やっちまったなと思ってる。
「何でそんな小汚い銃持って帰ってくるんだよ!鬼が持ってたんだぞ!?」
「うるせえ!俺がどうしようが勝手だろうが!!」
その日、とある任務を終えた二人-我妻善逸と不死川玄弥-が言い争いながら、屋敷に戻ってきた。
玄弥はある鬼が所持していた小銃がふと気になり、肩に担いで持って帰ってきた。善逸はそれに難色を示しているのだ。
だがそこで、夜分遅くにも関わらず門の前にいる荷馬車がおり、そこに老人が乗っていることに気づいた。
そして善逸は、そのどこかしらの頭のネジが外れたように見える老人を、何かで見た気がしたのだが、中々思い出せなかった。
「おい、おっさん。あんた誰よ。こんな夜中に、そこで何してんだ?」
「私が何者かとかな!!私は、君が肩に担いでいる小銃を作った、有坂という者だ!!!とあッ!!」
その老人は耳が遠いのか、やたら大声だったが、その「アリサカ」という名前に、数日前に目にした新聞の内容思い出し、善逸はその正体に気付いた。
(アリサカ…銃…まさか、あの天才的銃器開発者、陸軍中将の有坂成蔵!?なんでここに!?)
「へー、おっさんこの銃作ったのか。じゃあちょっと聞きてえ事があんだけどッ!?」
「このおバカ!!」
この老人が、鬼が持っていた銃を作った人間と聞いた玄弥は掴みかかろうとしたが、善逸は先に思いっきり玄弥の頭をぶん殴った。
「何すんだテメエ!?」
「お前この人知らねえでそんなこと言ってんの!?バカなの!?頭に団子しか入ってないの!?猪之助以下なの!?」
「ああんっ!?なんだとテメエ!!」
「いいか、この人は陸軍のお偉いさんなの!!その銃の開発者で、あの二十八糎榴弾砲も作った凄い人なんだよ!!なんで知らないの!!」
「知るかボケ!!」
「ごめんね!!ちょっといいかな!!!!」
二人の怒号よりさらにでかい声で、有坂は尋ねた。
「あ、すいません!」
「気にしなくていいよ!私人間には興味ないから!!」
「そういうわけには。あ、僕は我妻善逸という者で…」
「えッ!?なぁにぃ!!?」
「いえ、ですから僕は我妻善逸と…」
「えッ!?なんだって!?全っ然聞こえんよッ!!いや、参るね!!まったく!!!」
(…ぶち殺してやろうかこの爺!!)
度重なるその問答に善逸は、有坂からは見えない体勢から、人には見せられない表情を浮かべていた。
「おっさん!!こんな夜中に、ここでなにしてんだ!!」
「おい玄弥!!」
「うん!!なんか最近陸軍の方から、兵士達の不審死が多くなったらしくてね!!海軍の連中も、軒並み軍艦から降りなくなっちまって、経済が回んなくなってきとるらしい!!それでどうにかならないかとの要請があったんだ!!聞けば、なんか鬼とか化け物みたいなやつに襲われたとか、いろんな情報が入ってきてね!!」
「おっさん、頼むから、ちょっとその話はシーッでお願いな!!」
「どうしようか考えてたときに、鬼殺隊とかいう者達の噂話を聞いてね!ちょっと会いに来たんだ!!」
「有坂のおっさん!だから静かにッ!!シ~~~~だって!!ほらもう夜だし!!」
「まぁそんな訳で、そんな化け物にどう対抗するか話を聞こうと思ってね!ついでに最新式の国産銃器を持ってきた!!部下の南部君が設計した、三八式機関銃と、三八式歩兵銃だ!!」
荷馬車の上のカバーを外し、その載せていたものを見せたとき、二人は思わず息を呑んだ。
彼らが使う刀等とは違い、美しさは微塵も感じられず、まさに「兵器」としてのそれが鎮座していた。
「それでね!!どう対抗すべきか話を聞きに来たんだがね!!代表者はおられるかね!!?」
「いや、残念だが今はちょっと会える状況ではないんだ!!爺さん、悪いな!!」
「あ、そうなの!!いや残念!!」
「有坂閣下!!ちょっとお願いがあるんですが!!」
「む、一体何かね?!」
「実は自分の仲間の妹が、ちょっと災難にあいまして!!口枷が外せない状況なんです!!」
「そうなのかね!」
「ええ!それでそいつがひどく落ち込んでいまして!ですので、無理を承知でお願いしたいのです!!一肌脱いでいただけませんか!!」
「うん!いいよ!!じゃあ私はひとまず帰るよ!!あと、これらは置いとくから!!」
そう言って有坂は、荷台の武器を置くとさっさと帰ってしまった。
「おい、いいのかよ。鬼殺隊に関係ない人間にあんなこと言って」
「どっちにしろ、あの人が動いてる時点で色々マズイだろ。なんたって、軍が動く事態にまでなってきてんだから」
そして数日が立ち、竈門炭治郎はまたもや無茶をしてしまい、病室に寝ていた。そこに善逸がやってきた。
「炭治郎、お前に素敵なお客さんがお見えだ!」
「え、客?誰?」
「どうぞ、お入りください!!」
「やあ!!キミが竈門炭治郎くんだね!?」
「ど、どなたですか!?」
「キミの妹さんに、素敵な贈り物を持ってきたよ!!」
「贈り物?なんですか!?」
「気に入ってくれるとうれしいんだが!!」
そういって包みを開けると、それは口枷であった。しかしそれは、禰豆子が使っているものとは違い、金属製であった。
「これは…口枷、ですか?」
「そうだ!!そしてこれは、ただの口枷ではない!!」
そう言った瞬間、口枷の前がいきなり開き、病室に銃声が響いた。
「おわあッ!!」
たまたま病室の前を歩いていた寺内きよは、いきなり貫通したドアの前で腰が抜けてしまった。
「急ごしらえで作ったものだけどね!!散弾が2発入る!!小銃の実包だったら、もうちょっと装弾数が多くなっただろうが、仕込み銃なのでどのみち不意打ちの接近戦以外では使えないだろう!!近距離で確実に相手の動きを止めるなら、散弾のほうが有効だ!!はい、どうぞ!!」
「あ、ありがとう、ございます…」
「あんた達、一体何してるのーッ!!」
「炭治郎くん!今の銃声は!」
「おい大丈夫か!!」
銃声を聞いた者たちの多くが、慌てて炭治郎のいる病室になだれ込んだ。それを見て有坂は大声で爆笑し、善逸は至近距離で銃声を聞いて気絶するという、とてつもないカオスな状況が病室に広がっていた。
素敵な口枷をもらえてよかったネ!炭治郎!!