不世出の考察班たちによる語らい   作:アル・パッキャ

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授業参観part2

126:ニードルウッド

確かに儀礼剣に近いかも。こう、デザインとか

 

127:雑踏鯨

やっぱりあの盾いいなぁ。ルルイアスで原材料見てきたけどギミック無しじゃ討伐無理っぽい怪物だった

 

128:グーゾー・スーハイ

深海三強の中で一番恐いのあれだわ

海の中で放電するな、レーザー射つな鬱な

 

129:散弾論砲

そういえばあの噛ませ犬さん曰く、神は下にいるらしいけど海底も下だよね……?

 

130:サクラEX

今は世界観考察一旦やめようね、ツチノコさんがちょっとかわいそう…………それはそれとして後で専門板には来い

 

131:ケチャップリン

サンラクさんがさっきから魔法の使い方がセコいって叫んでるけど何か心当たりある人ー

 

132:ノーローン

魔法乱発しない理由かぁ

 

133:グーゾー・スーハイ

仮説なら

 

134:サクラEX

マナ考察班呼ぶか、ムセン嵐頼んだ

 

135:ムセン嵐

やだよまた違ったらどうすんだ

 

136:ケチャップリン

>>133

はい偶像さん早かった

 

137:グーゾー・スーハイ

輪郭の騎士がマナ粒子と密接に関係してるのはご周知の通り。魔法が直撃したら強化される、要するにマナが本体に近い所があるわけですよ。じゃあ逆に体内からマナを放出して魔法を撃つのって、本体切り離して攻撃してるような物では? 簡単に言えばHP=MP疑惑。

 

138:仁義好漢

じゃあこれは自傷マゾ同士の戦いだったと……?

 

139:ハーブ帝

言い方ァ!

 

140:ノーローン

ひっどい

 

141:散弾論砲

体中に噛み傷残して半裸の縛りプレイって言うと確かに拗らせてそう

 

142:サンラク

失望しましたスポンサーやめます

 

143:ノーローン

おい早く謝れよ失礼だろ

 

144:サクラEX

切腹してでもお詫びしろ

 

145:グーゾー・スーハイ

これでサンラク様がライブラリから距離取ったら多分リーダーから珍しくガチギレされるぞ

 

146:ケチャップリン

目の前でジンギスカンが全裸土下座敢行してあまりにも鮮やかに介錯されて逝った……

 

147:サンラク

面白かったから許すわ

ところであれ武器破壊したら弱体化しない?

 

148:雑踏鯨

神秘の剣がモチーフなら多分ならない。あのジョブ、切り札が自壊技なので予備を一本は用意しておくのが常道なので。

 

149:サクラEX

軽くできるならいいですけど、渾身の一撃を当てるなら本体狙った方が効率的って感じですね

 

150:サンラク

了解

 

151:サンラク

あと増援早くして、もうキツい

 

152:ニードルウッド

ごめん、応援には行けません。いま、古城骸にいます。この平原を南北に横断するようにリュカオーンが走っています……

 

153:ノーローン

いや草

 

154:グーゾー・スーハイ

交通インフラ壊される側じゃん……

 

155:サンラク

は?

 

156:ハーブ帝

サンラクさん、キレた!

 

 

 

 いやキレるわ。おのれリュカオーン許さねぇカウンターが爆速で回る回る。そっかぁ、つまり応援は絶望的と。残りプレイヤー二人と無双ゲーよろしくこの群れに対処するのは不可能に近い。しかも人力なら頭数が増えれば連携も難しくなるはずなのに、あっちは平然とこなしてくるからな。奇妙な集団(ミステリーサークル)作りやがって……(サーバー)が一緒と言えばそれまでだが。

 

「ならせめて王の首級だけは貰う!」

「援護します!」

 

 正面から暗殺を成功させるにはどうしたらいい?

 目にも止まらないくらい早く動けばいい。重律踏覇(エクシードグラビティ)、ヘルメスブート、鞍馬天秘伝、無重律の恩寵(スペースチャージ)。 クールタイムが次に終わるよりも先に敵の首を刈り取るつもりでスキルをフル起動させる。相手側はまだ出し惜しみしてるらしいが、もうここで魔法乱発されたら流石に詰む。だったら魔法なんざ使わせる隙を与えない!

 

 縄梯子を走る感覚で細い線画の頭上を踏破する。たまに下から槍衾で封鎖されるが、先行した援護射撃で逸らされる。良い腕してるぜ!

 

「はっ、ほっ……そこを、退け!」

 

 呪業燦環の頭上で軽くさらに飛び上がり、そしてここで隕石落蹴(メテオ・フォール)! 邪魔だモブ兵士共! 直撃し押さえつけられた呪業燦環以外が衝撃波で吹き飛ばされ、ごく小さいながら空白地帯が生まれる。文字通りの横槍が一瞬でも入らなければそれで御の字だ!

 

「やっと二人きりになれたな。次からはもっと親密なお付き合いをさせてくれ」

 

 具体的には1フレームで殴りあえる位の距離感で。魔法使いはお前だけ、他の騎士たちは物理的な手段しか持ち合わせていない。それは呪業燦環にもダメージになり得る。いくら高尚なAIでも、密着する敵だけを攻撃できるほど器用な真似……できないよな? インターセプトすらできないインファイトでケリを付ける!

 

「【超過機構(イクシードチャージ)】……は?」

 

 パキリ。黄金の籠手に魔力が満ちるのと俺の視界を脅威の波濤が満たすのは同時だった。呪業燦環の剣にヒビが入る。馬鹿な、ここで全体攻撃? んなことしたら巻き込ま……あ、自分も吸収できるのか。

 掲示板でも誰かが書き込んでいたな、自壊技について。クソッ、判断が遅れた。単発攻撃であれば幸運による食いしばりができるが、さっきから使ってる魔法が禍々しすぎてどうにも追加ダメがありそうで恐い。加えて俺が耐えたとして、煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)が耐えられるかが分からない。籠手が無い状態で真剣相手に立ち回るのはキツい。クリティカルによる防御が使えない、文字通りの回避オンリーになってしまう。

 どうする、このインファイト状態じゃインベントリアエスケープは使えない、瞬間移動(アポート)もできない。というか攻撃範囲の()が見えない以上、安全地帯がどこにも──

 

「いやあるな」

 

 ()()()まで逃げ込めればノーダメ確定だ。プラン変更! 行ける、俺なら行ける! 殴ろうとしていた右手は胸に、黒雷が体を駆け巡る。だが壁の染みになるつもりはない。システム様のお告げ通りに動くんだからな!

 

 次の瞬間。呪われた剣が砕け、幾筋もの青い光が暴れながら解き放たれたのを俺は()()()()()から見ていた。

 

「光速の一撃に準備モーション付けてくれた点は感謝するぜ」

 

 アトランティクス・レプノルカといい皇金世代といい、強キャラが切り札に持つだけはある。あの全方位光撃は射程も中々にあったらしく、離れて戦っていたはずの二人も巻き込まれてリスポーンしたらしい。戦場が屋内想定なのも含めると皇帝陛下より容赦なくないか?

 だが俺は無傷だ。何せ魔法にガンメタ張ってる盾が目の前にあったもんでな……!! あの最後の一瞬で俺が選んだのは退避ではなく、迂回しながらの前進。過剰伝達により加速した多重的円周運動で呪業燦環の背後に回り込んでいた。こいつらは魔法を透過ではなく、吸収する。その背後は安全圏だ。

 

「受け取れ! 「超排撃(リジェクト)」!!!」

 

 今の魔法吸収でお前がどれだけ強化されたか知らない。もしかしたら俺より早いのかもな。だがここまで密着して背中取ってれば正直速度なんて関係ない。ほぼマナみたいな影リュカオーンにも効いたんだ、空欄だから効かないとは言わせねぇ!

 蠍の針が空間を侵食し水晶が顕現する。そしてそこをォ!

 

「カチ割れろ!!!」

 

 折れた剣を後生大事に握り締めたまま、呪業燦環が吹っ飛ぶ。ハッ、最高の気分だ。まぁまだ終わらないけど。あいつの剣が失われた今、逆にインファイトは危険だ。だから俺は武器を使わせてもらうぜ! 騎士道精神? 武器持って襲ってきたのは向こうだから……最初の狙撃は当たらなかったのでノーカンで。というか魔法使ってくる時点で騎士とは認めねぇ。

 

「ハナからお前らと戦おうとは考えちゃいねえよ」

 

 手負いの強敵を追い詰める時ほど心踊るシチュエーションはない。ずっと積み重ねてきた苦労が報われる感覚は最高だ。まぁ「クッ、まだ終わらんぞォ!」宣言してエンディングみたいな雰囲気出してからエリア10面逃亡するようなクソボスまで行くと賽の河原にしかならないが。苦労が虚しいんだよ……。音声使い回すせいでちょっとループ物の恐怖が体験できるぞ。

 重傷の王を守るように騎士たちが壁を作るが、相手にしない。ファランクス密度が足りてないな。

 

「……誘ってるのか?」

 

 不気味だ。急に騎士たちが動きを止め壁にぴっちり背を付けて整列を始めた。俺と呪業燦環を繋ぐ道ができる。武器は下ろしていないが、すぐに斬りかかってくる気配はない。これは……どうする。

 しかし迷っていてもシャンフロにポーズ機能は搭載されていない。建ったフラグはどんどん折れにくくなる。輪郭の騎士の一人が剣を突き立て、王の前に跪いた。よく見る“誓いの儀”だな。いやこの状況でそれやるって……。

 

「あっ、ミスった」

 

 呪業燦環が無防備な背に折れた剣を刺す。あれ絶対「私は貴方の剣、たとえ砕けようと貴方の敵を討ちましょう」的な奴だ! つまりこの後に来るのは……。

 

「お”ぁっちょっ」

 

 刺された騎士の輪郭が不自然に膨張し、パツンと弾けて極太のドス黒い火柱が通路を焼き尽くす。少し焦ったが残念だったな、お前への対抗策は確立してる。強化されることに目をつぶって手頃な騎士を盾にすれば対処は余裕なん……全員壁に整列してて隙間が無い?!

 

「学習はえーよお前ら?!」

 

 鳥面も燃えるなこれ! 慌てて装備一式全てインベントリアに放り込んだ直後、炎の波に全身が呑み込まれる。一瞬だけ幸運による食いしばりが発動するが、怒涛の多段ヒットによって体力が全損し、次の瞬間には敵でなく見慣れた天井だけが目の前にあった。

 

 ……とりあえず一週間後にリベンジ行きます。




呪業燦環は生卵に例えるとメレンゲにしたりオムライスにしたりと自分を好き勝手に切り分けられる個体です。ですが内包するマナ粒子は呪業燦環と他の個体で同質であるため、内部接触により干渉することができます。ただし細かい調節は困難であり、全部使用するのが原則なため同族を殺害することと等しく、よほど追い詰められた場合でしか使用しません。仲間のマナに攻撃的な魔法を色付けして自爆発動させる、いわば毒卵電子レンジアタック……! ちなみにこれは同じ形式のマナ粒子を保有しているからこそ可能な事で、仮に黒死の天霊に触れたとしても何も起きません。

本来は後方腕組みして騎士を強くする統率個体ってのがコンセプトだったんですけどね……だから授業参観。動きがみみっちかったのはカローシス・インストールなので

エクゾーディナリースキル「授仰燦冠(ミステリーサークル)」は頭上に光輪が出現、その輪を他人に譲ることで自分のスキルと魔法を一時的に譲渡する事ができます。悪用すると機動系スキルでギュインギュイン距離詰めてくるマッダイさんが生まれる
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