「あらあら、これはなんというか……酷い有様ね」
「アストレア様……魔道具壊れちゃいました、ロキ様に何と謝ればいいのでしょうか」
「そんなこと気にしないの、みんな生きてるんだから。……生きてるのよね?」
「生きてます生きてます、立つ気力とか意識とかが無いだけです……」
「ユキはどうかしら、立てる?」
「た、立ちます……!」
全力で大暴れしたザルドによって舞台が壊滅させられた後、数多の冒険者達が意識を失って転がっているその空間に現れたのはアストレアだった。
エレボスからの命令も既にどうでもいいのか、それともガレス達を壊滅させた時点で達成されたと思ったのか何処かへフラフラと消えていったザルドを見て、密かに物陰で腰を落としていたユキ。
偶然にもアストレアがそんなユキの前を通り過ぎようとしたのは、半分奇跡の様なものだったのかもしれない。
既に援軍の冒険者達がこの場に到着し、気を失っている者達を運び始めているが、ユキの怪我は酷いというもので無かっただけマシだろう。
ただ精神的にも肉体的にも魔力的にも疲労が凄まじい事になっているというだけで、結果的にガレス達を巻き込む形にしてしまった事を申し訳なく思うだけで。
……まあユキが来なくとも戦う事にはなっていただろうが、ザルドが本気まで出す事は無かっただろう事を考えると、やっぱり普通に巻き込まれたと言ってもいい。
「ふぅ……あの、ところでこれから何処へ行くんですか?アストレア様」
「ふふ、そんなに楽しい所じゃないわよ?ある男神とお話に行くだけ」
「それは私もお供してもよろしいものですか?」
「ええ、問題ないわ。そのフラフラの状態で私に付いて来られればの話だけれど」
「あ、あはは……が、頑張ります……」
ズタズタになりつつも形だけは未だに保っている黒のローブを被りながら、ユキはフラフラとアストレアの横を並び歩き始める。
そうしていればむしろアストレアに肩を貸されてしまうのだから、もう本当に情けないというか何というか……
しかしそんな申し訳なさそうに笑うユキを見て、アストレアはむしろ嬉しそうに笑ってくれるのは、それがきっと以前の様な悲しい表情がそれなりに解消されている事が見て取れたからだろう。
当然、かなり疲労しているとは言え、こうして生きて帰って来てくれた事も嬉しく思う事の一つなのだろうが。
「次に戦う時には勝てそうかしら?」
「……きっと、ステータスは上限を叩いてます。いくつかは突破してるくらいに。ただそれでも、偉業がありませんから」
「レベルアップまでは難しい、と」
「はい、手札もまだ足りていません。せめて魔法があと一つでもあれば……」
「そればかりは運だもの、仕方ないわ。あまり気にしないで、今は急ぎましょう?アリーゼ達も居る筈だもの」
「はい……」
結果的にアルフィアとザルドの2連戦となり、レベルが2つも上の相手と強引に戦った事によるステータスの伸びはユキでなくとも凄まじい。それがユキともなればもっと凄まじい。
本当にこういう時にはとても頼もしいスキルだとユキは常々思う。
日常生活を送る分には妬まれるし、誤魔化さないといけないし、強くなる程に様々なしがらみに囚われる為、ユキ個人としてはあまり嬉しいものでは無いのだが。
それは奇しくもユキにとって縁の深い場所だった。
ユキがアルフィアと数日を共にした例の廃教会、その周辺に広がる通りや広間。
そこに闇派閥は部隊を展開しており、そんな彼等から逃げ惑う住民や怪我をした冒険者達を守る様にして、アストレア・ファミリアの者達が戦っている。
……そして、そんな彼等に応援の声を上げる者達が居る事は、これまでの感情的に冒険者達に当たり散らす彼等の行動を思い返してみれば、虫のいい話だと思うか、それともようやく分かってくれたかと嬉しく思うか。
「貴方はどう思うかしら、エレボス。先日会ったばかりだけれど……久しぶりね」
「アストレア……?まさか怪我人を背負って護衛も付けずにこんな所まで来たのか?くははっ、お前も相当にお転婆だな」
廃教会の朽ちかけた扉にもたれ掛かりながら、その男は目の前の惨状を見ていた。
以前に神エレンを名乗っていたその神は、今や絶対悪の象徴として神エレボスの神名を都市中に響かせ、今もまた1人の正義の卵を弄ぼうと画策を行い……丁度それが今見事に打ち崩された所である。
きっとそんな彼の前に今こうしてアストレアが現れたのは、チャンスやピンチというよりかは、本当にタイミングが良いというものだったのかもしれない。
どちらにとっても、ユキにとっても。
「それでそっちの子供は……ほう、これは驚いた。まだ生きていたとは」
「あっ、は、はい」
「……顔はよく見えないが、相当に疲労している様だな。鬼ごっこでもして来たか?」
「……滅茶苦茶追いかけられました」
「くくっ、主従揃ってお転婆とは。元気になったのはいいが、こうなると俺の計画は半分沈んだも同然だな。やれやれ、我ながら未練がましい」
どこか悔しそうに、けれどどこか嬉しそうにエレボスは空を仰ぐ。
闇派閥の戦力はまだ十分に存在している、アルフィアとザルドも未だ健在だ。
そこまで彼が言う理由が何一つ分からない2人は不思議そうな顔をするが、彼は一度アストレアに顔を向けると、再びユキの方へと目を移した。
「……これはアストレアに聞こうと思ったていたのだが、こうなった以上はやはりお前に聞くのが一番いいのかもしれないな」
「なにを、ですか……?」
「前と同じ、正義とは何かについてだ。俺はそれが知りたい。そしてそれについてお前がどう思っているのかも知っておきたい」
「……前の答えでは、足りませんでしたか?」
「以前に聞いたのものはお前の正義に対する印象だ、お前の言葉で表した正義の正体を俺は聞いていないだろう?当然、アストレアではなく、お前自身のな」
「……そう、ですね」
考えながら、ユキはアストレアを見る。
彼女もまた、自分のその答えに興味があるらしく、特に助け舟を出す事もなく申し訳なさそうに笑い掛けて来た。
……正義は拒んだ。
それは今でも変わらない。
それでは救えないものがあると思ったからだ。
救いたい者が救えないと思ったからだ。
だが、そもそもの正義の正体とは何か。
ユキの考えている正義とは何なのか。
自分の思う、正義の正体。
エレボスはそれを欲している。
ユキはエレボスの目にボロボロになったローブを取りながらも顔を向ける。
彼の考えている本心は分からない。
だが、心からその答えを欲しているという事だけは分かった。
まるでそれだけ分かれば十分だろうと、そう言われているみたいに。
「……私の思う正義とは、認識です。一見同じ様な正義であっても、人間が本当の意味では互いの事が理解出来ない様に、完全に同一なものは存在しません。そしてその本質は単なる欲望の一つだと私は思います」
「ほう……それならば正義を追求して生きる事とは、欲求に従って生きる事だと。それでは悪と大して変わらないな」
「そもそも、正義と悪は同じ意味であると私は思います。ただ規則や常識を重視するか、自由と快楽を重視するか、それだけの違いでしかない。どちらも自分の好ましく思う世界を求めている。正義なんて、そう綺麗なものじゃない」
「……アストレアの眷属が、それをこの場で断言するか」
アストレアは何も言わない。
目の前の悪神と変わらないと、そう言われていると取れてもいいその言葉に、けれど彼女は不快な顔一つせずにユキの方を見ていた。
「悪が人の幸福を奪う事もあれば、正義が人の幸福を奪う事もある。どちらを自称していたとしても、結局のところ人は自分の納得できる欲求に従って生きているだけですから。悪も正義も染まれば毒です」
「ああ、それなら俺も知っている。確か遠方の小国にそんな話があったな。民を法で雁字搦めにした挙句、反乱にあって消滅した愚かな国が。……なるほど、確かにそう考えれば正義も毒になり得るだろう」
「ですから、人は心の内に両方を秘めて、生涯をかけて戦い続けなければならないのだとも思います。悪と正義のどちらにも染まる事なく、そのどちらも受け入れて、それでも譲れない何か一つを見出す必要がある」
「つまり悪と正義とは、その最後の何かを見つけ出す為の過程や材料に過ぎないと……お前はそう言う訳だな」
「そうです。どちらを好きでも嫌いでもいい。ただこの世界にはそういうものがあって、そういうものが無ければ回らないという事を知り、納得出来なくとも受け入れる強さを身に付ける必要がある。……だからこそ正義とは、そして悪とは、人が最後には乗り越えなければならない心の壁です。ただ盲信し、そこで停滞している限り、心は弱いままなのだと思います」
人はルールがなければ生きていけない。
人は自由がなければ生きていけない。
正義も悪も、どちらかを根絶してしまえばこの世界は途絶えてしまう。
だから気に入らなくとも、許せなくとも、そういうものも必要なのだと、そしてそういうものが存在しているのだと、知らなければならない。
それは物凄く辛い事だ。
悪の存在を許す事など、普通なら考える事すらも否定するべきだ。
だが、それではただの根絶なのだ。
苦しくて、辛くて、理解したくなくて、認めたくなくて、それでも考え続けるからこそ人の心は強くなる。
行き着く先は例外なく諦観だろう。
スッキリする答えなど決してない。
だが、そこに辿り着いたからこそ見える物もあり、そこに辿り着いた時に漸く本当の意味で他者を見る事が出来る。
ユキはまだそれができない。
まだまだ弱い人間だ。
どころか、正義に向き合えてすらいない。
悪に対して強く目を取られてしまう。
理想は分かるのに、そこに届かない未熟な人間だ。
……けれど、恐らく最初の母はそれが出来ていた様に思える。
だから美しかったのだ。
だから憧れたのだ。
村が襲撃された後、自分の病も悪化して死が着実に近づいて来ていたとしても、それでも悔やむ事も憎む事も悲しむ事よりも前に、まず自分の将来を心配してくれた。
その生き方にユキは白を感じたのだ。
そしてその白さに、ユキはなりたかった。
「調和でもなく混沌でもなく、その中間……だがそれでは、白色と黒色が入り混じった灰色こそが世界の理想の在り方であると俺には聞こえる。お前は世界に灰色を望むのか」
「……!」
だからエレボスのその言葉は、深くユキの心に突き刺さった。
そうだ、ユキのその言葉は黒色でも白色でもなく灰色を肯定するものだ。ユキが母親に見出し、目指し続けてきた根底となる考え方を否定するものとなる。
それは元の世界のリヴェリアが常々感じ続けていたユキの思想の矛盾の一つでもある。
ユキが分かっていながらも目を逸らし続けてきた矛盾の一つでもある。
「それ、は……」
「ユキ・アイゼンハート、俺は今一度お前に聞こう。……お前は自身の理想に、何色を求める」
そして、エレボスはそんなユキの矛盾など今このやりとりだけで簡単に見抜いていた。
神なのだから、当然だ。
神でないリヴェリアでさえも分かったのだから、分かるに決まっている。
「さあ、答えてみろ。黒色の化身たる俺と、白色の化身たるアストレアの前で。お前の求める理想の色とやらを、逃げる事なく吐き出してみろ」
白色の正義。
黒色の悪。
灰色の理想。
けれどユキはどうしても、中途半端を理想として言うことは出来ても、灰色を理想と言い切る事が出来ない。
なぜなら、白色こそがユキの基盤だからだ。
けれど正義の使徒である事は、決してユキの理想ではない。
「……?」
そんな風にユキが自分の理想の色を探し、俯き、必死になって頭を回している中で……
ふと、自分の胸元から金属の音がした。
「これ……」
ユキが思わずそれを手に取れば、それはここに来る前にリヴェリアに手渡された首飾り。
元の世界のリヴェリアもユキに対して装飾物のような物を渡したいと言っていたが、それよりも先にこの世界のリヴェリアに手渡されてしまった、それ。
緑色の小さな宝石が中央に埋め込まれた、まるで彼女自身の瞳を思わせる様な美しいその装飾品は、本来はただのほんの少しの魔防の効果を持っただけの物だった。
その宝石の存在する周辺、つまり首元と胸の辺りにだけ接触した魔法の効果を僅かに軽減するというだけの効果しか無いのにも関わらず、悍しい程の金額のするそれを、リヴェリアはユキに対して与えた。
だが、どうしてだろうか。
それだけの効果しか無いにも関わらず、どうしてかその宝石は本当にリヴェリアの瞳の様にこちらを覗いている様な気がして来る。
これを通して本当にリヴェリアが自分のカッコいい所を見ようとしてくれているみたいで……
「エレボス様、アストレア様……私、自分のなりたい色が分かりました」
「なに……?」
「ううん、違う。私の理想の色なんて、もうずっと前から決まっていたんです。よくよく考えれば、それ以外の選択肢なんてあり得ないくらいだったのに」
ユキは両手でギュッと宝石を握り締める。
嬉しそうに、愛おしそうに。
それはまるで恋する乙女の様な……愛情に染まった満たされた表情で。
「ーーーー私、緑色に染められたいんです」
「み、どり……?染められたい、だと……?」
きっとその発言に誰よりも困惑したのはエレボスだった。
ユキを隣で支えていたアストレアは既に一連の話を聞いていたのでそんなユキの事を微笑ましげに見ていたが、そんな事を露程も知らないエレボスからしてみれば、そんな言葉は想定外にも程がある。
黒か、白か、灰色か……曖昧にせよ詳細にせよ、恐らくこの3つの色のどれかが出て来ると思っていたのに、ユキの口から放たれたのは本当に何処から突然やって来たのか緑色と来た。
しかも緑色になりたいではなく、緑色に染められたいだ。
本当にどうしたのか、何が起きたのか、分からないにも程があるだろう。
ただ……
「実は私、もうこっちの色の方が心地が良いんです。まさかあれだけ執着していた私が白でも黒でもなく、緑色に染められてしまうなんて……ふふ、世の中何が起きるのか分からないですよね」
そんな風に笑うユキの顔には、少しの嘘の表情も誤魔化しの様子もなくて。どころか目の前の少女の様な少年からは正義だとか悪だとかそんな小難しい言葉は頭から消え、むしろもっと大きな何かに塗り潰されている様な気すらしてくる。
……まるで正義だとか絶対悪だとか、そんなものその一つに比べれば本当にちっぽけなものだとでも言うかの様に。
「アストレア、これは一体どういうことだ……?」
そもそもエレボスはユキの事を殆ど知らない。
分かるのはこうして言葉を交わした事で得られるその人間性の情報だけだ。
けれどそんなエレボスの疑問にアストレアは一瞬キョトンとした顔をすると、直ぐに笑みを浮かべながら瞳を閉じた。
もしかすれば彼もまた乙女心には疎いのかもしれないと、そう思いながら。
「ねえユキ?貴方の人生は、好きな人が出来た事で少しは変わったかしら?」
「!……はい!とっても!」
まあ本当に、なんて幸せそうな顔をするんだか。
いくらアストレア達が理由を与え、言い訳を与え、最後の機会であるという納得をさせたとは言え、それだけでここまで人が変わるものなのかと。アストレア自身も信じられないくらいだ。
恋や愛というもの、実ればここまで人の心を強くするものなのかと。
そしてこの時になってエレボスもようやく理解する事が出来た。
どうしてあれほどまでに憔悴していたユキがここまで復活し、今こうして自分の前に立っているのかを。どうしてあれほどまでに絶望していた少女が心を取り戻し、今こうして目の前で笑みを浮かべているのかを。
「はぁ……やれやれ、これは俺もお手上げだな。神も子供も、色恋に目覚めたら手に負えなくなる。それこそ当人にとっては正義や悪だなんてちっぽけな物に見えるだろうよ。……だからこそ当人たる俺達とは違い、特有の目線で見られるのかもしれないがな」
「そうね……それで、ユキの言葉に納得はいったかしら?必要なら私の持論も語りましょうか、今のユキほど印象に残る様な事は言えないと思うけれど」
「いいや、もう十分だ。正直未だにその娘の事情は分からないが、お前が手塩にかけて育てた子供なのだろう、アストレア?それならば見出した答えの本質は変わらないだろう。お前の様な聡い女が正義をただ賞賛する筈などあるまい」
「……私が、私達という正義が姿を現すのは、人々の欲望が行き過ぎてしまった時だけでいい。以前の私は結局子供達を残して天界に帰ってしまったけれど、今度こそ私は最後まで子供達を見捨てはしない」
「それでも、神々の中で最後までこの地上に残っていたのはお前だったろうに」
エレボスはそう昔を懐かしむ様に語る。
それが果たして過去の混沌の時代を思い出してなのか、それとも最後まで人々に正義を呼び掛け続けていたアストレアの姿を思い出してなのかは分からない。
だが彼は確実に笑っていた。
人間にとっての正義と悪の在り方を語りながらも、結局は何よりも自身の愛という欲望の塊の道を進もうとしているユキを見て。
結局、人間とは欲で生きる生き物なのだ。
それは間違いでは無い、悪い事でも無い。
そしてそんな愚かな生き方しか出来ないからこそ、人間とは面白いのだと。
だからこそ、神々も子供達から目を離せないのだと。
まるでそんな事実を目の前で形として見せつけられた様で、心底面白くて、楽しくて。
「期待していた答えかどうかは微妙だが……ああ、久しぶりに有意義な時間だった。お前達に免じて、俺がリオンと交わした言葉は撤回しよう。今日は大人しく引き下がる事にする。
ーー行くぞ、ヴィトー」
「もう、よろしいので?」
「ああ、それなりに満足できた。これ以上の問答はむしろ蛇足になる。アルフィア達や兵も退かせろ」
彼の背後から姿を現した男性に薄らとその細い目を開きながら見られたユキは、しかし特に反応を返す事もなくエレボスの背中を見送る。
流石にこの状況で何かを仕掛ける事はしない。
というか、アルフィアとの戦闘中にエレボスを狙った事も、アルフィアなら確実に落としてくれると信用していたからこそだ。
アルフィアが居なければあの様な事が出来るものか。
ユキは決して、どんな形であれ敬うべき神々を殺すことなど出来やしないのだから。
「それじゃあな、アストレア、ユキ。次に俺がお前達の前に現れる時こそ、争いようの無い確かな終焉を齎してやる」
「……大丈夫ですよ、エレボス様。エレボス様が考えている計画は、私が全部全部滅茶苦茶にしちゃいますから」
「おおう、お前がそれを言うと本当に洒落にならないな。……全く、頼むから暴れ過ぎないでくれよ?出来るならばお前だけ都市の外に放り出してやりたいくらいだ」
そうして、エレボスとその眷属のヴィトーはその場を去っていった。
彼の言う通り、その後次第に闇派閥の動きは小さくなっていき、外でオリヴァスを撤退させたアストレア・ファミリアの団員達の働きもあって、此度の戦いは間違いなく勝利と言える結果を打ち出す事が出来た。
そしてそれは奇しくも、愛という欲望のままに生きる事を誓ったユキとは異なり、平和を求める彼の者達が改めて都市に存在を示す機会ともなって。
『女神の名の下に!天空を駆けるが如く、この大地に星の足跡を綴る!』
『『正義の剣と翼に誓って!!』』
「……それなら私は、心を捧げた妖精の女王に誓って」
都市に再び光が戻る。