鬼舞辻無惨レ〇プ!鬼狩りと化した先輩&淫夢ファミリー 作:ジョニー一等陸佐
野獣と炭治郎達が連携して手鬼を倒してから七日後、早朝。
最終選別は終わり、野獣たちは山の麓に集まっていた。
最初入った時には何十人もの少年少女がいたが、今集まっているのは野獣をはじめとした空手部三人と、炭治郎と善逸、蝶と戯れている少女と顔に傷のある少年の七人だけで、大きく激減していた。この事実は最終選別がいかに過酷なものであったかを物語るものであった。ちなみに伊之助は野獣や三浦が止めるのも聞かず我先にと真っ先下山してこの場にはいない。ホモはせっかち。
「お帰りなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」
入山した時のおかっぱの着物少女二人が口を開く。
最終選別が終わったこと、生き残り合格したことへの簡単な祝辞を述べると二人は今後の流れ等について説明を始めた。
隊服を支給すること、鬼殺隊の階級は十段階あり、野獣たちはまず一番下の癸から始まること、日輪刀は今日中に原料の玉鋼を選び二週間ほどで支給すること、また連絡用のために一人につき一羽、鎹鴉を支給すること等々。
バサバサっとはばたく音とともに炭治郎たちの肩に鴉が舞い降りる。これが鎹鴉なのだろう。
だが野獣の肩に止まったのは鴉ではなかった。
「えっ、何それは・・・」
野獣が腕を見るとその先にいたのは鴉ではなく黒いくりくりとした目を持った白い小動物、スローロリスだった。明らかに鴉ではなく、サルである。
野獣の腕につかまるスローロリスは黒い眼でじっと野獣を見つめながら、なぜか右手を上げガッツポーズをしている。
「ちょっと待って!?どうみても鴉じゃなくてサルなんですがそれは・・・」
「なんか、自分のこと淫夢くんって呼んでくれって言ってると思うですけど(名翻訳)」
困惑する野獣に炭治郎が言う。
「え、こいつの言葉分かるの?」
「はい。色々大変だろうけど、ハイ、ヨロシクゥ!って」
平然と肯定する炭治郎。正直信じられない野獣だったが、感情が分かるほど嗅覚が鋭いし嘘をつかない素直な性格なので本当なのかもしれない。
「そうか・・・それじゃ淫夢くんこれからよろしくナス!色々大変だろうけど、これからよろしくな~頼むよ~」
そういって野獣が淫夢くんの脇をなでると何故かスローロリスもとい淫夢くんはさらに勝ち誇ったように右手を上げガッツポーズをするのだった。
ちなみに明らかに鴉ではないものを支給されたのは野獣だけではなかった。
木村と善逸のほうを見れば、それぞれの手のひらにセミと雀が乗っている。
「・・・え?鴉?これ雀じゃね?」
「僕に至ってはセミなんですがそれは・・・」
バシィッ!ギャアッ!
一同が鴉を支給されるなか突然、何かが叩かれる音と鴉の悲鳴が聞こえた。
音のした方を見れば、顔に傷のある少年が支給されたばかりの鎹鴉を張り倒していた。
跳ね飛ばされた鴉を咄嗟に善逸がキャッチし撫でる。このあたり、善逸は臆病だが根は優しい人間の鑑といえるだろう。
「どうでもいいんだよ、鴉なんて!!」
鴉を跳ね飛ばした少年がそう言うと二人組の着物少女の白髪のほうに迫り、今度は彼女の顔めがけて拳を勢い良く突き出す。鈍い音がした。更に髪をひっつかむとそのまま彼女の顔面に迫り怒鳴る。
「刀だよ、刀!今すぐ刀をよこすんだよ!鬼殺隊士が持ってる『色変わりの刀』をよぉ!あくしろよ!」
だが彼の乱暴狼藉がさらに続くことはなかった。
炭治郎が怒りの形相で少年の腕をつかむ。
「人間の屑がこの野郎・・・!女の子に暴力を振るって恥ずかしくないのか!今すぐその手を放せ、放さないと折るぞ!」
「ああ?なんだテメェは・・・やってみろよ!」
少年のほうも表情一つ変えず負けじと言い返す。
瞬間、炭治郎の手に力が入りミシリと少年の腕が音を立てた。
激痛が顔を歪め、少年が少女の髪から手を放す。それから睨みあう二人。野獣が少女に駆け寄り、「おっ、大丈夫か大丈夫か?」と傷跡に布を当て介抱する。
「お話は済みましたか?」
緊張した空気が流れる中、着物少女の二人組の一人、黒髪の少女が口を開いた。
台のほうに手を向ける。
台には日輪刀の原料となる玉鋼がずらりと並んでいた。大きさも形も、色もそれぞれに異なる。
「それではあちらから、各人刀を作る鋼を選んでくださいませ。・・・鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼はご自身で選ぶのです」
各人が沈黙する中、鴉と雀の鳴き声、そして善逸の「多分俺はすぐ死ぬよ・・・死ぬ死ぬ・・・アーイク」という声だけが響き渡っていた。
「ぬわああああああん疲れたもおおおおおおおん」
「チカレタ…」
野獣と炭治郎は互いに肩を支えあいながら、鱗滝や秋吉、禰豆子の待つ狭霧山の小屋へ向かっていた。
選別が終わると、各人はそれぞれの育手のもとへ一旦帰宅するように指示された。
再び空手部の仲間と再会したばかりなのにまた別れることになり、悲しかったが、そういう指示なら仕方ないし、二度と会えないというわけではない。また、三人で集まろう、無事でいようと固く誓い合うとそのまま各人はそれぞれの帰路へ着いた。
藤襲山を下り始めたころから長期間の過酷な選別による凄まじい疲労と体中の痛みが二人を襲っていた。
「いやもうキツかったっすねー選別は」
「あぁもう選別は・・・すっげえキツかったですよ・・・やめたくなりますよ~鬼殺隊~」
秋吉直々の迫真空手の体力練成の指導を受けていた二人にとって何とか耐えられるものではあったが、それでも相当にきつく交替で支えあいながら家路を急いでいた。
「・・・甘かったなあ・・・」
炭治郎がぽつりとつぶやく。
「最終選別で八人の鬼と会ったけど・・・みんなまともに会話できる状態じゃなかった。鬼が人間に戻る方法ちゃんと聞けませんでした。・・・ごめんよ、禰豆子・・・ごめんなあ・・・」
選別で鬼に出会う度に炭治郎は鬼を人間に戻す方法を問うたがどの鬼も答えることはなく何も聞き出せないまま結局襲われ、斬っていた。
炭治郎は妹を人間に戻すために鬼殺隊に入ることを決意したのだ。その彼にとって愛する妹のために何の収穫も得られなかったということは、炭治郎を申し訳ない思い出いっぱいにするには十分だった。
謝罪の言葉を漏らす炭治郎に野獣が声をかける。
「・・・まぁ誰も知らないしすぐに分かるとは限らないし、しょうがないね・・・それに禰豆子を人間に戻せないと決まったわけじゃないし、まだまだ始まったばかりだからさ。気を落とさずにやっていこう。きっと、方法があるはずだからさ」
「・・・そうですね。まだ始まったばかりなんだ」
「とりあえず、風呂入ってさっぱりしましょうよ~」
「そうですね」
そうこうしているうちに、二人は狭霧山の麓に着いていた。
目の前に立つ小屋に歩み寄ろうとしたその瞬間――
バァン!(大破)
小屋の戸が凄まじい勢いで何者かにけ破られ大破し、吹っ飛ぶ。野獣と炭治郎が驚き立ち止まる中、中から戸を蹴飛ばした人物が歩いてきた。
着物に黒い羽織、長い髪、そして口に竹筒を咥えた少女。
それは炭治郎と野獣が誰よりもよく知っていた、そして大切に思っていた人物だった。炭治郎がその名を叫ぶ。
「あーーっ!禰豆子、禰豆子お前・・・起きたのかぁ!!」
狭霧山での鍛錬以来ずっと眠っていた禰豆子が起きたのだ。二年ぶりだ。
禰豆子が炭治郎と野獣の姿を視認した瞬間、彼女も勢い良くこちらに駆け寄り二人に抱き着く。
鬼ゆえか、嬉しさゆえか、その勢いは強く、そのまま三人は後ろに転がる。
それから野獣と炭治郎が立ち上がろうとすると、禰豆子はまず炭治郎をぎゅうっと抱きしめ、それから野獣も抱きしめ、それから二人を一緒に抱きしめた。炭治郎も野獣もこれでもかと抱き返す。
二人の目から涙がこぼれる。
「わーーっ、お前、なんで急に寝るんだよォ、ずっと起きないでさぁ!死ぬかと思ったじゃないかぁ!!」
「自分、涙いいすか?・・・で、出ますよ・・・本当に無事で、よ、良かった・・・」
そんな抱きしめあう三人にさらに駆け寄り抱きしめるものが二人いた。
鱗滝と秋吉である。
鱗滝が三人を抱きしめ、秋吉も頭をなでる。
鱗滝の顔と面の間から涙があふれる。秋吉もいつになくその目が潤んでいた。
「よく・・・よく生きて戻った!!」
「野獣・・・炭治郎・・・よく帰ったな!俺は・・・嬉しいぞ!」
それから皆しばらくの間再会を喜び、抱きしめあい、涙を流すのだった。
――19日後――
野獣と炭治郎たちのもとに一人の来訪者が訪ねてきた。
その来訪者は奇妙ないでたちだった。
顔を隠すように網代傘を深々とかぶり、しかもその網代傘は周囲にまんべんなく無数の風鈴がつけられていた。一歩一歩歩くたびにチリンチリンと音が鳴る。
「俺は鋼鍼塚という者だ」
来訪者はそう名乗った。
「竈門炭治郎と田所浩二の刀を打った者だ」
そう言うと彼は地べたすわり、持っていた風呂敷を広げた。風呂敷には刀が二つ並んでいた。中へ入るよう勧める野獣と炭治郎の声も聞かずに鋼鍼塚は話し続ける。
「これが日輪刀だ。俺が打った刀だ。日輪刀の原料である砂鉄と鉱石は太陽に一番近い山――陽光山でとれる。一年中日が差している山だ。そこに原料の鉄がある。『猩々緋砂鉄 ( しょうじょうひさてつ ) 』『猩々緋鉱石 ( しょうじょうひこうせき )』。日の光を吸収する鉄で、この二つから日輪刀を造り上げる・・・」
日輪刀に関する情報を一気に述べてから不意に鋼鍼塚は野獣と炭治郎のほうを向いた。
「うわっ」
「ファッ!?」
隠れていた素顔、というよりは顔につけられたひょっとこの面が明らかになる。鬼殺隊関係者は顔に面をつける習慣や規則でもあるんだろうか?
驚く二人をよそに鋼鍼塚は炭治郎の顔をまじまじと見つめた。
「んん・・・?お前、『赫灼の子』じゃねえか。こりゃあ、縁起がいいぞ」
「いや俺は炭十郎と葵枝の息子です」
「そういう意味じゃねえ」
「炭治郎、お前頭固いって言われる・・・言われない?」
鋼鍼塚の言によれば炭売りをしていた竈門家のように火仕事をする家には頭の毛や目が赤みがかっている子が生まれる、それは縁起がいいのだという。
「こりゃあ、刀も赤くなるかもしれんな。なぁ、鱗滝」
そういいながらようやく鋼鍼塚は家の中に上がる。どうやら彼は鱗滝と知り合いのようだ。
一堂が会したところで、野獣と炭治郎にそれぞれ日輪刀が渡される。
今日この時から、この日輪刀が二人の命を守り、そして鬼を滅する武器、相棒となるのだ。
「さぁさぁ、刀を抜いてみな」
手をうねうねと揺らし催促する鋼鍼塚。
「日輪刀は別名色変わりの刀と言ってなぁ、持ち主によって色が変わるのさぁ」
「はぇ~すっげぇ変わってる・・・」
催促されるまま二人は渡されたそれぞれの日輪刀をゆっくりと抜き、構える。
言葉通り、抜いて手にした途端、それまで鏡のように光沢を放っていた刃の色がゆっくりと変わっていった。
「おおっ」
炭治郎が思わず声を上げる。
炭治郎の日輪刀は真っ黒に。そして一方の野獣の日輪刀は・・・クッソ汚い、茶色に変色していた。たとえるならまるで・・・うんこみたいに。
「黒っ!茶色っ!」
「黒いな・・・」
「茶色いな・・・」
様子を見ていた鱗滝や秋吉も驚きの声を漏らす。
「え、黒いとかよくないんですか!?不吉なんですか!?」
「俺のに至ってはなんかクッソ汚い、うんこみたいな色になったんですがそれは・・・」
「いや、そういうわけではないが・・・あまり見ないな、漆黒もこんな茶色も」
「キー―――ッ!!」
困惑する野獣と炭治郎に、鋼鍼塚が怒りの声を叫ぶ。
「ふざけんな!(声だけ迫真)俺は鮮やかな赤い刀身が見れると思ったのによォ!第一お前に至ってはなんだ!俺が丹精込めて売った刀をこんなクッソ汚いうんこみたいな茶色に染めやがってよォ!!」
怒りのまま炭治郎をひっぱたき、野獣につかみかかる鋼鍼塚。炭治郎も野獣も声を上げる
「そんな!ただ握っただけじゃないですか!オナシャス!センセンシャル!」
「そうですよ!俺だって好きでこんな色にしたんじゃない!」
「うるせえ!丹精込めて苦労して刀を打った俺の気持ちにもなってみろ!!一所懸命に入った刀が、こんなクッソ汚い色に染まっちまってよォ!分かるか?この罪の重さ!分かるよなぁ鱗滝!」
突然話を振られ困惑しながらも鱗滝と秋吉がそれぞれに答える。
「うーむ・・・まぁ、確かに・・・汚い色だな・・・まるでうんこの擬人化ならぬ、うんこの擬刀化だ・・・」
「ああ・・・鋼にうんこを混ぜて錬成して打ったらこんな色になりそうだ」
汚い茶色、クッソ汚い色、うんこ、うんこの擬刀化。野獣の日輪刀に散々な評価が投げかけられる。しかし確かにそんな色をしているのだから仕方ない。炭治郎も内心、(言えない・・・浩二さんの日輪刀から、うんこみたいな、獣みたいな、クッソ汚い匂いがするなんてとてもじゃないけど言えない・・・)などと考えていた。
鋼鍼塚がさらに声を荒げ、野獣を掴む力が強くなる。
「ほら、こいつらもこう言ってるじゃねえか!もう許さねぇからなぁ?」
「そんな、許してください、何でもしますから!!」
「ん?今何でもするって言ったな?」
「えっ、それは・・・」
家の中が騒がしくなる。が、それを不意に断ち切ったものが現れた。
「カァァァ!カァァァ!竈門炭治郎ォ、田所浩二ィ!仕事ダァ!鬼狩りトシテノ最初ノ仕事ダァ!!」
家中に鴉の鳴き声が響き渡った。
見れば炭治郎の鎹鴉と野獣のスローロリス、もとい淫夢くんが並んでいた。淫夢くんの高々と上げられた右手には紙が握られている。
野獣が淫夢くんから紙を取ってみると、そこには野獣と炭治郎への指令が書かれていた。
鎹鴉が内容を読み上げる。
「北西ノ町ヘ向カエェェ!北西ノ町デワァァ、少女ガ消エテイルゥ!毎夜毎夜、少女ガ消エテイル!!今スグ、北西ノ町ヘ向カエェェ!!」
野獣と炭治郎は顔を見合わせ、頷き合った。初の任務だ。
最終選別から約二週間。
ついに野獣と炭治郎の鬼殺隊士としての活動が始まるのだった。
いっそのこと刀鍛冶の里、岡山にあるって設定にしようかな。『岡山土婆蘭土』っ感じで・・・
例のレスリング兄貴も出来れば登場させたい・・・鬼殺隊の助っ人外国人的な感じで。レスリングシリーズの勉強しなきゃ(使命感)