし問題はここからだ。現在、夜の8時過ぎ。当然ながら図書館が開放されている訳もなく、南京錠が掛けられた巨大な扉が私達の前に立ち塞がっている。開けてくれる気配は一切ない。
かといって南京錠をペンチやバールで叩き壊す訳にもいかない。それは不法侵入と器物破損罪になってしまうし、これは困った。
私は顎に手をあてながら、思考に耽る。すると、ハルが扉の近くから錆びた脚立を持って、それを小窓の側に立て掛けた。
「はい、これで入れるよ」
「悪いな、ハル。………不法侵入になってしまうが致し方ない。早めに調べてさっさと立ち去るとしよう」
脚立を上がり、小窓からよじ登って侵入すると、意外にも明るい光景が広がっていた。明るいといってもたかが知れているが、電話機や非常用のために付けっぱなしになっている電気スタンドなどのおかげで懐中電灯いらずだ。
「で、何を調べるの?クレイお姉さん」
「そうだな………この町で起こる怪奇現象について調査したい。聞いた話だと従妹の母親はどうやら
「
「あぁ、率直に言えばそうだな。よし、行くぞ」
真っ暗闇の雰囲気に包まれた図書館を進む私達。歴史などに関係している資料は恐らく、この階にある。あの家系の努めとなる話は割と有名な作品だ。密かに映画かなんかに取り上げられて、上映されていたりしたこともあった。確か
「売り上げは雀の涙ほどだったか…………フッ」
「ん、どうしたの?」
「あぁ、悪い。一人言だ、気にするな。」
という訳でその映画に取り上げられた切っ掛けになった題材が確か絵本だったはず。子供の本が分類されている棚にないだろうか。
途中には、徘徊者らしき思念体はちらほらと見掛けた。奴らはずっと棚の方を見て俯いており、こちらに見向きもしない。
だが、少し大きな音を鳴らしたときに、少しだけ此方をギョロりとした一つ目で睨み付けていた。
やはり図書館ということで、大きな音を立てない限り、こちらに興味を示すことはない。静かに読書でもしていたいのだろうか。
だが奴らの蜘蛛のように尖った手腕では、本どころかまともに物を取ることもかなわないだろうに。一体どのような思いをして逝ってしまったのだろう。
徘徊者のことを考えるのはやめておこう。考えれば考えるほど矛盾している箇所が数多の数浮かんでくる。
そんな彼らに注意を向けつつ、図書館を回っていると、無造作に本が散りばめられている場所にたどり着いた。
山積みになった本は全て昔話だった。あらゆる有名どころの童話が題名に刻み込まれている。私はそれらを音を立てないように漁り、目的の本を探し始めた。
その中には摩訶不思議な物語もあった。例えばこの「泣く石」。とある男が泣いている大きな石を一生懸命運んでいる絵が描かれている。一見すると意味が分からないが、このような話は一般には出回っていないので、興味深い。そして、何より発想が面白い。
そんな面白そうな本をチラ見しながら、本を漁っているとまた面白そうな物を見つけた。『小さな小さな
私とハルは興味本位でその本を覗いてみた。
何故かは分からない。ただ、単純な好奇心が私達を引き付けたのだ。
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むかし、むかしあるところに
1ぴきの元気なトカゲさんがいました
そのトカゲは森に住んでいました
トカゲさんは森が大好きでした
小鳥さんがさえずり、お花は咲き乱れ
近くにはキレイな水場もあります
とても幸せに暮らしていました
しかし、あるとき
突然森が焼かれてしまいました
一つのひかりが天から落ちてきたのです
そのひかりはたった1秒ほどで
森の全てを焼きつくしました。