雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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早くも第10話に突入。
日に日にUA、お気に入り登録も増え、評価・感想もいただけるようになって参りました。

今後もよろしくお願い致します。


それと今回、少しネタ要素濃いめです。


第10話 オタッキー・トリッキー・サッカー

 

「・・・すまん」

 

 そう言って松葉杖を片手に、脚を包帯で巻かれた豪炎寺はタクシーに乗り込む。

 先日の御影専農との試合で下鶴との空中戦を繰り広げた結果、体勢を崩したまま落下したせいで脚を痛めてしまったようだ。

 つまり、次に控える準決勝は豪炎寺抜きで勝ち抜かなければならない。

 

 

「気にすんなって!!準決勝は俺達に任せとけって!!」

「そうだぜ。安心しろ、お前が不在の分俺と染岡で暴れてやるから。な?」

「そうだぜ豪炎寺、任せろ!」

 

 

 それを聞いて豪炎寺は、どことなく安心したような笑みを浮かべてタクシーで去っていく。

 

 

「せっかく、凄いシュートを編み出したのにな。」

「イナズマ1号、だろ?」

 

 

 そんな名前だったのか。

 守曰く、お爺さんのノートに全く同じ内容のシュートが記されていたらしい。FWとGKの連携シュート。

 全く同じことを考えていた、と守は嬉しそうだ。

 

 全体の雰囲気は何となくだが、豪炎寺が欠けたことにより落ち込み気味だ。

 

 

「豪炎寺がいなくたって、お前達なら大丈夫だろ?いざとなったら、俺も出るしな。」

「土門の言う通りだ。豪炎寺抜きでも、必ず準決勝勝つぞ。さ、練習だ!」

 

 

 豪炎寺が抜けたことにより、連携を見直す必要があるしな。

 何時までもこうしてはいられないさ。

 

 

 

 

 

「準々決勝の尾刈斗中対秋葉名戸学園。この戦いに勝った方が、次の準決勝で私達と戦うことになるわ。」

「アイツらかあ・・・催眠術抜きにしたらそこまでって感じだったがな。」

「それがね、猛特訓で大分戦力を強化したらしいわよ。」

 

 

 どよめきが走る。

 あの呪いのサッカーが強くなったのか・・・術の強度が上がったのか、はたまた単純なサッカーの技術が強くなったのか。

 前者だったら厄介だな、と思いつつ秋の話を聞く。

 

 

「それで、秋葉名戸学園っていうのはどんなチームなの?」

 

 

 夏未が秋に訊ねる。

 秋が手にしている音無のノートによると、学力優秀だが少々マニアックな選手が集まった学校。フットボールフロンティア出場校中、最弱の呼び声が高いチーム・・・だそうだ。

 頭は良いけど最弱、ねえ・・・頭脳サッカー主体だけどフィジカルが追いついていないとか、そんなんだろうか?

 それでも1回戦は勝っているから尾刈斗とやってる訳で。

 

 そんなことを考えていると、秋の顔が急に赤くなり、素っ頓狂な声を上げる。

 

 

「どうした?」

「尾刈斗中との試合前にメイド喫茶に入り浸っていた・・・ですって。」

「メイド喫茶ですと!?」

「・・・目金?」

 

 

 久々に口を開いたと思ったら、そんな所に反応するな目金よ。

 しかし、メイド喫茶ね・・・あれだろ?お帰りなさいませーご主人様ー的な感じの。

 面白そうだし1回位行ってみたい気もするが、周りの目線痛そうだし、単純にこの時期に行こうとは思えない。

 その情報を聞いて、一部は「次は尾刈斗」と確信を持ったようだが、さてどうなるかね。

 

 

「大変です!!」

「どうした音無、そんな焦って。」

 

 

 部室の外から息を切らしながら音無が走って来る。大分焦り、驚きの色が強い。

 

 

「今、準々決勝の結果がネットにアップされたんですけど・・・1-0で、秋葉名戸が準決勝進出だそうです!」

「─尾刈斗が、負けた!?」

 

 

 これはなんというサプライズだろうか。

 強くなったらしい尾刈斗を下して勝ち進んでくるとは・・・秋葉名戸。

 ヤツらの催眠術にどう対応したんだ・・・?ルールに違反している訳でもないからやめるなんてことは無いだろうし。

 

 

「これは行って見るしかないようですね・・・メイド喫茶に。」

 

 

 やけに凛々しい表情で目金が立ち上がる。

 ・・・お前、自分が行きたいだけなのでは?

 目金は尾刈斗に勝った理由はメイド喫茶にある、と豪語する。

 俺達は秋葉名戸のことを何も知らない、これは情報収集といかにも真っ当な理由を述べる。が。

 

 

「目金・・・お前ニヤケてんぞ。」

「はて、なんの事やら・・・」

 

 

 最終的に、目金に丸め込まれた守が行くことを決意する。

 普段そういうのに縁がない皆は顔が赤くなっている。思春期だねえ・・・

 え?俺?俺はそんなんでもないぞ。

 結構ネットサーフィンとかするし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ!ご主人様!」

 

 

 派手な装飾のドアが開くと、中からメイド服に包んだ女の子が出てきて出迎えてくれる。

 すげえ、本当に言ったよお帰りなさいませ。

 

 

「13名様ですか?こちらにどうぞ!」

 

 

 導かれるがままに店内へ足を踏み入れる。

 店内も外装と同じような派手さで、見るからにオタク、と呼ばれるような人達が屯していた。

 ・・・初めて生で見た、デフォでハチマキ巻いてる人。バンダナ巻いてるやつなら隣にいるけど。

 

 

「ご注文はお決まりですか?」

「え。あの・・・」

 

 

 独特なメニューを前に、みんな固まっている。

 しょうがない、ここは俺が・・・

 

 

「では・・・パチパチろとみゅのジンジャーエールと、天使と女神のふわとろパンケーキをお願いします。パンケーキにはこのあまあまハチミツ増量で。」

「かしこまりました!ご主人様!」

「加賀美君・・・メイド喫茶に来た経験はあるんですか?」

「いや、これが初めてだ。興味はあったがな。」

「初めてでその・・・素晴らしい、合格ですよ我が同士。」

「お、おう。」

 

 

 目金が壊れた。まあ元々か。

 他の皆はおどおどしながら何とか注文を終える。

 少しすると、注文の品が運ばれてくる。

 

 

「それではご主人様!最後の仕上げを私と一緒にお願いします!」

「仕上げ?」

「はい!私に続いて・・・美味しくなぁれ♡もえもえきゅん♡とお願いします!」

「なるほど・・・では、せーの・・・」

 

「「美味しくなぁれ♡もえもえきゅん♡」」

「「か、加賀美ィィィ!?」」

 

 

 郷に入っては郷に従え。この郷のしきたりに触れることが出来て俺は満足だ。

 予測出来ている事態には対応出来るのでね・・・

 

 さて、おまじないをかけたパンケーキを口に運ぶ。

 ふわとろ、の名に恥じない柔らかさ。ハチミツの甘さも丁度いい。口の中に残った甘さは次に備え、このジンジャーエールで流す・・・うむ、良い。

 

 

「キミ達、なかなか見所があるね。」

「ん?貴方は?」

「キミ達に見せたいものがある・・・それを食べ終えたら着いてきたまえ。」

 

 

 緑髪の大柄な男が話しかけてくる。

 制服を着ている・・・ということは学生だろう。おそらく中学生・・・のはず。

 パンケーキを食べ終え、会計を済ませるとその男に案内されて同じ建物の地下に連れられる。

 さて、何を見せるつもりだろうか。

 

 

「着いたよ、入ってくれたまえ。」

「ここは──」

 

 

 その階には、机や棚が拡がっていた。

 おい待て、あれは───

 

 

「バンプレのみで販売された仮面騎士イチゼロのアークベルト・・・!?」

「・・・君、知っているのか?」

「ああ・・・確か受注開始から1分で売り切れたんだよな。俺は二次受注も逃したからこうして実物を見るのは初めてだ・・・」

 

 

 こんな代物に触れられる日が来るとは・・・

 暫くの間そこにあった様々は物を見て回る。俺が知っている物もあれば、初めて見るような物もあった。

 思わずここに連れてきてくれた2人・・・目金が愛してやまない漫画の作者である2人と友情を交わしそうになったその時、守が間に入ってきて俺達はサッカーの試合があるから、と止めてくれた。

 危ない、忘れるところだった・・・

 

 

「キミ達もサッカーをやっているのかい?ボク達も結構大きな大会に出ていてね・・・えっと、何だっけ。」

「フットボールなんとか。だっけか。」

 

 

 まさか・・・フットボールフロンティア?

 メイド喫茶に入り浸っている・・・待て、まさか。

 

 

「もしかして君達は・・・秋葉名戸学園のサッカー部?」

「ん?ああ、そうだよ。僕たちのことだよ。」

 

 

 地下に驚きが木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何してんだ!ちゃんとトラップしろ!」

「す、すみません!!」

「皆気が緩んでるな。」

「1番羽目を外していたお前は気緩んでないんだよな・・・不思議だ。」

 

 

 横から風丸にそう言われるが涼しい顔で流してやる。涼しい顔になっているかは知らんが。

 先程あった彼ら、秋葉名戸が本当に次戦うチームと思うと油断してしまうのだろう。

 打ち解けた俺から見ても、彼らはそこまで強いチームには思えない。ああして趣味に没頭していたしな。

 

 

「染岡。」

「何だよ?」

 

 

 集中出来てないヤツらにイライラを募らせていた染岡に話し掛ける。

 

 

「今回豪炎寺はいない。次は俺達2人で点を取りに行く必要がある・・・だが、御影専農程とはいかないが次の相手も俺達の対策をしてくるかもしれない。そこで、だ────」

「────おお、いいなそれ!やってやろうぜ!」

 

 

 乗り気なようだ。

 俺としては初の試みだからな、少し楽しみでもある。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『フットボールフロンティア地区予選準決勝!雷門中と秋葉名戸学園の試合は間もなく始まります!』

 

「・・・これを、着ろと?」

「我が校における試合では、マネージャーは全員メイド服着用という決まりになっております!」

 

 

 といって、秋葉名戸のマネージャー・・・この前のメイドさんじゃないか。が、こちらのマネージャー陣にメイド服を手渡す。

 夏未は激しく取り乱し、猛抗議。

 が、押し切られて結局メイド服を着ることになった。

 

 

「ど、どうして私がこんな格好を・・・」

「「いぇーい!」」

 

 

 夏未とは反対に、秋と音無は結構乗り気である。

 秋葉名戸の選手が3人の周りをグルグルと囲んでいる。

 写真を撮られている間、夏未の顔は死んでいた。人ってあんな顔出来るんだな。

 

 

「加賀美先輩!どうです?このメイド服!」

「良いじゃないか、可愛いぞ。秋も夏未も。」

 

 

 と褒めると、少し音無は何かに気付いたような顔をする。

 え、俺なんか変なこと言ったか?

 

 

「加賀美先輩って、マネージャーの中で私だけ苗字呼びですよねぇ・・・」

「確かに言われてみればそうだな。」

「そうですよねえ・・・何でですかねえ・・・?」

 

 

 何処と無く不穏な物を感じ取る。

 まさか怒ってる?1人だけ呼び方が違うことに、怒っているとでも言うのか?

 

 

「・・・じゃあ、これからは春奈と呼ばせてもらおうかな。」

「はい!是非そうしてください!」

 

 

 名前で呼ぶ、と言ったら不穏な物が霧散する。

 何だったんだ・・・まあ、機嫌を直してくれたならそれでいいが。

 

 

「今回の豪炎寺の枠は・・・」

「俺かな?」

「いいえ、ここは切り札の出番でしょう。メイド喫茶に行ったおかげで彼らのサッカーが理解出来ました。僕が必ず勝利に導いて見せましょう!」

 

 

 豪炎寺本人の推薦、土門の了承もあって豪炎寺の代わりは目金に決まった。

 本人はやる気に満ちているし、俺もいいと思う。

 

 というわけで今回の控えは豪炎寺、土門、そして御影専農との試合での負傷を少し引き摺っているマックスだ。

 目金をFWに据えることに疑問を口にした奴もいたが、守の一言で何も言わなくなる。流石キャプテン。

 

 

 

 

 

「良し、一発噛ましてやろうぜ、染岡!目金!」

「おう!」

「勿論です!」

 

『さあフットボールフロンティア準決勝!!試合開始です!!』

 

 

 俺達のキックオフからスタート。染岡にボールを任せ、2人で攻め上がる。目金も後ろから追いかけてくる。

 

 

「ここは通さないぞ!!魔王め!!」

「あぁん!?」

「貰った!!」

 

 

 染岡を魔王と称して立ち塞がる相手選手。

 確かに染岡は厳つい顔をしているが、魔王と言うよりはヤがつく者だろう。

 おかしな相手ペースに呑まれ、染岡はボールを奪われてしまう。

 

 

「しまった!?」

「ドンマイ染岡、すぐ取り返すぞ。」

 

 

 ボールを奪いにかかるも、やけに素早いパス回しで躱されてしまう。しかもヤツら、一向に攻めに転じない。

 変なテンションでこちらのペースを崩し、ひたすらにボールを回している。

 以前の御影専農と違い、1点リードしている訳でもないからな・・・

 単純に攻め方が分からないだけか?

 

 

「この前ぶりだな、我が同士よ!」

「その節はどうも!」

 

 

 仮面騎士のベルトを俺に触らせてくれた4番と一対一。

 他にパスを出そうとしたのだろうが、全員マークにつかれている。よし、これなら・・・

 

 

「お前を止められるのはただ一人、俺だ!!」

「それ、ボールを奪う側のセリフじゃないか!?」

 

 

 思わずツッコミを入れてしまう。

 すると、1人マークから外れて飛び出してくる。ソイツにボールをパスし、再びボールは相手を転々とする。

 このままじゃ前半が───

 

 

『ここで前半終了のホイッスル!!得点は0-0のまま!!』

 

 

 ───本当に何もしないまま前半が終わった。

 何だろうな・・・やる気がない訳ではないようだが。

 

 

「まるで攻めてこないですね・・・この僕にも予想外でしたよ。」

「お前、アイツらのサッカー理解出来たんじゃないのかよ?」

 

 

 ベンチでハーフタイム中に作戦会議だ。

 相手の妙なノリに調子を狂わされ、ボールが取れないことを嘆くメンバー達。

 

 

「得体がしれない・・・」

「・・・お前もな!」

 

 

 尾刈斗の時といい、影野のツッコミってなんでこんなに自分に返ってくるような物ばかりなのだろうか。面白いからそれはそれでいいが。

 このハーフタイム中にも、ヤツらはゲーム機片手に勤しんでいる。

 

 

「とにかく、ボールを奪ってチャンスを作るんだ!!」

 

 

 ハーフタイムが終わり、後半開始のホイッスルが響く。

 

 

「よし、行くぞ!!」

「何!?」

 

 

 相手からのキックオフ。

 すると、前半が嘘のように攻め込んでくるではないか。動きがまるで違う!

 ・・・前半は力を温存していたというわけか。

 が、攻めてくれるならこちらとしてもやりやすい。

 風丸がボールを奪いにかかる。

 

 

「変身!フェイクボール!!」

 

 

 4番が半田とすれ違う。

 半田は何も気付かずそのまま走り続けるが・・・

 

 

「って、あれぇ!?」

 

 

 半田がボールと思って蹴っていたのはなんとスイカだった。

 なるほど、だからフェイクボールって訳だ。

 4番が一気に駆け上がり、ゴール前の6番にパス。

 6番は10番の脚を掴み、持ち上げる。10番は面白い程にピンとしたおり、バットのように持たれている。

 

 

「ど根性バットォ!!」

「何ッ!?」

 

 

 10番をボールに叩き付け、ゴールを狙う。

 全く予想出来ず、固まっていた守はゴールを許す。

 

 

『決まったァァァァ!?後半開始直後、秋葉名戸が先制点をもぎ取ったァァァ!!』

 

 

 こんなシュートを隠してやがったのか・・・!

 ボールはこちらからキックオフ。

 

 

「あんな奴らに先制点を許すとはな・・・!」

「気にするな・・・俺達で取り返す!」

 

 

 染岡にパスを出し、2人で攻め上がる。

 それに対し秋葉名戸、全員でディフェンスの構えだ。

 が、染岡は襲い掛かる数多のディフェンスを避け切り、ゴール前まで。

 

 

「加賀美!まずは俺が1点取る!」

「ああ、任せた!」

 

 

 染岡が単身ゴールを見据える。俺たちの奥の手はまだ温存というわけだな。

 その時、秋葉名戸DF陣は砂煙を発生させる。

 

 

「五里霧中!!」

「こんな目眩しで俺のシュートが止められると思ったか!喰らえ、ドラゴンクラァァァッシュ!!」

 

 

 染岡のドラゴンクラッシュが砂塵の中に突っ込む。

 砂塵が晴れる頃、ボールはゴールの後ろに転がってきた。

 妙だな、確かにゴールの真ん中を捉えていたはず。それが後ろに・・・バレーのアンダーハンドの要領で空に弾いたのか?

 

 その後もこちらのシュートは尽く決まらない。

 次第に焦りが募っていく。

 

 

「どうなっている・・・?」

 

 

 ここで負ける訳にはいかない、何としてでも点を返さなければならない。

 だが幾ら撃ってもゴールネットを揺らすことは無い。

 

 不安、焦燥に駆られるように染岡が無我夢中にシュートを放つ。

 が、またボールは枠の外。

 

 

「何故、あの砂煙に包まれるとシュートが逸れる・・・」

「──まさか!?」

 

 

 目金が声を上げる。

 

 

「目金!何か気づいたか!?」

「ええ!!僕に任せてください!」

 

 

 そう言うと、目金は砂煙の中に突撃していく。

 染岡が雄叫びと共にシュートを放とうとしたその時。

 

 

「シュートを撃ってはいけません!!」

「この、離せ!!」

 

 

 砂塵が晴れた時、そこにあったのはゴールを押している秋葉名戸の姿。

 ・・・なるほどな。砂塵を発生させ姿を隠し、その隙にゴールの位置を変える。

 ゴールをずらしたから、シュートが決まらなかったわけだ。

 

 半田のスローインから試合再開、そこで目金がボールを渡すように要求する。

 並々ならぬ目金の熱意に押され、半田は目金へとボールを投げる。

 目金は自分の前に立ち塞がる選手達を、言葉で退ける。

 オタクを説き伏せるオタク。

 なんと目金はゴール前まで上がってきた。

 ゴールをさせまいと砂煙を起こすDF陣。

 

 

「まだこんな事を続けるつもりですか!!」

「これが・・・オタクの必殺技だ!!」

「キミ達など・・・オタクではありません!オタクとは、1つの世界を真摯に、真っ直ぐに極めた者!ゲームのルールを破ってまで勝とうとする貴方達に、オタクを名乗る資格などありません!!」

 

 

 その一言に砂煙を起こすのを辞める秋葉名戸。

 GKは1人でゴールをずらそうとする。隠そうともしやがらない。

 

 

「加賀美君!染岡君!()()()()()()()!!僕に考えがあります!!」

「目金・・・」

「分かった!!頼むぞ!!・・・行くぞ染岡ァァ!!」

 

 

 染岡がドラゴンクラッシュを放つ。

 獰猛な蒼い龍は襲い掛かる・・・離れて待ち構える()()

 すれ違いざま、雷を帯びた右脚でドラゴンクラッシュに轟一閃を上乗せする。

 これが、俺達の連携シュート!!

 

 

「「雷龍一閃(らいりゅういっせん)!!」」

 

 

 雷と共に龍が雄叫びを上げながらゴールへ迫る。

 

 

「ゴールずらし!!」

 

 

 腹でゴールを押し、ずらしてしまうキーパー。このまま行けば、俺達の新必殺技はラインの外へ。

 その時だった。目金が身を呈してシュートの軌道を調整する。ずらされたゴールにずらされたシュートが襲い掛かる。

 

 

『ゴォォォォル!!目金が加賀美と染岡の新必殺シュートの軌道を変え、雷門中同点!!土壇場で追いつきました!!』

 

「目金!!大丈夫か!?」

「これぞ、メガネクラッシュ・・・」

 

 

 技名じゃなくて本当にメガネがクラッシュしてんだよ!

 そのままベンチに下がり、土門と交代する目金。

 あいつの想い、無駄に出来ないな。

 

 

「どうして、どうして君はそんな姿になってまで・・・」

「目を覚まして欲しかったのですよ、同じオタクとして・・・」

 

 

 寄ってきた秋葉名戸の選手達にそう言葉を返す目金。

 彼らは目が覚めた、と言ってフィールドに戻っていく。

 

 

「目金が身体を張って同点にしてくれたんだ!!皆、絶対に逆転するぞ!!」

「おお!!!」

 

 

 あと1点をもぎ取るために、互いがボールを必死に追いかける。

 激しいパス回しを土門が遮り、前線へ送ったボールを俺は空中で受け取る。

 

 

「染岡!行け!!」

「染岡君!ドラゴンクラッシュです!!」

「おう任せろ!!ドラゴンクラァァァッシュッッ!!」

 

 

 空中から染岡へパス。染岡はダイレクトでドラゴンクラッシュをゴールに叩き込む。

 キーパーごとボールはゴールネットに突き刺さり、俺たちの得点に。

 

 

『ここでホイッスル!!試合終了直前、パスを受けた染岡がシュートを決め雷門中逆転!!決勝戦進出だァァァ!!』

 

 

 俺達の勝ち・・・決勝へ駒を進めた、つまり。

 

 

「次は帝国・・・!!」

 

 

 因縁の相手へリベンジする機会がやってきた。

 喜びで身体が震えてきた・・・

 

 終了後、目金と秋葉名戸の間には奇妙な友情が生まれていた。

 戦った後に仲良くなるのも、サッカーの醍醐味だよな。

 

 

 




秋葉名戸戦も1話に纏めました。
アニメでも1話で完結してるんですよね。

さぁ次はとうとう帝国戦。
その前にまだ挟みますけどね。
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