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「───柊弥が、いない・・・?」
息を切らしながら走ってきた音無が告げた事実は、雷門イレブンにとって衝撃以外の何でもなかった。
普段の彼らならいない、と言われても少し離れたところまで行っているだけだと認識しただろう。
が、その直前に起こった突然の豪炎寺の脱退。この事が残された者達の不安を駆り立てた。
「もしかして、豪炎寺さんの後を追って行っちゃったでやんスか!?」
「いや、そんなはずがない・・・こんな時だからこそ自分が欠けてはならないと、加賀美なら理解できないはずがない。」
「とりあえず、探しに行きましょう!!」
各々が散らばり、柊弥の姿を探す。
捜索は、日が沈みきるまでの数時間にも及んだが、遂に柊弥は見つからなかった。
『──分かった。豪炎寺の件と併せて鬼瓦刑事とも話をするから他の皆のことはくれぐれも頼むぞ。』
「はい。よろしくお願いします。」
(加賀美君・・・一体何処に行ったの?まさか既にエイリアの手が──)
吉良瞳子は焦っていた。
豪炎寺が離脱した今、この雷門の得点源となるはずだった2人の内片方、なおかつ副キャプテンである柊弥が突然を姿を消したのだ。
その上、柊弥が帝国、世宇子戦にて見せたあの理解の及ばない謎の力は、エイリアとの戦いにおける切り札とも呼べるものだった。
それが失われたとあれば、焦らないはずが無かった。
(柊弥、どこ行っちゃたんだよ。)
円堂守は憂いていた。
もし自分があの時、無理にでも柊弥を連れて戻っていたならこんなことにはならなかったのではないか、と思えてならない。
幼い頃からの付き合いである柊弥、チームのエースである豪炎寺が同時にいなくなったことが先への不安を煽る。
試合の最後で敵のボールが見え、一歩前進と思ったその矢先のこの出来事。
だがそれでも、自分はキャプテンなんだと己に喝を入れる。
いつかまた再会できると信じて。
(豪炎寺に加えて加賀美まで・・・クソッ!!加賀美の件を置いておいたとしても、豪炎寺の件は許せねぇ・・・!俺がストライカーとして、もっと強くなんねえと・・・!)
(このタイミングでの加賀美の離脱・・・間違いなくエイリアによるものだろう。監督への不満で豪炎寺の後を追うなんてあいつがするはずがない・・・ヤツらめ・・・!)
染岡竜吾、鬼道有人は憤っていた。
その怒りは何に向けられたものだろうか。
理解の出来ない指示を出した自分達の監督へ向けてか、仲間を陥れた敵へ向けてか。はたまた無力な自分へ向けてか。
或いは・・・自身の妹を悲しませた男に対してか。
(柊弥先輩・・・私、まだ答えてもらってませんよ・・・?)
音無春奈は嘆いていた。
柊弥を呼びに行きその姿が見えなかった時、まさかと思った。
声が枯れるくらいに名前を呼びながら捜しても、答えてくれる声はなかった。
自分の告白への答えを出してくれるというその約束が守られなかったことを悲しんでいるのではなく、ただ想い人が自分の前から姿を消してしまったことを悲しんでいた。残された物をその手に握りしめて。
「皆聞いて頂戴。さっき響木さんから連絡があって、次の目的地が決まったわ。北海道よ。」
「北海道・・・次のエイリアの襲撃予告でもあったんですか。」
「そうじゃないわ。そこにいるストライカー、吹雪士郎をスカウトしろ・・・との事よ。」
豪炎寺と柊弥の脱退により、このチームの攻撃力が劇的に下がっているのは誰しもが理解していた。
だが、全員の頭の中ではこのチームのストライカーは残った染岡と姿を消した2人である。
その想いが1番強いのは他でもない、残された染岡だった。
「待てよ監督・・・豪炎寺を抜けさせ、加賀美は行方知れず。だからってそんな簡単にストライカーを補充していいのかよ?このチームのストライカーは、アイツらを差し置いていないだろうが!?それに、まだ加賀美が戻ってくる可能性だって──」
「だとしても、豪炎寺君の穴は埋めなければならないわ。」
そう言って瞳子は再びどこかへと姿を消す。
自分の声を聞こうとしない瞳子に怒りを隠せず、染岡は地面を蹴り飛ばす。
「吹雪士郎・・・か。一体どんなストライカーなんだ。」
「待てよ鬼道、簡単に認めていいのかよ!?」
「落ち着け染岡・・・そんなことを言っても、2人は戻ってこない。」
その一言に染岡は制される。
一際ショックが大きい春奈に代わり、夏未が吹雪士郎の情報を調べ、提示する。
別名、熊殺しの吹雪、ブリザードの吹雪。
1試合で10点叩き出しただとか、熊より大きいだとかいう話を一同は簡単に信じられない。
「でも、吹雪士郎が所属する白恋中はFFにも出ていないから・・・あまり記録がないのよ。」
「噂ばかりで未知数、という訳だ。」
「とにかく、行ってみるしかないな・・・監督の言うことも一理ある。」
「そうだな。よし皆、次は北海道だ!!」
円堂がそう声を張るも、反応は悪い。かくいう円堂の声も、どこかいつもより曇っている。
出来た穴は、あまりにも大きいのかもしれない。
「柊弥が・・・!?」
豪炎寺は知らされた親友の行方不明に驚愕した。
つい先程、別れる際に「待っている」と言ってくれた柊弥はその後間もなく姿を消した・・・誰にも知らせずに。
「ああ、恐らくエイリアの仕業だろうが・・・」
豪炎寺を乗せ車を走らせている鬼瓦はそう呟く。
エイリア学園から妹である夕香を人質に協力を迫られ、一時的なチームの離脱を選んだ豪炎寺を回収しに来た鬼瓦は、先程電話でそう知らされた。
部下に周囲の捜索をさせたが、やはり見つからず。
その痕跡の無さからエイリアの仕業であると断定することにした。いや、もはやこの時期にそう思わない訳がなかった。
(柊弥・・・無事でいろよ。)
豪炎寺は心の内で親友の無事を願う。
が、その願いは知らぬところで既に裏切られていた。
「・・・それで、その男はどう使うんだい?グラン。」
「今のままじゃ使いもんにならねぇだろ?セカンドランクにも劣るようなヤツが。」
「その通りだ。だからまずは訓練させるよ・・・俺達と同じように。」
そう訊ねられたグランの頭の中には、既に目の前の男をどうするか明確なビジョンが固まっていた。
(まずは使わなくなったあの施設で基礎を固めて、その次にセカンド、ファーストランクを相手させる。そして頃合いを見て俺達マスターランクとやらせようかな・・・勿論実戦も挟んで、ね。)
「しかし、お父様を疑う訳では無いが・・・本当に洗脳なんて出来るのかい?」
「さあ?その答えは・・・もうすぐ出るんじゃないか?」
手渡されたあの機械を用いて無理矢理に目の前の敵を自分達の仲間に引き込む。
グランとて抵抗が無いわけではなかった。だが、愛するお父様の期待を裏切ることと比べたら"そんなこと"と一蹴できた。
ガゼルが言う通り、"洗脳"など出来るのだろうか・・・と疑問に思う部分もあった。
しかし、その答えは今しがた自分で言ったように目の前で示された。
「・・・」
「なあ、これ本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫さ。おはよう────」
そう目の前で起き上がった男の名前を呼ぶ。
その目元には例の機械が取り付けられており、その中心では宝石のような何かが赤く煌めいていた。
そしてその男は無機質な声で答える。
「───問題無い。」
「じゃあ、行こうか。」
(ごめん。そしておやすみ・・・加賀美柊弥。)
そう心の中で呟き、新たな仲間の手を取る。
胸の内に僅かな躊躇を秘めて。
「え、パパが見つかった!?」
移動するキャラバンの中で塔子の声が響く。
飛び込んできたその知らせは、誘拐されていた財前総理を発見したとの事だった。
キャラバンは停車。その中で全員ニュースが流れる音無のノートパソコンを囲む。
宇宙人に攫われていた財前総理は保護されたが、その動向は明らかになっていない。画面に映し出されたニュースキャスターはそう言った。
「良かったじゃない。これでお父さんに会えるね!」
「・・・東京には戻らないよ。あんなヤツらは絶対に許せない・・・だから、皆と一緒にサッカーで戦う!ほら、このままじゃ人数も少ないからさ。」
木野のその声に塔子ははっきりと意志を述べる。
それを円堂は拒むことなく、互いにグータッチを交わした。
翌朝、円堂の気遣いで父と再会した塔子は雷門イレブンと共に戦うことを改めて父の前で誓った。
「君が円堂君か。」
「はい!」
「いい目をしている・・・私は私で、出来るだけのことをする。だから君達も力を貸してほしい。」
「分かりました。あんな連中には負けません。」
そう言って円堂はキャラバンに乗り込む。それに塔子も続く。
そしてイナズマキャラバンは進み出す。行き先は北海道。
新たなストライカー・・・吹雪士郎を求めて。
【原作との相違点】
特になし
強いて言うならば原作以上の一時的な士気の低下。
はい、今回はかなり短くなってしまいました。しかもそこまで内容が詰まっている訳でもないという。
仮にも物語の大きな動きとなる話なんだからもう少し盛りたいところでしたが、私の腕では不可能でした。
その分、次からの内容を濃くしていければと思います。すみません。
次は恐らく雷門が北海道に到着した所からだと思われます。
敵の手に落ちた柊弥の出番は・・・いつになるかわかりません。
どうかお楽しみに。