「またお前たちか。何故ここにいる?」
「俺達が代わりに戦う!」
「フッ、地球人は学習能力がないようだな。2度も我々に敗れてなぜ分からない?我々には適わないと。」
「宇宙人の想像力も大したことないね!私達がパワーアップしたとは思わないの?」
白恋中にとうとうその姿を現したジェミニストーム。
レーゼが本来ここにいるはずではないであろう円堂達に疑問を投げかけるが、円堂や塔子は怖じけることなくレーゼに言葉を返す。
それを聞いたレーゼは不敵な笑みを浮かべる。
「良いだろう。地球にはこんな言葉がある・・・"二度あることは三度ある"!」
といって、強烈なカーブを掛けながらボールを蹴り飛ばす。
途中何度も曲がりながら、ボールは円堂目掛けて突き刺さる。
以前ならば取れなかったであろうそのボールを、円堂はしっかりと止めてみせる。
レーゼに笑みを返す円堂。が、レーゼがそれに反応することは無かった。
『凍てつく北の大地を溶かすほどの熱気!!テレビ中継も行われる注目の雷門イレブン対エイリア学園!!まさに世紀の決戦が今行われようとしています!!』
地球の命運が掛かっているその試合を発信すべく、幾つものテレビ局がグラウンドを囲む。
冷気と緊張感が空間に満ちる。
「私達の学校、壊れちゃうの?」
「大丈夫だよ、絶対に宇宙人なんかに負けないから。」
「吹雪!頑張ろうぜ!」
不安に耐えかねた白恋イレブンが吹雪を囲む。それに対し吹雪は安心するように声を掛け、後ろから円堂も同調する。
「──良いわね、鬼道君。」
「分かりました。」
少し離れたところで鬼道に今回の試合の指示を出した瞳子。
聞き終えた鬼道が雷門イレブン全員を集める。
「吹雪。最初はセンターバックに入ってディフェンスに専念してくれ。俺が指示を出すまで攻撃は禁止だ。」
その言葉に驚きの声が上がる。
「何故だ鬼道!?吹雪のスピードを活かした攻撃で点を取るんじゃないのか!?」
「まあ聞け・・・俺達は吹雪の助力もあって確かにスピードを身につけた。だが、ヤツらのスピードに慣れた訳ではない。これはそのために監督が出した指示だ。」
「なるほど・・・スピードに慣れるまでは失点する訳にはいかない。慣れない内にヤツらに追いつけるのは吹雪だけってことか。」
「吹雪の出る幕はねぇよ・・・俺が点を取ってやる。」
最もな疑問に対するその回答に一之瀬は頷かざるを得ない。
吹雪が攻撃に参加しない、と言われても染岡の闘志は依然として燃え続けていた。
「よし!絶対にヤツらに勝って、入院している半田達にも勝利の報告を届けてやろうぜ!」
円陣を組み、手を重ね合わせる。
試合前に改めてチームの想いは1つに。
「やるぞ・・・今度こそエイリア学園の侵略を終わらせるんだ!!」
「「「おう!!!」」」
気合いに満ちた声がグラウンドに響き渡り、雷門イレブンは動き始める。それを見ていたジェミニストーム達。
「レーゼ様・・・ヤツら本当にパワーアップをしているようですが。」
「我々が地球人に遅れを摂るなど有り得ない。それに・・・あの方も来る。」
「・・・ですが、あの方は未だ調整の真っ最中のはず。我々に着いてこれるとは・・・」
「そう言うな。グラン様が付きっきりで調整しているのだ・・・問題ない。」
雷門の様子を見て、その実力が以前より向上していることを的確に把握したジェミニストーム。
だがそれでもレーゼの余裕は揺らがない。
話を終えてジェミニストームもグラウンドに入る。それを見て雷門もポジションに着く。
『さあ両チーム気合十分!運命は人類に味方するのか、それとも見放すのか!?』
「本気で我々に勝てると思っているのなら、愚かとしか言いようがない。」
「何だと!?」
「言わせておけ!黙らせればいい・・・俺達のサッカーで。」
『さあ雷門のキックオフで試合開始だ!!』
染岡が鬼道にボールを渡し、染岡、鬼道、一之瀬、風丸が駆け上がる。
そしてボールは染岡に戻される。
「さて、少しは──!?」
レーゼは驚愕した。
目の前の地球人達は、自分達の予想を遥かに上回るスピードを得ていたのだ。
そしてさらに、それが自分達よりも上であることを察してしまった。
それに驚いたのはレーゼだけではなく、他のメンバーも同様だった。そのせいか反応が遅れる。
気を取り直して雷門の行く手を阻む。が、動揺が残っている故にイマイチボールを捉えきれない。
「いけ染岡!」
「おう!!」
風丸からフリーの染岡にパスが出される。
そのボールを染岡は天高く蹴り上げる。すると、地面を突き破り姿を現した羽根を得た蒼龍。
蒼龍と共に降りてきたボールを染岡は全力でゴールへ叩き込む。
ドラゴンクラッシュとは比にならないエネルギーを秘めたそのシュートは、スピードも段違いだった。
ジェミニストームのキーパー、ゴルレオがボールに触れることは無かった。
「これが俺の・・・ワイバーンクラッシュだ!!」
「馬鹿な・・・!?」
『ゴ、ゴォォォォル!!なんと雷門!開始間もなくジェミニストームから1点をもぎとったァァ!!』
ジェミニストーム以外から歓声が湧き上がる。
以前は1点を取るどころか、何十点もの失点を許していた相手に対して先制点をもぎ取ったのだ。反応を許すこと無く。
「我々が・・・圧倒された?」
レーゼが顔を真っ青にしながらそう呟く。
「へっ、これが俺達のサッカーだ!」
「地球人如きが、調子に乗るな・・・!」
染岡の挑発気味なその一言に、レーゼは眉間を震わせる。
予想だにしていなかったこの展開。レーゼは先程の己の余裕を後悔することになる。
(──ここで負けたら、我々ジェミニストームの立場が・・・!!)
仮に自分達が負けようものなら、自分達の上に控えるチームからどんな扱いを受けるか想像に難くなかった。
失望の目線を向けられ、用無しとして扱われるのが目に見えている。
その認識が、レーゼを奮い立たせる。
そしてそのレーゼを見て、ジェミニストームのメンバーも今一度気を引き締め直す。
失点によりキックオフはジェミニストームから。
ボールはリームからディアムへ渡り、ディアムは前線へと駆け上がる。
その目の前に立ちはだかったのは塔子。
隙のないそのディフェンスを抜くのは困難とみたディアムは、後ろのイオへバックパス。
「もらった!!」
が、そのボールは風丸によって奪われる。
奪い返そうと風丸に飛びつくイオ。
「疾風ダッシュ!!」
その速さは正しく"疾風"
目にも止まらぬドリブルでイオを抜き去り、再びボールを前線へ運ぶ。
様子を伺い、マークにつかれていない鬼道へパスをだす、が。
「何!?」
そのボールが鬼道に渡るよりも早く、レーゼが空中でカットする。
そのまま駆け上がるレーゼを止められるものはいなかった。
・・・ただ1人を除いて。
「アイスグランド!!」
吹雪の舞うようなディフェンスにボールを奪われてしまうレーゼ。
「ナイスだ吹雪!!」
吹雪が風丸にボールを回す。
だがすぐボールはジェミニストームに奪われる、そしてそれを吹雪がゴール前で奪い返すことの繰り返し。
最序盤に先制点を決めたものの、ジェミニストームの全力の前にはイマイチ追いつけない雷門イレブン。
が、それも時間の問題となりつつあった。全員が段々とそのスピードに慣れつつある。
ボールは真ん中にてジェミニストーム、パンドラがキープ。
それを鬼道と一之瀬は2人がかりで抑えにかかる。
以前の試合で掴んだジェミニストームの攻撃パターン。それに則ってのこのマークだったがその予想をジェミニストームは上回る。
サイドから上がるイオにパスを出したパンドラ。
予想していなかったそのパターンに驚く鬼道。
「何だこのパターンは!?」
ボールを受け取ったイオはそのままレーゼへとパスを出す。
そのままダイレクトでレーゼはボールに回転をかける。
紫色のエネルギーが収束、それに空気が揺らされる。
ボールはそのエネルギーを周囲に纏い、圧倒的パワーを感じさせた。
「アストロブレイクッッ!!」
放たれたアストロブレイク。
その威力を少しでも減衰させるべく、壁山と塔子が立ちはだかり技をぶつける。
が、いとも簡単にそれを打ち破りボールはゴールへ迫る。
「させるか!爆裂パンチ!!」
ボールに向かって連続で拳を叩き込む。
特訓を経て一撃の威力、連撃の速度も増した爆裂パンチ。
だが。
「うわッ!?」
レーゼのアストロブレイクを破るには至らなかった。突き刺さったそのシュートにゴールネットは揺らされ、ホイッスルが鳴り響く。
得点は1-1。振り出しに戻った。
「円堂!!大丈夫か!?」
「ああ・・・大丈夫だ!今は反応が間に合わなかっただけだ!もうあのシュートも目で追えるようになった・・・次はマジン・ザ・ハンドで止めてやる!!」
そう宣言する円堂。
シュートを目で追えるようになった。それはあの1本でジェミニストームのスピードへの対応が出来るようになったということ。
そして、それは他のメンバーも同じことだった。
1点を取られたものの、雷門の自信は未だ衰えてはいなかった。
「・・・よし、ポジションチェンジだ!」
その一言で雷門の陣形が切り替わる。
吹雪を前線に押し上げ、守備重心から攻撃重心へ。
吹雪を抜きにしても、今ならばジェミニストームのオフェンスにも追いつけると確信があった。
「吹雪、染岡・・・任せたぞ。」
「おう!任せとけ!」
「うん。頑張るよ。」
体制を整えて試合再開。
染岡がボールを持って駆け上がる。
先制点を決めたこともあり、染岡には重点的な警戒がなされるが、むしろそれを利用してみせる。
染岡は一旦後ろの一之瀬にボールを戻す。
マークに着かれた染岡には出せず、一之瀬からなら出せるパス。
一之瀬の視線の先には吹雪がいた。
「吹雪!!」
「・・・行くよ、アツヤ。」
こちらに来るパスを見て、吹雪はそう呟いてマフラーに触れる。
その瞬間、吹雪の纏う雰囲気がガラリと変わる。
高く上げられたそのパスを、イオがトラップしようと待ち構えるが、背後からそれ以上のスピードで吹雪が飛び上がり、ボールを受け取る。
「ハッ・・・遅せェよ!」
そのまま吹雪は駆け上がる。誰もそのスピードには追いつけない。
あっという間にゴール前まで上がった吹雪は、必殺の構えを摂る。
「吹き荒れろ・・・エターナルブリザァァド!!」
吹雪の気迫に呼応して吹き荒れる暴風。
その暴風にゴルレオは身体の自由を奪われ、その巨体を浮かされる。
ゴールネットを凍り付かせたそのシュートが示す事実は1つ、更なる得点。
2-1というアドバンテージを得た雷門。そのまま前半終了のホイッスルが響いた。
『ここで前半終了だァァァァ!!雷門イレブン、2-1のリードで後半へ持ち越したァァァ!!』
ベンチへ戻っていく両チーム。
勝利へ王手をかけた雷門とは裏腹に、ジェミニストームには焦りが走る。
「レーゼ様、ヤツら・・・!」
「分かっている!」
ディアムの口添えにレーゼは声を荒らげる。
この危機的状況を乗り越える手段を得るため、レーゼは頭をフル回転させる。
その時だった。
ジェミニストームのベンチ付近に、黒いサッカーボールが飛来する。
着弾と共にボールから紫色の光が滲み出て、周囲を包み込む。
その光が晴れると、先程までいなかったはずの人物がそこには立っていた。
ジェミニストームのユニフォームに身を包み、黒い髪を後ろへ流した男。
特筆すべきは、目元に携えた重々しい黒い何か。
「───ネビュラ様!!」
「・・・状況を。」
試合に突如姿を現したイレギュラー。
それを目にした雷門イレブンには動揺が走る。
「・・・何だ、あいつ。前まではいなかったよな?」
「それにヤツら、"様"と呼んだぞ・・・」
雷門イレブンは彼の者の正体に気づくことは無い。
ネビュラの襲来に1番驚きを隠せていなかったのは瞳子だった。
(あの子は一体・・・私は、彼を知らない。)
瞳子は記憶にない少年の登場に困惑する。
目の前のジェミニストームの正体・・・他人に話せずにいたものの、瞳子はそれを知っていた。
その正体は、この事件の主犯である自分の父が運営する孤児院の子供たち。そしてこのチームの次にも控えているチームがいることを知っていた。
誰も知らないその事実を知っている瞳子ですらも、ネビュラの正体を把握してはいなかった。
嫌な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。
(あの人、どこかで・・・?)
そんな疑問を音無は浮かべていた。
だが、宇宙人の知り合いなどいるはずもなく、直ぐにその疑問を払拭することになった。
知らぬ内に果たされた再会を、誰も知る由もなかった。
【原作との相違点】
・初手からワイバーンクラッシュを放つ染岡
・前半のうちにジェミニストームのスピードに適応、それを受けて吹雪が原作よりも早く攻撃へ参加。
・2-1で後半へ。
・ネビュラの登場。
というわけでネビュラが後半から参戦です。
原作にはいない、文字通りイレギュラーの参戦によりジェミニストーム戦がどう変化するのか・・・お楽しみに。
追記
「加賀美 柊弥について」
のところに柊弥の外見、ネビュラの外見、ネビュラの目元の機械のイメージを追記しておきます。
是非ご覧ください。