鬼舞辻無惨レ〇プ!鬼狩りと化した先輩&淫夢ファミリー 作:ジョニー一等陸佐
あっ、そうだ(唐突)、今回はちょっとした戦闘シーンがあるけど正直うまく書けてる自信がないんだゾ。こんなクッソ汚いクロスオーバー小説書く奴に文才なんか無いって、それ一番言われてるから。
鬼。
世間一般には伝説・伝承上の存在とされているが、奴らは実在する。
奴らが一体何時の時代から、どのように生まれ存在してきたのかはっきりとは分かっていない。
だが、鬼は人間にとって非常に恐るべき存在であることは事実であった。
鬼の主食は人間。人間を襲い、人間を殺し、人間を喰らう。時には残酷な殺され方で残忍に喰われることもある。
そして身体能力が人間に比べ遥かに高く、どんな傷もたちどころに回復する。身体を切り落とされても回復し、新たに手足を生やす。中には体の形を変えたり、異能の力を持つ鬼もいる。
鬼を殺すには、弱点である太陽の光を当てるか、日輪刀と呼ばれる特別な刀で頸を切り落とすしかない。
まさに脅威、恐るべき存在。
だが人々を守るため、奴らを滅ぼすため、人知れず鬼に立ち向かう者も確かに存在する。
鬼殺隊。
その名の通り、鬼を殺すための組織。そして、唯一鬼と戦うことのできる組織。その構成人数はおよそ数百人、政府からは公式には認められていない組織である。
誰が彼らの指揮を執っているのか等、その内実は謎に包まれている。
だが彼らは古より確かに存在し、今日も鬼と死闘を繰り広げている。
彼らはあくまで人間であり、生身の体で鬼に立ち向かう。人間であるから当然、傷の治りは遅いし、失った手足は戻らない。
それでも彼らは人知れず、今日も鬼に立ち向かう。人々を守るために。
青年・冨岡義勇はその鬼殺隊に所属する人間だ。
彼は今、鬼の出現の報告を受け雪山の中を駆けていた。鬼殺隊の隊服に左右で模様の違う変わった羽織に身を包み、手には鬼を殺すことのできる唯一の武器、日輪刀を携えている。
鬼と対等に戦うために長年の特別な鍛錬を重ねた強靭な肉体は、常人とはかけ離れた身体能力を発揮し、人間とは思えぬ凄まじい速度で雪山の中を駆け抜けていく。
もはやそれは鬼と大差ない速さだ。雪上には人間をやめたとしか思えない間隔で足跡が残されていく。
(間に合ってくれればいいが・・・しかし、もうおそらく――)
木々の間を駆け抜ける中、冨岡は人々の安否を気遣う一方で、諦めの心境も持っていた。
やがて木々の間に家屋が見えてくる。傍らには製炭所らしき小屋が。
家屋に近づき、その中に広がっている惨状を見て冨岡は顔をしかめる。
壁や床に散らばる大量の血痕。赤く染まった雪。その中に転がる物言わぬ死体。
間に合わなかった。
瞬間、後悔に似た懺悔の感情が冨岡の胸の内に浮かび上がる。俺がもう少し早くここに来ていれば。
「・・・すまない」
だが、後悔しても遅い。過ぎたときは戻らないし、死者が生き返ることはない。今は鬼殺隊の人間としてやるべきことをするしかない。
心の中で犠牲者達に黙祷を捧げると、冨岡はあたりを散策する。すぐに付近に足跡を見つけた。
(足跡は一つ・・・いや二つ。まだ新しい。鬼か?それとも生き残った人間が逃げているのか?)
手がかりを見つけた義勇はすぐさま足跡を辿るように雪山の中を駆けていく。進んでいくうちに。やがて鬼の気配を感じ、そして強くなっていく。
そして。
「ウガアアアアッ!」
「禰豆子!しっかりするんだ!」
「・・・!」
突如として聞こえた人ならざる者の叫び声と怒号。間違いない、鬼だ。そして恐らく生存者がいる。
冨岡はすぐに抜刀できるよう刀の柄に手をかけ臨戦態勢をとり、そのまま声のしたほうへ駆け出す。
その光景はすぐに眼前に現れた。
鬼と思しき少女が叫び声をあげながら覆いかぶさるように少年に襲い掛かっている。少年は斧の柄を少女に噛ませ必死に抵抗している。少し離れたところには今の季節にはそぐわないぐらい日焼けした青年が大の字になって倒れている。鬼のようにも死んでいるようにも見えず、おそらく何かしらの理由で気絶しているのだろう。
冨岡は人々を守り鬼を殺す鬼殺の剣士である。そして、鬼と化した元人間が罪のない人々を貪り食う醜い光景を何度も目にしてきた。
やるべきことは一つ。
冨岡は鬼の少女に狙いを定め抜刀。飛び上がり、頭上から彼女めがけてそのまま袈裟切りにするべく刀を振り下ろそうとした。振り下ろそうとしたが――
「炭治郎!」
横から気配を感じた冨岡が僅かに視線を逸らすとそこには先ほどまで気絶していたはずの青年が冨岡に向かって突進していた。今になって気が付いたというのか。
思わず不覚を取られた冨岡はそのまま青年にタックルされる。その隙に覆いかぶさられていた少年は鬼と身代わりになるように身を取り換え、転がりまわる。振り下ろされた刀身がブチリと鬼の少女の長髪を切る音がした。
タックルされつつも冨岡はとっさにその衝撃を受け流し、青年を蹴飛ばして雪上に立つ。
眼前にはかばうように鬼の身を抱える少年と、盾になるように二人の前に立つ青年の姿。
「なんだこのオッサン!?」
青年が思わず叫ぶ。
「・・・俺は、オッサンじゃない」
冨岡はまだ19歳の青年である。根拠もなくオッサン扱いされたことに内心軽く傷付きながらも、刀身と瞳を鬼のほうに向け、理解できないといった風に疑問を投げかける。
「・・・なぜかばう」
少年もまた、冨岡の問いに対し理解できないといった風に答える。
「・・・妹だ・・・俺の、妹なんだ・・・!」
「ガァァッ!ガッ、グァウ!」
必死にかばおうとする少年、暴れる鬼。
「それが?・・・それが妹か?」
縦に裂けた瞳孔。
異常に尖り伸びた爪。
人の血に濡れた肌と服。
正気を失った獣のような瞳。
それら全てが、少女が鬼であることの証左であった。
冨岡は鬼を確実に屠るべく駆ける。
身構える青年と、妹に覆いかぶさる少年。
だが次の瞬間には少年の腕の中に少女の姿はなく。向こうに視線をやると刀片手に冨岡に拘束された少女の姿が。
「・・・ファッ!?」
「禰豆子!?」
「動くな」
冨岡の静かだが、しかし殺気のこもった声に二人の体が固まる。
「俺の仕事は鬼を斬ることだ。勿論お前の妹の首も刎ねる」
「ふざけんな!(迫真)鬼だか何だか知らねえが、いきなり襲っていきなり切り殺そうとするお前のほうが鬼じゃねえか!頭にきますよ!」
冨岡の言葉に青年が激高する。少年もまた、困惑と懇願のこもった瞳で冨岡に口を開く。
「そんな、待ってくれ!禰豆子は誰も殺していない!家にはもう一つ匂いが、嗅いだことのない誰かの匂いがした!皆を殺したのは・・・多分そいつだ!禰豆子は違う!どうしてそうなったのかは分からない。けど、けど――」
「簡単な話だ。傷口に鬼の血を浴びたから鬼になった。人喰い鬼はそうやって増える」
鬼になった妹を助けようと必死に懇願する少年に対し、冨岡は冷厳な事実を突きつけ、平行線の言い合いが続く。
「禰豆子は人を喰ったりしない!」
「よくもまあ今しがた己が喰われそうになっておいて」
「違う!俺のことはちゃんと分っているはずだ!俺が誰も傷つけさせない、きっと禰豆子を人間に戻す!絶対に治します!」
「治らない。鬼になったら人間に戻ることはない」
冨岡は日輪刀を構え、少女にその刃を向ける。ますます少年が焦り、必死になる。傍らの青年もますます激高し叫ぶ。
「いい加減にしろ!そうやって罪もない人間を殺して何が楽しい!?」
「やめてくれ!家族を殺した奴も見つけ出して!禰豆子も治して!俺が、俺が全部するから」
やめてくれ。
どうか妹を殺さないでくれ。
お願いします。
そう言って。
家族を皆殺しにされ、唯一生き残った妹も手にかけられようとしている少年は土下座をした。
少年からは、もうこれ以上俺から奪うのはやめてくれという悲壮な想いが。
青年からはこの少年から、さらに奪うのかという理不尽に対する強い怒りが感じられた。
ああ。
わかるよ。
わかる。
冷徹な態度とは裏腹に、冨岡はその内心においては彼ら二人の心境を察していた。
わかるよ。お前らがどういう想いなのか。しかし、でも、だから――
「人間の屑がこの野郎・・・!お前に人間の心はないのか!?家族を皆殺しにされたこいつの気持ちにもなってみろ!必死で家族を助けようとしているのを、お前は一方的に、踏みにじろうとしているんだぞ!ふざけるな!どうしてお前にこんなことする権利があるんだ、いい加減に」
「いい加減にするのはお前らのほうだ!!生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
怒りを露わにする青年と必死に懇願する少年を遮って、冨岡は腹の底から叫んだ。
少年の肩がびくりと震える。
「惨めったらしくうずくまるのはやめろ!!そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない!!奪うか、奪われるかの時に主導権を握れない弱者が、妹を治す?仇を見つける?笑止千万!!」
感情を爆発させ、容赦のない言葉を浴びせる冨岡。だが、彼の内心はまた違うことを思っていた。
「弱者には何の権利も選択肢もない!ことごとく強者に力でねじ伏せられるのみ!確かに妹を治す方法はあるかもしれない!鬼はそれを知っているかもしれない!だが、鬼どもがお前たちの意思や願いを尊重してくれると思うなよ!当然、俺もお前を尊重しない!それが現実だ!なぜお前は妹に覆いかぶさった?それで守ったつもりか?なぜその斧を振らなかった?なぜ俺に背中を見せた?何なら、お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!」
涙をぽろぽろと流す少年。そこにあるのは己の無力への嘆きか、理不尽に対する怒りか。
泣くな、絶望するな。
お前たちが今すべきはそうじゃない。
冨岡は、彼らの思いが、怒りと悲しみと絶望が分かっていた。だからこそ、彼は激高したように叫んでいた。
家族を殺され妹も鬼され、つらいだろう、叫びたいだろう、ああ、わかるよ。もしかすると間に合わなかった俺に対する恨みもあるだろう、いやある。俺がもう少し早く来ていればこんなことにはならなかったかもしれない。
けど、それでは駄目なんだ。今すべきはそうじゃないんだ。過ぎた時を巻き戻すことはできない。
怒れ。
許せないという怒り、理不尽に対する純粋な怒りは、やがて手足を動かすためのゆるぎない原動力となる。
そして、脆弱な覚悟では妹を守ることも治すこともできない。そして仇を討つことも。
冨岡は鬼殺の剣士として、己のすべき義務を果たすため、日輪刀を振り上げ禰豆子めがけて振り下ろす。
「やめろ・・・!」
ドスッと肉が突き刺され裂ける感触が伝わる。
ぎゃあっと少女が悲鳴を上げる。
「やめろーっ!!」
少年と青年はほぼ同時に行動を起こした。
少年が石を冨岡めがけ投げつけ、横に駆け出す。
勢い良く投げられた石を日輪刀の柄で弾き飛ばす。
同時に横から青年がすさまじい勢いでこちらに駆け出すのが見えた。
青年がそのまま拳を冨岡の顔面目掛けて突き出そうとする。柄でその腕を振り払うのとほぼ同時に膝蹴りか、でなければ足払いを喰らわせようとする。だがそのまま拳を突き出すと見せかけて青年は腕を引っ込め、上半身を後ろに引く。瞬間冨岡の眼前には青年の脚がすさまじい速度で迫ろうとしている光景が広がった。
「!」
「ヌゥン!ヘッ!ヘッ!ア゛ア゛ア゛ア゛!!(大迫真)」
回し蹴りをくらわせようとする青年。その様子、動き、迫真の叫び声とその裏にある呼吸音に冨岡は既視感を感じた。あの動き、叫び、呼吸。そう、あれは確かまだ冨岡が鬼殺隊に入るための修行をしていたころの――
すんでのところで頭を引っ込め避けると、隙ありとばかり一瞬露わになった股間部分目掛けて、刀を握ったままの拳を勢い良く突き出す。更に膝蹴り。
「ファッ!?ウーン・・・」
勢いよく蹴飛ばされ地面に叩きつけられ激痛と共に青年は気絶する。
(今の動きと叫び声・・・そして呼吸、見覚えが・・・まさか)
先ほどの青年の動きに既視感を感じる一方で、冨岡は素早く体を別方向に向ける。
先ほどの少年が叫び声をあげ、何かを投げながら木々の間からこちらに迫るのが見えた。手元が服で隠れ見えないが、おそらく斧をもって突撃しようとしているのだろう。だが、そこに技術や戦術は感じられない。感情に任せた単純な攻撃。
愚か――
少年の体が激突する直前、冨岡は刀の頭部分を少年の背中目掛けて勢いよく叩き込んだ。
ガハッと肺から空気が漏れる音と共に、少年はどさりと雪の上に倒れそのまま気絶した。
――斧がない。何処だ。
倒れた少年の手にはあるはずの斧が無かった。
何処にある?
何かを感じ咄嗟に頭上を見上げると回転しながら勢い良くこちらに落ちてくる斧が。咄嗟に避ける。ドカッと勢いよく斧が背後の木に刺さる。
冨岡は悟った。あれは感情に任せた単純な攻撃などではなかったのだ。
木の陰に隠れる直前こちらに石を投げ、木の陰に隠れた瞬間、こちら目掛けて斧を上に投げる。丸腰であることを悟られないように手元を隠しながらこちらに向かって突撃する。冨岡の攻撃で倒れた時、斧は彼の頭上から襲い掛っている。
少年が冨岡に勝てないからこその攻撃。少年が倒れた後、冨岡を倒そうとしたのだ。見覚えのある動きをした青年、そしてこの少年。この二人は・・・
「ウガアア・・・」
「!」
そこで冨岡は先ほどまで拘束していたはずの鬼の少女が、その腕から離れていることに気付いた。二人を相手にしている内に拘束が緩んでしまったようだ。
少女が勢いよく蹴りを突き出す。瞬間冨岡は後ろに下がる。
そのまま少女は倒れた二人の下に駆け出した。
しまった、喰われる――
今まで何度も鬼が人を喰う光景を目にした経験のある義勇はここに来て焦った。
そして――
二人が食べられることはなかった。
少女は。
二人に背を向け、こちらを睨んでいた。
まるで、二人を守るかのように。
『禰豆子は違う。人を喰ったりしない』
昔、同じようなことを言って結局喰われたやつがいた。鬼になり飢餓状態となった人間はたとえ家族でも殺して喰う。理由は単純、栄養価が高いから。特に鬼になりたてで飢餓状態になっている場合は猶更だ。
この少女は鬼になりたてで、その上けがを負い、治している。そのための相当な力を消費しており、間違いなく今は重度の飢餓状態。一刻も早く人の血肉を喰らいたいはず。
だが、目の前の少女は。盾になるように二人の前に出て、荒い呼吸と共にこちらを睨めつけている。
それは明らかな守る動作、冨岡に対する威嚇行為。
少女が叫び声をあげながらこちらに飛び掛かる。
人を喰らうのではなく守る動作を見せた鬼の少女。
鬼と化した少女を守るため、捨て身のしかし計算された攻撃を見せた少年。
見覚えのある動きと呼吸を見せた青年。
こいつらは。
何かが違うのかもしれない。
そう感じながら、冨岡は少女の首筋に手刀を打ち込んだ。
暗い。
野獣は漆黒の中にいた。
あるいはそのように感じたというほうが正しいかもしれない。意識が朦朧としている。
一体ここはどこなのか。何処からが上で、どこからが下で、どこから左右なのか。
そんな中ふと聞き覚えのある声がした。大切な人の声だということは分かるが、だれのものなのかははっきりと分からない。
「・・・こんなことになってすみません、田所さん」
「手前勝手なお願いだとは承知しています。でも頼れるのがあなたしかいません。私たちはもう行かないと・・・」
「どうかあの子たちに伝えてください。置き去りにしてごめんねと・・・」
「どうか息子と娘を・・・炭治郎と禰豆子をお願いします」
そんな声を聴きながら、野獣の意識はまた漆黒の中に沈んでいった・・・
炭治郎もまた漆黒の中にいた。
何処からか、懐かしい、とても大切な人の気配と声がする。
「・・・置き去りにしてごめんね、炭治郎」
優しい声だった。
「禰豆子を頼むわね。田所さんもいるから・・・」
そこで瞬間、炭治郎の意識が覚醒した。
まず視界に映ったのは禰豆子だった。大切な、大切な炭治郎の妹、唯一生き残った家族。口に竹でできた口枷を咥えているが、静かな呼吸音が聞こえる。眠ってるようだ。愛する家族が、妹が無事であることに思わず涙が流れる。
隣に目を向ければ野獣が横たわっていた。こちらも意識はないが息はしていた。
「禰豆子・・・浩二さん・・・」
大事な人が無事であることに安どする炭治郎。三人とも雪の上で横たわっていたようだ。
「起きたか」
不意に聞き覚えのある声がした。
声のしたほうに目を向けると、先ほど禰豆子たちを襲った青年の姿があった。
思わず禰豆子の体を抱きかかえる炭治郎。また三人に危害を加えようとしているのか。
だが青年は何をするでもなく、口を開いた。
「狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次と・・・秋吉という二人を訪ねろ。冨岡義勇に言われて来たと言え。二人には俺から手紙を出す」
青年は三人に背を向ける。
「今は日が射していないから大丈夫なようだが・・・妹を絶対に太陽の下に連れ出すなよ」
「・・・」
そう言って、青年はそのまま去っていった。
しばらくして。炭治郎と野獣、そして禰豆子の三人はかつての家の前にいた。
野獣を起こして一旦家に戻った炭治郎達は協力して地面を掘り起こし、家族の遺体を埋めた。
炭治郎と野獣は手を合わせ、黙祷した。
禰豆子は鬼になった影響か、状況がよく分からないのか、起きてからぼーっとしたままだ。
「・・・お別れ、ですね」
「ああ・・・」
「・・・浩二さん。確か初めて出会ったとき、『すまほ』で家族の写真を撮りましたよね?・・・見せてくれませんか?」
「ああ」
野獣は柔らかスマホの取り出した。電池の節約のためオフにしていたが、状況が状況だ。画面にあの時とった野獣と家族の写真が映し出される。炭治郎と禰豆子にとって最初で最後の家族写真。野獣にとってはあの雪山の中で知らない人間である自分を快く迎え入れてくれた命の恩人だ。もう会話をしたり食卓を囲むことはない。もう、二度と会えないのだ。苦しかったろう、辛かったろう。もっと、ああしておけば良かった、あの時こうしていれば。
様々な感情が二人の間にこみ上げ、混ざり合い、よく分からなくなる。
「・・・もう、会えないんですよね。母ちゃんにも、竹雄にも、みんなにも・・・」
ただじっと、家族の写真を見つめる炭治郎に野獣は声をかけた。
「・・・でもまだ禰豆子がいる。たった一人残った家族だ。何がなんでも守らないといけないって、はっきり分かんだね」
「ええ、そうですね」
二人の言葉には確かな決意がある。でも一方で、写真を見ている内にこみ上げてくる感情も確かにあった。
「・・・お前にとって大事な家族、俺にとっては命の恩人。でもまだ恩を返せてない・・・なんとしても・・・じゃけん、必ず仇を討ちましょうね」
「はい」
「でも・・・やっぱり・・・こんなのないですよ」
「浩二さん・・・」
「行く前に・・・泣きませんか?泣きましょうよ・・・もう色々と・・・感情が・・・涙が、で、出ますよ」
「浩二さん、でも、俺」
長男としてか、男としてか。必死にこらえようとする炭治郎の肩に野獣は手を置く。
「大切な人が死んで泣くのは当たり前だよな?・・・それに、泣きたいときに泣かないと・・・心が持たないってそれ一番言われてるから・・・」
「・・・うう。母ちゃん・・・竹雄、花子、茂・・・六太・・・みんな、みんな・・・ごめん・・・ごめん・・・!う・・・ゔわあああああああー!!」
辺り一帯に、少年の慟哭が鳴り響いた。野獣もまた、涙を流し時折叫ぶ。ぼーっとしていたはずの禰豆子も、声こそ上げていないものの見れば目から涙を流していた。
一通り泣いた後、三人は身支度を終え、出発の準備を整えた。
炭治郎は禰豆子の手をしっかりを握る。
「・・・浩二さん」
「?」
「・・・俺必ず・・・仇を討ちます。そして・・・禰豆子を人間に戻します」
「そうだな。・・・俺も同じだよ、炭治郎」
それから炭治郎はかつての家と埋葬された家族を振り返ったがすぐに向き直った。
「・・・行きましょう!」
「ああ・・・!」
そして三人は駆け出した。
敵討ちのため、妹を人間に戻すため。
過酷で残酷な運命を断ち切り変えるため。
三人は歩みだす。
もう止まることはない。
ただ、前へ進むのだ。
大正イキスギィ!イクイクイク・・・アッ・・・ンアッー!(≧Д≦)話
野獣先輩をはじめとした淫夢ファミリーの呼吸は基本オリジナルで行く予定です。あんまり原作に忠実すぎるとつまらないし、みんなオリジナル呼吸を期待してるだろうから、ま、多少はね?
呼吸の名前自体は決まってないけど技・型の名前はこんな感じにしようかなと考えてます。
・野獣先輩
淫夢之一太刀
愛洲鄭
邪剣『夜』逝魔翔音
良世来世
・三浦
双打『夜』もしくは双打『陽』
仏智破
砲茶魔
・・・なんだこのひどいセンスは・・・たまげたなあ。木村のオリジナル呼吸どうするか言い合い出が思いつかねえ・・・どうするかな~俺もなぁ~
あっ、そうだ(唐突)、せっかくだからみんなも何かこの作品を進めるにあたって何かいいアイデアや設定が思いついたら作者の活動報告『大正イキスギィ!イクイクイク・・・アッ・・・ンアッー!(≧Д≦)話』に投稿してください。感想欄に書くのは消される可能性があるから・・・やめようね!どんどんアイデア投稿してくれよな~頼むよ~(必ず採用するとは言ってない。ホモは嘘つき)
最後になかなかストーリーが進まなくてみんな暇してるだろうからおまけを書いといたゾ。みんな見とけよ見とけよ~
『ガバガバ鬼滅劇場:青い彼岸花を見つけるも日光に当たり討ち死にする鬼舞辻無惨』
推奨BGM:『風林火山』
無惨(くそ・・・青い彼岸花・・・千年以上探し続けているにもかかわらずなぜ見つからない?本当にあるのか?あれさえあれば太陽を克服できるのだが・・・)
雨「ザーザー(迫真の演技)」
無惨(どこかの文献には「雨の日は十年に一度の青い彼岸花に会える」っていうけど・・・)
無惨(雨がやんできた・・・太陽が・・・隠れなければ・・・うん?)
青い彼岸花「」
無惨(わあ!青い彼岸花!ほりだしもんだヮ!)
あまりの嬉しさに思わず駆け出す無惨。しかし雨がやみ、日光が指していたことを忘れていた。
無惨「あ」
日光が容赦なく無惨を焼く!
無惨「ぐああああああああああっ!!」
無惨は死んだ。鬼は滅んだ。
ターラララララーララーラーラーラーラー♪(推奨BGM:討ち死にのテーマ)
終
こんなクソみたいなおまけ書いてすみません、許してください!何でもしますから!(何でもするとは言ってない)