雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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最終話です。ご査収ください。
そしてDEGさん、誤字報告ありがとうございます。


第22話 光り轟け仲間と共に

 

『フットボールフロンティア全国大会決勝、後半戦開始!!さあ雷門反撃なるか!?』

 

「行くぞ!!」

 

 

後半開始。ホイッスルと同時に俺は修也、鬼道と攻め上がる。

立ちはだかる大柄な相手5番。

 

 

「神には通用しない。」

 

 

ボールを介してぶつけ合う脚にそう言って相手は力を込める。

後ろから修也、鬼道が力を合わせてくれる。

だがそれでも目の前の壁を突破するには足りなかった。

 

 

「無駄だ・・・メガクエイク!!

 

 

5番が大地を踏み鳴らす。それと同時に地面が砕け、盛り上がる。空中に身を投げ出された俺らは抗えずに地面に打ち付けられる。

前半の時点で何度もこうして傷付けられている・・・今更こんなので、立ち止まれるかよ。

雷門ゴールへ向かうボールを追いかける為、覚束無い足取りで進み続ける。

時に大地が、時に暴風が俺達に牙を剥き、更に追い詰められて行った。いくら心は折れずとも、身体に蓄積させられた負担は時に残酷なまでに正直だ。

それでも、それでも歩みを止める訳には行かない。

もはや歩いているのと大して変わらないスピードでしか走れていない。情けないな・・・後半はまだ始まったばかりだと言うのに。

必死に前に視線を送ると、守とアフロディが睨み合っていた。

アフロディはわざと守にボールをぶつけ、執拗に痛めつける。

 

 

「───させるかァ!!」

「何・・・?」

 

 

守目掛け放たれたボールを頭で受け止める。衝撃が頭の中を跳ね回り、視界が歪んで見えた。

それがどうした。

 

 

「・・・もはや、狂っているね。」

「何とでも言えよ。」

 

 

舌を噛み、神経を駆け巡る痛みで失神を耐えた。

口の中には血の味が充満する。それが寧ろ気つけになる。

 

「柊弥・・・ッ!!」

「いい加減・・・諦めたまえ!!」

「断るッ!!」

 

 

放たれたボールを守の代わりに身体で受ける。

腹に、脚に、顔面に。

幾度となくボールが撃ち込まれたがそれでも俺は倒れない。否、倒れる訳にはいかない。

 

 

「ふッ!!」

「───ッ!?」

 

 

突如、身体が無意識に右に逸れた。いや、逸らされた。

守に横から突進されるようにぶつかられ、予想してなかった衝撃に身体が踏ん張りきれず倒れ込んでしまった。

アフロディが放ったボールを守がパンチングして弾く。

 

「守・・・!?」

「来いよ・・・ボールを止めるのは、キーパーである俺の仕事だ!!」

 

 

じゃあお構いなく、というようにアフロディが守へボールを容赦なく撃ち込む。

再び立ち上がろうとするも、1度倒れた身体は中々言うことを聞いてくれない。そうしている間にも守はもっと傷付いていく。

どれくらい経ったか分からない。ふとしたタイミングで守もとうとう倒れ込んでしまう。

 

 

「サッカーを、大好きなサッカーを・・・汚しちゃいけない。」

 

掠れた声が聴覚に飛び込んでくる。

それを聞いて俺は、もう何度目か分からないが身体を奮い起こす。

守と俺は、同時に立ち上がる。

アフロディが信じられない、と言った表情をこちらに向けてくる。

大きく目を見開き、俺達を認めまいとアフロディは再びボール撃ち込んでくる。それでも俺たちは折れない。

倒れても、また立ち上がる。

試合はまだ終わっていない。

 

 

「そんなことは・・・そんなことは!」

「許しちゃいけないんだ・・・!」

 

 

守の言葉に続く。アフロディを真っ直ぐ見据えて。

その言葉に、アフロディの表情が曇り、身体が震え出したのを俺は見逃さなかった。

更に、倒れていた仲間達も再び立ち上がる。

 

 

「──そんなことが、あるものか!!」

 

 

アフロディは声を荒らげる。

全身に更に力を漲らせ、こちらを睨み付けてくる。

これは、来るな。間違いなく全力で撃ち込んでくる。

 

 

「これは・・・大好きなサッカーを守る為の戦いだ!!」

「ああ・・・俺達は、絶対に負けない!!」

「円堂!!」

「加賀美!!」

 

 

感じる、皆のサッカーへの想いも、情熱も。

 

 

「神の本気を知るがいい・・・!!」

「来るぞ、守!!」

「ああ!止めるぞ、柊弥!!」

 

アフロディが翼を展開する。その翼は先程よりも大きく、そして神々しい。正しくその様は"神"と言える。

そんな神にも俺は・・・いや、俺達は立ち向かう。

サッカーが・・・好きだから!

 

 

真、ゴッドノウズッッ!!!

 

 

先程とは比べ物にならない力がこちらへ襲い掛かる。

それでも、俺達は止めてみせる。これ以上点はやらない。

 

 

「柊弥!!時間を稼いでくれ・・・必ず、成功させるから!!」

「おう!任せろ!!」

 

圧倒的な光が降り注ぐ。

俺はそれを迎え撃つべく飛び上がる。

迫る神の怒りを真正面から受け止める。

 

 

「お、おオオオオオオォォォォォォォ!!!」

「柊弥!!」

「柊弥先輩!!」

「加賀美!!」

 

 

俺は負けない・・・必ず、このボールの勢いを少しでも殺してみせる・・・!

そうすれば、必ず守が止めてくれる。あいつは嘘をつかない!

脚に激痛が走る。それでも抗う。

 

 

「───絶対に、諦めるかァァァァァァ!!」

 

 

刹那、全身に力が満ちる。

身体の表面を影が包み込む。

いける、これなら───

 

 

「うおおおおオオオオオオオオオォォォォォォォ!!!」

 

 

獣のような咆哮と共に力を込めると、ボールの威力が弱まっていくのを感じる。

これ以上は無理だと脚が叫ぶ。これだけ時間を稼げば、後は守が──!!

 

 

「止めてくれ・・・守ッッッ!!!」

 

 

頃合いを見てボールから離れる。

すぐさま溢れる力を塞き止める。俺には、まだやるべき事がある。

守の方へと目を向ける。

迫るボールに対して守は背を向けていた。

 

 

「今更怖気付いても無駄だ!!」

 

 

いや違う。守は怖気付いてなんかいない。

心臓の辺りに添えた手に、力が流れ込んでいるのを俺は確かに見た。

 

「いけェェェェェェ!!」

「これが俺の・・・マジン・ザ・ハンドッッ!!

 

 

守の気迫に答えるように守の背後には魔神がその姿を現す。

凄まじい力と頼もしさを感じさせる魔神は、神の怒りを真正面から受け止める。

眩い光が収まる頃には、ボールも守の手に収まっていた。

 

 

「頼んだぞ、柊弥ッッ!!」

「任せろ!!」

 

 

守からボールを受け取り前線へ駆け上がる。

目の前にはアフロディが立ちはだかり、ボールを俺の脚と挟み込むように蹴りを放つ。

拮抗状態から力は徐々にアフロディ優勢へと傾き始める。

 

 

「負けるかァァァァァ!!!」

「何ッ!?」

 

 

自分の背中から何かが溢れ出すのを感じた。

それを見てアフロディが驚きの声を上げる。

やがて、ボールに注ぎ込まれたエネルギーが爆発したように溢れ出し、アフロディを吹き飛ばす。

俺の背中から溢れ出したモノは段々と形を作る。

それが完全な仕上がりとなったのを知覚し、それの名を叫ぶ。

 

 

星王、ネビュラス!!

 

 

ようやく出てきてくれたか。

全身に先程とは比にならない力が満ちていくのを感じる。

 

 

「何だ・・・何なんだその力はッ!?」

「俺の・・・サッカーへの想いの結晶だッッ!!」

 

 

驚きへたり込むアフロディを余所に駆け上がる。

立ち塞がるDFを全員薙ぎ払いながらゴールを見据える。

化身を出した状態で必殺技なんて出したら、この後動けなくなるだろう。だがまだ点は取らなければならない。

なら───

 

 

「───喰らえェェェェ!!」

 

 

そのままシュートを放つ。

ノーマルシュートといえど、化身の力が乗ったそれは並の必殺シュートの比ではない威力を誇る。

先程のアフロディのゴッドノウズにも勝るとも劣らないだろう。

 

 

ツナミウォール!!

 

 

放ったシュートは津波に包まれる。

が、数秒も競り合うことなくボールはゴールへと突き刺さった。

 

 

『ゴ、ゴォォォォル!!円堂のマジン・ザ・ハンドで止めたボールを、加賀美が魔神に似た何かと共にゴールへ叩き込んだァァァ!!あれは何なのでしょうか!?雷門中、1点を返したァァァ!!』

 

 

「よっしゃァァァ!!」

 

 

走って寄ってきた皆にもみくちゃにされる。

だがまだ油断は大敵。これでも2点差なのだから。

世宇子キックオフで試合再開。

アフロディが単身攻め上がり再びゴッドノウズを放ったが、疲労と焦りからか先程より威力がない。

 

 

マジン・ザ・ハンド!!

 

それを守はマジン・ザ・ハンドでしっかりと受け止める。

守がボールを前線に投げる。それを受け取った鬼道が高くセンタリング。その先には修也。

 

 

「行けッッ!!」

「おォ!!」

 

 

ファイアトルネードをほぼ真下に撃つ。そこに待ち構えていた鬼道がツインブーストの応用でボールをゴールへ叩き込む。

キーパーは再びツナミウォールを展開するも、そのシュートは津波を貫いた。これで2-3だ。

 

 

「神の力が・・・負ける・・・?」

 

 

青ざめた表情のアフロディからボールを奪い、再び鬼道と修也に。先程と同じシュートを放つと、キーパーは反応出来ず無抵抗にゴールを許した。3-3、同点だ。

 

 

「皆!!決めるぞ!!」

「「「おう!!」」」

 

 

残り時間はあと僅か。延長になんか持ち込ませない!!

キックオフ後、すぐさまボールを奪いバックパス。

受け取ったのは一之瀬。そのまま守と土門と共に駆け上がる。

3人は一点で交差、炎に包まれたボールは空中で不死鳥として羽ばたく。

 

 

「最後の1秒まで諦めない!!それが俺達のサッカーだ!!」

「「「ザ・フェニックス!!」」」

 

 

放たれたザ・フェニックス。

不死鳥が羽ばたくその先には・・・俺と修也が。

 

 

「修也ァァァ!!!」

「柊弥ァァァ!!!」

 

 

2人同時に跳躍。

迫る不死鳥に更に炎を吹き込む。

 

 

「「ファイアトルネードDD!!」」

 

燃え盛る不死鳥は更にその炎を激しく燃やした。

不死鳥はグラウンドを包み込むほど巨大に。

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

それを見て相手のキーパーは逃げ出す。

さらけ出されたゴールに不死鳥が突進する。

4-3・・・俺達の、逆転だ。

 

 

『ついに雷門勝ち越しィィ!!ここで試合終了、フットボールフロンティア決勝戦!!勝ったのは雷門ッッ!!劇的な大逆転勝利だァァァァ!!!』

 

「・・・勝った、のか?本当に。」

 

思わずそう呟く。

 

 

「・・・ああ、勝ったんだよ俺ら!!全国一だ!!」

「・・・・・・やったァァァァァァァァァ!!!」

 

 

全員が1箇所に集まり喜びを分かち合う。

喜びは冷めることを知らない。

 

 

「・・・僕達は。」

「アフロディ。」

 

 

皆から抜け出し、唖然とするアフロディはじめ世宇子中へと近づく。

 

「これがサッカーだ・・・忘れるなよ?」

「・・・本当の、サッカーか・・・」

 

 

手を差し出す。その手をしばらく見つめて、アフロディは力強く握り返してくる。

 

 

「完敗だ。優勝おめでとう・・・雷門イレブン。」

「ありがとう・・・また、サッカーしようぜ。」

 

 

そう言うと、少し意外そうな表情を浮かべるアフロディ。が、すぐさま笑みを浮かべ、「また必ず」と言って去っていく。

 

「柊弥!!何やってんだよ、こっち来いって!!」

「悪い悪い・・・今行くわ。」

 

 

身体を引きずりながら守達の元へ行く。

観客からの声を一身に受けながら、自分達は優勝したんだという事実に震える。

俺達、本当に優勝したんだな・・・!

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

国内某所にて。

 

 

「急に呼び出してすまないね、()()()。」

「いえ・・・それで、用とは何でしょうか・・・お父様。」

 

 

グランと呼ばれた少年は自分を呼び出した者・・・自分の父へと要件を問う。

 

 

「これを。」

「これは・・・?」

 

 

手渡されたのは何かの機械。

全体的に黒く、機械的な風貌をしておりその中心には紅く煌めく宝石のようなものが埋め込まれていた。

 

 

「それを使えば、どんな人間でも洗脳し、支配下に置くことが出来ます・・・それだけじゃない、高精度の計算を行い、想定通りの結果を得るために必要な行動を行うことだってできる。」

「これを俺に渡して、一体何を・・・」

「・・・取り込むのです、我々の計画をより完璧に出来る人間を・・・例えば、彼とか。」

 

 

と言ってリモコンを操作する。

そこに映し出されたのは・・・凄まじい威力のボールに対し、全身に影を纏って立ち向かう1人の少年。

 

 

「・・・彼を。」

「もう間もなく、各地への攻撃が始まる時間でしょう。とうとう始まるのです、私の計画が・・・それをどう使うか、最終的な判断はお前に任せます。グラン。」

 

 

と言ってお父様と呼ばれた男はその場を去る。

残されたグランの前に映る少年は、自分と同じ歳。それを無理やり操り、自分達の仲間にすることに僅かばかり躊躇わないはずがなかった。しかし。

 

 

「全ては、お父様の為に・・・」

 

 

知らない人間を不幸に陥れるのと、自分の愛するお父様から失望されること。

どちらの方が自分にとって重いことか、その少年は確かに把握していた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

決勝戦の帰り、俺はそのまま親の車に揺られていた。

疲れで瞼が重い・・・それもそうか、あんなに無茶したからな・・・

 

 

「・・・んあ?あれは・・・」

 

 

ふと窓の外に目を向けると、紫色の物体が揺らめくのが見えた。

それの物体が急降下し、しばらくすると・・・

 

 

「うわッ!?」

 

 

眩い輝きと共に、轟音と揺れが襲いかかってきた。

しかも、あれは雷門中の方向じゃ──!?

 

 

「父さん、降りるわ!!」

「えっ、何を──」

 

 

父さんの問いに答える前に車を飛び出す。

あちこちが痛む身体に鞭を振るって走り出す。

だって、雷門には・・・皆が。

俺は焦りを感じつつ、走る速度を上げた。

 

 

 




はい、というわけで"FF編"最終話でした。
次回からエイリア学園編に突入です!

エイリア編ではガッツリオリジナル展開入れていくつもりです、どうぞお楽しみに。
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