不世出の考察班たちによる語らい   作:アル・パッキャ

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作者はたまには主人公のテンションで書きたくなった、反省しているなどの声明文を発表しており……


授業参観part1

「ツチノコさんツチノコさん、本当にこっちであってるんですか?」

「穴もエレベーターも何も無いですね」

「ここら辺【レガシーセンス】も反応散らかってマトモに使えないんでツチノコさん頼りなんですよ、マジでー!」

 

 ハーブ帝と仁義好漢(ジンギスカン)とケチャップリン……なんでこいつらこんなに食い合わせ悪そうなの? まぁいいや。今日はエムルをお休みさせて、この愉快なオードブルトリオが俺のパーティだ。ふらっとライブラリの所に顔を出したら見つかってな……前に提供した、血統書付き噛ませ犬ことエドワード君の動画が発見された場所の調査に協力させられている。

 

「といっても特に目印があったわけでも無いし……修正されたか?」

 

 だとしたら厄介だ。いや本当に。一番のキーパーツらしいあの映像を録画&公開されてもまだ隠すだけの価値がある物が残ってるって事だからな。適当に壁でも壊してみるか? でもそれで通路が埋まったら本末転倒だしなぁ。

 まぁあれは通路だが俺にしかできない裏技による通路……でも無い。例えば落下ダメを軽減する【エアクッション】連打でも300m位なら普通に降りれるらしい。つまりある程度のスクロールを買うだけの財力さえあれば、誰でも行けてしまう場所だったのだ。というかそうでなければ俺以外の三人が来た意味がない。

 

「やっぱり修正された臭いな……いや待て、あれはあくまでも裏技なんだ。()()()ルートはどこだ?」

「あっ、なるほど」

 

 そうだ、そうだよ。最初からあの道は帰り専用的な通路だった。あそこ以外にも出入口はあるはずなんだ。となれば超古代転移装置が上に設置してあるか、扉が地下にあるか。ワールドクエストも進んだし、正規ルートが解放されてても不思議じゃない。

 

「上か下か……どっちだと思う?」

「ここのモンスター分布、実は上の方が密度高いんですよね。そういう物かと放置してましたけど」

「運が悪いと輪郭の騎士(コントゥアル・ナイト)が分隊で襲ってくるっていう」

「それはイヤだな……」

 

 カシャンカシャンカシャン

 あいつら普通に近接戦強い上に魔法吸収とか言うファンタジー殺しの性能してるしなぁ。やっぱりここの本格的な攻略はリヴァイアサン解放してからが運営の思惑だったんだろうな。騎士を銃器(近代兵器)で蹂躙しろと。まぁリヴァイアサンの方が時代的には古そうだが、深く考えない方が良い。

 

「そういやあいつらってどういう設定なの?」

「“設定が無い事”自体が設定じゃないかって目されてますね。ここに城があったって言う資料もほぼ皆無ですし。本当に輪郭しかないんですよ。それがマナ粒子によって無理やり形を持ったのがあのモンスターかと」

「だから生態考察班も乗り気じゃなくて、どっちかって言うとマナ粒子考察班の方が管轄です」

 

 カシャンカシャンカシャンカシャン

 なるほどな。マナ粒子のモンスターっていうと……黒死の天霊みたいな? 「象牙」からそんな話を聞いた覚えがある。だがだとしたら生態考察班の食指が動かないのも納得だな。あいつが飲み食いするとは思えないし、なんなら俺一人でかれこれ30人以上は癒し殺してる。クローンにしてもマトモな生態してるとは思えねぇ。

 

「一回吸収上限を試してみようって研究も出たんですよ、輪郭の騎士」

「あったねぇ、そんなの。結局、限界確認する前に超強化された騎士に全滅させられたっていう」

 

 何それこわカシャンカシャンカシャンカシャンカシャンカシャン

 

「……ねぇ皆さん」

「なんですかハーブ帝さん」

「いつまで無視する気ですか?」

「「「……」」」

 

 気がついてるよ! さっきからずっとカシャンカシャン近づいてるの! 具体的には軍隊が行進して槍擦る時に出る音だろあれ。なんで分かるかって? スパルタンのメタルでファランクスした時に聞きまくったからだよ。いやそんなのは良い。

 とりあえず談笑して立ち止まっていたが、マップを見る限り運悪くここは一本道。曲がり角の先から近づいてくる音源と会わずに上に行く方法は無い。

 

「他のプレイヤーって説は」

「特に旨味無いですよねここ。私たち以外には」

 

 だろうな、知ってたよクソめ。諦めてインベントリアから進化したアボカド君を取り出す。距離がある開戦直後なら双剣よりもこっちだ。

 そして遂に、壁の向こうから未知の軍勢が姿を表し──

 

『モンスター不世出の発見(ディスカバー・エクゾーディナリー)!』

『討伐対象:輪郭の騎士(コントゥアル・ナイト)呪業燦環(ミステリーサークル)”』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

 

 統率個体ってコンセプトが皇金時代(ゴールデンエイジ)と被ってんだよオラァ! 食らえ文明開化ショット、散切り頭は弾け飛べ!

 

 

 

【悲報】不世出個体とエンカウントした【不本意】

 

1:ハーブ帝

助けて

 

2:散弾論砲

あれ、ハーブ帝って例の動画の実地調査じゃなかったっけ

 

3:ムセン嵐

とりま生態班呼んでくるわ

 

4:サクラEX

頼んだ

 

5:ハーブ帝

>>2

そこに居たんだよ

 

6:雑踏鯨

不世出個体と聞いて

 

7:ノーローン

で、何のエクゾーディナリー?

 

8:ムセン嵐

秀舞はいなかったから適当に連れてきた

 

9:ハーブ帝

輪郭騎士

 

10:ノーローン

じゃあな

 

11:雑踏鯨

はい解散

 

12:グーゾー・スーハイ

草、どっちかって言うとマナ班のワシらじゃん必要なの

 

13:散弾論砲

これはムセン嵐痛恨のミス

 

14:ハーブ帝

痛いのは現場の私らなんですが??

 

15:サンラク

というか応援早くして

 

16:ムセン嵐

!!

 

17:サクラEX

 

18:ニードルウッド

不世出個体よりも陽の目を見ないツチノコさん!

 

19:散弾論砲

ハーブ帝、録画忘れるなよ

 

20:ハーブ帝

もちろん

 

21:ケチャップリン

なんか僕らが仕事してないみたいに思われてそうだけど、一人あたり二体ずつは騎士捌いてるからね?

 

22:仁義好漢

なおツチノコさんはエクゾーディナリー含めて五体担当

 

23:ノーローン

やっぱりおかしいわ

 

24:グーゾー・スーハイ

まぁツチノコさんは一旦置いておいて、モンスターの方の画像なり詳細出して。話はそれからよ

 

25:サクラEX

せやな

 

26:雑踏鯨

面白そうだしもう少しいるわ

 

27:サンラク

うわなんか向こうの頭数増えた、マジで早くして

 

28:ハーブ帝

はい [画像]

 

29:ケチャップリン

うわっ気持ち悪、三回転ジャンプしながら今の思考入力してんの

 

30:ニードルウッド

モンスターよりももっと変なの写り込んでる……

 

31:散弾論砲

スカイフィッシュが許されるんだから都市伝説クラスだろこれ

 

 

 

「ツチノコさん、近場のメンバーが何人か応援に来るらしいです!」

 

 背後の仁義好漢が叫ぶ。人員が増えてくれるのは朗報だ、ましてや信頼できる増員なら尚更。野良ならユニーク狙いに裏切りもあり得るからな。

 

「問題はあっちも人数増やしてくるんだよな……」

 

 皇金時代のパクリとか言ってごめんな、全然違うわ。皇帝陛下はいざとなれば腹括ってタイマン張ってくれる戦国武将風味な所があったが、こいつは全力で近衛兵と連携しながら襲ってくる。かといって王様本体が弱いかと言うと、そんなわけでもなくて普通に強い。最初の銃撃はあっさりと弾かれた。

 だが厄介なのは連携でも増員でもなく……

 

「だぁらっしゃああ!」

 

 ()()()()が禍々しい紫炎を天井に映す。

 こいつは魔法も兼用してくるのだ。しかも周りに(はべ)っているのは魔法を吸収すると強化されるモンスター。一度躱したら案の定後ろにいた騎士が強化されやがったから迂闊に躱せないのがクソだ。こうして地面か天井に弾いて無力化するしかない。

 

「魔法を使う剣……なんか見覚えがあるな」

 

 レイ氏は大剣だしサイガ-100の聖剣は似てるかも知れないがちょっと違う。アラバの剣は刀に近いし……思い出した。

 

「あのブラック社員みたいな、カローシスって人の剣だ」

儀霊剣(リートゥス)ですか? 言われてみればあれと似てるかもですねぇ」

 

 そういう名前なの? まぁ名前がわかったところでダメージ倍率が上がるわけでもない……一々動きがみみっちいんだよお前! 後ろに誰か巻き込める時だけ魔法連発しやがって!

 

「だがその分かりやすさが仇になる……!」

 

 セコいこいつは後ろに誰もいない状態や剣の間合いだと魔法を使わずに普通に斬りかかってくる。だから超至近距離で【ウツロウミカガミ】起動、思い切り空振りさせてやる。そして無理やり作り出した安置で灼骨砕身を刻傷に突き立てて準備は完了。

 

「はいそこベストポジション!」

「ぬあびっくりしたぁ!?」

 

 ケチャップリンと輪郭騎士三体の乱戦地帯と呪業燦環の間に滑り込む。ちょうど【ウツロウミカガミ】も切れたな。ほらお買い得だぞ、大技どうぞ。

 

「【超過機構(イクシードチャージ)】!」

 

 明らかに一際大きい火球を前にして、冥王の鏡盾(ディス・パテル)が花開く。後ろの一般兵士は無視だ無視。知ってんだよ、お前らは魔法を吸収できるが、()()()()()()()()()()()()()()()。万が一にもここで俺が避けたら特大のバフを台無しにして武器も壊れる最悪のコンボだ。だからお前らは俺に武器を向けられない!

 

「「吸転換(コンバート)」! ……魔法を取り込んで強化するってよくよく考えたらほぼ同じ能力じゃん」

 

 また俺の家系図に追加メンバーが……兄弟枠は埋まってるから従兄弟(いとこ)かな?

 背後から斬りかかってきたモブ兵士に炎が燃え移った腕で左ストレート。枠線が斬れない以上は点の攻撃で中身を攻めるしかない。だったら常にウィンドウ操作が簡単にできて制限が少ない素手がいい。

 

「さぁ来いよ、第2ラウンドだ」

 




続きます
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