雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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第14話 伝説のイレブン今再び

 

『俺達帝国も、全国大会へ出場する。』

『そっか、前回優勝校の枠があったな。』

『じゃあまた全国でも戦えるんだな!』

 

 

 帝国との試合が終わり、グラウンドに残り話をしていた俺と守、鬼道。

 前年度の大会優勝校に与えられる全国大会の枠、それを使って帝国も俺達と同じ土俵へ上がってくる。が、俺の記憶が正しければ同じ地区のチームは違うブロックに入れられるはず・・・

 つまり、帝国ともう一度戦うには互いに決勝まで上がる必要がある。

 

 

『無敗であることが帝国、そして俺の使命だった・・・だが、俺達には新たな目標が出来た。』

『目標?』

『雷門中への雪辱は全国大会で果たす・・・』

『そっか・・・じゃあ、全国のてっぺんでまた会おう。』

 

 

 鬼道と交わした握手は、とても力強く、決意を感じさせるものだった。あいつがあそこまで熱い男だったなんて、最初会った時は考えもしなかったな。

 

 

 

 

「響木監督、替え玉ください。」

「おう、じゃんじゃん食えよ!」

 

 

 優勝祝い、ということで雷々軒で打ち上げだ。響木監督の好意でなんと金を払わずに。大丈夫だろうか、食べ盛りの中学生数十名が遠慮せずに食べるとなると赤字待ったナシなのでは・・・

 まあ、好意には甘えるのが礼儀みたいなところはあるからな、俺も遠慮せずに頂くとしよう。

 

 

「しっかし、加賀美も無茶したよなあ・・・帝国の皇帝ペンギン2号を発生前に抑え込むなんて。」

「しかも何かすっごい力を出していたっスよねぇ・・・」

「ま、その結果がその脚に巻かれた包帯なんだけどな。」

「ははっ・・・何も言い返せねえや。」

 

 

 そう、あの時取った行動のツケで右脚を痛めてしまった。そこまで重いわけでもないが、今サッカーやれって言われたら泣くことになるだろう。間違いなく。

 ここであの時の事を思い出す。

 あの土壇場で俺の中から溢れ出てきた化身に似た力・・・あの時の俺は無我夢中だった。今あの力を出せって言われても出し方が分からない。

 きっとあれは化身のその前段階の力なんだろうな。それを無意識の内に身体全体に行き渡らせ、あの時天馬や優一さん、アルファがやって見せた化身アームドを擬似的に再現した・・・はず。

 何にせよ、あの力に関しては分からないことばかりだ。使いこなせれば強いんだろうけどな。

 

 

「ほら替え玉だ、加賀美。」

「あ、私が受け取りますよ柊弥先輩。」

「ありがとう、春奈。」

 

 

 そうそう、それから鬼道と春奈のこと。

 あの時2人は和解し、連絡を取り合うようになったらしい。あの後唐突に春奈から連絡先を聞いた鬼道がそう報告してくれた。

 春奈の相談を俺が聞いたということに関しての礼もしてきた。俺は当然のことしたまでだがな。そして春奈のことをよろしく頼む、とも付け加えてきた。

 大切な仲間だしな。勿論これからも気にかけるさ。

 

 

「監督!俺餃子もう1皿!」

「私も追加をお願いするわ。」

「悪いなあ、あと1人前しか残ってない。」

「それじゃ、夏未ちゃんどうぞ。」

「・・・夏未ちゃん?」

 

 

 夏未が鋭い目線を土門に向ける。土門は「やべ、地雷踏んだ。」みたいな表情。

 

 

「悪くないわね、その呼び方。」

 

 

 雰囲気よ変わりように店内が笑いに包まれる。夏未もだいぶ柔らかくなったもんだな。

 最初なんて高貴なお嬢様って感じで絶対に馬が合わないと思っていたものだが・・・人生何があるかわからないな。

 けれども、理事長の代理である自分への敬意は忘れないように、と夏未が口にする。それを聞いて響木監督が理事長代理としての言葉を促す。

 

 

「今やサッカー部は雷門中の名誉を背負っていると言えるわ・・・必ず全国制覇を成し遂げてちょうだい。」

「おう、やってやるぜ!!絶対に全国制覇だ!!」

「おお!!!」

 

 

 熱気が空間を支配する。本当にこの短期間でいいチームになったものだ・・・かけがえのない仲間達だよ、本当に。

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、食ったな・・・」

「ああ。響木監督には感謝しないとな。」

 

 

 修也と2人で迎えの車に揺られる。俺はこんな脚だから態々お手伝いさんが迎えの車を回してくれたのだ。感謝感謝。

 そしてついでだから、と修也を送っていくことになった。

 

 

「俺達、本当に優勝したんだよなあ・・・正直、今でも夢なんじゃないかって思う。」

「まあな・・・だが、直に全国で戦うことになるんだ。現状に満足はしていられないさ。」

「そうだな。あー、早くサッカーしたいなあ・・・」

「お前はまず、その脚を治すんだな。」

「耳が痛いな。」

 

 

 談笑を交わしながら車は先へ進んでいく。

 

 

「俺、お前らと出会えて良かったよ・・・自分の気持ちに嘘をつかず、今こうしてサッカーが出来て本当に楽しい。」

「俺もだよ。守と出会って、雷門中に来て。みんなと、そして修也と出会って・・・巡り合わせってのはこういうことを言うんだろうな。」

「かもしれないな。・・・全国、必ず勝つぞ。」

「おう、勿論だ。」

 

 

 修也としては妹さんへの想いもあるだろう。かつて妹さんの事故をキッカケにサッカーから離れたところを、俺と守が引き込んだようなものだからな。

 ならせめて妹さんに勝ちを捧げようとしている修也に倣い、俺達も戦うのが筋だろう。

 

 

「送ってくれてありがとうございました。・・・じゃあな、柊弥。」

「ああ。また明日、修也。」

 

 

 修也を家まで送り届け、再び車に揺られる。

 

 

「柊弥様は、良いお友達に恵まれたようですね。」

「ええ。本当に・・・」

 

 

 運転してくれているお手伝いさん・・・(みね)さんに話し掛けられる。

 本当に良い友達、仲間に会えたことに感謝しなければな。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「イナズマイレブンと試合ィ?」

「ああ!昨日皆が帰った後にイナズマイレブンの人が監督の所に来てさ!その弾みで雷門中OB・・・伝説のイナズマイレブンの人達と練習試合することになったんだ!」

「へえ・・・いつ?」

「今日だ!」

「・・・俺、出れないじゃん。」

 

 

 タイミングが悪すぎるだろ!いや、脚をやったのは自分の自業自得だから何とも言えないんだけどさあ・・・だとしても、あのイナズマイレブンと試合が出来るってのに怪我で参加出来ないなんて・・・不幸だ。

 

 

「ま、まあまあ・・・見てるだけでも学べること、あるだろ?」

「それはそうだけどさあ・・・」

 

 

 見て学ぶだけなのとやって学ぶのとを並行するのでは全然吸収効率が違うんだ。

 そんな貴重な機会を・・・俺は・・・はあ。

 

 

「というわけで!今日は河川敷で練習試合だ!胸を借りるつもりで行くぞ!」

「おう!!」

「おー・・・」

 

 

 春奈に宥められながら河川敷へ向かう。ごめんな春奈、怪我人のサポートに加えてこんなメンタルケアまでさせて。

 

 

「しょうがないですよ、ね?脚が治るまでは無理をせずに、全国大会でまた活躍しましょう!」

「そうだな・・・」

 

 

 そんなやり取りを交わしながら河川敷へやってくる。既にグラウンドでは老骨の戦士たちが待ち構えていた。

 あれがイナズマイレブン・・・話には聞いていたが、響木監督はキーパーか。そしていつもと違いジャージに身を包んだ鬼瓦刑事・・・審判やってくれるのか。

 

 ユニフォームに身を包んだ皆も既に準備運動に入っている。

 俺も出たかったなあ・・・

 

 

「いつまで言ってるんですか!ほら、応援しますよ!」

「はい・・・」

 

 

 春奈に引っ張られながらベンチに移動する。待って春奈、俺怪我人だってこと忘れてない?

 これ以上は大人しくしておかないと本当に怒られそうなので素直にベンチに着く。

 ・・・よく見ると、町でよく見る人ばかりだな。夏未の執事さんもいるじゃないか。みんな、地元に残っていたわけだ。

 40年振りの伝説の復活・・・一体何が飛び出してくるのか楽しみだ。

 

 

「それじゃあ、始めるぞ・・・」

 

 

 開始のホイッスル。

 

 

「小僧共よく見ておけ!!これがイナズマイレブンのサッカーだァ!!」

 

 

 11番がキックオフシュート、かと思いきや盛大に空振りその場ですっ転ぶ。

 その勢いに全員あんぐりとしている。

 

 

「へへっ、参ったなこりゃ。」

 

 

 ボールを奪い颯爽と駆け上がる雷門。半田が上がってきた修也にパス、イナズマイレブン・・・雷門OB達は誰も反応出来ていない。まあ、普通に考えれば衰えているか。

 修也のループシュート、響木監督は余裕と言った表情を浮かべていたが、5番のクリアミスでボールはゴールへ。

 

 

「すまん響木、クリアしようとしたんだが・・・」

 

 

 その後も雷門の圧倒が続く。

 やはり暫くサッカーに触れていなかったのであろう、目に見えてプレイにキレがない。しかも諦めの雰囲気すら漂わせている。

 ・・・この40年で、伝説の牙は抜け落ちてしまったのか。言っちゃ悪いが、これでは練習になりはしないな。

 

 

「何か、思ってたより・・・」

「ああ、凄くないな。」

 

 

 少し遠慮がちにそう口にした春奈の言葉を助長する。そう思うのも無理はないだろう。実際に守達もそう思ってそうだ。

 試合は続く。雷門OBのDFをいとも簡単に潜り抜けた修也はゴール前でヒールパス。それを受け取ったマックスがボールを空高くセンタリング。

 

 

「ファイアトルネード!!」

 

 

 これには響木監督も反応出来ず。

 猛火のシュートはゴールを揺らす。

 

 

「お前達!なんだそのザマは!!

 

 

 響木監督が突如OB達に向かって声を荒らげる。

 

 

「俺達は伝説のイナズマイレブンなんだ、そしてここにその伝説を夢に描いた子供たちがいる!俺達にはその思いを背負う責任があるんだ、その思いに答えてやろうじゃないか・・・本当のイナズマイレブンとして!」

 

 

 OB達の目に炎が点った気がした。

 先程とは違う、闘気に満ち溢れている。

 

 

「証明しようぜ、伝説は真実だと!!」

 

 

 攻め上がる雷門OB。そのプレイのキレは先程とは段違いだ。追いかけるばかりだったボールに追いつき、自分達で主導権を握り始めた。これが、伝説のイナズマイレブン・・・!

 

 

「クロスドライブ!!」

「熱血パンチ!!」

 

 

 十字状のエネルギーをボールと共に放つ。

 それを迎え撃った守は、簡単にゴールを許してしまった。

 

 

「円堂君が、あんな簡単に・・・!?」

「・・・あれが伝説のイナズマイレブンの、真の姿・・・」

 

 

 誰かがベンチでそう呟いた。

 そう、伝説は今ここに甦った。

 

 取られた分は取り返す。そう言わんばかりに染岡が放ったドラゴンクラッシュ。

 

 

「見せてやる・・・これが元祖ゴッドハンドだ!!」

 

 

 対する響木監督は、拳に力を集中させ、神の手を顕現させる。あれが、元祖元来ゴッドハンド・・・!

 襲い来るドラゴンを完全に押さえ込んでみせた。

 

 

「さあ浮島、見せてやれ!」

「備流田ァ!」

「おォ!!」

 

 

 2人同時に走り込み、ボールを高く蹴りあげる。

 最高点で2人がボールを蹴り出すと、ボールは花開いたように炎に包み込まれ、ゴールへと襲いかかる。さながら炎の鳥のように。

 守は反応出来ずゴールを許す。

 

 その後、タイムを取った守がベンチでお爺さんのノートを開く。サッカーにタイムは無いんだがなあ・・・

 曰く、あの技の名前は「炎の風見鶏」

 実物が目の前にある、これを機にものにしてしまおうと意気込む。撃つのは風とくれば風丸、炎とくれば修也だろう。

 

 タイムが終わり、早速試す風丸と修也。が、なかなか成功しない。

 それを見兼ねたOBがもう一度撃ち込む。守はゴッドハンドで応戦するも、再びゴールを許す。

 守のゴッドハンドを打ち破るなんて・・・流石だな。

 

 そしてそれを横から見ていた影野が成功しない原因を2人に伝える。それを受けて2人はゴールへ攻め上がり──

 

 

「「炎の風見鶏!!」」

 

 

 見事、炎の風見鶏を再現してみせる。

 得た力を試すように、その後も点数を奪い取り、この練習試合は

 雷門の勝ちで終わった。

 

 

「さあ、次はいよいよ全国大会だぞ!!」

 

 

 守が全員にそう呼びかける。俺も全国に向け、早く足を治さなければな。

 

 

 

 


 

 

 

 

 イナズマイレブンとの試合から数日が経過。俺の脚の包帯も取れ、本格的に全国へ向けた調整に入る。何とか間に合ったな。

 グラウンドで練習していると、突如黒い車が。あれは・・・夏未が乗ってた車、けれど夏未はここにいる。

 ということは?

 

 

「あの人は・・・理事長。」

「やあ、精が出るね。」

 

 

 この前のイナズマイレブンとの練習試合の時もさりげなく見に来ていたよな。

 確か・・・理事長はフットボールフロンティアの実行委員長でもあるはず。

 こちらにやってきた理事長の話を聞く。全国大会出場へのエールを送ってくれた。それを終えてさあ練習再開というところで、もう1つ用事があるのだと言う。

 それは新しい部室について。

 これから部員が増えることを見越すと、昔のままのあの狭い部室では問題あるだろうとの気遣いだ。

 響木監督が部室にあった落書きを見せてくれる。こんな落書きがあったの気づかなかったな。

 

 

「サッカー部復活のお祝いと、全国大会出場のご褒美だと思ってくれ。どうかね?」

「俺、このままでいい。」

「俺も同意見だな。」

 

 

 盛り上がる1年達をよそにそう呟いたのは守。俺もこのままでいいな、と思い便乗する。

 

 

「この部室は、俺たちが試合できなかったことの頃も、昔のイナズマイレブンのことも知っている。それにこうして仲間も増えた。この部室は、雷門イレブンの歴史そのものなんだ!俺達の大事な仲間なんだよ!」

 

 

 良いこと言うなあ・・・さすが守。

 理事長とのやり取りを終え、グラウンドへ向かう。

 校舎の中からは、生徒達の声援が投げ掛けられる。こんな応援されることになるなんてな。

 その時、風丸が陸上部の後輩に声を掛けられどこかへ行ってしまう。積もる話もあるだろうし、まあいいか。

 そのまま俺達は練習に入る。

 

 さて、全国大会に向けて俺もさらに磨かなければな。

 今の課題はドリブル技、ディフェンス技の開発だ。全国でゴールを決めるためには、ボールをキープしたまま上がっていく技術、ボールを奪う技術も必要になってくるだろう。

 さあ、やるぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまん!遅くなった!」

 

 

 暫くして風丸が戻ってくる。その表情はどこか暗い。

 これは何かあったな。

 

 

「「炎の風見鶏!!」」

 

 

 ゴールへ迫る炎の風見鶏。が、そのコースは途中で逸れ、炎の鶏も姿を消してしまう。先程までは完璧だったんだがな・・・?

 目に見えて何か悩んでいるな。陸上部に顔を出してからこうなった・・・さしずめ、陸上部に戻ってきてくれ、とでも言われたか?

 

 見兼ねた修也が声を掛ける。

 試合までにその迷いを晴らしてくれればいいんだが。

 

 

 

 


 

 

 

 

 翌日、明日に全国大会を控えて最終調整だ。

 昨日は不安定で終わった炎の風見鶏も、今は昨日以上の精度、威力でゴールに突き刺さっている。

 吹っ切れたか、風丸。

 

 よし、俺も負けてられないな。

 

 

「───えっ!?」

「ん?」

 

 

 ベンチから声が上がる。その声の正体は携帯を片手にした夏未。

 

 

「どうした?」

「お父様が・・・事故に遭ったって。」

 

 

 何やら、全国大会の会場の下見に行った帰りに事故にあったらしい。理事長は意識不明の重体。

 病院へ駆け出した夏未を守と秋が追いかけて行った。

 

 

「理事長、大丈夫かな・・・」

「心配っス・・・」

 

 

 思わずグラウンドは暗い雰囲気に包まれる。

 だがそれじゃ、何も始まらないだろう。

 

 

「皆。俺達に出来ることは1つだ。理事長の想いを背負って全国大会で勝つ。まずは1回戦突破だ。・・・あれだけ俺たちを応援してくれた理事長の想いに答えることが、何よりの見舞いになると信じようぜ。」

「・・・ああ、加賀美の言う通りだ!絶対勝つぞ!」

 

 

 風丸が後に続く。

 それを聞いて皆も意識を切り替える。全国大会では落ち込むばかりで勝てるはずがない。無理にでもプラスに切り替えて行かねばな。




あけましておめでとうございます。
今年も当小説をよろしくお願い致します。
次回、戦国伊賀島です。

原作との相違点、分かりやすいようにあとがきに書くかどうか

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