幻想散々的   作:Lan9393

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百三話:迷う

久遠Side

 

「ごめんねくお兄・・・」

 

申し訳なさげにこいしはつぶやいた。

俺はそれに首を振って答える。

 

「いいや、助かったさ。永久にも伝えといてくれ、俺が上にいるって」

「うん。じゃあね~!」

 

  俺は地霊殿から出た。

どうやら、こいしには地霊殿の外の記憶はない・・・というより曖昧らしい。

・・・どういうことなのだろう、とは思うのだが。

旧都と呼ぶらしいその整地された場所をただ歩く。

まだ、永久は灼熱地獄とやらを探しているようで、俺の周りにはいない。

つまりぼっちである。うん、言ったらさみしくなった。

旧都を彷徨うと、次第に人混みの少ない場所に出る。

・・・あ、こいつはやばいパターンだ。

迷った、と気づいた頃にはもう遅い。俺は完全に道を忘れていた。

「あちゃあ」とつぶやきながら、一旦あたりを見渡す。

見覚えはない。どこか上の空だったか。

 

(これじゃあ地上どころじゃあないなぁ・・・)

 

頬を掻いてからため息をつく。

そんな時、フッと影が指す。

俺はバッと後ろを振り返る。すると、そこには角をつけた女性が立っていた。

赤に、星形の模様が入った角。

あきらかに、俺の知っている体操服であろう上の服に、透けているスカート。その下にはちゃんと着ているから少々残念。

くいっと大きな盃を傾ける様は、どこか余裕そうで、少し笑えた。

 

「・・・どなたなんだ?」

「おや、初対面への礼儀は知らないのかい?」

「少なくとも。目上の方への礼儀は教わってますがね」

「じゃあそれでいい。ほら、名乗る時は自分からって言うだろ?」

「・・・」

 

女性は愉快そうに笑う。

俺はそれに対して、どこか砕けた感じで話す彼女に逆らう気がしなくなった。

 

「俺は齋藤久遠。外の世界からきた」

「へえ、外来人か。私は星熊勇儀だ。まあ、よろしく頼むよ、久遠」

「ああ・・・そうだ。地上に行く方法を知ってるか?」

「ん?・・・なんだい、外に行くのか?」

「まあそうだけど。方法さえ教えてくれれば勝手に行く」

 

勇儀は「そうか」と笑うと、俺の頭をわしゃわしゃっと撫でた。

 

「な、なにするんだ?!」

「いいやぁ?珍しく謙虚なやつがいるなぁと。乗りかかった船だ、地上まで案内してやるよ」

「本当か?!」

 

俺はつい身を乗り出して勇儀に問うた。

勇儀が驚いたように目を丸くすると、俺はハッとして身を縮こまらせる。

し、しまった。さっきまで礼儀だのなんだの会話していたのに、これはないだろう。

なに馬鹿なことをしてるんだ、と自らに指摘すると、頭上から笑い声が聞こえる。

勇儀だ。

何を笑ってるんだ、と見上げると、勇儀が急に俺の肩を抱く。

 

「!?」

「さ、いこうか!」

「いや、あの・・・・?」

「なに、そんな遠くないさ。お前が路地に入っただけで」

「うぐ・・・」

 

俺はつい言葉を失う。

・・・迷ったなんて、誰が言えるか。

勇儀がニヤリと笑顔を浮かべた。

 

「大丈夫だ。安全だからな」

「そう思えない自分が怖い・・・」

 

諦めて引きずられていく。

ゆその時の勇儀の表情はとても生き生きとしていた。

まるで、遊び道具を見つけた子供のように・・・。




勇儀姐さんが出したかっただけですはい。

久遠「それで、迷っちゃったのか?」

うん。気がついたら・・・ここ大事。

久遠「・・・次、地霊殿の子出すの?」

まさか。地上に出ます。

久遠「」

うん、まあ勇儀さんが案内してくれたってことで、ね?

久遠「・・・永久は」

・・・忘れてるわけじゃないんだよ?

久遠「知ってるけどさ・・・」

まあ、次話かその次には・・・。

久遠「永久、かわいそうに・・・」

というわけで、また次回!

久遠「お楽しみに!」
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