雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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更新が遅れて申し訳ないです・・・
スケジュールの立て込んでしまったことと体調不良が重なり、約2週間程間隔が空いてしまいました。
極力早い更新を心がけます。ご容赦を。


第33話 3 minutes later

「ねえ、あんた本当に大丈夫な訳?」

 

 

 フィールドに入ってきた木暮にそう声をかける塔子。

 塔子の疑問は最もだ。雷門イレブンが知る木暮はただのイタズラ小僧。それが急に自分達の仲間として戦います、と言われてもはいそうですか、とはならないだろう。

 

 

「どう思う?」

「俺は春奈の信じるアイツを信じる」

「とはいっても、実力には疑問を持っているんだろ?」

「実力の分からないやつが入るってのは、意外性があって面白いかもよ?」

 

 

 勿論、そう思うのは塔子だけではない。

 妹である春奈の推薦があったとはいえ、このチームの司令塔である鬼道はしっかりと実力を把握しておく必要がある。

 とはいえ、もう試合が始まる。実力は試合の中で見定めるしかない。

 当の木暮は、イマイチ浮かない表情を浮かべている。

 宇宙人、エイリア学園に対する恐怖と、急に試合に駆り出されたことへの不安。その他諸々が加味されてのことだ。

 吹雪や円堂が楽しんでやるよう声を掛けるが、その表情が変わることは無かった。

 

 

「雷門中。ジェミニストームを打ち破った唯一のチーム。たったそれだけの事で我らに勝てると思うなど、我々も随分舐められたものだ」

 

 

 そう高圧的に言い放ったのはエイリア学園ファーストランクチーム"イプシロン"のキャプテン、デザーム。

 それがただの傲慢でないことは、先程のイプシロン対漫遊寺の試合で知れていた。

 試合終了までの時間経過を待たずして、漫遊寺側の棄権による試合終了。それまでにかかった時間は6分。イプシロンの実力が本物であることは疑いようもなかった。

 だが、雷門中とて簡単に負けるつもりはない。

 ここで負けたら、目の前の敵が破壊行為に勤しむであろうということは想像に難くなかった。それを簡単に許すはずはなかった。

 

 全員が軽いウォーミングアップを済ませ、臨戦態勢に入る。

 

 

「なんだよコイツら、本気で宇宙人に勝つ気なのかよ……?信じられねえ……」

 

 

 木暮は肩を震わせながらそう呟く。無差別に破壊を行うエイリア学園。恐怖の対象である敵に平然と立ち向かおうとしている雷門中。どちらも木暮にとっては"異常"でしかなかった。

 

 

「諸君。キックオフといこうか」

「暴れ足りねえな……レーゼに勝ったってなら少しは手応えあるんじゃねぇか?」

「お手並み拝見といきましょう」

「ぶっ潰す」

「命知らずって、マキュア大好き」

 

 

 獰猛な笑みを浮かべるイプシロンの面々。まるで獲物を前にした狼のようだった。

 

 

「聞け雷門中よ!破壊されるべきは漫遊寺中にあらず。我らに歯向かい続けるお前達雷門中と決まった!」

「また勝手に決めちゃってるよ」

「漫遊寺中は6分で片付けた。ジェミニストームを破ったその功績を讃え、お前達は3分で決着とする!光栄に思うが良い」

「3分!?」

「だから、勝手に決めるなっての」

「本当に腹立つなあ……」

「だったら、僕達も3分で片付けちゃおうよ!」

「へっ、面白ぇ」

 

 

 雷門中の面々の反応を意に介さず、デザームは言葉を続ける。

 

 

「エイリア学園ファーストランクチーム、イプシロンの力……思い知るがいい」

「3分だなんて……」

「それだけ私達に対して本気なのよ」

「ええ。先程の漫遊寺との戦いでイプシロンがどんな戦い方をするか分かったわ」

 

 

 ベンチにてそう瞳子が宣言する。

 ジェミニストームはスピードで押してくるチーム。それと比較してイプシロンは、的確に相手チームのFWを封じ、相手の攻撃を削いでいく。言わば、緻密な連携が取れているチームだ。

 

 

『それでは!雷門中対イプシロン、雷門中のボールからスタートです!!』

 

 

 開始のホイッスルが鳴り響く。

 残り3分。

 染岡のキックオフから始まり、早速素早いパス回し。目まぐるしく移り変わるボールの所在に、木暮は戸惑いを隠せずに棒立ち状態。

 そんな様子を、音無は不安気に見つめていた。

 

 

「戦闘……開始!!」

 

 

 その一言で、得点源である染岡と吹雪にマークが着く。

 染岡にはクリプトとファドラ、吹雪にはスオームとメトロンのマーク。雷門のツートップを封じることで、雷門へのプレッシャーを掛けることも目的の内だ。

 ならば、と風丸が駆け上がる。ケンビルとタイタンのタックルを高く跳んで躱す。

 

 

「流石にジェミニストーム以上のスピードだ……塔子!!」

 

 

 空中でボールを塔子に渡す。そのボールは塔子から鬼道に渡る。鬼道は早速得点を狙いたいが、吹雪と染岡はマークされて動けない。

 

 

(ならば!)

 

 

 鬼道はそのままボールをキープしながら駆け上がる。鬼道は自分で点を取る腹積もりである。

 ボールと共に高く跳躍し、指笛を鳴らす。それを聞いて地中から顔を出したのは数羽のペンギン。

 そのペンギンがボールに突き刺さり、ドリルのように回転を始めると、紫色のエネルギーが輝き始める。

 

 

オーバーヘッドペンギン!!

 

 

 オーバーヘッドキックを叩き込むと、ペンギンと共に紫色に煌めくシュートがデザーム待ち構えるゴールへと襲いかかる。

 が、鬼道とデザームの間に1人。

 

 

「一之瀬ェ!!」

「おう!スピニングシュート!!

 

 

 シュートチェインだ。

 凄まじい回転と共にボールに蹴りを叩き込んだ一之瀬。そのシュートの威力は目に見えて上昇。

 "オーバーヘッドペンギン"この技は、フットボールフロンティアにて雷門と帝国が戦った時に鬼道が円堂からゴールを奪ったシュート。

 雷門に加入してからは、柊弥に豪炎寺、染岡。前者二人が脱退してからも吹雪と、自身より強力なシュートを撃てる人間が何人もいた為、ゲームメイクに集中していたが、吹雪と染岡が封じられている今、自分も積極的に攻撃するべきだと判断した。

 が、それでイプシロンのゴールを割れるとは思っていなかった。

 そして思いついたのがシュートチェイン。

 

 

「ほう……だが」

 

 

 そのシュートに対し、モールとケイソンがツインシュートの要領でキックを加える。

 シュートの威力は減衰。すぐさま2人はその場から退く。

 衰えたシュートはそのままゴールへ向かうが、デザームは摂っているのはキャッチの構えでは無い。

 

 

「ふんッ!」

「何!?」

 

 

 シュートの構えだった。

 進行方向とは真反対に力を加えられたボールは、すぐさまその行き先を変える。

 打ち返したボールはそのままシュートとして突き進む。

 

 

「壁山!塔子!!」

 

 

 2人がシュートブロックに入る。

 数秒の拮抗の後に、ボールは勢いを殺されきらず空高く弾かれる。そのボールを取らんと吹雪が飛び上がるが、その背後からスオームとメトロンも追従する。

 

 

「吹雪!!」

「──ハッ、もらったぜ!!」

 

 

 人が変わったように獰猛な笑みを浮かべた吹雪は、自分より僅か下にいるスオームとメトロンの背中を踏み台にさらに高く跳ぶ。

 それにより2人は落下するが、吹雪はボールへと届く。

 

 

エターナルブリザード……いけェェェェェ!!」

 

 

 遥か上空より放たれた超ロングレンジシュート。猛吹雪を纏いながら凍りついたボールがゴールへ降り注ぐ。

 それに対し片手を差し出すデザーム。地面を削りながらシュートに押されゆく。

 やがてシュートのエネルギーが爆発を起こし、ゴールが白煙に包まれると同時に吹雪が着地、ゴールに目を向ける。

 

 

「なッ……!?」

『エターナルブリザード得点ならず!!イプシロンのキャプテン兼GK、デザームによってがっちりと止められてしまった!!』

(この滾るような感覚……何だ?)

 

 

 吹雪のシュートを止めたデザームは妙な感覚を覚える。胸の内に燻るような何かだ。

 

 

「敵ながらいいシュートを撃つ。見事だ」

「褒めてくれてありがとよ……!」

「お前達はエイリア学園にとって大きな価値がある。残り時間、存分に戦ってもらおう」

 

 

 残り時間2分20秒。

 デザームの豪快なスロー。そのボールをカットするよう指示を受けた一之瀬と染岡だが、2人の前にはそれぞれ新たなマークが。

 行く手を阻まれた2人はボールを取り損ね、イプシロンへボールの支配を譲ることとなった。

 始まったイプシロンのカウンターアタック。

 ジェミニストームより速く、なおかつ正確にボールを繋いでいく。

 

 

「木暮、お前も!!」

「無理!絶対無理!!」

 

 

 木暮は両手を前に突き出して拒否する。

 そんなやり取りはお構い無しにゼルがボールを受け取り、シュートの体制に入る。

 ボールに片手を翳すと、ボールは紫のエネルギーに包まれて浮かび上がる。

 両手を後ろに構え、それと同じエネルギーを十分に溜めた後にボールへと叩き込む。無論、ボールに直接触れていないためハンドではない。

 

 

ガニメデプロトン!!

 

 

 エネルギー砲のように放たれた必殺シュート。

 それに対しゴッドハンドの構えに入る円堂だが……

 

 

「間に合わん!!」

「クソッ、爆裂パンチ!!

 

 

 目にも止まらぬ高速殴打。拳が何度もボールに叩き込まれるが、その勢いは一切衰えない。

 ついに、その拳がボールの行く手を遮ることは出来なかった。

 

 

「ぐあッ!?」

「ふッ……開始より1分。まだまだ楽しませてもらおうか」

 

 

 予想を遥かに上回るシュートの威力。未だ痺れる自身の両手を見つめ、歯軋りをする円堂。

 予想通りの得点。残る時間はより自分達にとって有意義なものになると確信し、微笑むデザーム。

 残り2分。

 

 

「……」

 

 

 その光景を遠くから眺める、赤い髪の少年に気付く者はいなかった。

 

 

(ダメじゃん。雷門もデカい口ばっか叩いて、やっぱ信じられねえよ)

 

 

 次々と叩き伏せられていく雷門イレブン。

 他のメンバーと同じように狙われる木暮だが、自分に迫るボールは全て回避していた。

 

 

「逃げ足だけは天才的ね」

「木暮君しっかりして!逃げちゃダメよ!」

「……木暮君って、見えているからこそ完璧に躱すことが出来るのかも」

 

 

 秋が核心を突いた一言を呟く。その言葉を聞いて納得しような表情を浮かべるベンチ陣だが、それと同じことに気付く余裕はフィールド内の選手達にはなかった。

 全員がボロボロになっている中、木暮だけは未だ無傷のままだった。

 

 

「む……」

 

 

 ここでデザームが視線に気付く。

 漫遊寺の校舎2階からこちらに向けられたそれを確認し、口を開く。

 

 

「間もなく3分。我々は次の一撃をもってこのゲームを終了する」

「何ィ……!?」

「また決めてるし……!」

「聞けい人間共!!我らは10日の後にもう一度勝負をしてやろう!!」

「10日……?」

「だが、お前達は勝負のその日まで、生き残っていられるかな……?」

「何……どういうことだ!!」

 

 

 残り20秒。

 鬼道のその問い掛けに応じることなく、デザームは思い切りシュートを放つ。

 仄かに赤く煌めきながらボールは一直線に走り出す。

 

 

「ふざけるなァァァ!!」

 

 

 それに対して真っ直ぐに突進する吹雪だが、難なく吹き飛ばされてしまう。

 凄まじい風圧を纏い、砂塵を巻き上げながら突き進むそのボールに誰も触れることが出来ない。

 

 

「え」

 

 

 ボールの進行方向に立ち尽くす木暮。

 避けなければ、そう思ってはいるが恐怖のあまり身動きが取れない。

 が、すぐさま我に返りボールに背を向けて走り出す。

 

 

「木暮!!伏せてろ!!」

「うえええええ!?あっ!?」

 

 

 その場に横たわっていた壁山の脚で躓き、転倒する木暮。

 が、その拍子にボールが木暮の脚に振れ、その勢いのままに木暮を独楽のように回し始める。

 あまりの勢いに旋風が巻き起こる。

 それが止むと、無傷の木暮と勢いを完全に殺されたボールがその場に残っていた。

 

 

「……あれ?」

「消えた……!?」

 

 

 と、同時にイプシロンのメンバーも全員姿を消していた。

 夏未が手元の時計を確認すると、試合開始からちょうど3分が経過していた。

 

 

「……木暮君凄い!あれが木暮君の実力なんですよ!!」

「ちょっ、褒めすぎですよ音無さん!あんなものは所詮ビギナーラック──」

 

 

 木暮についての言い争いをする音無と目金を横目に、瞳子は漫遊寺の校舎の2階辺りに視線を向ける。

 秋にどうしたのか、と訊ねられても何でもないと返す瞳子。

 その行動の意図が明かされることはなかった。

 

 

「やったね木暮君!!」

「お前、アイツらのシュートをカットしたんだぜ?」

「へ……?」

 

 

 なんの事だか分からない、と言った様子で呆けている木暮に次々と賞賛の言葉が掛けられる。

 だが、段々と木暮の口元には笑みが見え始める。

 

 

「見事だったそ木暮!!──ぐわっ!?」

 

 

 木暮に駆け寄ってきた漫遊寺イレブンが悲鳴と共に姿を消す。

 その犯人は、木暮によって以前仕掛けられていた落とし穴。

 照れるような笑みからいつものイタズラ小僧のような笑みに切り替わった木暮は、音無に追われその場を去ろうとする。

 が。

 

 

「待ちなさい」

「監督……!」

 

 

 木暮の行く手を阻んだのは漫遊寺の監督。僧侶のような風貌をしている。瞳子に今までどこにいたのか訊ねられる。

 

 

「この子達が我が校を守るために如何にするか。その決断もまた修練。勝つも負けるも人生において無駄にはならぬと、何も言わずに見守っておりました。それはあの木暮とて同じです……」

 

 

 といって、音無に対して例を述べる漫遊寺の監督。

 

 

「監督、木暮を仲間に入れなくていいんですか?」

「俺も、あいつは戦力になると思うんです」

「……彼が、自分の意思で私達についてくるならね」

「ったく……しょうがねえやつだな……なあ吹雪?」

「……」

「吹雪?」

 

 

 染岡の言葉に対して、薄い反応しか示さない吹雪。その表情はどこか固く、暗い。

 

 

「僕、役に立たなかった……」

「んな事言ったら俺だって」

「何も役に立たなかったんだ!!こんなんじゃダメなんだ……完璧にならなくちゃ……!」

「……やっぱり、ヤツらと戦うにはもっとパワーが」

 

 

 吹雪の嘆きにも似たそれに、風丸がふと呟く。

 ジェミニストームに勝利を収めた矢先、ここまで圧倒されてしまってはこうなるのも無理はない。

 3分後に残ったのは、大きな悔恨だった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 イプシロンが漫遊寺を襲撃したのと同時刻。

 エイリア学園の本拠地……富士の樹海の基地にあるサッカーグラウンドに脚を踏み入れたネビュラ。

 その者の目線の先にはまた別の者が。

 

 

「……緑川」

「あっ……ネビュラ様……」

 

 

 ジェミニストームとしての任を解かれ、髪を降ろして私服に身を包んだレーゼ、もとい緑川リュウジの姿がそこにはあった。

 ネビュラが話しかけたのは、緑川がリフティングをしていたタイミングであり、掛けられた声に驚いた緑川はボールを零してしまった。

 

 

「も、申し訳ありま──」

「構わない。それと敬語も必要ない」

 

 

 そんなことを言われるとは思っていなかった緑川は、呆気に取られたような表情を浮かべる。

 こちらに転がってきたボールを拾い上げ、緑川の元へ歩み寄るネビュラ。

 

 

「サッカー、してたのか」

「……うん。誰かに見つかったらまずいって分かってはいたけど、身体を動かしたくて……」

「そうか……」

 

 

 イプシロンは漫遊寺へ。その他のチームはこの施設内にいるが、今はどのチームも練習していない。それを分かっていての行動だろう。

 

 

 2人の間に沈黙が流れる。

 気まずそうにしている緑川を見かねて、ネビュラが提案を持ち掛ける。

 

 

「……少し相手をしてもらおうか」

「え?でも……」

「お前は私に命令されて練習相手をするだけだ。他の者に見られても問題はないだろう」

「……分かったよ」

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ……」

「こんなところか。そろそろ切り上げるぞ」

 

 

 1時間ほど、ネビュラと緑川は2人でボールを追いかけていた。

 ジェミニストームの最後の試合からボールに触れていなかった緑川と、今やイプシロンすらも上回ろうとしている程のネビュラとでは実力差があまりに大きかったが、緑川はどこか満足そうな表情を浮かべている。

 

 

「あの、ネビュラ様……」

「敬語はいいと言ったはずだ」

「あっ……えっと、ネビュラ。また相手してくれたら嬉しいなあ……なんて」

「……良いだろう。次はジェミニストームの他のメンバーも誘ってみるとしよう」

「本当か!?よし、じゃあまた!」

 

 

 といって緑川はその場を去る。

 グラウンドには再び静寂が戻るが、ネビュラが不意に口を開く。

 

 

「見ているんだろう……グラン」

「ははっ、バレてたか」

 

 

 物陰から姿を現したのはグラン。

 いつものユニフォームではなく、私服に身を包んでいる姿だ。

 

 

「……それで、何か用か」

「いや、特にそういう訳ではないよ……ただ、そういう所は変わらないんだなって」

「そういう所、とは?」

「仲間想いなところだよ。君のその身体の持ち主……加賀美柊弥。彼と変わらないなって」

「……私は加賀美柊弥ではない、ネビュラだ」

 

 

 そう言ってネビュラはその場を去ろうとする。

 が、それを引き止める声が響いた。グランとは別の声が。

 

 

「おいおい喧嘩か?みっともないねえ」

「ふん……」

 

 

 ネビュラの進行方向から姿を現したのはバーンとガゼル。ネビュラの行く手を阻むように物陰から出てきた。

 

 

「何の用だ」

「別に?お前がセカンドランクの役立たずと遊んでたことをとやかく言おうってんじゃねぇよ」

「……なら何だ」

「そんなことする暇があるならよ……俺のところに来いよ、ネビュラ」

「待てバーン……抜け駆けは許さないぞ。ネビュラ、君は私のチームに来い」

「2人共随分とネビュラに熱心だね」

 

 

 バーンとガゼルが同時に自分たちのチームに来るようにネビュラに言う。

 それに対してグランが茶化すように口を挟む。

 

 

「この短期間でイプシロンの連中にも負けねえくらいに成長してんだ……興味を示さねえ方が可笑しいってもんだろ?」

「その通りだ。私達よりも遥かに上の成長速度……マスターランクのチームに混ざって特訓を重ねれば、すぐに私達と肩を並べることが出来るだろう」

「心配はいらないさ……ネビュラは俺達"ガイア"がもらうから」

 

 

 ネビュラを除いた3人の間に険悪な空気が流れ出す。

 そこで口を開いたのはネビュラ本人だった。

 

 

「エイリア皇帝陛下は、どのチームに所属するも私の自由だと仰った。お前達がどれだけいがみ合ったところで、全ては私の意志に基づく」

「はっ!いいから頷いとけよ。悪いようにはしないぜ……副キャプテンの座を用意してやっても良いぜ?」

「……そんなものに興味はない」

 

 

 そう言ってネビュラはその場を後にする。

 後ろから聞こえたのは3人の喧騒だけだった。

 




【原作との相違点】
・ジェネシスの称号の他に、ネビュラの所在を巡って争うマスターランクのキャプテン達


グラン、バーン、ガゼルの3人はかなりの期待をネビュラに置いています。
ネビュラの加入による戦力強化がジェネシスの襲名に繋がるだとか、そんなところでしょう

次は漫遊寺編の最後とその次の最初ですかね
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