鬼舞辻無惨レ〇プ!鬼狩りと化した先輩&淫夢ファミリー 作:ジョニー一等陸佐
「どこ・・・ここ・・・?」
「木村?三浦先輩?」
「ぬわああああああん寒いよもおおおおおおおん」
静かな雪山に男の大きな声が響き渡る。
あたりには枝の一つ一つに雪が積もった木々が立ち並び、地面にはこれでもかと分厚く雪が降り積もっている。雪も深々と静かに降っている。
その中に一人の男――声の主――が立っていた。
だが男の姿は周囲の景色に似つかわしくなく、寒さに体を震わせていた。
それは当然だ。まず服装からしてこの場所に適していない。「ISLANDERS」とプリントされた白いTシャツに黒い半ズボン。生地も薄くとても雪山に適した格好ではない。肌は日焼けし、筋肉質な男の容姿はこんな雪山よりむしろ真夏の都会や、でなきゃホモビに出てきそうな感じである。
いったいなぜ男はこんな場所にいるのか。
結論から言えば彼は自分に意思でここにいるのではなく、気付いたらここにいたのである。
時間を少し巻き戻すことにしよう。
~81.0分前~
東京下北沢に聖バビロン学院大学という大学がある。
国立の男子大学であるこの学校には迫真空手部というサークルが存在し、日夜非常にハードな活動や練習を繰り返していた。今日も厳しい練習を終えた三人の部員が風呂から上がり、部室でくつろいでいた。
バン!ババン!バン!(迫真)
風呂場のドアが勢いよく開けられ続々と三人の部員が出てくる。
「ふぉ~~あっつー」
「ビール!ビール!あっつー↑!」
「あ~はやくビール飲もうぜ~。おい、冷えてるか~?」
「んぁ、大丈夫っすよ、バッチェ冷えてますよ」
各々風呂で汗を流し温まった体をタオルで拭き、着替えながら部室へと入っていく。
畳の上に座りながらある者は雑誌を読んだり、ある者はぼーっとしたりと皆思い思いにくつろいでいた。
「三浦さん、夜中腹減んないすか?」
そう声を上げたのは迫真空手部員の一人、田所浩二。中堅の部員であり、引き締まった筋肉質の体(ステロイド服用の疑惑あり)にうんこ色に日焼けした肌、時折見せる野獣のような鋭い目つきから野獣、野獣先輩と呼ばれることもある。
「この辺にぃ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ」
「あっ・・・そっかぁ・・・」
野獣の言葉に少し間の抜けた言葉で答えたのはこの部の一番の先輩格、年長である三浦智将。野獣同様鍛え上げられた肉体の持ち主で一番の先輩、のはずなのだが普段はこのように間の抜けた天然の態度であるためあまり威厳はない。
「じゃけん夜行きましょうね」
「おっそうだな・・・あっ、そうだ(唐突)おい、木村ァ!」
「あっ、はい」
唐突に三浦は雑誌を読んでいた部員に声をかける。
木村と呼ばれた男が反応し雑誌で隠れていた端正な顔立ちが露わになる。木村ナオキ。それが男の本名だ。同じく迫真空手部員であり、三人の中では一番若く、二人の後輩である。
「お前ももちろん一緒に来るよな?」
「えっ、何にですか」
「ラーメン屋に決まってるダルルォ?」
「いつも練習終わったら皆で行ってるじゃねえか~頼むよ~」
「当たり前だよなぁ?ラーメン食ってビール飲んで、疲れを癒そうぜ」
厳しい練習の後の屋台のラーメンを食べビールを飲んで疲れを癒す――それがこの空手部三人組の恒例行事あるいは習慣だった。
「あ^~いいっすね^~後で皆で行って日頃の疲れを癒しましょう・・・疲れ、か・・・」
いつもの誘いに対し木村は笑顔で答えたが直後、わずかにそれが曇った。
「・・・ここ最近の練習、言うほど疲れなくなったし、キツくなくなりましたよね・・・あの日から」
「ですよねぇ・・・」
「ポッチャマ・・・」
不意に部室の空気が少し暗くなった。
彼らの習う迫真空手は習得が非常に難しく、その鍛錬は非常に厳しく時として過酷なものであり、熟練の経験者でも「疲れた」「やめたくなる」と漏らすほどだ。だが木村の言うとおり、ここ最近の練習はそれほどきついものではなく、悪く言えばぬるい、張りや緊張のないものになっていた。
きっかけは一か月前の出来事であった。
「・・・秋吉師匠まだ見つからないんですかね・・・」
「失踪してからもう一か月も経ってるんだゾ・・・」
木村は今は行方知れずになってしまっている人物の名を口にした。
AKYSこと秋吉。迫真空手部の顧問であり、三人の師匠、迫真空手の修得者であり、迫真空手部の稽古が厳しいものである要因の一つであった。空手の元々の難しさに加え、秋吉の指導は非常に厳しいものであった。1919回の筋トレ、グラウンド810週、114514回にも及ぶ正拳突き・・・これだけ聞けばいかに稽古が過酷なものか分かるだろう。ある時は彼に反抗し三人で一斉に不意打ちをかけたこともあったが、秋吉は相当な実力者であり「カスが効かねえんだよ(無敵)」という言葉とともに三人とも一瞬で組み伏せられあるいは投げ飛ばされ一転攻勢されてしまった。
とは言え、秋吉自身の指導そのものは一人一人と向き合う真摯で真剣なもので、稽古は常に真剣さと緊張感があった。だからこそ三人は迫真空手部で長いことやってこられたのかもしれない。
だが、一か月前。
時折どこかの山や森へ修業しに行くことのある秋吉はいつものように「ちょっと狭霧山に修行しに行くから、お前らしっかり自主練しとけ」とだけ言い残して出かけて。そのまま失踪、行方不明になってしまった。
警察に届け出が出され捜索が行われたが、足取りが全くつかめず、証拠もなく、現在に至るまで全くの消息不明、事件なのか事故なのか、無事なのかどうか、生死さえも分からない状況だ。さながら神隠しにあったかのようであった。
それ以来、空手部の稽古はどこかぬるいものになっており、三人は彼の安否を気にかけ無事を祈る日々が続いていた・・・
暗い空気になる部室。
このままではいけないと思ったのか、野獣が別の話題を振る。
「あっお前さKMRさ、さっきヌッ・・・さっきから雑誌熱心に読んでたけど何読んでたんだ?」
「え?いや、熱心ってわけじゃないですけど・・・よくある都市伝説の話題ですよ」
突然の振りに若干困惑しながらも木村は雑誌を見せる。開かれたページには都市伝説の特集が組まれていた。
「木村がそういうのに興味あるなんて初耳なんだゾ」
「いや、たまたま今回そういう特集が組まれていただけですよ」
「何が書いてあるんだ?」
野獣に問われ木村は記事の内容を簡単に述べる。
「えーっとですね・・・日本各地の『鬼』に関する話題ですね」
「鬼?」
「はい。まぁ、よくある都市伝説、伝承っていうやつですよ。各地に伝わる鬼に関する伝承や伝説について書かれていてですね・・・でも、この雑誌によれば鬼はつい最近・・・大正時代まで実在していて、それに関連して鬼殺隊っていう組織がいたらしいです」
「きさつたい?」
「鬼を殺すと書いて鬼殺隊ですよ。文字通り、鬼を殺すための組織です。つい最近までそういうのが実在していたってこの記事には書いてます」
「へえ、鬼っていうとだいぶ昔のイメージがあるけど、そんな最近までいたのか・・・初耳なんだゾ」
何やら感心したようにうなづく三浦。天然の彼らしい反応に、木村と野獣は笑いながら答える。
「ははは。だからあくまで都市伝説、伝承ですって」
「木村の言うとおりですよ。多分、何かの見間違いとか、疫病や災害を鬼に見立てていたのが、巡り巡ってそういう話になったんでしょ(適当)」
「ポッチャマ・・・」
空気が少し元に戻る。
いつもの談笑、いつもの光景が広がる中。
不意に部室の外から大きな音がした。
バァン!
\ヤベェヨヤベェヨ/
\オイゴルァ!/
続いて響き渡る男たちの怒号。
いったい何があったのかと確認のための行動を起こそうとした瞬間。
バァン!(大破)
「ファッ!?」
「ポッチャマ」
「やめてくれよ・・・(絶望)」
部室の障子を破って何かが猛スピードで部室に突っ込んできた。
黒塗りの高級車とその少し後ろ、白いワゴン車。
二つの巨大な車両が猛スピードで飛び込んできた。
三人全員が生命の危機を感じたが、いきなりの出来事で、猛スピードで突っ込んできた車両に三人はどうすることもできない。
牽かれる!ぶつかる!
そう覚悟しあるいは悲嘆にくれた瞬間。
三人の視界が白い光に包まれ意識が遠のいていった・・・
そして気付けば。
野獣は一人、見知らぬ雪山の中に佇んでいた。
そして冒頭に至る。
怪我はしておらず、どうやら命は助かったらしい。でもここはいったいどこなのだろう。
「どこ・・・ここ・・・?皆は・・・?」
突如として突っ込んできた車にぶつかると思っていたら、突然視界がホワイトアウトし気付いたらこんな雪山に突っ立ていた。これでもかと降り積もった雪、立ち並ぶ木々には枝一つ一つに多く雪が積もり、空から静かに雪が降ってくる。先ほどまで居た見慣れた部室とは違う光景が広がっていた。もちろん野獣には見知らぬ場所だ。既知感もかけらも感じない。周囲を見渡すが、三浦と木村の姿は見当たらない。
いったいここはどこだ、二人はどうなった?そもそもなぜ自分はこんな場所に、こんなところにいる?いったい何が起こった?
何とか状況把握しようとする野獣だったが先ほどまでと状況が大きく異なり何も分からない。
さらに問題がもう一つ。
「・・・ぶえっくし!ていうかそもそも寒スギィ!」
そう、とにかく寒い。あたりは雪が降り積もっているというのに野獣の現在の服装は半そで半ズボン。明らかにこの状況に適した服装ではない。そうこうしている間にも体はどんどん冷えていき体力が消耗していく。
「このままじゃ凍死しちゃう、やばいやばい・・・」
まずはどうにかして自身の身の安全を確保しなければ。そもそもここはどこなのか。人はいないのか。何処かに誰か人はいないのか・・・
そう野獣が凍えていると。
「あの・・・すみません」
背後から、声がした。
振り返ったその先には、一人の少年の姿があった。
黒と緑の市松模様の羽織にマフラー。耳には変わった首飾りがあり、火傷でもしたのか額の左にはあざがあった。背中には大きな籠を背負っている。年は十代前半か。しっかりしていそうな少年は、しかし野獣には一昔前の感覚を感じた。だがとにかく人には会えた。遭難は避けられそうだ。
不思議そうな様子で少年は続けた。
「こんなところでどうしたんですか?寒くないんですか?」
これが野獣先輩こと田所浩二と竈門炭治郎の出会いだった。