第三者Sido
久遠たちが妙に開けた場所に出ると、久遠の方に一人の女の子が飛ばされてきた。
久遠はそれを低姿勢で受けとめると、屈んでその子の顔を覗き見る。
帽子で隠れて見えないが、薄緑の髪はふわふわとしていた。
「う・・・うう・・・だぁれ・・・?」
「!」
その子の目と久遠の目が合う。
そして、久遠は強い衝撃を受けたように目を見開いた。
「・・・君が、助けを求めていたんだね」
「え?」
「どうしたんだい?」
「あっちに、お姉ちゃんが・・・」
「わかった・・・」
久遠は少女が指差した方向に目を向ける。
するとそこには、古びたようなローブを纏う男が居た。
男は久遠らに気づいたかそちらを向く。
「・・・未来はここにゃいねぇか」
「おい、誰だ!」
「・・・誰でもいいだろ、そんなこと」
くるりと振り返った男の頬を見て、久遠は絶句した。
右頬はパリパリなのに、左頬は抉れたかのようにへこんでいる。
「何でこの子を」
「うざいから」
久遠が質問をしようとすれば、途中で遮って男が言った。
すっと少女を壁に寄りかからせれば、久遠は立ち上がる。
キョロキョロと見渡し、嘆息する。
「・・・火はない、か。じゃあアーディ」
「・・・ん。私を使うんでしょ」
「永久はその子を頼む」
「りょーかい。ま、久しぶりのケンカだけど、いいか」
永久が少女に寄り添うと、久遠は男に近づいた。
・・・・はずだった。
男との距離は開いて行くだけ。
久遠は少女の手によって前へ進むのを止められた。
「あの人、強いの・・・」
「・・・時か。ごめん、アーディは——」
「・・・ん」
ポフンッ、と土の塊が煙をあげる。
するとそこに立っていたのは人だった。
その人のひたいには、岩石のようなマークがある。
それを見た久遠は満足そうに微笑んだ。
「わかってるみたいで安心。さ、永久。いこっか」
「OKOK!」
「・・・くだらない。只の妖怪のためだけに命をはろうというのか」
「死ぬつもりなんかないさ。妖怪だろーがなんだろうが、気にすることはねーもんな」
久遠は軽くジャンプすると、拳を構える。
男は腕を上げると、刹那、男の背後がぐにゃりと曲がり、大きく亀裂を生んだ。
女性のものとは違う、空間の裂け目が。
「・・・あれって?!」
空間の裂け目の向こうに見えたのは、永久に似た顔つきの少年。
フードを深くかぶった彼は、男の首元を掴んで空間の裂け目へと引き込んだ。
男が中へはいるのを確認したあと、空間の裂け目は消え去る。
「あ・・・っ!」
「・・・あちゃー。やっと情報入手、かよ」
「・・・そうだね。私、炎とか探してくるよ」
「ああ。俺はあの子のお姉さん探さないとな」
久遠は永久が行くのを見送って、少女に目を向ける。
よっぽど気を張り詰めていたのか、少女はぐっすりと眠っていた。
それを微笑ましく思った久遠は歩いてその場を離れる。
☆ ☆ ☆
やがて、暗がりの中を歩くようになった。
久遠は慎重にあたりを見渡しながら歩く。
「・・・!誰か、いるんですか?」
女の声だった。
久遠は声のした方へ走っていく。
すると次第に暗闇に慣れた目はある一人の少女を映した。
「敵じゃない。間違っても攻撃はしない」
「・・・そう、ですか」
訝しむような視線が久遠を貫く。
久遠はとりあえず少女に近づいた。
「俺は齋藤久遠。助けにきた」
「・・・久遠、さんですか」
「ああ」と久遠は頷いて返す。
少女の警戒は解けないか、未だ視線は痛いままだ。
「えーっと、君は・・・やべ、名前聞くの忘れた・・・少女の『お姉さん』、かな?」
「はい。古明地さとりです。あなたは、こいしを知っているんですか?」
「あ、名前聞いてないからわかんない。けど・・・多分そうだと思う」
少女——さとりは久遠に詰め寄る。
久遠はそれについ反対方向へ体を傾けてしまう。
さとりの勢いに苦笑した久遠は言葉を紡ぐ。
「あっ」と声を漏らしたさとりは、言葉を変えて問うてきた。
「あの子は、無事ですか?!薄緑の髪の」
「ああ・・・その子なら無事さ。今俺の連れ・・・っていうか、なんていか。仲間が見てる」
「・・・よかった」
久遠の答えにホッとした面持ちのさとりに、久遠はそっと手を差し伸べた。
「こいしが心配してたぞ。どうしてここに?」
「ローブ姿の男の人が急に掴みかかってきて・・・『未来はどこだ』、と。知らないと返したら急に殴られてしまいまして」
よくみれば、さとりの殴られたあとがあった。
久遠はその頬を撫ぜ、「ごめん」と小さく謝った。
「どうしてあなたが謝るんです?」
「・・・俺がもっと早く来ていればよかったのさ」
「・・・そうですか」
(そうすれば、あいつなんか追っ払えただろうに)
さとりはふっと微笑んだ。
久遠はその笑みの意味を理解できず、ただ不思議そうに見やった。
「あなたが優しい人なのはわかりました。こいしのところまで連れて行ってくださいませんか?」
「ん?ああ、わかった。・・・歩ける?」
「ええ、それは」
立ち上がったさとりの手を取り、久遠は歩き出す。
「・・・足元、注意しろよ?」
「だ、大丈夫です。・・・多分」
久遠は急に不安になりながらも、こいしたちの居るであろう場所へ戻った。
永久が久遠を見つけると、こっちへ近づいて第一声。
「このロリコンがッ!」
「理不尽ッ」
永久によって久遠は殴り飛ばされた。
まだ異変は始まっておりません。
久遠「えっでも、地霊殿について・・・」
始まっておりません。
久遠「す、素直に地霊殿の章から外した方が」
あなただってみたでしょう?!今の章分けの方法!
異変ごとに区切ってるんです!
それでどうしろと?!
久遠「ご、ごめん・・・」
・・・ふぅ。
さとり「・・・まあ、めんどくさいが半分を占めていますが、最もな理由ですね」
久遠「あ、さとり」
ギクゥッ!
久遠「そうだ。瀬良さんってこの章で出るんでしょ?」
はい。やっぱり、前章で出てきていた瀬良さんは必要だな、と。
一応・・・準主役でしたし。
久遠「ダブル主人公+準主役って・・・」
それが君含む彼らです。
瀬良「つまり、オイラは出てくるんすね?前言撤回で」
・・・はい。
さとり「・・・まあ、メンバーをころころ変えてるみたいだなというのが半分と、『瀬良くんが変わった姿を届けたい!今も魔理沙たちにこき使われている様を届けたい!』・・・だそうです」
瀬良「ちょっと表でようか」
ア、スイマセン(棒
久遠「・・・というわけで、百話以降序盤からグダグダ模様です」
さとり「・・・まあ、これからもよろしくお願いします」
久遠「では!」
瀬良「アーアニキさっさとでないかなー」(ギリギリギリ
あ、ちょ、腕はそっちに曲がらな・・・(ピチューン