雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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第2話 プロトコル・オメガ

「さあ!サッカーやろうぜ!」

 

 

試合開始のホイッスルがなる。ボールは相手チーム、プロトコル・オメガからだ。

その直後、相手選手達が突如として飛び出し、フェイを囲んで視界を遮る。何をしたかと思えば、今度はこっちのチームの選手・・・フェイの分身であるデュプリ?達に向かって乱暴なプレイをし始めた。

開始早々、やってくれる・・・!

 

 

「ぐっ──!」

 

 

分身であるデュプリ達が傷付けられると、どうやらその元となっているフェイにも負担がかかるようだ。デュプリを出すこと自体それなりの負担になっていると聞いた。このままではフェイが潰れてしまう。

 

 

「待てよ・・・サッカーは、サッカーはそんなんじゃないぞ!!ボールは・・・人を傷付ける為のものじゃない!」

「そうだ・・・サッカーが泣いてるよ!」

 

 

守と天馬が切実に語る。

 

 

「サッカーは滅ぶべき物。よって円堂守。サッカーによってお前自身が滅べ。」

 

 

アルファは何かをぼそぼそと呟いた後、ボールを蹴りあげる。落ちてきたところをもう一度蹴り、ボールは守が待ち構えるゴールへと迫る。

 

 

「絶対に止める・・・ゴッドハンド!!」

 

 

守の手からエネルギーが溢れ、一際大きな掌の形を作る。迫り来るボールを正面から受け止め、数秒の拮抗の後ボールは守の手の中に収まる。

ずっと練習してたあの必殺技・・・ここで完成させたか!

 

 

「出来た・・・とうとう出来たぞぉ!」

「・・・・・・・・・イェス。」

 

 

アルファが何か呟くが聞き取れない。

 

 

「みんな!反撃開始だ!」

 

 

天馬の指示で全員が動き出す。守のゴールキックから試合は再び動き出す。天馬に向かって蹴られたそれは、相手選手に取られてしまう。パスを回し、再び相手の攻撃になるかと思われたが・・・

 

 

「行かせない!」

 

 

後ろから天馬が凄まじい速さで追いかける。なんて速さだ・・・恐らく、俺よりも全然速い。

 

 

「──ワンダートラップ!!」

 

 

背後から相手のボールを奪い取り、そのまま前線に上がっていく。それを確認して俺も切り込んでいく。

それを相手が黙って見逃す訳もなく、天馬に二人の選手が向かっていく。

 

 

「アグレッシブビート!!フェイ!」

 

 

だが天馬は難なくその二人を抜く。凄いな、天馬・・・

そしてボールはフェイへ。ディフェンダーがフェイに襲い掛かるも、なんの問題も無い。何故なら・・・このチームのフォワードはフェイ1人ではないから。

 

 

「加賀美君!」

「ナイスパスだ!フェイ!」

 

 

フェイからボールを受け取り相手キーパーと一対一。キーパーの守も、キャプテンの天馬も頑張ってるんだ。俺もやってやる──!

 

 

「来い・・・!」

 

 

相手キーパーを見据え、一呼吸置く。身体に力が満ちていくのを感じながら、回転を与えるようにボールを爪先で踏みつける。踏みつけられたボールは、回転しながら段々と雷を帯び、上昇し始める。俺の身体の真ん中ほどの高さまで上昇した所で、一際強く放電する。ここだ───!!

 

 

轟一閃(とどろきいっせん)!!」

 

 

僅かに引いた右脚を、居合切りの様なモーションでボールに向かって一瞬で振り抜く。力を加えられたボールはその方向に向かって轟音と共に真っ直ぐに突き進む。相手ゴールに目掛けて。

 

 

「キーパーコマンド03!!」

 

 

キーパーの両手にエネルギーが集まり、キーパーはそれを咆哮と共に発散させる。放たれたエネルギーはボールに打ち付けられ、勢いを殺そうと粘るが──

 

 

「ぐあああああああああ!?」

「───よし。」

「凄い、あれが柊弥さんの轟一閃・・・!」

「すごい速さだったよ、加賀美君。」

 

 

天馬とフェイが駆け寄ってくる。

 

 

「ああ・・・不思議な感覚だ。いつも以上の力を出せている。」

「恐らく、共鳴現象だろうね。」

 

 

 

共鳴現象・・・?一瞬どんなものなのか聞こうとしたが、理解出来そうで理解出来なさそうだからいい感じに流した。

中央から試合再開。長い髪の女のループを追いかけるように相手チームが前線へ上がっていく。こいつらも速いな。

ボールは相手チームキャプテン、アルファへ。

 

 

「シュートコマンド01!」

 

 

高くから回転と共に打ち出されたそのボールは、凄まじい威力であることが分かる。空を切りながらゴールへと迫る。頼むぞ、守・・・ん?何だあれは。守から光が・・・

 

 

「はああああああ!魔神グレイト!!」

 

 

光が溢れていると思ったら、今度は背中から影が爆発するように溢れ出し、魔神・・・?を形作った。凄まじいエネルギーを肌で感じる・・・あれは一体?

 

 

「円堂さんが・・・化身使いに!?」

「グレイト・ザ・ハンド!!」

 

 

先程のゴッドハンドの何倍ものパワーでアルファの必殺シュートを難なく受け止める。あのシュート・・・俺の轟一閃以上のパワーだったはず。この土壇場でどこまで成長しやがる・・・守!

技の反動からかへたり込む守。が、すぐさま立ち上がりアルファに向かって声を掛ける。

 

 

「どうだ!俺はサッカーを嫌いになんてならないぞ!」

 

 

再び試合再開。ドリルみたいな髪をしたデュプリがフェイに向かってパスするも、相手にカットされる。

天馬が心配して駆け寄るも、「大丈夫。」と返すフェイ。デュプリのコントロールだけでも大変だろうに・・・俺が何とかしなければ。

 

 

「おーい、この試合、俺も入れてくれないかな?」

 

 

突如スタジアムに声が響く。声の主はフィールドまで降りてくる。誰だ・・・?

 

 

「剣城!来てくれたんだな!」

 

 

天馬が駆け寄る。が、近付いたところでどうやら別人であることが分かったらしい。

 

 

「俺は君の知っている京介では無い。京介の兄、剣城優一だ。」

「・・・誰だ?」

「どうやら、パラレルワールドから強い味方が来たようだよ。」

 

 

パラレルワールド・・・平行世界?ダメだ、分からん。

 

 

「あはは・・・ちょっと複雑だからね。試合が終わったらちゃんと説明するよ。」

 

 

本当に何者なんだフェイ達は・・・

何はともあれ、優一さんは俺たちと一緒に戦ってくれるようだ。デュプリを一人出さなくても良くなるからフェイの負担も少なくなる。どうやらポジションはフォワードのようだから、攻めの手数も増える。

 

 

「加賀美さんや円堂さんとプレイできるなんて、光栄です。」

「えっと・・・なんの事ですか?」

「守りは任せてくださーい!」

「・・・まあ、その話も後で。まずは奴らを倒しましょう。」

 

 

何だか尊敬されているようだが・・・分からないな。初対面のはずだし優一さんの方が年上の筈だが。

とりあえず試合再開だ。スローインで相手チームからだったが、一瞬で優一さんがボールを奪い、前線へ駆け上がる。凄まじい技術だ。負けてられないな。

後ろから天馬が追従しているので、俺は反対側、レフトから万が一のため上がっておく。

 

 

「天馬君、化身だ!」

 

 

そう言うと、優一さんの背中からさっきの守と同じように影が吹き出す。その影が形作ったのは守とは全く別の、剣士のような姿だ。が、守のそれ・・・化身より凄まじい力を秘めている。

 

 

「魔戦士ペンドラゴン!!」

 

 

そして・・・

 

 

 

「アームド!!」

 

 

化身は再び影となる。そして優一さんの身体にまとわりつき、再び影から実体へと変わる。そこには、先程の化身と似た風貌の鎧のようなものを纏った優一さんがいた。

・・・なんて圧力、一体どれほどの力を秘めているんだ・・・!

 

 

「天馬!キミにもできるよ!やってみて!」

 

 

フェイの声を受けて天馬の背中からも影が吹き出す。

 

 

「はあああ!魔神ペガサスアーク!!アームド!!」

 

 

優一さんと同じように化身を身に纏う。ダメだ、頭が追いつかない・・・が、何だこの感覚は。身体の中で何かが暴れている・・・!

 

 

「天空の支配者 鳳凰!!アームド!!」

 

 

自身の内の何かを知覚していたら、なんとアルファまで化身を身に纏った。天馬と優一さんの2人に、アルファが1人で立ちはだかる。

蹴りあげられたボールに2人は同時に蹴る。俺の轟一閃よりも、アルファの必殺技よりも遥かに強い威力のそのシュートがゴールへと迫る──!

 

 

「キーパーコマンド03!!」

 

 

相手キーパーが必殺技で対抗するも、一瞬で破られる。ゴールへと突き刺さろうとしたその瞬間、アルファが凄まじい速さで間に割り込みシュートを阻む。

 

 

「ぐ・・・おおおおお!」

 

 

いかにも冷静と言った感じのアルファが唸り声を漏らしながら脚に力を込める。その甲斐あってか、ボールは次第にアルファの脚にめり込む。そしてそのままアルファが脚を振り抜くと、凄まじい勢いでボールがこちらのゴールの方まで飛んで行く。

 

 

「───ッ!?はあああ!!」

 

 

予想だにしていなかった守は一瞬反応が遅れるが、咄嗟にパンチングで弾く。ボールは中盤のフェイに渡り、そのフェイはこちらに声を掛けてくる。

 

 

「加賀美君!君も化身だ!!」

「俺も──!?」

 

 

フェイのパスを受け取る。急に化身を出せ、と言われても困るが・・・先程から俺の中で何かが蠢いているのを感じる。俺の身体を突き破ってまで外に出てきそうな程の何かが。

なら、望み通り出してやる!!

 

 

「はあああああああ!!!」

 

 

咆哮。

簡素かつ原始的だが、この動作により自身の内なる何かを解放しようと試みる。その試みは成功したようで、内に蠢くそれが一気に開放されるのを感じる。

 

 

「星王ネビュラス!!」

 

 

ふと、その名前を口に出していた。特に考えてもいなかったはずの化身の名前がすんなりと。

 

 

 

「行かせない!」

 

 

相手ディフェンダーが全員こちらに向かってくる。が、化身の凄まじい力を持ってしてそれら全てを薙ぎ払う。

 

「行くぞッッ!!」

 

 

手を空にかざす。すると、遥か高くに光り輝く十字型のエネルギーが刻まれる。その十字と同じくらいの高さまで飛んで、化身が手に持つ槍と共にボールを十字の真ん中に叩き込む。

ボールと同化した槍は十字に突き刺さると同時に、十字と共に回転し始める。一瞬で十字のエネルギーは槍にまとわりつき、その力をより高める。エネルギーが最高潮まで高まると、槍は天より相手ゴールへと突き刺さる。

 

 

「───グランドネビュラ!!」

 

 

壮大な星雲、という名を関するそのシュートは、この試合で放たれたどのシュートよりも凄まじい威力を感じさせた。

化身を纏った状態でアルファが胸で受け止めようとするも、拮抗する間もなくキーパーを巻き込んでボールと共にゴールに叩きつけられる。

 

 

「──ふう。」

 

 

着地と同時にその場に座り込む。凄まじい力だが、消費が激しいな・・・

 

 

「柊弥!!すっげえシュートだったな!!」

 

 

ゴールからこっちまで声を掛けてくる守に手を振って答える。

アルファが立ち上がったと思ったら、相手全員が一箇所に集まる。何のつもりだ──

 

 

「撤退だ。」

 

 

そう言うと、上空にUFOのような物体が現れ、アルファ達は光に吸い込まれるように姿を消す。もうUFOだろうがなんだろうが驚かない自信がある。

 

 

「何が何だか分からないが・・・勝ったってことでいいのか?」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

プロトコル・オメガが撤退したので、天馬の、フェイの、優一さんの事情を一通り聞く。

プロトコル・オメガはサッカーを歴史から消そうとしていて、天馬もサッカーを奪われ、未来からやってきたフェイの協力の元サッカーを取り戻す為に戦っている。

うん、時間を超えるってどういうことだ?分かるけど分からないな。

そして優一さん。優一さんは本来の歴史ならば脚を怪我し、サッカーを続けることは出来なかったようだ。が、プロトコル・オメガが歴史を書き換えたその余波で歴史が変わり、今こうしてここにいる。そしてサッカーを手放した弟にサッカーを返してやるためにここにやってきた、という訳らしい。

 

 

 

「そういうことなら、俺も戦うぞ!」

「よせ守。俺達がやるべき事は、本来の歴史通りサッカー部を作ることだ。・・・それが、お前たちのためにもなるんだろう?天馬。」

「はい!・・・お二人の力を借りたいのは山々ですけど、お二人のやるべき事をやってください!」

 

 

天馬がそう同調する。

 

 

「・・・そっか、分かった!」

「約束する。雷門中サッカー部、必ず作ってみせる。」

「・・・はい!俺もサッカーを守るため、頑張ります!」

「おう!そんで、また会えたら・・・」

 

 

守が手を突き出す。俺も手を合わせる。それにつられて天馬も手を突き出して・・・

 

 

「「「サッカーやろうぜ!!」」」

 

 

そして天馬達は、更なる戦いへ身を投じるために帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・まだ夢みたいだね。」

 

 

秋がふと呟く。

 

 

「・・・松風天馬、か。またいつか会う気がするな。」

「・・・そうだな!」

 

 

既に辺りは真っ暗だ。

 

 

「──なあ、俺ら、歩いて帰るの?」

「「あ。」」

 

 

オーマイガー・・・




共鳴現象で化身を出した柊弥と円堂ですが、これから先化身を出すかは未定です・・・

正直、チート過ぎてパワーバランス崩壊しますからね・・・
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