先日、UA10000を突破し舞い上がっております。
今回からエイリア学園編スタートとなります。
第23話 宇宙人の襲来
「───なんだよ、これ。」
目の前の凄惨な現状にそう呟く。
愛する母校は瓦礫の山へと姿を変え、見る影も無くなってしまった。
どうしてこうなった、と何度も心の中で問い掛ける。やがてその答えはごく自然に浮かんできた。そう、あの紫色の浮遊物のせいだろう。
あれが隕石のように急降下したことで雷門中はこんな有様になってしまったのだろう。その余波が音と衝撃波として遠くまで伝わってきた。
本当に隕石なのだろうか。だとしたら、なんで俺達がフットボールフロンティアで優勝したような日にわざわざ落ちてきたのか。
隕石ならば自然現象だろう。だが、そう歯軋りせずにはいられなかった。
「加賀美君、ですか?」
「校長先生!!ご無事ですか!?」
突如声を掛けられる。その方向に目をやると校長先生がいた。
その姿はどこか汚れており、少なからずこの余波に巻き込まれていたことが分かる。
「一体何があったんですか、どうしたこんなことに!」
「──宇宙人が、攻めてきたのです。」
"宇宙人"
常識的に考えたら出てくることない単語に、普段ならば笑い飛ばしていただろう。
だが、そんな状況ではない。何より校長先生の表情かそれを現実なのだと物語っている。
校長先生曰く、やってきた宇宙人は突如として勝負を挑んできたそうだ・・・
が、俺達は世宇子中との決勝戦で不在。代わりに雷門OBの人達がその宇宙人を名乗る連中と勝負した。
しかし、その宇宙人はあまりに強かった。雷門OBの人達を軽く蹴散らし、大差で打ち負かした後に黒いサッカーボールで後者を破壊したようだ。
黒いサッカーボール・・・おそらく、俺が見たあの紫色の物体だろう。
そんなことよりも、気になることがある。
「──皆は、皆は無事ですか!?雷門中に帰ってきたはずです!」
「雷門サッカー部の皆は隣町の傘美野中に向かいました。そこにまた宇宙人が現れたとか・・・」
傘美野中・・・隣町だから走ってもすぐ追いつけるだろう。
あいつらはサッカーで勝負を挑んでくるという。なら、皆はきっと逆に勝負を挑むはずだ。これ以上の好き勝手を許さないために。
「ありがとうございます。・・・俺も、皆と一緒に戦ってきます。」
「・・・本当は行かせたくありません。危険だと分かっていますから・・・でも、君は行くのでしょう?皆が行っているのだから。」
「はい。・・・失礼します。」
そう話を区切り、全速力で駆け出した。
「勝負だ!!エイリア学園!!」
雷門町の隣に位置する傘美野中にて、雷門イレブンは宇宙人達・・・エイリア学園と対峙していた。
学校を守るために勝負を棄権した傘美野イレブンの代わりに、エイリア学園との勝負に身を投じる。
当然、激しい決勝戦を乗り越えた直後の出来事であるため疲労が身体に残っている。それでも闘志を燃やし立ち上がる。
「でも円堂君、一之瀬君に土門君、豪炎寺君に加賀美君だっていないのよ?大丈夫なの!?」
「大丈夫だ!染岡のワントップになっても皆でカバーすればいい!頼むぞ、皆!!」
「「「おう!!」」」
普通のボールを用意し、様式に則り試合前の整列を行う。
エイリア学園が名乗ったチーム名は"ジェミニストーム"
目の前の敵が宇宙人とはにわかには信じられないだろう。だが現に目の前の敵は自分達の前で凄まじい力を振るった。認めざるを得ない。だからこそ戦う。
「さあ、やるぞ!!」
意気込む雷門イレブンとは裏腹に、待ち受けていたのは"蹂躙"だった。
先制攻撃で仕掛けた染岡のドラゴンクラッシュは相手キャプテンであるレーゼに膝でいとも簡単に止められ、ダイレクトで放たれたシュートはソニックブームを伴いながら真っ直ぐに雷門ゴールへ突き刺さる。
試合開始1分も経たずに起きた出来事だった。
そこからもジェミニストームの蹂躙は続く。
ボールはいとも簡単に奪われ、何度もゴールを許す。
円堂のマジン・ザ・ハンドはその発生すら許されなかった。
あまりに次元が違かった。先程戦った世宇子中ですらも、こんなに強くはなかった。
本当にこいつらは宇宙人なのだ、と思わなければ突き付けられた力の差に頷くことが出来なかった。
やがて、その点差は10点以上に。
雷門イレブンには一切の抵抗が許されなかった。
「うッ・・・!?」
「宍戸、半田!!」
そんな中、宍戸と半田が脚を抑えてうずくまる。
世宇子中戦でダメージが蓄積された身体に更に上乗せされる形で与えられた負担は、その身体に重くのしかかった。
身動きが取れない。選手交代する他ないだろう。
しかし、控えの選手は目金のみ。この驚異的な相手に、1人欠けた状態で挑まなければならない。あまりに非現実的だ。
が、そこに救いの手が差し伸べられる。
「その勝負、ちょっと待った!!」
「選手交代だ!!」
「──柊弥、豪炎寺!!」
雷門の面々に希望の風が吹き込んだ。
雷門が誇るエース、そのエースに引けを取らない副キャプテンがここにその姿を現してくれたのだ。
「──来たか。」
それを見てレーゼは不敵に微笑む。何に向けられた物かは分からない。
豪炎寺は宍戸、柊弥は半田と選手交代しグラウンドに入る。
(やはり、世宇子中戦の疲労は抜けきってはいない。が、やるしかないだろう。)
雷門キックオフから試合再開。点数は0-15。
豪炎寺は鬼道、円堂と共に相手ゴールへ駆け上がる。
「「「イナズマブレイク!!」」」
無限の壁をも破った必殺技が放たれる。
その一撃に雷門イレブンは得点を確信した、が。
「ふぁぁ・・・」
ジェミニストームのキーパーは、それを欠伸しながらノールックでいとも簡単に止めた。
絶望が走る。
投げ出されたボールはジェミニストーム11番、ディアムへ。
空中でボールを受け取り、そのままオーバーヘッド。先程のイナズマブレイク以上の威力で雷門ゴールへ襲いかかる。
「ザ・ウォール!!」
壁山が巨大な壁を展開し立ちはだかる。が、その壁はいとも簡単に突き破られ、壁山ごとボールはゴールネットを揺らす。
0-16。
ボールは再び雷門から。
「修也!!」
「おう!!」
豪炎寺からボールを受け取った柊弥はジェミニストームのゴールへと駆け上がる。
途中、お遊びと言わんばかりにジェミニストームは軽いプレスをかけるが柊弥は全て躱す。
軽いプレス、といっても並のプレイヤーならボールを奪われてもおかしくないが。
「「ファイアトルネードDD!!」」
双炎が1つになって襲い掛かる。
が、2人の必殺シュートは最初と同様にレーゼにダイレクトで打ち返され、そのまま真っ直ぐ雷門陣営へ。
「うわッッ・・・」
しかも、影野を巻き込みながらだ。
「俺達の必殺技が・・・通用しないのか?」
「必殺技、か。」
柊弥の呟きにレーゼが反応する。
「必殺技と言ってもこの程度。お前達の力の限界というわけだ。」
「俺達に限界はない!!」
「諦めの悪い。その遠吠えは破滅を招く。」
「諦めの悪いのが俺達の必殺技でね。」
「雷門イレブンは・・・いつだってそうやって勝ってきたんだ!!」
「宇宙人なんて怖くないでやんス!!」
レーゼの言うことに雷門イレブンは総出で反論する。
それを背中で嘲笑いながらレーゼはポジションへ戻っていく。
(身体が軋む・・・けど、こいつらに一泡吹かせてみせる。)
柊弥は決意する。自身に秘められた力の解放を。
雷門キックオフ。だがすぐさま吹き飛ばされるようにしてボールはレーゼに奪われる。
その時だった。柊弥の身体は影のような力を纏う。
そう、柊弥はこの化身の前段階とも言うべき力をモノにしていた。世宇子中戦にて顕現させた化身の力は未だ扱えていないが。
「させるかッッ!!」
雷門イレブンに暴力のように振るわれるボールを途中でカットしてみせる。
「・・・ほう。」
「これ以上好き勝手させるかよ!!」
先程とは比較にならないスピードで柊弥は単身上がっていく。
着いてくるものは誰もいない。否、誰も着いていけない。
度重なる疲労、加えて自分達の力を大きく超えた柊弥に着いていける気がしなかった。
ただただ、柊弥の背中に希望を願うことしか出来なかった。
「好き勝手出来るのは強者の特権。貴様のような弱者には何も与えられていないと知れ。」
「が──ッッ!?」
が、その希望はすぐさま潰えることとなる。
自分達を大きく超えた柊弥のスピードをさらに大きく超えたスピードでレーゼが柊弥に激しいタックルを仕掛けた。
あまりの速さに瞬間移動したようにすら思えた。
そこからは"蹂躙"の再開。
ボールはゴール、と言うよりも雷門イレブンに向けられ、徹底的に痛めつける。
コート外から悲鳴が上がるも、それをジェミニストームが止める理由にはならなかった。
ごく自然にゴールも奪われ、得点は0-20。
雷門イレブンは誰1人例外なく地に伏せ、立ち上がれずにいた。
やがて、審判がホイッスルを鳴らす。
試合終了だ。
「地球にはこんな言葉がある。"雉も鳴かずば撃たれまい"」
そう言って、レーゼは黒いサッカーボールを手に取る。
そこから何が起こるか、想像に難くなかった。
「やめろォォォォォォォォ!!!」
始まったのは傘美野中の破壊。
美しい校舎は次第に無惨な瓦礫へと姿を変える。
それを地に這いつくばりながら見ることしか出来ない雷門イレブン。次第に、身体に蓄積された負荷と目の前の悲惨な光景によるショックで気を失い始めた。
が、ただ1人だけ立ち上がった者がいた。
「させるかァァァァァ!!」
柊弥である。
悲鳴に似た声を上げながらも身体に力を漲らせてレーゼの前に立ち塞がった。
このままでは引き下がれない。このままでは終われないと自身に発破をかける。
「柊・・・・・・弥・・・・・・!」
薄れる意識の中、円堂守が最後に見たのは──
「ぐァァァァァァ!?」
──血を撒き散らしながら宙へ舞う親友の姿だった。
「柊弥先輩ッッ!!」
グラウンドに響き渡ったのは、校舎を破壊される傘美野イレブンの恐怖、蹂躙するジェミニストームの嘲笑、そして想いを寄せる人が傷付けられるのを目の当たりにした音無春奈の悲鳴だった。
「で、お父様にその機械を手渡された訳だ。」
人知れず、3人の少年がやり取りを交わしていた。
燃えるような赤い髪の少年、冷たさを感じさせる白髪の少年、そしてどこか表情に憂いを浮かべる赤髪の少年。
「ああ。」
「誰に使うのかはもう決めているのかい?」
「うん、決めているよ。」
「・・・豪炎寺修也か?それとも・・・加賀美柊弥か?」
挙げられた2人の名前。
どちらも雷門イレブンにおいて大きな存在である。
「それはね───」
魔の手が迫っていることを、かの少年は知る由もなかった。
その空間には、悪意に満ちた赤い輝きだけがあった。
「────うっ・・・」
気がついたら、そこは知らない天井だった。
そして俺が横になっていたのは1人用にしてはあまりに大きすぎるベッド。
そのベッドからはみ出した手を、温もりが包んでいたのを感じた。
「・・・春奈。」
俺の手を握り締めていたのは春奈だった。
その目元を真っ赤にして、俺の手を半ば抱えるようにしてうずくまって眠っていた。
「気がついたようだな。」
「鬼道。ここは?」
「俺の家だ。傘美野中から近かったんでな、お前の両親の許可を得て運び込ませてもらった。」
「そうか・・・あれから、どうなった?」
身体を起こそうとすると、鬼道に「いい」と言われ制される。
そのまま鬼道は語ってくれる。
俺達が敗北した後、雷門中のように傘美野中の校舎も破壊され尽くしたこと。全国の中学校で同じようなことが起こっていることを。
「・・・俺達、負けたんだな。」
「・・・ああ。」
「世宇子中に勝って、優勝したのにな。」
「・・・・・・ああ。」
片方の手が自然と握り拳を作り、震えているのを感じた。
ふと鬼道に目をやると、歯を食いしばり、全身を震わせているのが見えた。
「───柊弥先輩?」
「春奈・・・ごめん。心配かけたな。」
遅れて目を覚ました春奈に声をかける。
その直前に、春奈が付きっきりで俺の看病をしてくれたことを聞いたため礼を言う。
「俺と春奈はこれから雷門中に行く・・・お前はどうする。」
「俺も行くよ・・・見たくないけど、見なきゃ。」
そう言ってベッドから身体を起こす。
未だ全身は軋んでいたが、動かせない程では無い。
痛みを怒りで押さえつけ、身体を動かす。
向かうは雷門中。悲惨な光景が待ち受けるのを知っていながらも。
【原作との相違点】
・豪炎寺に加え、エイリア学園狙われる柊弥。
次回、旅立ちです。
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