鬼舞辻無惨レ〇プ!鬼狩りと化した先輩&淫夢ファミリー 作:ジョニー一等陸佐
「ラーメン大事に作ったんだよなぁ!?これぇ!お前ら見ろよこれなぁ!この無残な麺が伸び切った姿よぉなぁ!?お前、小麦から育ててたんだぞぉ!?」
繁華街の騒動からしばらくして、野獣たちは少し離れた郊外でラーメン屋の屋台の店主に怒られていた。屋台には麺が伸び切り、スープがほとんど残っていないラーメンが三人分乗っている。
突然野獣たちの目の間に現れた鬼たちについていく前に、炭治郎が「あっ、そうだ(唐突)」とつい先ほどまでラーメン屋の屋台に立ち寄り注文していたことを思い出し、食事取ってないしこのままじゃ食い逃げになっちゃう、やばいやばい・・・となり、野獣たちは一旦屋台のところまで戻ることにしたのだ。案の定、店主は怒っていた。どうやら店主が一番起こっているのは金のことよりも、心を込めて作った料理を放っておいていたことのようだ。
「俺はな!俺が言いたいのはな、金じゃねえんだ!お前らが俺のラーメンを喰わずに放っておいた心づもりが許せねえのさ!」
「すいません、許してください何でもしますから!」
「オナシャス、センセンシャル!」
怒る店主に深々と頭を下げる炭治郎と野獣。
「ん?今何でもするって言ったな?じゃあこの伸び切ったラーメン完食するんだよ、あくしろよ」
「やれば許していただけるんですか」
「おう、考えてやるよ(許すとは言ってない)」
即座に箸を手に取る野獣と炭治郎。そのまま伸び切った麺を一気にすする。数分もたたないうちに、三人分のラーメンの椀は空になった。
「ごちそうさまでした!」
「おいしかったです、ありがとナス!」
「・・・分かればいいんだよ、分かれば!」
完食し、おいしかったと感謝の言葉を述べた野獣と炭治郎に店主も多少は納得した様子を見せた。
そのまま野獣と炭治郎が禰豆子を連れてその場を後にしようとすると、目の前にシャツに袴姿の青年が立っていた。
「待っててくれたんですか?俺は匂いを辿れるのに・・・」
炭治郎の言葉に青年が鼻を鳴らす。どうやら野獣たちの存在が気に入らない様子だ。
「目くらましの術をかけている場所に居るんだ。辿れるものか。それより、鬼じゃないかその女は。しかも醜女だ」
そう言って禰豆子を指差す青年。
「・・・しこめ?醜い女ってことだよな?」
「誰のことなんですかね・・・?」
突然の青年の罵倒の言葉に一瞬考えこむ野獣と炭治郎だったがすぐに意味を理解し、次の瞬間には二人そろって激高した。
「ふざけんな!(声だけ迫真)どう見たって美人だろ、いい加減にしろ!もう許さねぇからなぁ~!?」
「しこ↑め↓だと?ふざけんじゃねえよオラア!!美人だろぉ!?よく見てみろよ、町でも評判の美人だったぞ禰豆子は!」
「行くぞ」
だが二人の抗議の声に少しも反応することなく青年はそのまま振り返る歩き出す。珠代たちのところへ連れて行くのだろう。
「いや、行くけれども、醜女は違うだろう、絶対!もう少し明るいところで見てくれ!」
とりあえず着いていきながらなおも抗議の声を上げる炭治郎達。そのまま四人はあの和服の女たちの居場所を目指して騒がしく街中を歩くのだった。
夜道を三人の鬼が歩いている。一人はなぜか裸の大柄な少年(大嘘)の鬼で、もう一人は毬を持った着物姿の少女の鬼。最後の少年の鬼は着物姿に首に数珠を巻き、その手のひらには矢印の入った目があり、それが彼が異形の存在であることを示していた。着物姿の少年の鬼は何かを辿るように地に伏せながら歩いている。
「見えるかえ?」
毬を跳ねながら問いかける少女。
地を這いながら鬼が答える。
「見える、見えるぞ、足跡が・・・これじゃこれじゃ。あちらをぐるりと大回りして四人になっておる。何か大きな箱も持っておる・・・あと臭い匂いも」
「どうやって殺そうかのう、うふふふ、力がみなぎる。今しがたあのお方に血を分けていただいたからじゃ」
「早く行って殺さなきゃ」
けらけらと笑いながら恐ろしいことを口走る少女鬼。裸の少年(大嘘)も気狂いのように笑いながら言う。
「それはもう残酷に殺してやろうぞ・・・それはそうと、お前服ぐらい着ろ。この気狂いめ。ひでしね」
「鬼舞辻様の配下としての自覚はないのか、鬼の屑じゃな・・・ひでしね」
これから待っているであろう愉悦の時を心待ちにする一方で、裸の少年(大嘘)の鬼を罵倒する二人の鬼。
いずれにせよ、脅威は確かに迫っていた・・・
「ただいま戻りました、珠代様」
「おかえりなさい」
「帰って来たか」
「遅かったじゃねえか、浩二」
郊外に立つ一軒家の建物の中に入ると、中にはあの時の和服姿の女や黒い着物の男たちが座って待っていた。女の方は医者が切るような白い割烹着に身を包んでいる。刀を持った男もいる。傍らにはさきほど鬼にされた青年の妻がベッドの中で静かに眠っていた。和服姿の女が静かに眠る彼女の頭をさする。
「この方は大丈夫ですよ。・・・残念ながら、ご主人の方は気の毒ですが拘束して地下牢に入れていますが」
「あの・・・あなた達は一体、何者なんですか?鬼のようですが・・・その人も、浩二さんのことを知っているみたいですし」
炭治郎の疑問に女性が頷いた。
「まだ名乗っていませんでしたね・・・私は珠世と申します。その子は愈史郎。そしてこちらが・・・」
「平野という。そして彼が葛城だ。・・・君が田所浩二君だな。彼から話は聞いていたよ」
珠代が紹介する前に黒い着物姿の男が平野と自らの名を名乗った。傍らの刀を持つ男は葛城というらしい。平野の言葉から察するに、彼は野獣のことを知っていたようだった。野獣が頷く。
「あっ、はい。田所浩二っていいます。オッス、お願いしまーす・・・ていうか、なんで葛城さんがこんな所にいるんですか?そこの平野さん?は俺のこと知ってるみたいだし、鬼はいるし・・・これもう(状況が)分かんねえな・・・」
「俺だって信じられねえよ。お前本当に浩二なのか?」
野獣の言葉に葛城も疑問を呈す。
平野が口を開いた。
「・・・皆突然のことで混乱しているだろう。ここはまず私たちが誰なのか、何をしているのか、少しずつ順番に説明しよう」
こうして珠代や愈史郎、平野や葛城が何者なのか、何をしていて何が目的なのか等々について語った。
珠代と愈史郎、平野の三人は鬼であること。また葛城は人間であること。珠代たちは普段は医師として活動しており、また彼女たちは鬼だが人間を食べることは決してなく、人の血液を少量飲むだけで事足りること。その血は普段の医療活動の際金銭の余裕のない者から輸血と称して支障がない程度に血を購入することで得ていること。平野と葛城はこの時代の人間ではなく〇羽の時代からタイムスリップしてきた人間であり、もともと知人であること、それから葛城と野獣もまた知り合いで稽古や指導をしてもらう仲であること等々・・・
「はえ~、浩二さんと葛城さんって知り合いだったんですか?」
「うん。葛城さんは、葛城流っていう剣術の師範をやっている剣道の達人でさ。ついでに言うと、俺たち迫真空手部の秋吉師匠の友人なんだ。それで、時々秋吉師匠が葛城さんを連れてきて異種格闘の訓練をしたり、個人指導をしてもらったり、相談に乗ってもらったりしてさ・・・その縁で俺と葛城さんは知り合いなんだ。でもまさか、葛城さんもこの時代にタイムスリップしているなんてなぁ・・・」
「俺も驚いたよ、まさかお前もタイムスリップして鬼殺隊として活動してるなんてな・・・まさかとは思うが他の連中もタイムスリップしたりしてないだろうな?」
「はい。木村に三浦・・・部活の仲間たちもタイムスリップして隊士として活動していますし。秋吉師匠も育手として活動してますよ」
「何だって!?秋吉の奴もいるのか?」
野獣の言葉に驚く葛城。同じ武術家として深い仲だった葛城と秋吉だったが、親友や、指導相手が自分と同じ世界にいるとは驚きだった。
「おい、秋吉の奴は元気にやってるのか?狭霧山で行方不明になってたけどよ・・・鬼に喰われたりしてねえだろうな」
「大丈夫っすよ、元気にやってました。第一、秋吉師匠がクッソ強いのは葛城さんもよく知ってるでしょ?」
「おお、そうか・・・早く会いてえなあ・・・」
「今度機会があったら俺の方から伝えますよ。・・・あっ、そうだ(唐突)、ひではいないんすか?確か一緒にいたはずですけど・・・」
野獣の言うひで、とは葛城と一緒に暮らしている少年のことである。このひでという名の少年は訳あって葛城の養子となり彼と一緒に暮らしていた。正直野獣は彼とはあまり面識がなく、せいぜい生意気なガキンチョ、ぐらいの認識しか持っていなかったが、葛城と一緒に暮らしていた以上彼もここにいるのか少し気になったのだ。
「いや、実を言うとなひでは・・・あいつはいないんだ。俺がこの時代に来るつい最近に行方不明になっちまってな」
「そうなんすか?」
「ああ・・・正直、手掛かりが全くなくてな。心配するばっかだよ」
ため息をつき、心配そうな表情で首を振る葛城。彼によれば野獣たちがタイムスリップした頃、ひでが帰宅途中で行方不明になり、以来消息不明、まったく手掛かりなしだという。
「それで・・・葛城さんもタイムスリップしてこの時代に来たみたいですけど、どうしてこんなところにいるんです?」
「それについては私が説明しよう」
野獣の疑問に平野が口を開き、葛城と、そして平野がこの時代にタイムスリップし、珠代たちと出会った経緯について語った。
「あれは数年前のことだった・・・」
平野の説明によればこうだ。
もともと友人関係だった平野と葛城はある日の晩一緒に飲みに行った帰り、突然赤い服を着た老人が乗る自転車に二人して一緒に突き飛ばされた。気づいたら見知らぬ街並みの中におり、しばらくして彼らはそこが大正時代であり、自分たちがタイムスリップしたことに気づいた。途方に暮れ夜道をさまよっていると突然、異形の存在――鬼に襲われた。葛城は所持していた刀で応戦し、持ち前の剣技で何とか朝までしのぎ鬼を撃退したが平野は瀕死の重傷を負った――
「・・・本来ならそのまま私は死に、この場にいるはずではなかった。だが幸運にも珠代――彼女と出会い治療を受けることが出来た」
「はい。ですが傷が深く、駆け付けた時には彼はすでに虫の音でいつ死んでもおかしくない状態でした。そこで私は・・・彼を、鬼にしたのです」
「ファッ!?」
「鬼にしたって・・・あなたがですか!?え、でも・・・」
鬼にした。
その言葉に炭治郎と野獣の二人は驚愕する。鱗滝や秋吉の言葉によれば人を鬼にできる能力を持つのはただ一人、あの浅草の繁華街で出会った仇敵、鬼舞辻無惨ただ一人のはず。だが彼女は平野を鬼にしたと言った。
「驚くのも無理はありませんね。鬼舞辻以外は鬼を増やすことができないとされていますから・・・それは概ね正しいです。二百年以上かかって鬼にできたのは平野と愈史郎の二人だけですから」
「二百年以上かかって鬼にできたのは二人って・・・珠代さんは何歳ですか!?」
「女性に歳を聞くな、無礼者!!」
炭治郎の言葉に愈史郎が怒り、殴りかかる。愈史郎を珠世が叱る。
「よしなさい、愈史郎!なぜ暴力をふるうの」
「はい、すみません!!(怒った顔も美しいぞ、珠代様は・・・)」
「まあ、とにかく・・・こうして彼女の手によって私は鬼になり生き永らえ、以来、私たちは彼女と行動を共にしているというわけだ」
平野が最後に締めくくる。
話をまとめれば平野と葛城がタイムスリップした際、二人が鬼に襲われ平野が重傷を負ったこと、死にかけた平野を珠世が鬼にすることで救ったこと。以来、平野と葛城は珠世たちと活動を共にしていること。そして、鬼である珠世は長い年月をかけ平野と愈史郎の二人だけとはいえ、鬼舞辻以外で人間を鬼にし増やすことが出来るということになる。
珠代が口を開く。
「一つ、誤解をしないでほしいのですが・・・私は鬼を増やそうとしているわけではありません。不治の病や平野さんのように重傷を負い、余命幾許もない、そういった人にしかその処置はしません。その時は必ず本人に鬼となっても生き永らえたいか尋ねてからします」
「勿論私も同意したうえでそうしてもらった。何しろ状況が状況だったからな・・・」
「そうですか・・・」
二人の話を聞きながら炭治郎は彼女たちの匂いを嗅いだ。
珠代からも、平野からも、嘘の匂いは全くしない。つまり彼らの言っていることは事実ということになる。それに野獣の話によれば彼らと行動を共にしている人間である葛城は彼と深い仲だという。
もとより人を疑うということをあまりしない、お人好しの性根である炭治郎である。炭治郎は彼らを信用できると判断した。もちろんそれは野獣も同じだった。
話を聞くうちに野獣が不意に思い出したように言った。
「・・・ん?待てよ、人を鬼にしたってことは・・・その逆はどうなんですかね?」
「!そうだ、珠世さん・・・実は一つ聞きたいことがあるんです。・・・鬼になってしまった人を人に戻す方法はありますか・・・?」
野獣の言葉に炭治郎も新たに口を開く。
鬼を、人間に戻すことの是非。すなわち禰豆子を人間に戻すことが出来るのか否かの問題であり、炭治郎にとっては最も重要な問題の一つだった。それは敵討ちと並び、野獣と炭治郎が鬼狩りの旅に出ることの目的の一つだからだ。
目の前の珠世はわずか二名とはいえ鬼舞辻以外で唯一人間を鬼にした鬼である。その逆、人間に戻す方法でなくとも手掛かりを知っている可能性は高い。
「鬼を人に戻す方法は・・・あります」
はたして炭治郎の問いに対する彼女の答えは、肯定であった。
「!!救いはあるんですか!?」
「お、教えてください!!」
「寄ろうとするな、珠世様に!」
珠代の答えに思わず身を乗り出す野獣と炭治郎。
その二人を愈史郎が投げ飛ばす。
「愈史郎!次暴力をふるったら許しませんよ」
「手前何してんだこの野郎!」
愈史郎を叱る珠世。
葛城も刀を手にして愈史郎を睨む。
「投げたのです、珠世様。暴力ではありません」
「変わらないでしょう。どちらも駄目です」
愈史郎をなだめ、珠世は再び炭治郎達に向き直り口を開く。
「どんな傷にも病にも必ず薬や治療法があるのです。ただ、今の時点では鬼を人に戻すことはできない」
「・・・」
珠世の言葉にわずかに落胆する炭治郎。鬼を人に戻す方法がそう簡単に見つかるものでも、あったとしても簡単なものではないことも分かってはいたが、やはり出来ない、という事実は炭治郎達にとっては残念なものであった。しかし、彼女は「今の時点では」という前置きを置いたし、その前に方法があると断言した。可能性や希望は十分あるのだ。
「私たちはその治療法を確立させたいと思っています。そして・・・あの男、鬼舞辻を抹殺したいと」
「そもそも私たちはそのために動いている。鬼を人間に戻す方法を確立することと、鬼舞辻無惨を倒すこと。この二つの目的のために」
珠世の言葉を再び平野が継いだ。
「ここだけの話、私たちはこの四人だけで動いているわけではない。この時代にきて以降、私は様々な事業を起こし、多角経営を行っている。バーや病院、旅館・・・生活のためでもあるが、より社会や人と接する機会や人脈等を広げ、鬼舞辻や鬼達、鬼を人間に戻す方法を探るためだ」
平野によれば彼は医療活動等を行う珠世とは別に、様々な事業の多角経営を通じて様々な社会の人間に接したり、人脈を広げることで鬼に関する情報を集めたり費用を調達するなどして、情報面や財政面で珠代たちの活動を支えているとのことだった。それにしても大きく異なる時代にタイムスリップしながらも、事業の多角経営に乗り出し軌道に乗せるとは、この平野という男は相当商才があるようだ。
「多角経営って・・・平野さん、すごいっすね・・・」
平野の言葉に感心する野獣。珠世も頷く。
「もともと商才があったのか、すぐに事業は軌道に乗って・・・おかげで生活は安定しています」
「まぁ、事業を起こしたり広げるのに色々苦労をしたのだが・・・それは今は関係ないな。とにかく、今の私たちは鬼舞辻や鬼に関する情報を集めるために様々な活動をしているというわけだ」
「それで・・・今のところ、何か成果はあったんですか?」
炭治郎の言葉に平野は首を横に振った。
「・・・残念ながら、鬼舞辻に関して今のところめぼしい情報は得られていない。何しろ、相手は千年以上も生きている鬼の始祖だ。人間社会に相当溶け込んでいることだろう。対してこっちは活動を始めて数年・・・恥ずかしながら、まだ大きな情報は得られていない。・・・炭治郎君、浩二君、君たちも鬼舞辻無惨の行方を追っているんだったね?」
「はい」
頷く野獣と炭治郎。鬼舞辻無惨を見つけ仇を討ち、禰豆子を人間に戻す。それが二人の目的だ。同じく鬼舞辻の抹殺を考えている珠代や平野たちと目的は同じといえる。
「君たちと私たちは目的を同じにしている・・・協力を、お願いできないだろうか」
「協力・・・具体的に何をすれば?」
炭治郎の問いに珠世が答える。
「あなた達にお願いしたいことは二つです。一つはあなたの妹さんの血を調べさせていただくこと。そしてもう一つは、できる限り鬼舞辻の血が濃い鬼から血液を採取してきてほしいということです」
そう言って珠世は禰豆子の方を見た。
箱から出てきた禰豆子は床の上に転がり、天井を見たり、ゴロゴロ床を転がりまわったりしていた。彼女が鬼でさえなければ、よくある微笑ましい、無邪気な光景だ。
「禰豆子さんは今、極めて稀で特殊な状態です。二年間、眠り続けたとのお話でしたが、おそらくはその際体が変化している。通常それほど長い間人の血肉や獣の肉を口にできなければ、まず間違いなく凶暴化します」
確かに珠世の言うとおりだった。鬼は本来、人を喰らう存在。禰豆子もまた鬼である以上例に漏れず人の血肉を欲するはずであり、本来であれば禰豆子が鬼となったあの日、野獣と炭治郎は餌として彼女に貪り食われていたはずだった。だが彼女は彼らを喰らうことはなくむしろ冨岡から二人を守るしぐさをし、沼鬼と戦った時には人間を守るためにその力をふるった。人を喰らうどころか、人と行動を共にし、時には守る。禰豆子は鬼としては極めて異例な存在といえる。
「しかし驚くべきことに禰豆子さんにはその症状がない。この奇跡は今後の鍵になるでしょう」
珠世の言うとおり、禰豆子の存在は奇跡といえた。よくここまで来てくれた。炭治郎はそっと床に転がる禰豆子の額に手を触れた。
「もう一つのお願いは・・・非常に過酷なものになります。鬼舞辻の血が濃い鬼とはすなわち、鬼舞辻により近い強さを持つ鬼ということです。そのような鬼から血を採るのは容易ではありません。場合によっては、命を落とすことにもなるでしょう・・・それでもあなた達はこの願いを聞いてくださいますか?」
「命にかかわることだ、無理にとは言わない。どうしようと君たちの自由だ」
「浩二・・・お前ら、無理することはねえぞ。俺たちの勝手な頼みだからな」
「・・・やりますよ、俺は」
「俺もやりますよ。いや、やらないといけないってはっきり分かんだね」
珠代たちの言葉に炭治郎も野獣もはっきりと肯定の言葉を返し、頷いた。
禰豆子の頭をなでながら炭治郎は言う。
「それ以外に道がなければ、俺はやります。珠世さんたちがたくさんの鬼の血を調べて薬を作ってくれるなら。何があっても、必ず禰豆子を守るって決めたんです。それに、薬が出来れば禰豆子だけじゃなくもっとたくさんの人が助かりますよね?」
「そうだよ(肯定)。俺たちは守るために鬼狩りになったんだ、禰豆子やたくさんの人を救えるならこれぐらいするのは当たり前ってはっきり分かんだね」
「あなた達・・・」
なお家族や人々を思いやり、覚悟を見せる野獣たちの言葉にふっと微笑む珠世。その笑顔に一瞬炭治郎達が見惚れ、それを愈史郎がギロッと睨んだその時だった。
「・・・!?まずい!伏せろ!」
バアン!バン!ババン!バン!(大破)
愈史郎が何かの気配に気づいたかのような表情をし叫んだ瞬間、何かが壁を突き破り、部屋の中を跳ねまわった。その速度と威力は凄まじく、あっという間に壁や床、天井を跳ねまわり、穴や陥没を生じさせ破壊していく。
咄嗟に愈史郎が珠代を庇い、葛城と平野が身構え、野獣と炭治郎が禰豆子を庇う。
破壊の嵐が終わった時、てん、と何かが床に跳ね、転がる音がした。見れば毬が転がっていた。これが部屋に突っ込んできて破壊して回ったのだ。
一体なんだ。何が起こった、誰がこんなことを。
野獣たちは毬で突き破られ外の庭とつながる大きな穴が開いた壁を向く。その穴の向こう、庭に何者かの存在を見やる。
そこには毬を持った着物姿の少女に裸の少年(大嘘)がいた。
「キャハハッ、見つけた見つけた」
「ワ~オ!大人の鬼狩りはじめて見たぁ~!」
野獣たちの姿を見てはしゃぐ二人。雰囲気や匂いなどからすぐに分かった。これは・・・鬼だ
この少女・・・否、鬼達が、この毬を使って野獣たちを襲撃し部屋を破壊したのだ。おそらく、鬼舞辻の手下だろう。何らかの方法でこの隠れ家を見つけ襲撃したのだ。
「お、おい・・・嘘だろ?」
葛城が少年の姿を見て驚く。なぜなら、それは彼の知っている、そして探している人物だったからだ。
「ひで・・・なんでひでがここに居るんだ!?鬼になっちまったのか!?」
そう・・・この鬼の少年こそ、行方不明になっていた葛城の養子、家族・・・ひでだった。長い間行方知れずになっていた人物との再会。しかしそれは、感動どころか全く最悪の形で起こった。
「さあ、遊び続けよう、朝になるまで命尽きるまで!」
「ぼくもしゅる~」
野獣や葛城たちの動揺を意に介さず、少年少女の鬼はさらに攻撃を仕掛けようとする。
何にせよ躊躇したりしている暇はない。
野獣は日輪刀を抜刀し構えた。