鬼舞辻無惨レ〇プ!鬼狩りと化した先輩&淫夢ファミリー   作:ジョニー一等陸佐

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第11話 野獣の眼光と耳飾り

 「次ハ東京府浅草ァ!鬼ガ潜ンデイルトノ噂アリィ!!カァアア!!」

 

 「・・・」(右手を挙げて指令書を渡す淫夢くん)

 

 沼鬼を倒してから翌々日、野獣と炭治郎は鎹鴉と淫夢くんから伝えられた指令に従って浅草に辿り着いていた。

 到着した時にはすでに夜になっており、炭治郎は背負っていた箱から禰豆子を出して三人で一緒に街の中を歩いていた。

 令和の東京とは違いレンガや木造建築が所狭しと並んでいるが、ガス灯などの明かりが街並みを昼のように照らし、通りには人が所狭しと並んだり、歩いている。その発展ぶり、賑やかさは現代の東京のそれとほとんど変わらない。

 

 「はぇ~、すっごい発展してる・・・大正時代ってこんなに賑やかだったのか・・・これもう(現代との違いが)分かんねえな」

 

 野獣が浅草の街並みの賑やかさに感嘆している一方炭治郎はというと

 

 「アーイク、アーイキソ・・・」

 

 呼吸を乱し、目が見開かれ、ふらふらしていた。顔はげっそりとしている。

 

 「おっ、大丈夫か?大丈夫か?」

 

 「あ、すみません・・・こんなにたくさん人がいて明るい場所は初めてで・・・人が多すぎるし目がチカチカしますよ・・・眩暈がする・・・」

 

 どうやらあまりに発展し、人で溢れかえっている都市の環境を前にして混乱しているらしい。田舎暮らしの炭治郎にとってこれほど発展してる環境は初めての、慣れないものであるはずだから、このような反応を見せるのも無理はないだろう。それに長いこと歩いた疲れもあるのだろう。一旦この人の多い場所から離れて休む必要があると野獣は判断した。

 

 「このままこの場所に居続けるのは、ダメみたいですね・・・そうだ、さっき見かけたんだけど、この辺にぃ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ」

 

 「あっ、そっかぁ・・・」

 

 「行きませんか?」

 

 「あっ、行きてぇなぁ」

 

 「行きましょうよ。じゃけんそこで休みましょうねぇ~」

 

 「おっ、そうだな・・・」

 

 ふらふら歩く炭治郎とまだ眠そうにしている禰豆子を支えながら、野獣は群衆から離れ、郊外のラーメン屋の屋台へと向かった。

 

 「豚骨ラーメン三つください・・・」

 

 「かしこまり!」

 

 店主に注文をし、三人は屋台の椅子にゆっくりと腰掛ける。

 

 「都会があんなに発展していて、あんなに人がいるなんて・・・こんなところ、初めてですよ・・・」

 

 「都会だし・・・ま、多少はね?」

 

 「だとしても人が多すぎィ!慣れるまで時間がかかりそう・・・で・・・」

 

 お茶をすすりながらくつろいでいた三人。だが不意に炭治郎がお茶を飲む動きを止め、ガタッと立ち上がる。その眼は大きく見開かれ、動悸が激しく、額にはいくつもの冷や汗が浮かんでいる。明らかに尋常な様子ではない。

 鼻が大きく引くついており、何かの匂いを感じ取ったようだ。

 

 「ど、どうしたんだよ、炭治郎・・・まさか、鬼か!?」

 

 「・・・鬼舞辻、無惨・・・!」

 

 驚く野獣に炭治郎はそれだけ言うと、脇目も振らずに駆け出した。禰豆子も鬼特有の凄まじい速度で炭治郎を追いかける。

 

 「お、おい、炭治郎、待てよ!」

 

 野獣も彼らを放っておくわけにはいかず駆け出した。

 

 「はい、ラーメン三つ・・・って、あれ・・・?お客さんは・・・どこ・・・ここ?」

 

 後には作り立てのラーメン片手に呆然と立ち尽くす店主が残された。

 

 

 

 

 

 (この匂い・・・家に残っていた匂いだ・・・間違いない。鬼舞辻無惨の・・・!)

 炭治郎は駆け出す理由になった、突然嗅ぎ取った匂いについて鱗滝たちから聞いた情報も合わせて記憶を探り出す。覚えがあった。あの日、家族が皆殺しにされ禰豆子を鬼にされたあの忌まわしい日、家に残されていた鬼の匂い。家族を殺し妹を鬼にした鬼――鬼舞辻無惨、何としても討たねばならない敵の匂いだ。間違いない。

 鋭い嗅覚を頼りに、憎き仇の匂いのする方へとひたすらに走る。そう遠くない。

 さっきまで群衆や都会の喧騒に調子を悪くしていたのがウソのように群衆をかき分け、駆ける。匂いが強くなる。

 やがて、最も強い匂いのする黒いスーツに白い帽子の男――つまり匂いの根源、鬼舞辻無惨と思しき人物――の背中を見つけ、炭治郎はその男の肩に手をかけようとする。仇を見つけた怒りと憎しみと興奮で、すでに炭治郎の額だけでなく手にも青筋が浮かんでいる。だが、炭治郎がその男の肩に手をかける前に、誰かが炭治郎の肩に手を置いた。

 

 「っ!?・・・あ、浩二さん・・・」

 

 「炭治郎・・・いきなりどうしたんだよ、突然走り出して?」

 

 驚いて振り返るとそこにいたのは見知った人間の顔――野獣だった。炭治郎たちを追いかけ、ようやく追いついた野獣は息を若干切らしながら、炭治郎に問いかける。

 

 「・・・無惨です。家に残っていたあの鬼の匂い・・・鬼舞辻無惨の匂いがしたんです。あの男です、間違いない!あいつが、俺の家族と禰豆子を・・・!」

 

 男の背中を指差しながら言う炭治郎。その言葉に野獣も察する。炭治郎が仇である無惨の匂いを嗅ぎ出したのだ。そして匂いの根源であるあの男がつまりは鬼舞辻無惨、野獣と炭治郎の倒すべき敵なのだろう。まさかこうもあっさりと目標を見つけ出すことになるとは。

 憎き仇を前にして無惨を指差す炭治郎の目は怒りで満ち溢れ、動悸は上がったままで、興奮冷めやらぬ様子だった。日輪刀を握りしめる手も強く、今にも駆け出して抜刀しかねない。無理もなかったが。

 野獣としても今すぐ無惨のもとへ駆け出し、切り捨てたいところだったが、彼の場合は冷静さの方が上回った。

 炭治郎の肩にそっと手を置き、野獣が口を開く。

 

 「炭治郎・・・まずは一旦落ち着いて待つんだ」

 

 「落ち着く・・・!?待てですって!?何を言ってるんですか!?見つけたのに放っておけっていうんですか!?浩二さんだって・・・」

 

 野獣の思わぬ言葉に驚き、憤りを隠せない炭治郎。

 だが野獣は少なくとも表面上は落ち着いた様子で炭治郎を諭す。

 

 「・・・俺だって今すぐにあいつに切りかかって仇を討ちたい・・・けど周りを見てみろ。この群衆だ。騒ぎになるし、たとえ相手が鬼だとしても今この場で切り捨てたら俺たちはただの殺人犯になってしまう」

 

 「・・・!」

 

 野獣の言葉に炭治郎が目を見開く。確かにその通りだった。

 ここは田舎や普通の街とは違い、喧騒の激しい都会なのだ。周囲を見れば所狭しと人だかりができ、歩き回っている。既に、ただならぬ様子の炭治郎達に通り過ぎる幾人かが視線をやり、何かを言い合う。こんな所で抜刀して斬りかかれば間違いなく大騒ぎになるし、たとえ鬼が相手だとしても炭治郎は殺人犯、殺人未遂犯になってしまう。場合によっては騒ぎを利用して逃げ出す可能性が十分ある。正直言って、今の状況は野獣たちには不利なのだ。

 

 「・・・相手が本当に無惨なのかまだ確実じゃないし、ここで騒ぎを起こすわけにはいかない。それに相手がどんな能力を持っているのか分からない。今この場で下手に襲うのは得策じゃないってはっきり分かんだね。幸いまだ気づかれていない様子だから、ここはあいつを尾行することにしよう。そのうち隙を見せるかもしれないし、無惨について情報を集めた方がいいかもしれない・・・」

 

 野獣の言葉ももっともだった。冷静な言葉に炭治郎の昂っていた心身も少しではあるが治まった。

 

 「・・・そうですね。一旦尾行しましょう・・・」

 

 炭治郎が頷く。

 二人はゆっくりと、白い帽子に黒いペイズリー柄のスーツの男の背中を追う。

 人ごみの中、二人とも相手を決して見逃すまいと強くその背中を睨んでいた。

 強い視線に相手も多少何かしらの気配を感じたのだろうか。ふと男が立ち止まり、ゆっくりと振り返りその顔を露にする。

 

 「・・・!」

 「こいつが鬼舞辻無惨・・・」

 

 振り返った男――鬼舞辻無惨と目が合う。

 白い帽子にペイズリー柄のスーツを上品に着こなしている。顔立ちは青白く、しかし非常に整っており、何も知らない人間が見れば何処かの名家の貴公子、御曹司だと思うだろう。

 しかし実際には(炭治郎の嗅覚が確かなら)この男は間違いなく鬼であり、仇敵の鬼舞辻無惨なのだ。全く、完璧な擬態だった。

 さらに驚くべきことには無惨の胸にはまだ幼い少女が抱かれていたことだった。少女も不思議そうな様子でこちらと無惨の顔を見ている。

 その隣には少女の母親と思しき、これまた上品そうな身なりのいい女性が立っている。

 

 「・・・人間だ。女の子と女の人は人間の匂いだ。こいつら知らないのか・・・?あいつが鬼だって、人を喰うって・・・!?」

 

 炭治郎が目を見開いて呟く。

 何も知らない人間が見ればどこにでもいる普通の三人家族に見えるだろう。つまり、無惨は

わざわざ人間と暮らし、人間のふりをして、人間社会に完全に溶け込んで生活をしているのだ。

 なんという徹底した擬態だ。

 衝撃の事実に驚きながらも、野獣と炭治郎は仇敵の顔をしっかりと記憶に刻み込むべく、無惨の顔を見つめた。

 炭治郎は怒りに満ち溢れた目で。

 野獣は獲物を狙うかのような、野獣の眼光を思わせる目で。

 二人はこれでもかと無惨の顔を睨みつけていた。

 そして無惨もまた、少女を抱きかかえながら、目を見開きこちらを見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 鬼の始祖、唯一人を鬼にする能力を持つ鬼、鬼舞辻無惨は人間の母娘と共に浅草の繁華街を歩いていた。

 鬼である無惨は普段は貿易会社の社長として活動し、わざわざ人間の母娘を傍に置き、完全に普通の人間に擬態し、普段は人間として活動して隠れて生活していた。自身を狙う鬼狩りから身を隠すため、鬼の弱点である日光を避けるため、そしてとある目的を達成するためである。

 他愛ない話をしながら娘を抱きかかえて歩く無惨。だが不意に、無惨は自身の背中に何か強い気配、視線のようなものを感じた。

 何だ、気のせいだろうか。そう思い振り返ると、二人の人間が無惨を強く睨みつけていた。一人は額にあざのある、特徴的な花札のような耳飾りの少年。もう一人は日焼けした青年。少年は怒りをたたえた目と表情で、青年は野獣を思わせる眼光を光らせながらこちらを睨んでいる。

 

 「・・・!」

 

 無惨は羽織から除く黒い服装や腰に差している刀、気配等からこの二人が自分の命を狙っている者・・・鬼狩り、鬼殺隊だと察した。思わず目を見開き、無惨も二人を睨み返す。心がぞわりとする。この人ごみの中でいきなり襲い掛かることはないだろうがすぐにこの場から離れる必要がある。

 だが無惨の心が波立っている理由はそれだけではなかった。

 

 (あの耳飾り・・・そしてあの野獣の眼光・・・あれは・・・)

 

 無惨は少年お身に着けている花札と青年の眼光に見覚えがあった。

 無惨の脳裏に遥か昔の記憶がフラッシュバックする。そう、あれは確か――

 

 ――なぜ命を踏みつけにする?何が楽しい? 何が面白い?命を何だと思っているんだ――

 ――お前命なかなか絶たねえなぁ?じゃあ俺がその命、絶たしてやるか!――

 

 脳裏に響く言葉。忌まわしい記憶。そう、あれは、あれは――

 すぐに離れねばならない。そして彼らを始末せねばならない。

 そう判断した無惨はついさっき、彼のそばを通りかかったばかりの青年の首めがけて、凄まじい速度で爪を突き立てた――

 

 

 

 

 

 「グアアアアアアッ!?」

 

 「!!」

  

 「ファッ!?」

 

 野獣と炭治郎は驚嘆した。

 睨みあっていた無惨が突然、人間離れした速度ですれ違った和装の青年の首に爪を突き立てたかと思うと、青年は突然人間とは思えない叫び声をあげ、変貌した。

 体中に血管が浮き上がり、瞳の色が変わる。爪が人間とは思えないほど鋭くなる。間違いなくその特徴、気配は鬼のそれだった。

 

 「グオオオオオッ!!」

 

 「キャアアアアアア!?」 

 

 鬼と化した青年は突然隣にいた彼の妻と思しき女性の首に噛みついた。

 だらだらとよだれをたらし、目が赤く変色している。

 気付けば野獣も、炭治郎も禰豆子も青年めがけて駆け出していた。

 野獣と炭治郎が青年を抑え、禰豆子が噛みつかれていた女性を庇う。

 

 「あんた・・・!」

 

 禰豆子に庇われながら青年の妻と思しき女性が叫ぶ。幸い、傷自体は命にかかわるものではないようだが、突然の事態に混乱していることは明らかだった。

 

 「暴れるなよ・・・暴れるなよ・・・」

 

 人間とはかけ離れた、鬼の凄まじい力で暴れる青年を何とか二人掛かりで押さえながら、野獣は丸めた布を青年の口に押し込む。これ以上人をかまないよう、口枷にするためだ。

 少し離れたところを見れば、青年に爪を突き立てた無惨と連れ添ていた母娘がいた。顔を青くする母に無惨は一言二言声をかけ一緒に離れていく。

 間違いない。あの男は青年を鬼に変えた。あの男は間違いなく鬼舞辻無惨だ。

 野獣も炭治郎も離れていく仇敵を睨みつける。心が悔しさと怒りで溢れていく。

 何という奴だ。

 この場から逃げるためだけに、何の罪もない無関係の一般人を躊躇なく鬼に変え巻き込むとは。

 炭治郎が周囲の目も憚らず、怒りの形相で叫ぶ。

 

 「鬼舞辻無惨!!俺はお前を逃がさない!!どこへ行こうと!!」

 

 無惨が怒りを込めた目でこちらを睨む。だが、状況が悪いと判断したのかそのまま群衆や野次馬から離れ路地裏へと姿を隠す。

 

 「地獄の果てまで追いかけて!!必ずお前の首に刃を振るう!!絶対に、お前を許さない!!」

 

 単なる怒りの叫びではない。必ず仇を討つという誓いの叫びだ。

 

 「貴様ら何をしている!下がれ!」

 

 「酔っ払いか!?離れろ!」

 

 「怪しい二人組が青年を押さえつけているぞ!引きはがして取り押さえろ!」

 

 野獣と炭治郎が鬼と化した青年を取り押さえていると、こちらに向かう二人の足音と声が消えてきた。黒い帽子に制服、警察だ。青年を取り抑えている二人の姿を見るや、こちらにすぐさま駆け寄り二人を引きはがして拘束しようとした。

 

 「警察だ!!(インパルス板倉)大人しくしろ!!」

 

 「すいやせん!お願いします!拘束具を持ってきてくれ!俺以外はこの人を抑えられない!」

 

 「何が目的だ!!ンモノか!?金か!?・・・おい、こいつの顔、正気を失ってるぞ!」

 

 「やめてくれ!!俺はこの人に誰も殺させたくないんだ!!邪魔をしないでくれ、お願いだから・・・!」

 

 野獣と炭治郎を引きはがし拘束しようとする警官達。このままではさらに被害が拡大してしまう。

 

 ――惑血 視覚夢幻の香

 

 「・・・ファッ!?」

 

 「なんだこの香りは・・・花!?」

 

 突然、野獣たちの周囲に無数の花が咲き乱れ、花の紋様が視界を埋め尽くした。優雅な花の匂いが野獣たちの鼻腔をくすぐる。状況が状況でなければ絶景と言って差し支えない光景。

 

 「な、なんだ!?この紋様は!?」

 

 「周りが見えないぞ!!」

 

 視界を塞がれ警官達が混乱する。

 何かの攻撃かと身構える野獣と炭治郎の耳に、新たに女性の声が響いた。

 

 「・・・あなたたちは、鬼となった者にも「人」という言葉を使ってくださるのですね・・・そして、助けようとしている」

 

 声のした方を見る。

 幻想的な光景の中、紺色の赤い花柄の枠服姿の女性が現れる。続いて、グレーのシャツに袴姿の青年、180センチはあるだろう長身の黒い着物に身を包んだ整った顔立ちの男、そして白いシャツに黒いズボンに身を包み刀を持ったがっしりした体格の男が現れた。 

 突然現れた人々に困惑する野獣と炭治郎。炭治郎が匂いから現れた四人の人物の正体を察した。刀を持った男を除けば、後の三人は・・・

 野獣が刀を持つ男の顔を見て驚いた表情をする。何故なら・・・それは彼のよく知る人物だったからだ。

 

 「葛城さん!?なんでこんな所にいるんすか!?」

 

 野獣が目を見開き、驚いた様子で叫んだ。目線の先には刀を持った男もまた驚いた表情をしている。

 

 「浩二!?お前こそなんでこんなところにいるんだ!?お前、鬼殺隊だったのか!?」

 

 「知り合いなのか?」

 

 傍らに立つ黒い着物姿の男が聞いた。葛城と呼ばれた男が頷く。

 

 「ああ・・・稽古で知り合ってな。安心しろ平野、こいつは信用できる」

 

 「あの・・・あなた達は、いったい・・・?あなた達の匂いは・・・目的は・・・」

 

 混乱する炭治郎と野獣に女性がゆっくりと口を開く。

 

 「・・・はい。私は・・・私達は鬼ですが。医者でもあり、あの男鬼舞辻を抹殺したいと思っている。・・・あなた達を手助けしましょう。さあ、早くこちらへ」

 

 そう言って女性は野獣たちに手招きした。

 

 

 

 

 

 鬼舞辻無惨は騒動の場から離れると、商談がある、警察にもさっきのことを言っておかないといけないからと言って母娘を車に乗せて送ると、自らは一人、暗い裏路地を歩いていた。

 誰もいない裏道を歩いていると、向こうから三人組の男が歩いてくる。それぞれ黒、赤、青の服に身を包み内二人、黒と赤の服の男たちは黒メガネをかけている。髪を長く伸ばし、ある者は白く染め、正直ガラが悪そうな男たちだった。

 黒い男が無惨を指差す。

 

 「あそこ」

 

 「なんだよあれ?」

 

 「おいちょっとあれどうする?」

 

 男たちが青白い顔の無惨を見てにやついた。

 

 「おいやっちまおうぜ!オラ!」

 

 「やっちまうか?」

 

 「やっちゃいますか!?」

 

 「やっちゃいましょうよ!」

 

 「その為の右手?あとその為の拳?金!暴力!S〇X!金、暴力、S〇X!」

 

 要するに彼らは無惨にちょっかいを出し、乱暴を働こうとしていた。はたから見れば無残は青白い、弱そうな人間に見えるため、金をせびったりするのにはちょうどいいと思ったのだろう。だが彼らは知らなかった。無惨が弱い人間どころか、全ての鬼の始祖であることを・・・

 黒い男が無惨に声をかける。

 

 「おい何やってんだ~?おい何やってんだおい~?楽しそうだね~?」

 

 ほかの二人も混ざる。

 

 「おいおい俺らも混ぜろよお前~」

 

 「おい楽しそうじゃねぇかオラァ」

 

 そんな三人に無惨は釣れない様子で手を振る。

 

 「申し訳ないが、急いでおりますので」

 

 そういって三人のそばを通り過ぎる無惨。

 その態度にカチンときたのか黒い服に黒メガネの男が無惨の肩に手をかけいちゃもんをつける。

 

 「何だよ兄ちゃん、その態度はよぉ~・・・おっ随分良い服着てんじゃ~ん。気に入らねぇぜ、青白い顔しやがってよぉ、今にも死にそうじゃねえか」

 

 黒い男がそう言った次の瞬間。

 ピキッという音と共に額に血管を浮き上がらせ無惨が振り向いたかと思うと、無惨は目にも止まらぬ人間離れした勢いでその黒い男の顔を振り払う。

 男の首があり得ない角度に回り、路地の壁にグシャッと嫌な音を立てて頭を打ち付け、ずるずると倒れた。黒メガネが折れ、鼻から勢いよく血が流れ、目がグルんと回っている。

 

 「おい、てめえ、何しやがんだ!」

 

 血相を変え、無惨に詰め寄る赤い服に黒メガネの男。もう一人の青い服に長髪の男が倒れた男に駆け寄り血相を変えて叫ぶ。

 

 「お、おい!こいつ死んでるぞ!い、息してねえ!!」

 

 さらに惨劇は続く。

 無惨が詰め寄って来た赤服の男を蹴り上げる。鬼の脚力で蹴り上げられた赤服の男は屋根を飛び越えんとする勢いで空中高く舞い上げられる。ごばっと血を吐き出し、ビシャビシャと青服に降りかかる。そのまま赤服は勢いよく地面に落ち、どしゃりと打ち付けられる。生死など確認する必要はない。

 

 「何だよ・・・これ」

 

 「私の顔色は悪く見えるか」 

 

 ガタガタと震え、失禁さえする青服の男。無惨は彼に近寄り顔をゆっくりと近づけるとそう口を開いた。

 

 「私の顔は青白いか?病弱に見えるか?長く生きられないように見えるか?死にそうに見えるか?・・・違う、違う、違う、違う。私は限りなく完璧に近い生物だ」

 

 そういって無惨はゆっくりと震える男の額に人差し指を突き立てる。

 次の瞬間。

 ずぶり、と豆腐のように無惨の指が男の額にめり込んだ。

 

 「私の血を大量に与え続けられるとどうなると思う?人間の体は変貌の速度に耐え切れず、細胞が壊れる」

 

 「ギャアアアアアア!?」

 

 血を与えられた青服の男の体が、ドロドロに溶け、あっという間に崩壊していく。跡形もなく男が崩れ去り消えたのを確認すると、無惨はぱちんと指を鳴らした。

 何もない空間から首を垂れた三人の男女の鬼が現れる。

 

 「何なりとお申し付けを」

 

 「耳に花札のような耳飾りをつけた鬼狩りの頸と、一緒にいる日焼けした鬼狩りの頸を持って来い。・・・いいな」

 

 無惨は恐ろしいほど冷たい口調で命じた。

 夜空では惨劇におびえるかのように月明かりが輝いていた・・・

 

 

 

 

 




大正イキスギィ!イクイクイク・・・アッ・・・ンアッー!(≧Д≦)話

貿易会社の社長に擬態している無惨。経営している貿易会社の名前は「弐戸弐戸雲影」というらしいゾ。ちなみに本社は某笑笑動画の運営本社にそっくりらしいゾ。
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