久遠Side
「本当に申し訳ない!」
慧音さんが深々と頭を下げた。
俺らはそれを見て、呆然としていた。
慧音さんは、まず家に俺らを上げてから妹紅という少女を布団に寝かせてから、俺らを向いたかと思えば、急に謝ってきたのだ。いったい慧音さんが何をしたのか。俺には皆目見当もつかない。
一連の動作を見て、俺らは硬直してから、顔を見合わせることしかしなかった。
それが、変な誤解を生んだのだろうか、もっと深く頭が下がってしまった。
「里の人たちの件だ。あの人たちは、昔の精霊使いの噂・・・伝説に踊らされてしまっていてな。困ったものだよ。・・・ただ、決して君たちが・・・きみがそうだと言っているわけじゃないんだ。わかってくれ」
「い、いや、気にしてませんし、いいっすよ」
「そうだ、怪我の手当をしなければ、だな・・・これで怪我したところを押さえててくれ。清潔なモノだ。救急箱を持ってくる」
タオルを渡されて、俺の額に押しつけた。
少し痛みが走ったが、ぱたぱたと走って行った慧音さんにいたい!なんて言えるはずがなく、仕方なく俺はタオルで患部を押さえていた。
「・・・いい人そうだね」
「ああ、よかった」
俺らは笑いあって、慧音さんが帰ってくるのを待った。
すると、案外待たなくてもすぐ慧音さんは戻ってきた。
「待たせたな。怪我をみせなさい」
「は、はい」
腕を引き寄せられたせいか、懐から瓶が落ちた。
ぽちゃん、と中身が踊る。
「あらまあ!ぼっちゃま、怪我をされているのですか?!」
「んん?なんだ、このしずくは・・・」
「俺の精霊です。・・・水の精霊」
「ほほう、これが・・・」
「これとは失礼ですわね。モノ扱いしていいのは、ぼっちゃまたち『精霊使い』の皆様だけですわ!」
慧音さんは目を丸くしていた。
まあ、俺もそれは初耳だよ・・・水の精霊、絶対あの人たちの話聞いてたな・・・。
それはいいんだけどなぁ・・・。
「水の精霊のことはいいんで、手当お願いできますか?」
「あ、ああ、わかった」
救急箱を開けた慧音さんが必要なモノを取り出しているのがわかる。
水の精霊は不満そうに口をとんがらせて、神成の肩に降りた。
「ま、まあまあ・・・」
「私より、あの女ですか・・・」
「いや、怪我してるんだよ?」
「怪我の手当でしたら、私だってできますわよ!?」
水の精霊は神成から少し離れると、ボフンッと姿を変えた。
清楚そうな女性がそこにたっていた。
「どうです?!ぼっちゃま!私のほうが・・・」
「いや、おまえ俺が力コントロールしないと力加減間違えるような不器用じゃん」
「・・・」
ガーンッとうなだれる女性は、また煙を上げて一頭身に戻った。
・・・今度、俺的に精霊の特徴でもまとめておくかな。
「さ、終わりだ」
「ありがとうございます、慧音さん」
「よし、じゃあ本題に入ろう」
慧音さんは、すぅっと表情を変えた。
本題、ということは、人里のこの状況のことだろうか?
「・・・君たちは、なんのためにここにきた?」
「こいつの・・・神成ミレイの、帰る方法を探すため、と俺の家を探すためです」
「ふむ、きみの名前は?」
「齋藤久遠といいます」
「・・・わかった。家については、うちを使うといい・・・ただ、帰る方法だが、私にはわからない」
聞きたくない回答が帰ってきた。
・・・此所には手がかりなしか。
「・・・手がかりが見つかるまで、此所でゆっくりすればいい。幸いにも布団はたくさんある」
「ありがとうございます」
「・・・いいんですか・嫌われてる俺をおいて・・・」
「それについては、周りを説得していくしかないさ。ただ、君たちを放っておくのはできない。そういう理由なんだよ」
「・・・お言葉に甘えさせていただきます」
慧音さんの笑みに、俺はすっかり信じ切ってしまった。
神成も、どことなくほっとしたようだし・・・。
「じゃあ、まずは君たちは手がかりを探していてくれ。私も探そう・・・そうだ、里の出入りだが、できるだけ君たちが入ってきた方から出入りしてほしい。あんまりこそこそされても困るからね」
こくこくと、俺らはうなずいた。
よかったとこぼす慧音さん。
何とか普通の暮らしはできそうだった。
・・・俺も、そろそろ真剣に探さないとな。
「じゃあ、今日はゆっくり休んでくれ」
「あ、はい!」
「夜中に外に出ることがないように!」
怒るぞ、と慧音さんが付け加えながら笑った。
俺も神成も、同時にわっと笑う。
しばらくすると、どの家も明かりが消えていった。
ぽつぽつと、だんだんと消えていき、しまいには真っ暗になる。
その様を見届けたら、俺も寝ることにした。
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第三者Side
「・・・俺は、誰も許さない」
「誰であろうと、許せない」
憎しみがこもった声は、暗闇の中に響いた。
幼い、少年の声だった。
しかし、それでいて大人びていて。
少年の姿はどこにも見えない。
しかし、声だけはしっかりと聞こえた。
「おい、離せ!離せよ!」
青少年の声が、少年に向けて放たれる。
少年は、ギリッと歯ぎしりしてから、頭を抱えて叫んだ。
「黙れ!あの空間に逃げた野郎からおまえを受け取らなければ、今頃こんなことにはならなかったのに!」
彼は、『腕』を振り上げた。
ピシャーンッ!
「ぐあぁあああ!」
断末魔が響き渡った。しかし、その後暗闇に吸い込まれるように消えていく。
「あいつに、俺の『魔法』が使われなければ、俺もこんなことにはならなかったのに・・・!」
「・・・」
青少年の声はもう聞こえない。
少年の、恨みの言葉はぶつぶつぶつぶつぶつぶつと、いつまでも聞こえていた。
さあ、プロット頑張らなきゃね!!
ミレイ「それしか言わなくなるんじゃないかな、この人・・・」
久遠「それはいやだ」
ミレイ「私もちょっとやだ」
久遠「だろうな」
妖夢「・・・というわけで、次回もまたまた頑張ります!お楽しみに!」
久遠「次回予告もあらすじもやらなくなったのは余裕がなくなったからぁ・・・」
ミレイ「なのかなぁ・・・」