神を嫌う少年はダンジョンで何を見るか?   作:ゆず1252

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遅くなりました!寒い中凍えながら執筆しております


遠征開始

遠征当日。普段とは違い時間通り目覚められた。

 

 

 

「早いね、いのり。アイズかティオナに起こしに行ってもらう事になると思ってたんだけど。」

 

 

 

「失礼だなフィン。僕だってたまには早く起きるよ?それにアイズはともかく、ティオナに起こされると危うく永眠しかけるから勘弁して…。」

 

 

 

以前僕が寝坊した時、朝だよー!!!って言いながら僕のベッドに受身も取らずダイブしてきて、肋骨が2本折れたのがいい思い…いや、悪い思い出だ。

 

 

 

「ハッ!!これだからバカゾネスは!」

 

 

 

「何よー!!別に私女の子だからそんなに重くないし!いのりがやわなだけだもん!」

 

 

 

「軽く僕の事悪く言うのやめてね?」

 

 

 

「さて、そろそろ雑談は終わりにしよう。皆集まったようだ。」

 

 

 

フィンの言葉を聞き周りを見渡せば、ロキファミリアの団員達がもう既に集まってきており、フィン団長のありがたーいお話を待っている。

 

 

 

「さて、諸君。心の準備は出来ているか?我らロキファミリアの名を世界に轟かせる心の準備は。今回の遠征で我々は未到達階層へ行き、数々の財宝を手に入れ、未知を体験する。この冒険を成功させる為にはファミリア全員の力が必要だ。今日この日が我々の冒険譚になる事をロキファミリア団長、このフィン・ディムナがここに誓おう。」

 

 

 

流石フィン、煽るのが上手い。皆の上に立ち、畏怖され、尊敬されている人からそんな事言われたらやる気が出ない訳が無い。

 

 

 

「チッ…めんどくせぇのが来やがった。」

 

 

 

僕の隣にたっているのはベート・ローガ。口は悪いが悪い人じゃないのは僕は知っている。

 

 

 

「ベート?」

 

 

 

「うちのバカ神だ。」

 

 

 

ベートの目線の方に目を向けると、細い目から大粒の涙を流しながら走ってくる我らが主神。

 

 

 

「行がんどいてぇぇ〜!!」

 

 

 

全員が頭を抱えた。

 

 

 

「ロキ…。指揮に関わるから止めてほしいと伝えなかったかい?」

 

 

 

「せやけど寂しいやんか!!皆行ってまうんやで!?」

 

 

 

「皆無事に帰ってくる。安心しろ。」

 

 

 

「約束やで!?神に誓ってや!?」

 

 

 

アンタその神の中の一人だろ。と心の中で思ったが、誰も口には出さなかった。

 

 

 

「特に!!いのりん!」

 

 

 

「うわ、鼻水汚いよロキ。」

 

 

 

「ウチはいのりんがいっちばん心配や!!」

 

 

 

「別に無理はしないから安心して。後離れて。」

 

 

 

ロキの頭を掴み離そうとするが、抱き着いて離れない。

 

 

 

「神に、誓えるか?」

 

 

 

その場の空気が凍る。いのりという人間に触れてはいけないタブー。神嫌いに向かい言ってはいけない言葉をかける。

 

 

 

「何を?」

 

 

 

幹部組は少々焦っていた。たとえLv4だとしてもいのりの戦力は大きい。それがこの件でモチベーションが下がってしまったら、と。

 

 

 

「皆無事に、いのりんも含めて…無事に帰ってくるって。誓えるか?」

 

 

 

 

 

実際は数秒…。だが、周りからしたら数十分にも感じていた。

 

 

 

「嫌だよ。」

 

 

 

一言。たった一言の全否定。

 

 

 

「僕は神に誓った所で何の意味も無い事を知ってる。誓わないけど、頑張るよ。アンタの為にじゃなく、家族の為に。」

 

 

 

そう言ってロキを引き剥がす。

 

 

 

「行こう、フィン。」

 

 

 

「そうだね。」

 

 

 

そう言って一拍置き、

 

 

 

「遠征、出発!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「団長〜、いいの?ロキの事放っておいて。」

 

 

 

「気にしなくていいさ。僕も散々注意したし、それでも止まらなかったなら、ロキ個人の責任だ。」

 

 

 

「ふーん…。ねぇ!前から気になってたんだけど、いのりはなんで神様の事嫌いなの?」

 

 

 

フィン達よりも少し後ろから着いてきているいのりに話しかける。

 

 

 

「別に、大した事じゃないよ?」

 

 

 

「え〜、気になるよ!」

 

 

 

「帰ったらね。別に面白い話じゃないし…。」

 

 

 

いのりの過去を知る者はファミリア内では少ない。ロキと幹部組、アイズ、そして耳が良い為にたまたま聴いてしまっていたベート。

 

 

 

「さて、おしゃべりはここまでだ。ゴライアスを撃破し、安全地点でキャンプを設立する。」

 

 

 

ゴライアス…ダンジョンの階層主だったかな?その巨体を活かした攻撃が強力だ。

 

 

 

「明日に響かない程度なら暴れて構わない。」

 

 

 

〖 ━━━━━━━━━━━━━━━ !!!!〗

 

 

 

フロアに足を踏み入れた瞬間。雄叫びが聞こえた。

 

 

 

「いのり、アイズ。遊撃は任せた。」

 

 

 

「了解。」

 

 

 

「うん。」

 

 

 

ダンジョンの壁からゴライアスが這い出てくる。

 

 

 

「久しぶりに一緒だね。」

 

 

 

「そうだね。足は引っ張らないようにするよ。」

 

 

 

子供の頃はいつも一緒にダンジョンに行っていたのに、いつからか別々になっていた。あぁ、懐かしい。

 

 

 

「風よ(テンペスト)」

 

 

 

「我が身に宿え。」

 

 

 

アイズは風を、いのりは雷を纏う。

 

 

 

ゴライアスがこちらの存在に気づき向かってくる。

 

 

 

「遅い。」

 

 

 

その巨体が故に動きは遅く、簡単に懐へ入り込む。

 

 

 

「シッ!!!」

 

 

 

腰に指している剣、極東の刀を横薙ぎにする。

 

 

 

「うめぇ。」

 

 

 

あのプライドの高いベートが呟く。動きが遅くとも階層主。もちろん皮膚はそれなりに硬い。生半可な技量やLvで切りかかろうとすれば、切り口がつけば御の字。悪くて武器がナマクラヘ成り果てる。

 

 

 

Lvがあり、技量はさらに持っているいのりにかかれば足首を切断するのは容易だ。

 

 

 

「一太刀で切り落とすとは…やりおる。」

 

 

 

軸足を失ったゴライアスは当然ながら倒れ込む。腕を使い立ち上がろうとするところにアイズが追撃。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

腕を同じく切り飛ばしたアイズが苦虫を噛み潰したような顔をする。

 

 

 

「まだ、甘い…。」

 

 

 

傍から見ても気づかないレベルの技量の差。アイズはそれがただただ羨ましかった。

 

 

 

「フィン。どうする?」

 

 

 

「…。無理に仕留める必要はないが、帰り道にコイツを相手取るのは流石にめんどくさいからね…。だから殺れ。」

 

 

 

「…了解。」

 

 

 

モンスターを殺す方法はいくつかある。魔石を破壊、もしくは取り出す。そして致死レベルのダメージを与える。

 

 

 

「雷切」

 

 

 

不可視の一閃。ゴライアスの首を意図も簡単にはね飛ばす。

 

 

 

「あ、あの人は本当にLv4なんですか?」

 

 

 

将来リヴェリアをも超えるかもしれないと言われているレフィーアが問う。

 

 

 

「いのりは普通じゃないからね〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィン。魔石…どうする?」

 

 

 

「ははは、まさか魔石を砕かず倒すのは予想外だ。後衛部隊は特に何もしてないから、1度換金に戻ってもらおうか。」

 

 

 

そう指示を出し皆動き始める。

 

 

 

「いのりの武器は不思議な形してるよね!」

 

 

 

「ん、そうかな?まあ確かに極東の武器は此処だと珍しいのか…。」

 

 

 

そう言いながら刃こぼれはないか確認し終え、納刀する。

 

 

 

「さて、僕らは待機の指示を貰ってるから休んでようか。」

 

 

 

「私達は何もしてないけどね。」

 

 

 

「ティオネ、団長のテントの場所把握しとかないで平気?」

 

 

 

以前、恋する乙女の勘を信じテントに突撃したらラウルのテントだった事件がある。(ラウルはとばっちりっすー!!と叫びティオネに殴られていた。)

 

 

 

「ってあれ、ティオネは?」

 

 

 

「もうテントの場所確認しに行ったよ〜。」

 

 

 

「はや…。」

 

 

 

僕が聞いた瞬間に行動に移したとしても速すぎるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハッハ!!いのりよ!また腕を上げおったの!」

 

 

 

「ガレス叩かないで、ご飯食べれないから。」

 

 

 

「でも、2人で倒すとは思わなかったっすよ。」

 

 

 

「いのりがほとんどやったみたいなものだから…。私は何も。」

 

 

 

皆で夕食を食べながら談笑をする。

 

 

 

「アイズがゴライアスの体勢を整わせなかったから僕の攻撃が届いたんだ。何もしてないってことは無いよ。」

 

 

 

「そうですよ!!アイズさんだって活躍してますよ!」

 

 

 

本人は別の所で気にしてるみたいだが、それに気づかずフォローを入れるレフィーア。

 

 

 

「あ!いのり!あの話教えてよ!」

 

 

 

スープのお代わりに行こうと思った矢先にティオナが話しかけてくる。

 

 

 

「え、今?」

 

 

 

僕的にはご飯食べるのに集中したいのもあるけど、食事中にするような話ではないのもある。

 

 

 

「だってこの後特にすることもないからさ〜。いいじゃん!」

 

 

 

「え〜…。」

 

 

 

困ったな、どうしたらいい?とフィンに目配せする。

 

 

 

「いや、良い機会だ。いのり自身に話す抵抗が無いなら、しっかり伝えておいた方が今後の為だろう。」

 

 

 

団長直々にOKを貰った為、事情を知らない団員達の視線が一気に向く。

 

 

 

「はやく〜!ってベートどこ行くの?」

 

 

 

そんな中ベートは立ち上がり、何処かに歩いて行こうとする。

 

 

 

「うるせぇ。聞きたくもねぇ話を聞く必要はねぇだろ。」

 

 

 

そう言って足早に立ち去って行く。

 

 

 

「なんなのアイツー!!」

 

 

 

「まあ、ベートは一応僕の過去を知ってるからね。」

 

 

 

彼は勘違いされやすいがとてつもなく仲間想いだ。以前僕に「同情はしねぇ。深入りもしねぇ。」と告げてきた。一見無情にも聴こえるが、それは違う。単にベート自身にそれをする権利が無いからしないだけ。もししてしまったら僕の覚悟への侮辱となってしまうと直感的に理解したからである。

 

 

 

「え!?アイツは知ってるの?」

 

 

 

僕の話を盗み聞きしてしまった事を知っているのは僕だけ。知らない皆は当然驚く。

 

 

 

「うん。たまたま話す機会があっただけだよ。」

 

 

 

ベートは僕に誠意を見せてくれた。ここで盗み聞かれたなんて言ったら僕は僕の事を嫌いになってしまう。故に嘘をついた。

 

 

 

「にわかには信じがたい話だ。」

 

 

 

「あのベートがのぉ…。」

 

 

 

「そういえば!確かにいのりさんとベートさんで出かけるところよく見るっす!!」

 

 

 

ラウルの発言に嘘だろ…?と困惑する。

 

 

 

「まあそういうことだよ。あとラウル、その事ベートの前では絶対に言わない方がいいからね?」

 

 

 

大事な後輩が無惨な肉塊にならないようにするため、一言助言する。

 

 

 

「さて、食べ終わったしそろそろ話始めようか。」

 

 

 

その言葉を皮切りに場が静かになる。

 

 

 

「んー、どこから話そうかな…。」

 

 

 

少し考えてから、

 

 

 

「分かりずらくなるだろうから最初から話そうかな。」

 

 

 

「僕の生まれはここから東、極東地域の小さな村だった。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」

 

 




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