「ここにエイリア学園のアジトがあるのか……?」
"大阪にエイリア学園のアジトがある"という情報を元に大阪へやってきたイナズマキャラバン。
が、指示された場所にあったのはいかにもな森などではなく、客で賑わう遊園地、ナニワランドであった。
「間違いないわ。再度確認してもらったけど、このナニワランドのどこかにアジトがあるはずよ」
「理事長の言うことなら間違いないんだろうけど……本当に?」
「あら、パパを疑うの?」
「そういうんじゃないけど……なあ?」
「ま、まあとりあえず探してみようぜ? ほら、何人かに別れてさ──」
3,4人程でグループを作り、各自手分けしてアジトを探すことになった。
露天に突っ込もうとする壁山、現地の女子に囲まれる吹雪、アトラクションを回り続ける木暮。
順調とは程遠い状況でアジト捜索という名の遊園地観光が進んで行った。
数時間後。
「ええ!? 一之瀬が結婚する!?」
「せや、このお好み焼き食べたら結婚せなあかん決まりやねん」
一之瀬がThe・ギャルと言わんばかりの風貌をした浦部リカに拉致られ、なんやかんやあって結婚させられる流れとなってしまった。
それを聞き付けた円堂達がリカの説得を試みるも、当の本人は聞く耳持たず。
挙句の果てにはリカがキャプテンを務めるサッカーチーム、大阪ギャルズCCCのメンバーが集い、それを囃し立て始めた。
「では、ここはサッカーで決めましょう。勝った方が一之瀬君を連れて行ける……どうです?」
「ええで、ほな試合しよか」
仲裁案を出したのは目金だった。
その顔にはでかでかと"相手は女子チーム、楽勝だ"と書いてある。
しかし、これを相手側が思いのほか快く受け入れたため、ここに一之瀬を取り戻す為の戦いが始まった。
「ネビュラ様。全員集まりました……お願いします」
「ああ」
グラウンドに集められたイプシロンの面々とネビュラ。
デザームに頼まれたネビュラは、雷門との再戦を控えたイプシロンの調整に付き合うために駆り出された。
といっても、ここのところネビュラはグラン1人と特訓するか、イプシロンと特訓するかばかりだったのでいつもとそう変わらないが。
「俺も混ぜておくれよ」
「グラン」
「ネビュラ、そろそろ君は他者との連携を覚えた方がいいんじゃないかな? まだどのチームに所属するか決まってないとはいえ、身につけておいて損は無いよ」
「……いいだろう」
「それに、1人を相手するより複数を相手した方が練習になるだろうし、ね?」
グランの言うことは至極もっともであった。それゆえにネビュラはその提案を拒まない。
一方デザームはと言うと、自分がマスターランクに意見できるとも思っていないため口を開かない。
「じゃ、始めようか」
特に合図もなく練習は始まった。
ネビュラとグランの一糸乱れぬ連携を前に、イプシロンの面々は圧倒されかけているが、後方からのデザームの指示を受けて必死にくらいつく。
2人はというと、特に声で意思疎通を図ることも無く、相手の動きや視線を見て最適な手段を取っている。
(ああは言ったけど、散々雷門で連携なんかしてただろうし……問題ないか)
まさにその通りだった。
ネビュラが柊弥であった時、何よりも重んじていたのは仲間との連携。
人格が変われど、そんな経験を積んできているネビュラにとってそのくらいはお手の物だろう。
流れるように全員抜き去り、あっという間にゴール前まで進んできた2人。
グランからネビュラにボールは渡り、ネビュラはそのまま必殺シュート、"ジ・エクスプロージョン"をデザームが待ち構えるゴールへと撃ち込む。
「ぐッ……!?」
デザームもキャッチ技、"ドリルスマッシャー"で対抗するが、拮抗する間もなくゴールにぶち込まれてしまう。
ゴールを皮切りに、ネビュラとグランはイプシロンへの指摘を始める。
「ゼル、1人で走りすぎだ。周りが追いつけずに結局君1人になっているよ」
「それとは逆にマキュア、お前は遅い。もっと早く回り込まねばすぐに抜かされる」
次々と修正点を示す2人。それを一切反論せず受け止めるイプシロン。
その様子はさながら軍の上官と訓練兵。
一通り指摘を終えたら再び実際に動く。そしてまた指摘の繰り返し。
こうして時間は過ぎていく。
イプシロンの面々が汗にまみれて地に伏せることができるのは、そこから5時間ほど後のことだった。
「ネビュラ様、グラン様。ただいま報告が……」
「何だ」
「それが……我々が廃棄した特訓施設を、雷門が使用しているとの事で……」
「へえ……雷門が」
"廃棄した"とは言うが、実際のところはネビュラがネビュラになってからしばらくの間、あそこの施設を使っていた。
その時から何やら
それが今度は雷門が使い始めたという。
「いいんじゃない? 俺達エイリアの為にも、彼らには強くなってもらわなければ困るしね」
「異論ない」
「そ、そうですか……それならば良いのですが」
成長した雷門をザ・ジェネシスの名を冠したチームが潰すことにより、エイリアの力の有用性を知らしめるのが目的であると心得ている2人は、その現状すらも自分達にとって都合が良いと気にとめなかった。
「ネビュラ、こうして俺達はイプシロンを鍛え上げた訳だけどどう思う?」
「どう思う、とは」
「そのままの意味だよ。雷門はイプシロンに勝つかな? それとも負けるかな?」
「……さあ。ただ1つだけ言えるのは、ヤツらの成長は留まることを知らないということだろう」
「ふふ、同意だよ」
以前両チームが対決した際は、イプシロンの圧勝と言うべき結果で終わった。
が、さっきの報告もあり、雷門が以前より成長してくるだろうというのは火を見るより明らかなことだった。
2人が雷門に寄せるのは"期待"
雷門がどれだけ自分達の刺激となりうるか……関心が向くのはその一点のみである。
「ここに秘密が……?」
「さっき来た時は行き止まりで何も無かったぞ……?」
「と、思うやろ?」
ギャルズとの試合に勝ち、一之瀬の結婚を何とか阻止することが出来た雷門一行。
試合後、リカ達に連れられて城のアトラクションへとやってきた。リカによると、ここに自分達が強くなった秘密があるという。
リカが何やら機械を操作すると、隠し扉のようなものが開き、下へと通ずるエレベーターが姿を現した。
「これが……?」
「せやで。ここでアタシらは強なったんや」
地下に広がっていたのは、いかにもな特訓施設。中には、雷門中に地下に存在するイナビカリ修練場を思い出した者もいるだろう。
試しに何人かが挑戦してみるが、最初の方の段階で根をあげてしまう。
3日後のイプシロンとの戦いに備え、ここを使って特訓してもいいとのことだった。
「よし皆、やるぞ!!」
各自、自分が伸ばしたい能力に応じた設備へと向かっていく。
時間が経てば経つほど、目に見えてボロボロになっていく雷門イレブン。
それでも止まることはない。全ては再び相見えるために。
「……ぐッ」
突如胸の辺りを襲ってきた痛みに、僅かばかりの苦悶の声を漏らしてしまう
この痛みに襲われるようになってきたのはつい先日……真・帝国学園との試合の直後くらいからだったか。
きっと、事故の後遺症が再発してきたんだろうと思う。
幼い頃に交通事故で重体になった俺は、一命を取り留めこそしたものの、昏睡状態が長すぎて後遺症を患った
自分を死んだことにしてまで受けた長い期間の治療で、それも治ったと思ったけど……こうして再発してしまった。
「……あれは」
ふと、キャラバンの窓から外を覗くと、円堂と秋がどこかへ向かうのが見えた。
ナニワランドの方向……特訓でもしに行くんだろうか? 円堂らしいや。
できるだけ物音を立てず、皆に迷惑がかからないようにして外に出る。
少しひんやりとした空気が頬を撫で、肺を満たすのを感じる。心地良いな。
……俺がこのチームから抜けたら、どうなるんだろうか。
目金がいるけど、こう言っちゃ罪悪感に苛まれるけど俺の代わりは務まらないと思う。
彼は選手としてプレーするよりも、相手を分析、いわばサポートに向いている気がするからね。
実際そのおかげで助けられた場面だってある。彼も立派なチームメイトであることには変わりないさ。
「はぁ……」
柄にもなく溜息をついてしまう。
もし明日の試合中に、どうしようもないほどの痛みに襲われたら……?
きっと俺は耐えられなくて、ベンチ行き。その後は病院送りだろう。
けどせめて。明日の一試合だけは、戦いたい。
明日勝って、エイリア学園の目論見を終わらせる。 そうすれば、俺も安心して入院でも何でもできる。
それでも、またサッカーが暫く出来なくなるのは……嫌だな。
お待たせしました。
新年度が予想の5億倍くらい忙しくてなかなか更新出来ませんでした。
GWに入って急ピッチで仕上げたので、内容が少しごちゃごちゃしているかもしれません・・・
執筆は出来ずとも、構想はかたまっているので時間をかけてでも丁寧に文字に起こしていきたいものです。
それはそれとして、次回から書き方を変えようと思います。
具体的に言うと、視点の変更ですね。
柊弥が退場してからは三人称視点?で話を書き進めて来たのですが、あまりに書きにくいため次回から一人称視点に戻そうと思います。最後の一之瀬の描写みたいな感じですね。
投稿は疎らで、文章も拙い当作品ですが、これからも応援してくださると嬉しいです。
ではまた近いうちに・・・