久遠Side
「ごめんねくお兄・・・」
申し訳なさげにこいしはつぶやいた。
俺はそれに首を振って答える。
「いいや、助かったさ。永久にも伝えといてくれ、俺が上にいるって」
「うん。じゃあね~!」
俺は地霊殿から出た。
どうやら、こいしには地霊殿の外の記憶はない・・・というより曖昧らしい。
・・・どういうことなのだろう、とは思うのだが。
旧都と呼ぶらしいその整地された場所をただ歩く。
まだ、永久は灼熱地獄とやらを探しているようで、俺の周りにはいない。
つまりぼっちである。うん、言ったらさみしくなった。
旧都を彷徨うと、次第に人混みの少ない場所に出る。
・・・あ、こいつはやばいパターンだ。
迷った、と気づいた頃にはもう遅い。俺は完全に道を忘れていた。
「あちゃあ」とつぶやきながら、一旦あたりを見渡す。
見覚えはない。どこか上の空だったか。
(これじゃあ地上どころじゃあないなぁ・・・)
頬を掻いてからため息をつく。
そんな時、フッと影が指す。
俺はバッと後ろを振り返る。すると、そこには角をつけた女性が立っていた。
赤に、星形の模様が入った角。
あきらかに、俺の知っている体操服であろう上の服に、透けているスカート。その下にはちゃんと着ているから少々残念。
くいっと大きな盃を傾ける様は、どこか余裕そうで、少し笑えた。
「・・・どなたなんだ?」
「おや、初対面への礼儀は知らないのかい?」
「少なくとも。目上の方への礼儀は教わってますがね」
「じゃあそれでいい。ほら、名乗る時は自分からって言うだろ?」
「・・・」
女性は愉快そうに笑う。
俺はそれに対して、どこか砕けた感じで話す彼女に逆らう気がしなくなった。
「俺は齋藤久遠。外の世界からきた」
「へえ、外来人か。私は星熊勇儀だ。まあ、よろしく頼むよ、久遠」
「ああ・・・そうだ。地上に行く方法を知ってるか?」
「ん?・・・なんだい、外に行くのか?」
「まあそうだけど。方法さえ教えてくれれば勝手に行く」
勇儀は「そうか」と笑うと、俺の頭をわしゃわしゃっと撫でた。
「な、なにするんだ?!」
「いいやぁ?珍しく謙虚なやつがいるなぁと。乗りかかった船だ、地上まで案内してやるよ」
「本当か?!」
俺はつい身を乗り出して勇儀に問うた。
勇儀が驚いたように目を丸くすると、俺はハッとして身を縮こまらせる。
し、しまった。さっきまで礼儀だのなんだの会話していたのに、これはないだろう。
なに馬鹿なことをしてるんだ、と自らに指摘すると、頭上から笑い声が聞こえる。
勇儀だ。
何を笑ってるんだ、と見上げると、勇儀が急に俺の肩を抱く。
「!?」
「さ、いこうか!」
「いや、あの・・・・?」
「なに、そんな遠くないさ。お前が路地に入っただけで」
「うぐ・・・」
俺はつい言葉を失う。
・・・迷ったなんて、誰が言えるか。
勇儀がニヤリと笑顔を浮かべた。
「大丈夫だ。安全だからな」
「そう思えない自分が怖い・・・」
諦めて引きずられていく。
ゆその時の勇儀の表情はとても生き生きとしていた。
まるで、遊び道具を見つけた子供のように・・・。
勇儀姐さんが出したかっただけですはい。
久遠「それで、迷っちゃったのか?」
うん。気がついたら・・・ここ大事。
久遠「・・・次、地霊殿の子出すの?」
まさか。地上に出ます。
久遠「」
うん、まあ勇儀さんが案内してくれたってことで、ね?
久遠「・・・永久は」
・・・忘れてるわけじゃないんだよ?
久遠「知ってるけどさ・・・」
まあ、次話かその次には・・・。
久遠「永久、かわいそうに・・・」
というわけで、また次回!
久遠「お楽しみに!」