鬼舞辻無惨レ〇プ!鬼狩りと化した先輩&淫夢ファミリー 作:ジョニー一等陸佐
あと野獣先輩が使う呼吸ですがアンケートの結果、圧倒的多数だった野獣の呼吸にすることにしました。よろしくお願いします、オナシャス!
感想や活動報告へのアイデア投稿、よろしくお願いさしすせそ。
野獣と炭治郎のもとに突然現れた二人の男。一人は天狗の面をつけた初老の男。もう一人は行方不明になっていたはずの野獣の師匠、秋吉。二人とも全く足音も気配もなく突然現れた。天狗の面の男は何者なのだろうか?なぜ行方不明になっていた人物がここにいるのだろうか?
突然の事態に二人ともしばらく唖然としていたが、やがて野獣が口を開いた。
「・・・秋吉師匠・・・何でこんなところに・・・?」
「話は後だ。それよりも」
秋吉は斧の柄と木の幹の間に挟まり身動きが取れずにいる首だけの鬼を指さす。
「お前ら、あれにとどめを刺さなくていいのか?」
顔を見合わせる野獣と炭治郎。ついさっきまで、二人はあの鬼にとどめを刺そうとしていたところなのだ。ここでやらねば更に人が殺されると。
今度は炭治郎が口を開く。
「・・・どうすればとどめを刺せますか?」
「人に聞くな。自分の頭で考えられないのか」
答えたのは天狗面の男。
「・・・」
炭治郎は短刀を、野獣は石を見つめる。ついさっきまでこれでとどめを刺そうとしていた。胴体が失われたとはいえ、あの鬼はまだ生きている。胴体だけで動いていたし、首からは腕が生え出ている。放っておけば完全に再生するかもしれない。そしてまた人を殺し喰らうだろう。とどめを刺すのは当然の義務だ。ついさっきまでそう思っていた。だが改めて状況を目の前にすると、心に揺らぎがある事に気付いた。
どうすればとどめを刺せるだろうか?そんなものでは雑魚鬼も殺せないと秋吉は言った。頭を潰すべきか?となるともっと大きな石を思いきり打ち付けるべきだろうか?しかし一撃で殺せるだろうか?それで鬼は死ぬだろうか?余計な苦しみを与えるのではないか?
野獣も炭治郎も凶器を手にし、瀕死の鬼を目の前にしながら動けなかった。
一言でいえば彼らは殺すということに対して躊躇していたのだった。
二人の躊躇は天狗面の男も秋吉も感じていた。
当然といえば当然というべきかもしれない。
本来一般の人間にとって殺すというのは異常で非日常的な行為。不慣れな人間ならまず戸惑いや良心の呵責を感じるだろう。まして目の前にいるのは鬼とはいえ見た目は人間と変わらない。ついさっきまで普通の生活を営んでいた二人が躊躇を感じるのは当然とも言えた。だが・・・
天狗面の男は匂いを嗅ぐ。そしてすぐに悟った。
(ああ・・・この子は駄目だ)
二人のうち耳飾りの少年。彼から躊躇に加え、優しさや同情の匂いがした。行為に対する躊躇もあるが、思いやりが強すぎて決断できていないのだ。鬼を前にしても優しさが消えず、それどころか同情すら抱いている。育ててほしいという手紙をもとに来ては見たが・・・少なくともこの子には無理だろう。
漂う沈黙、過ぎ去っていく時間。
秋吉が不意に呟いた。
「・・・そろそろ夜明けだな」
東の空を見ればオレンジ色に輝き木々の間から光が少しずつ漏れ、強くなっている。そして山の稜線から太陽がわずかに顔をのぞかせ、その光が山々に、野獣たちに、そして鬼に降り注ぐ。と、次の瞬間。
「ぎゃあああああああああっ!?」
「!?」
日光が当たった瞬間、鬼の首が一気に焼け、燃え上がる。先ほどまでのしぶとさが嘘のように、すさまじい速さで炭のようにボロボロに崩れていく。
「ハッ・・・ハッ・・・アッー!アーツィ!アツゥイ!アツイ!アツイ!アー・・・アツイ!」
声にも鳴らす絶叫を上げ必死に、しかし空しくもがく鬼。日光に焼かれ、ボロボロに崩れ、最後には塵のようになったかと思うと、そのまま鬼は跡形もなく消え、後には幹に刺さった斧だけが残された。
野獣と炭治郎は義勇の「絶対に妹を日の光に当てるな」という言葉と、禰豆子が太陽を嫌がっていたことを思い出す。
日光が鬼の弱点のようだが、日の光に当たるだけでこうなるとは。道理で禰豆子が嫌がるはずである。
呆然としていた野獣と炭治郎だったがそこで秋吉と天狗面の男のことを思い出す。
視線を移すと二人は盛り上がった土の山の前で手を合わせていた。お堂の中であの鬼に殺された人を埋葬していたのだ。匂いである程度分かっていたが、少なくとも悪い人間・・・ではなさそうだ。
「あの・・・」
炭治郎が声をかけると天狗面の男が振り返った。
「儂は鱗滝左近次だ。そしてこいつが・・・」
「秋吉だ。義勇の紹介はお前たちで間違いないな?」
「は・・・はい。竈門炭治郎といいます。妹は禰豆子で、この人が田所浩二さんで」
「お前ら、もし妹が人を喰ったらその時どうする」
「・・・!?」
秋吉の突然の質問に野獣も炭治郎も一瞬言葉を詰まらせ固まった。
突然の、考えたこともなかった質問。妹が・・・禰豆子が、人を喰ったら?そんなことがあるはずがない。そうはさせない。でも可能性は0ではない。もしそんなことになったら自分たちはどうするべきなのか?そうさせない、ありえないとばかり考えていたが、完全に起こりえないとは限らないのだ。しかしいざそうなったら自分たちはどうするべきなのだ?
一瞬、沈黙が場を支配する。と、次の瞬間。
「オルルァ!」
「おぶぇ!?」
「ファッ!?」
突然、秋吉が人間離れした速さで正拳突きを炭治郎に見舞った。まったく動きをとることが出来ぬまま炭治郎は後ろに吹っ飛ぶ。そのまま間髪入れずに秋吉は野獣に回し蹴りを繰り出す。構えをとる暇もなく野獣も横に飛ばされる。地面にぶつかる寸前何とか受け身の姿勢をとるが、それでも受けた衝撃は大きく眩暈がした。
「カスが判断が遅いんだよ」
地面に転がる二人を睥睨し秋吉は言った。
「朝になるまでとどめを刺そうとしなかった。今の質問にすぐに答えられなかった。殺すことを躊躇していた。とにかく判断が遅いんだよ。殺すのを躊躇するのは分かるが・・・特に炭治郎、お前は単に躊躇していただけじゃなく、鬼に情を捨てきれていなかった。鬼になった妹を助けるとか何とか言っていたが・・・本当に本気でそう思っているのか?正直、お前の覚悟は甘いとしか言えないぞ」
「そんなことありません!俺は本気で禰豆子のことを――」
「鬼になった妹が人を喰ったら、お前はそれを許せるのか?」
「・・・!?」
秋吉の指摘に炭治郎は言葉を詰まらせた。今炭治郎と禰豆子は鬼に家族を殺され、鬼にされた立派な被害者である。だが禰豆子が人を食らう鬼であることは紛れもない事実である。今はまだそんなことはしていないし、させるつもりは炭治郎も野獣も絶対にないが、自分たちが加害者の側になることは十分あり得るのだ。その人の未来や大切な家族をもし奪うことがあったら・・・果たして炭治郎は禰豆子にどう接すべきなのだろうか?それでも許し守るべきなのか、できるのか?
「妹が人を喰った時にやることは二つだ」
沈黙する炭治郎に天狗面の男――鱗滝が言った。
「妹を殺す。そしてお前達は腹を切って死ぬ。鬼になった妹を庇い、連れていくというのはそういうことだ。しかしこれは絶対にあってはならないことだと二人とも肝に銘じておけ。罪なき人の命を奪う、それだけは絶対にあってはならない。・・・儂の言っていることが分かるか?」
「「はい!」」
鱗滝の言葉に今度は野獣も炭治郎も間髪入れずに答える。
「・・・ではこれからお前たちが鬼殺の剣士として相応しいかどうか試す。妹を背負ってついてこい」
指示に従い、野獣と炭治郎は鱗滝と秋吉の追って走っていた。炭治郎の背中にはもちろん禰豆子の入った籠が背負われている。
鱗滝も秋吉も、速い。そのうえ足音が全くしない。運動部で鍛えている野獣はともかく、禰豆子を背負う炭治郎は負担が特に大きいだろう。二人ともすぐに、特に炭治郎は強く息切れを起こした。
「アァッ!ハァッ!イキスギィ・・・ハァ・・・ハァ・・・ヌッ、炭治郎、大丈夫か・・・大丈夫じゃない?」
「ハッ、ハッ・・・ウーン・・・だ、大丈夫です、まだ、いけます・・・!浩二さんこそ、大丈夫ですか・・・ハッ」
クッソ汚い息切れをしながらも炭治郎を気遣う野獣とそれに応える炭治郎。
「空手部と水泳部掛け持ちしてるから体力には自信あったけど・・・やっぱり、秋吉師匠は速いっすね・・・ハヤスギィ・・・」
「あ、あの道着姿の人と知り合いなんですか・・・?」
「以前行方不明になった俺の空手部の師匠のこと話したろ?・・・あの人がそうなんだよ・・・」
「え、そうなんですか!?じゃあ、まさかあの人も・・・」
思いもしない事実に炭治郎は目を丸くした。未来から来た人間の師匠。それがここにいるということはあの秋吉という人物も野獣と同様未来から来た人間ということになる。
「俺も正直信じられないよ・・・行方不明になってたはずなのに。でもどう見たって秋吉師匠だってはっきり分かんだね」
行方不明になったはずの恩師がここにいる。再会できたこと、無事だったことは素直に嬉しいが、何故ここにいるのか、自分と同様タイムスリップしたのか、疑問も次々と湧いてくる。それと同時に野獣の脳裏に秋吉の熱心かつ過酷な迫真空手の指導が思い浮かぶ。基礎体力作りのグラウンド810周に1919回の筋トレ、114514回の正拳突き・・・他にも思い出したらきりがないし、思い出すのもゾッとする。迫真空手は一般の空手とは大きく異なり非常に強力で、非常に過酷なのだ。
「秋吉師匠の稽古はとにかく厳しい・・・というより過酷すぎるんだ・・・あの二人俺たちを試すとか言ってたけど・・・絶対これだけ終わるはずがないって分かんだね・・・炭治郎、覚悟しておいたほうがいい・・・」
「・・・はい!」
野獣の迫真の表情に炭治郎は頷く。秋吉や鱗滝が言ったように鬼になった妹を守ることはとんでもなく重いものを背負うということだ。生半可な覚悟ではできまい。今も苦しいが、確かに野獣の言うとおりこれだけで終わらないだろう。おそらくこれからも堪え難きを耐えなければならない経験が炭治郎や野獣、禰豆子に降りかかるだろう。
(・・・耐える、か)
思えば炭治郎もそうだったが、禰豆子もまた耐え、辛抱するばかりだった。以前炭治郎は禰豆子が着物を直していた時のことを思い出した。もう何回、何十回も破れまた直しているのを見て炭治郎は新しいのを買ってやるからと言った。そんな彼に禰豆子は屈託のない笑顔で大丈夫、この着物は気に入っているからと言ってこう続けた。それよりも下の子たちにもっと食べさせてやってほしい、そっちのほうがよっぽど大事なことだからと。炭治郎だけでなく禰豆子も、みんなも辛抱していたのだ。明るい未来を信じながら。
みんなにしてやれなかった分を攻めて禰豆子にだけはしてやりたい、何があっても必ず守ってやる、人間に戻してやると炭治郎は改めて心に誓った。
そしてそれは、野獣もまた同じだった。
日が暮れるころには四人は狭霧山の麓の小屋に辿り着いていた。鱗滝も秋吉も平然としている一方で、野獣と炭治郎は疲労困憊で座り込みぜぇぜぇと激しく息切れを起こしていた。
そんな二人を尻目に秋吉は平然とした様子で告げる。
「早く起きろ!試すのはこれからだ。山に入るぞ」
禰豆子の入った籠を小屋に置くと、そのまま連れられるようにして、二人は疲労困憊の体を何とか動かし山を登る。山には霧が立ち込め周囲の視界は恐ろしく悪い。疲労困憊しているのに加え、高地故空気が薄くくらくらする。
どこまで歩いただろうか、鱗滝が振り返り二人に告げる。
「ここから山の麓の家まで下りてこい。今度は夜明けまで待たない」
それだけ告げると鱗滝と秋吉はまるで霧か霞のようにたちどころに何処かへと消え去った。後には野獣と炭治郎だけが残った。
「・・・どうする、疲れてるから体力回復のために一旦休んでく・・・休んでかない?一応下りて来いって言ってたけど」
「そうですね・・・」
周りには霧が深く立ち込めている。夜だから一層暗く、視界が悪い。一歩進んだだけで迷いそうだ。
「やっぱり行きましょう。この霧です。下りるだけとは言ったけど、迷ったら大変ですし。先を急ぐに越したことはありません」
「ですよねぇ・・・ていうか秋吉師匠のことだから絶対下りるだけじゃないと思うんですがそれは・・・そう言えばお前さ、炭治郎さ、ヌッ、鼻が利くって言ってたよな?秋吉師匠と鱗滝さんの匂いも分かるのか」
「はい!二人の匂いはもう覚えています。だから道を間違えることはありません。とりあえずそれを頼りに行きましょう。」
麓へ向けて歩き出した二人。
数歩歩いた次の瞬間。
「!?」
足に何かが、紐のようなものが引っかかる感触。と同時にどこからか複数の風切り音が響いてきた。
「ファッ!?」
「浩二さん!?」
無数の石礫が野獣の体に投げつけられる。その勢いは凄まじく思わず野獣は倒れこんだ。
「アーイキソ・・・」
罠だ。
二人は驚くと同時にやはりとも思った。試す、というからにはただで下ろしてもらえるわけがない。おそらく罠はこれだけではなくさらに仕掛けてあることだろう。しかも霧と暗さで視界が悪く、二人とも疲労困憊しているうえ空気が薄く頭がくらくらするため、罠を察知するのも避けるのも困難だ。
「っ!?」
炭治郎は何か糸のようなものを踏む感触を覚えた。しまった、と思うと同時に眼前に巨大な丸太がすさまじい勢いで迫ってきた。避けても間に合わない。が、それが炭治郎に衝突することはなかった。
「ヌンッ!へッ!ハッ!ンアッー!」
起き上がった野獣が丸太めがけて飛び蹴りをし、軌道をずらす。そのまま丸太は炭治郎の顔の横を擦過した。
「おっす、大丈夫か・・・大丈夫か?」
「何とか・・・でもまずいですよ、この調子で罠にかかってたら朝まで間に合わないかも・・・そのうえ空気が薄くてくらくらする・・・」
「このくらいであきらめるんじゃねえ!妹を助けるんだろ!」
「・・・!はい!」
野獣の叱咤を受け、気を取り直す炭治郎。そうだ、家族や禰豆子が受けた痛みに比べればこんなもの屁でもない。
呼吸を整え匂いを嗅ぎ分ける。鱗滝と秋吉のそれと同時に別の匂いもかすかに感じる。
罠だ。罠の匂いだ。やはり人の仕掛けた罠はやはりかすかに匂いが違う。
「浩二さん、俺が鱗滝さんと罠の匂いを辿ります。しっかり、ついてきてください!罠の匂いがしたら知らせます!」
「おし!じゃあもし罠があったら俺に任せてくれ!さっきみたいにぶっ飛ばしてやるから!」
「はい!」
二人は再び歩み始めた。そして・・・
麓の小屋。
中では鱗滝が禰豆子に布団をかぶせ寝かせている。禰豆子は竹筒を咥えたまますぅすぅと深い眠りについている。一方の秋吉は戸の前に立ち山の方を見つめていた。そろそろ夜明けだ。東の空がオレンジ色のグラデーションに染まり、木々がわずかに光に照らされ稜線が明らかになってくる。
「・・・!」
麓から誰かが下りてくる。少年と青年らしき二人・・・少年が青年の肩を支えるようにしてこちらに歩いてくる。すぐに誰か分かった。耳飾りの少年に日焼けした青年・・・野獣と炭治郎だ。切り傷、擦り傷に打撲痕、どちらも全身傷だらけだが特に野獣がひどかった。足取りも炭治郎に比べると少し覚束なく、炭治郎に肩を支えられるようにして歩いている。あの山の中で罠から炭治郎を庇い、蹴り飛ばしたりしているうちに自然と炭治郎よりそのダメージを受けていたのだ。とはいえ炭治郎もその足はひどく震え息も震えている。
やがて秋吉の前まで来ると二人はずるずるとへたり込んだ。
「はぁ・・・はぁ・・・も、もどり、まし、た・・・」
「チカレタ・・・」
「・・・戻ったか」
禰豆子を寝かせた鱗滝が出てくる。
「・・・お前ら、覚悟はあるか?」
地面にへたり込む二人に秋吉が言葉をかける。
「言っておくがこいつは入り口の入り口だ。お前らが踏み込もうとしているのは、これまでとは全く違う、文字通り死と隣り合わせの世界だ。しかも、鬼を連れて行こうとしている。背負うもんは相当な重さだ。それでも覚悟はあるのか?」
「・・・あります」
秋吉の問いに炭治郎は答える。
「家族の仇をとって。禰豆子を必ず人間に戻す。そう誓ったんです。口では何とでもいえると思うかもしれないけど、俺にはそれしかないし、やらなきゃいけないんです。やらないとか出来ないじゃなくて・・・やらなきゃいけない・・・!それに今のままじゃ俺は守ることも前に進むこともできない・・・だからここに来たんです・・・!」
「・・・お前だどうだ、野獣」
今度は野獣に問いかける。
「お前も俺みたいにこの時代に来たみたいだが・・・ここから先は死と隣り合わせだ。稽古とは違う。それにお前は炭治郎や禰豆子とは赤の他人だろう?どうしてここに来た?覚悟はあるのか?」
「・・・」
秋吉の言葉に野獣は目を閉じる。
今のことは始まりに過ぎないのだろう。炭治郎や禰豆子とともに歩むということは過酷な戦いの道に足を踏み入れるということだ。そして炭治郎と野獣は確かに赤の他人だ。わざわざ道を共にする必要や義理はないのかもしれない。だが・・・
野獣の脳裏に炭治郎や禰豆子、竈門家との思い出が浮かぶ。
雪山で途方に暮れる中、自分を見つけ連れて行った炭治郎。赤の他人の自分を温かく受け入れてくれた竈門家。貧しいながらも明日を信じ懸命に明るく生きる、幸せな家族、野獣の命の恩人。短くも暖かい記憶が野獣の脳裏に次々と浮かぶ。だがそれらがこれから先繰り返されることはない。そんな当たり前の尊い日常は突然理不尽に奪われたからだ。
もしあの時炭治郎と行動を共にせず、自分がそばにいたら何ができただろうか?恐らく、自分も何もできずに死んだかもしれない。だがもしかすると、自分がいたことで何かが変わった可能性もごくわずかにあったかもしれないのだ。自惚れかもしれない。だが自分が何もできなかった、守れなかったという自責がそこにはあった。自分は暖かく迎え入れてくれたあの命の恩人達に何もできなかった、守れなかった。彼らの未来は理不尽にも奪われ閉ざされてしまった。残った家族も過酷な運命に晒されている。だが、それでも炭治郎たちは懸命に立ち向かい前に進もうとしている。それをただ見ているだけで放っておくのは許されることなのだろうか?
彼らは赤の他人ではない。立派な命の恩人だ。それを見捨てるのは男ではない。
「・・・確かに、傍から見たら赤の他人かもしれません。でも、俺にとっては、命の恩人です」
「・・・」
「あの雪山で遭難していた時・・・赤の他人の俺を快く、何の見返りもなく受け入れてくれた・・・命の恩人です。明るくて、幸せな家族で・・・でもそれが突然奪われた・・・」
野獣の視界が歪む。
野獣の目から涙が溢れ、地面にポタリ、ポタリと落ちる。
「俺・・・悔しいんです・・・命の恩人に、何もできなくて、何も守れなくて・・・こんな理不尽を前にして恩がありながら自分は何もできなかった・・・炭治郎はそれでも前に進もうとしている・・・俺が何もしないわけには、何もできないわけにはいかない・・・俺は・・・もっと強くなって・・・守りたいんです・・・だから、お願いします・・・!」
「・・・フッ」
秋吉が静かに笑った。鱗滝と頷き合う。
「お前ら・・・二人とも良い目してんじゃねぇか。理不尽に直面し、奪われそれでも貪欲に求める野獣のような目・・・己の弱さを自覚し困難を前にしてそれでも守るために進もうとする、漢の目だ」
秋吉が静かに言う。
「田所浩二、竈門炭治郎・・・お前らを認める。俺たちがお前らを強くしてやっから、俺達が直々に、呼吸を教える」
「「・・・はい!」」
東の空を見れば完全に日が昇り、四人を照らしていた。
それは新たな始まりを知らせるかのようであった。
せっかくだから淫夢ファミリーの誰かを十二鬼月のメンバーにしようと思ってるんだけど、誰にすっかなぁ~俺もなぁ~