雷鳴は光り轟く、仲間と共に   作:あーくわん

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色々と重なってまた更新が遅れてしまいました
生存報告をしておきたいというのが目的なので少し短めです。申し訳ありません。


第34話 陰謀と暗躍

巨大な紫色の石。

怪しく光るそれが放出するエネルギーは、周囲のものに不思議な感覚を与える。

今この場で話をする2人も例外ではなかった。

 

 

「──何か御用でしょうか。エイリア皇帝陛下」

 

 

そう先に無気質な声を鳴らしたのは黒光りする機械をバイザーのように身につけた男。ネビュラである。

そして、エイリア皇帝陛下と呼ばれた老年の男。

彼は吉良星二郎。

吉良財閥という大規模な財閥の社長にして、日本を騒がせるエイリア学園の首領。

 

 

「今回貴方を呼び出したのは他でもありません・・・貴方の身の振り方についてです」

「・・・と、言いますと」

「先日部下よりある報告がありました。マスターランクのキャプテン3人が何かを言い争っていると。理由は分かりますね」

「・・・私の所在について、でしょうか」

 

 

吉良は無言のまま頷き、目の前の石・・・エイリア石の原石。見上げる。

 

 

「そうです。あの3人は、貴方がどのチームに入るかを頻繁に争っているのですよ。1度や2度ではなく」

「それは」

「誤解はしないように。私はそれが悪い事だとは言っていません。寧ろ良いと思っているのです。マスターランクチームのキャプテンたるあの3人が貴方を巡り争うのは、エイリア最強のチーム・・・"ザ・ジェネシス"の称号が欲しいがゆえ。その争いを経て更に力をつけてくれれば万々歳です」

「・・・」

「単刀直入に言いましょう。貴方はこのまま、いや、もっとあの3人が争うように仕向けなさい。口喧嘩だけではなく、チームとして衝突するように。それが私の目的のためとなります」

 

吉良は堂々と言いきった。"私の目的のため"と。

この言葉を部外者が聞いたらどう思うだろうか。高々中学生程度の少年少女を、私利私欲のために利用すると明言しているようなこの言葉を。

だが、この場においてこの言葉を聞いているのは、吉良の忠実なマシーン。

 

 

「エイリア皇帝陛下の御心のままに」

 

 

全肯定の言葉を残し、ネビュラはその場を去る。

 

 

 

 

 

 

「父さんと何を話していたんだい?ネビュラ」

 

 

エイリア原石が保管されている部屋から伸びる通路を歩いていると、ネビュラにそう話しかける声があった。

その声の方向から顔を出したのはグラン。

 

 

「・・・私の身の振り方についてだ」

「そうか。どのチームに籍を置くかの催促でもされたのかい?」

「違う。その話については私の自由にしていいことに変わりはない」

「なら、どういうことだい?」

「・・・もっと力を付けろ、ということだ。お前達も、私も」

 

 

その言葉を聞いて満足したような表情を浮かべるグラン。

最後の一言で、ネビュラの、吉良の意思を感じ取ったのだ。

力を付け、それを示したものがネビュラを、ザ・ジェネシスの称号を手に入れることが出来るのだと。

 

 

「そうか・・・まあその話は後々。少し付き合わないかい?」

「・・・良いだろう」

 

 

そう言って、グランはエイリア学園の黒いサッカーボールを取り出して踏みつける。

辺りが眩い光に包まれて、グランとネビュラの視界も次第にホワイトアウトする。

次に2人が視覚を取り戻した時に目の前に広がっていたのは──

 

 

「ここは?」

「真・帝国学園だよ。ほら、見てごらん」

 

 

グランが指さした方向に視線をやると、複数の存在に気付く。そしてネビュラは声を漏らした。

 

 

「・・・雷門」

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

京都を出発した俺達の元に飛び込んできたある一つの知らせ。

"影山零治が真・帝国学園を設立した"

途中で合流した影山の手先、不動明王(ふどうあきお)の案内に従ってやってきた所で目にしたのは、帝国の校舎を彷彿とさせるような重々しい雰囲気の潜水艦。

 

 

「久しぶりだな、鬼道」

「─────ッ、影山ァァァァァァ!!!」

 

 

その姿を目にした瞬間、自然と喉が張り裂けんばかりの声で影山の名を呼んだ。

鮮明に蘇る影山の悪事。

影山の手招きに乗って俺は真・帝国学園の内部へと足を踏み入れる。自分でもらしくない行動だとは思う。煮えたぎる怒りが俺から冷静さを取り上げていたのだろうな。

 

そして、導かれるがままに進んでいく俺を待ち構えていた人物を目にして唖然とした。

佐久間と源田。

FFにて世宇子中に大敗を喫し、その試合の中で怪我をした2人は入院していたはず。

が、目の前の2人は怪我をしているような様子はない。

俺の中では完治したのか、という安堵よりも何故ここに、という困惑の方が膨れ上がっていた。

 

 

「強さが、勝利が欲しかったんだ」

「お前だって同じだ鬼道、だから俺達を見捨てたんだ」

「"俺達のサッカー"は・・・負けたじゃないかッッ!!」

 

 

そう激昂した佐久間が叩き込んだシュートの感触は未だに残っている。

あの勝利への執念・・・いや、俺への復讐心か。それが佐久間を、恐らく源田も強くしたんだろうか。

2人の言う通り、俺は自分が世宇子中に勝ちたいがために雷門に来たのかもしれない。帝国の仇を取るというのは大義名分だったのかもしれない。

 

だが、それでも────

 

 

「影山のやり口は間違っているんだ・・・!!」

 

 

歯を食いしばる。やり場のない怒りを自分に向けるように。

すると、肩の辺りに何かの感触があった。その正体を確かめるべく後ろを向くと、そこには円堂、そして雷門の仲間達。

 

 

「佐久間と源田を助けてやろうぜ、鬼道」

「・・・ああ!!」

 

 

瞳子監督は、この試合の全てを俺に任せてくれると言った。

俺の手で、佐久間と源田の目を覚ますんだ。

 

皆の後を追い、グラウンドへ足を踏み入れる。真・帝国学園のメンバーと正面から向き合い、一人一人を観察する。

その時、不敵な笑みを浮かべる佐久間と目が合った。

 

 

「俺達には秘策がある」

 

 

先程佐久間が口にしたその言葉が頭から離れない。

秘策、そして影山。どうにも嫌な予感がする。

まさか、あの"禁断の技"を・・・?

 

不安は拭えぬまま試合開始のホイッスルが鳴る。開始直後、佐久間と不動が駆け上がる。

予想を遥かに上回るそのスピードに、俺達は誰も反応ができなかった。

 

 

「見せてやれよ佐久間!お前の力を!」

「・・・」

 

 

無言のまま佐久間は動かない。ボールを奪うチャンスだが、徹底的なマークのせいで誰一人身動きが取れない。

 

 

「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

佐久間の咆哮が木霊する。

嫌な"予感"は"確信"へと変わった。俺はそれを止めるべく無我夢中で駆け出した。

 

 

「やめろ佐久間!!それは────」

 

 

佐久間が指笛を鳴らす。それは真紅の使者を呼び出すための合図。

地中から姿を現したのは血のように真っ赤なペンギン。縦横無尽に宙を舞い、やがて佐久間が振り上げた脚を啄む。

 

 

「────禁断の技だッッッ!!」

皇帝ペンギン、1号!!!

 

 

ペンギンを介して脚に集中した全てのパワーを佐久間はボールへ叩き込む。

その瞬間、佐久間は激痛に悶えるようにしてその場に蹲る。

 

ゴッドハンドッ!!

 

 

困惑しつつもゴールは割らせまいと円堂が黄金の手を突き出す。

が、拮抗する間もなくボールはゴールネットを揺らす。

 

 

「佐久間・・・お前何故・・・!!」

「見たか鬼道ォ・・・!俺の皇帝ペンギン1号を・・・!」

「二度と撃つな!!あれは禁断の技だ!お前を分かっているだろう!?」

「怖いのか?俺ごときに追い抜かれるのが!!」

「違う!!分からないのか、お前の身体が持たないんだぞ!?」

「敗北に価値はない・・・勝利の為なら・・・俺は何度でも撃つ」

 

 

脂汗を滲ませながら佐久間は自分のポジションへと戻る。

このままでは・・・

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「禁断の技か。なかなか面白いことするね」

「・・・勝利への執念は大したものだ」

 

 

グラウンドを見下ろせる位置で私とグランはその試合を眺めていた。

真・帝国学園の佐久間が放った"皇帝ペンギン1号"は凄まじい威力だ。だが使用者の身体へと莫大な負担を掛ける。故に禁断の技。

 

 

「あの男・・・あそこまでの力は無かったはずだが」

「彼だけじゃないよ。真・帝国学園は皆この短期間でパワーアップしているんだ」

「それほどまでのポテンシャルが?」

「いや・・・答えは簡単だよ。彼らには"エイリア石"を渡しているんだ」

「・・・成程」

「あ、また試合に動きがありそうだよ」

 

 

グランに促されてグラウンドに視線を戻す。

鬼道、染岡、一之瀬がボールを持って駆け上がる。あの技は・・・皇帝ペンギン2号か。

ネーミングと技の形から察するに、皇帝ペンギン1号を3人で分担し、負担を少なくしたのが皇帝ペンギン2号。その分威力も落ちているようだが。

 

 

皇帝ペンギン2号!!

 

 

対する真・帝国学園キーパー源田。

不敵な笑みを浮かべた後、必殺技の構えを取る。獣を彷彿とさせる構えだ。

 

 

ビーストファング!!

 

 

狼が獲物に食らいつくように源田は迫るシュートを受け止める。

確かにシュートは受け止めた。

その後まもなく、源田はその場に倒れ込んだ。

 

 

「・・・あれもか」

「そのようだね」

 

 

ビーストファングも、皇帝ペンギン1号と同じく禁断の技なのだろう。あの源田の様子と鬼道の焦りが何よりの証拠だ。

その後の試合は大した動きがなかった。

佐久間にシュートを撃たせないように、源田にシュートを撃たないように常に雷門がボールをキープする。

時折奪われるが、すぐに奪い返してまた拮抗状態。

このまま試合が進めば、先制点を取った真・帝国学園の勝ち。

 

「「うおおおおお!!!」」

 

 

鬼道と不動が雄叫びを上げながらボールを奪い合う。

果てには、2人同時にボールに蹴りを叩き込む。ボールに力が集中していき、行き場を無くした力は花火のように打ち上がる。

ここで前半終了のホイッスル。

 

 

「途中からは全然試合が動かなかったね。ギャラリーのことも考えて欲しいものだよ」

「・・・ギャラリーがいるとは思いもしないだろう」

 

 

両者がベンチに戻って後半に向けてあれやこれやと話をしている。

真・帝国学園の方はお構い無しに佐久間と源田に禁断の技を使わせるだろう。

 

 

「ネビュラ、どうなると思う?」

「・・・鍵は吹雪と染岡、だろうな」

「ふうん・・・」

 

 

私の予測に間違いはない。

後半、必ずこの2人を軸にして流れが変わるだろう。




真・帝国学園VS雷門の前半まででした
次回で真・帝国学園決着と次の目的地へ到着くらいまで持ってきたいですね
今後、ある一定の時点まではネビュラ・・・もといエイリア学園側の話が多めになります

なるべく早い更新を心がけます。
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