『ギャハハハハハハハ!!!』
品のない笑い声が聴こえる。
少年は床下に隠れ震えていた。
「絶対にここから出たらダメだからね…。」
姉との約束を守り息を殺して隠れていた。
床の隙間から滴る赤い液体が誰のものなのか、それを考えないようにして。
「良い事しろ。そうすれば必ず何か良い事が返ってくる。神様は何時でも見てるんだ。」
何か悪い事をしたわけじゃない。できる限り、自分にできることなら何でもしてきたつもりだ。
静かになった。笑い声も叫び声も何も聞こえない。
自分と同じで、隠れていた人がいるのかもしれない。もしかしたらあの人達を全員やっつけたかもしれない。もしかしたら…姉も…。
確認しなくちゃ…。その一心で床下の戸を開いた。
「あぁ…。」
目の前には真っ赤になり横たわる姉。玄関の先、庭には母がいる。腹が開かれていて、内臓が飛び出している。
「神様…どうか、嘘だって…言ってください。」
おもむろに出た言葉。涙を流しながら先に進む。
皆で耕した畑はぐちゃぐちゃにされ、家には火を付けられていた。
歩く…。
遠目から見た時は鳥避けの案山子に見えた…。隣の家のお爺さんの頭が代わりに付いていた。
吐く…。そして歩く…。
出来るだけ上を見て歩いた。下を見たらもう生きる気力が無くなるから。
泣き叫びながら歩く…。
「とう…さん?」
父がいた。
「なん、で…。」
片腕は無くなり、残った片方の腕からは骨が突き出ている。
「何でだよ!!!」
もう立ち上がれない。どうにでもなれ。ここで死のう。みんなと一緒に…。そんな気持ちで一杯だった。
「い、のり、、か?」
「っ!!!」
自分の名前を呼ぶ声が聴こえた。
「りょうすけ!!!」
僕の大事な…親友の声だ。
「いき、てたか…。よかっ、た。」
「りょうすけも……それって…。」
浅はかだった。唯一の生き残りだと思った彼は…。腹から大量の血を流して、壁に寄りかかっていた。
「い、今!今すぐ治療用の何か持ってくるから!」
まだ助かる…!きっと助かる!懇願に近い思いで立ち上がろうとする。
「ま、て。」
「急がないと!」
「こどもでも、わかんだろ。ムリだ。」
「……っ!」
分かってる分かってるさ!そんな事!
「おまえは、いきろ。つよ、くなっ、て。こんなこと、もうおこらない、ように…。」
「りょうすけも生きるんだよ!!僕と一緒に!!そんでまた遊ぼうよ!海に行こうって約束したじゃないか!!狩りの練習だって!皮の剥ぎ方を教えてくれるって!!」
「だから!!」
その声が届く事は無かった…。
「あぁ…。あぁぁ!!」
どうしてこうなった?
「誰か…誰でもいいから!」
「最悪の朝だ…。」
悪夢を見た。服が汗で濡れて気持ち悪い…。
「シャワー浴びないと…。」
汗を流すために浴場へ向かう。
「あれ?いのりじゃん!おはよー!」
「ティオナ、おはよ。」
「もうおはよって時間じゃないわよ。もう昼食の時間よ。」
「あー、ごめんよ。昨日装備の手入れしてたら寝るの遅くなっちゃって。ティオネ達もこれからご飯?」
「うん!一緒に行こー!」
元気がいい方がティオナ、お淑やかだけど時々野蛮なティオネ。双子とは思えないくらい差がある所があるけど、気にしてるみたいだから触れちゃいけない。
「重役出勤かい?いのり。」
「朝は弱いんだ。許してよ。」
「ハッハッハ!まあ良いじゃろうフィンよ。じゃが、明日は寝坊するでないぞ?」
「ガレスも二日酔いで寝坊とかやめてよね?」
「よー言うわい。」
明日は遠征日…。寝坊したらリヴェリアに怒られる。それはもうめちゃくちゃ怒られる。
「おー!いのりん!おはようさん!」
「おはよ、ロキ。」
「いのりんも今日は、ステータス更新するやろ?」
「うん、よろしく。」
「いのりんの体は華奢そうに見えても、意外と引き締まってるのが良い!!楽しみやわ〜!」
この変態は、ロキ。一応神様らしい。
「って無視かいな!」
その場にいる全員が苦笑を漏らす。
「ご馳走様。じゃ、僕は準備したりするからお先に。」
「えー!もう行ってまうん?もうちょいお話しよーや!」
「ロキ。また今度ね?」
そう言ってその場を去る。
そのまま外に出て、門番の人に挨拶をする。
「ポーション…切らしてたっけ。買い足さなきゃ。」
僕は…神様という存在が嫌いだ。暇だったから下界に降りてきた。そう言って今、このオラリオでファミリアを作り過ごしている。暇なら救えただろ。暇なら悪人を裁けただろ。
「今日は…嫌な日になりそうだな。」
助けを求めてる人を助けずして、救われるべき人を救わず、それでも暇を持て余していた自堕落な神共が僕は嫌いだ。自分勝手すぎる?それはお互い様だろ。
神様は嫌いだが、強くなるためには神の恩恵が必要だ。僕の親友との約束…これだけは守らなくちゃいけない。強くならなきゃ、救う為に。それで最後は……。
こんな感じです!
数話分は書きますが続くかは不明ですのでご了承ください…。