ちょっとシリアス的な雰囲気をお楽しみください。
第三者side
彼は、慧音の家の前に降り立った。
いつもの明るい雰囲気ではなく、どこか暗い彼の表情は、その家に・・・、その場所に、なにか嫌な思い出でもあるようだった。
「・・・。もう、来るつもりはなかったんすけどね」
いつもの口調。
しかし、その声音は低く、低級妖怪ならば恐ろしさのあまり泡でも吹いてしまうのではないかと錯覚しそうな殺気を漂わせていた。
コン、コン
軽くノックすれば、「だれだ?」と問う女性の声。
彼には非常に聞き覚えのある声だった。
変わらない声。
変わらない調子。
よかった、元気なのか、と彼は安心してしまっていた。
そのあまりか、いたずらをしてしまおうか、などという余裕すら生まれてしまっている。
「こんにちはー、慧音センセー」
そういうと、バンッと扉が開かれた。
信じられない、とでもいうようなその視線に、彼も笑みを浮かべた。
「・・・何の用だ、天魔」
「天魔って呼び方はよしてくださいよ先生」
「・・・じゃあ変えよう。なにをしにきた瀬良」
「あはは、しいて言えば個人的な用が」
「もったいぶらずに言って見せろ。内容次第では殴るぞ」
鋭い眼光で彼をにらみつける慧音は、尋常じゃないほど気が立っているようだった。
「・・・先生、そこまで睨まなくたっていいじゃないっすか」
「少なくとも、そのしゃべり方は腹が立つ」
「えー・・・じゃ、俺も直すか」
腕を組み、ドアにもたれかかって、慧音は瀬良の様子を観察した。
赤い髪、脱色した羽、伸びた身長、変わらぬモグラ帽子。
数十年前と変わらぬ幼い顔立ち。
陽気な笑顔すら、『前に見た彼』の面影が残っていると思ってしまう。
それなのに、彼はいつの間にこんな笑顔を浮かべるようになったのだろう。
見ているとどこか悪寒を感じるような、そんな冷たい笑顔。
いっそ氷でもあてられてるのか?
慧音は組んだ腕を解き、体を抱くような体制に変えた。
「先生は相変わらず怖がりっすね」
「そういうお前は、いつまでも『ガキ』だな」
「失礼なっ!」
「私が鴉天狗の中でまともに関わったのはお前だけなんだ。人間とどうしても比べてしまうものなんだよ。周りが大人びたものばかりなら、お前は『ガキ』にもなるさ」
苦笑する。
ムスッとむくれた瀬良が、ちらりと見たのはすっかり安心して笑っている慧音の姿だった。
そんな慧音は、変わらぬ瀬良の姿に胸をなでおろしていたのだ。
ひとしきり笑った慧音は、真剣な表情に戻る。
「それで?何の用だ」
「・・・ミレイさんの保護っす」
「断る。久遠が許さないからな」
「はぁ・・・。そっすよねぇ」
「あきらめろ」
「無理だよ」
慧音が瀬良を押して帰そうとすれば、その腕がとられる。
真剣な瞳が真っ正面から慧音を貫く。
「『やっと来た新しい外来人』。余計なことはこちらが受け持って、平和にゆっくりと『その時』まで過ごしてもらう。そのために、妹紅さんに頼んだのに」
「・・・おい、待て」
「まったく、ほかの幻想郷の住民が入ってくるとは・・・」
「待て、瀬良」
ん?と瀬良が首を傾げた。
慧音の視線は一層厳しいものになっている。
「妹紅が協力した、だって・・・?」
「ああ。そうだよ。ま、お願い事だしね。それで、だよ・・・聞いてる?」
「聞いてる、一応」
「そっか。じゃあ続けるよ・・・。さっき言った通り、彼女は俺が引き取ることにしたんだ。そっちのほうが安全で確実に帰してやれるからね」
「・・・」
「さっさと彼女を出せば悪いようにはしないよ」
瀬良は極めて笑顔だった。
それがやはり黒く、冷たく見え、慧音は小さく嘆息した。
そんな時、彼女の首に突き付けられたのは爪だった。
彼の爪。鋭く長く、それは慧音の首の皮を裂いている。
つつ・・・。血が流れ落ち、慧音の顔は青くなる。
「なっ・・・。お前」
「あんたは『アニキ』とあってない。だから、久遠君のことを優先できるんだ」
「久遠・・・、・・・アニキ?」
「白野想鵐。俺は、アニキって呼んでる」
瀬良の表情は変わらない。
冷静だった。
慧音はもう一度嘆息すると、「待ってくれ」とだけ言った。
それは、受け渡しを了承したからつぶやいたのだと、瀬良は思っていた。
「・・・。もう少し待ってくれ。まだ彼らは帰ってきてないんだ。彼らの了承なしに私個人で決められる問題じゃない」
「あんたは・・・。あいっかわらず、堅いな。・・・恨めしいよ、本当に」
「そうか。すまないな。『あの時』は・・・。いいや、今はこの話は避けようか」
「・・・そうっすね」
不機嫌そうにむくれる瀬良につい噴き出した慧音は、睨まれたことにより肩をすくめる。
白野想鵐。
彼女の頭には、その単語が浮かんでいた。
(確か、博麗神社の居候だったよな?魔理沙たちの話によれば、女の子に好かれて、それでも妖夢を好きでいるという・・・。この頃姿を見かけないらしいし、なにかあったっぽいからな・・・。まあ、何かあるんだろう。私が関わることでもなさそうだ)
瀬良をじっと見ながら、慧音は熟考していた。
それに瀬良は気づかない。
「あ、俺はここで。じゃ、失礼しました」
「ん。まあ、また来るといい」
「来ねぇっすよ」
苦笑しながら、瀬良は羽を羽ばたかせた。
横に広い羽は、バタバタと音を立て、周りが発生した風で多少なり揺れる。
それを慧音は見上げながら、手を振った。
「・・・見送りは、いらねっすよ」
にっこり。
瀬良がそうつぶやけば、聞こえたのか慧音が「そうか」とつぶやいた。
・・・。
それから、彼らが返ってくるまで数十分。
慧音は、外に立ち、空を見上げていた。
ある意味、これだけで2000言ったのすごくね?
本当は、ここに久遠くん・ミレイさんのシーン組み込もうと思ったけど気力がねぇ!
ミレイ「ダメじゃないですか」
久遠「まったくだ」
ミレイ「これは・・・。瀬良さんと、慧音のお話?」
久遠「みたいだな。へぇ、この二人、こんな関係だったんだ」
・・・(目逸らし
二人((後付か))
(なんとなく、そういう雰囲気のが書きたかったなんて言えない)
で、では、そういうわけで!
だいたい、次の話の攻勢も決まってきてるので、プロット頑張ります!
ではでは次回もお楽しみに~!
二人「「にげたっ!」」
想鵐「というわけで、ありがとうございました~」