幻想散々的   作:Lan9393

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百二十話:「誰、だったんだろう?」

久遠side

まあ、いろいろあって無事脱出できた俺ら。

アイリスは体力も高く、基礎的な体作りはしていると言っていた。

女のくせに、野蛮で乱暴なのにその能力を俺に使おうとするんだもんな、ひどいひどい・・・と、にらまれた。

肩をすくめて、アイリスの視線から逃れようとする。

そんな中、神成は暢気に「ふぅ~一息つけるね」と笑っていた。

その笑みにアイリスも毒気が抜かれて、「そうね」と返事した。

俺もうなずく。

「さて・・・ひとまず慧音さんとこに戻るか。アイリスは、ついてきてくれ・・・ん?神成?」

「うーんと、私も後で行くから、先行ってて?」

「ああ、わかった。無事でな」

「久遠くんじゃないんだから~。じゃ、アイリス、ごゆっくり!」

神成はさらっとひどいことを言って去っていった。

俺も傷つくんだぞ、と反論する暇もなく、その後ろ姿を見送っていった。

なにをしたいんだろう?あまり離れないほうがいいというのに、何か思うところでもあったのか?

☆ ☆ ☆

第三者side

程よく走って、ふと足を止めた。

何気なくその辺を見渡してみると、そこはきれいな花畑だった。

色とりどりの花が咲き乱れ、太陽の光を花弁に受け、成長していくのが見て取れる。

どうせ、妖怪も混じっているのだから、動いているように見えてもおかしくはない。そう思うことにした。

だからか、ミレイは不用意に怪しい花には近寄らないようにした。

(・・・ここに、『彼』を連れてきたとしたら、なんていうんだろう・・・)

考えて、ミレイは首を振った。

(もう、駄目だなぁ。私がいたあそこを思い出すと・・・『彼』が浮かんできちゃう)

小さくて、髪も長い、女の子みたいな『彼』。

ミレイは思い出して、口元を緩めると、花びらに触れた。

蜜を吸いに来た蝶々が驚いて飛び立つが、ミレイはそれを見て、微笑んだ。

生命の動き。

この子はまだ生きているんだ、という安心感。

なんの穢れもないその羽を一心に動かして、蝶々は飛んで行った。

日光を受けて、その羽は透けて見え、きれいになっていく・・・。

・・・その時感じた感覚に体を震わせた。

絶対的な憎悪。

どろどろした黒い感情。

生の気配すら感じないような殺気。

冷たい風。

これから、何が起こるのか?疑問に思い、恐怖に感じるような花畑の様子。

花畑から離れようと判断したミレイは、その場を去るために駆け出した。

(のんきにしてる場合じゃない!強い、強い『闇』がこっちに近づいてきてるっ!)

それは形をとって、黒い『塊』となって追いかけてきた。

ミレイはそれを見て、一層足を速く動かす。

今ここで足を止めていても無駄だ。今は人のいる・・・久遠か、慧音か誰かのいるその場所へ、向かわないといけない。そんな思いに駆られ、恐怖に感じながらも、必死に走っていた。

「・・・もう、いい加減、しつこい、なぁ・・・!」

息も上がってきた。

どれだけ追いかけてくるのだろうか?

いい加減しびれを切らしたは、大きく跳躍して着地した場所を振り返り、『塊』と対峙した。

構えをとったその時、「上空から何かが滑空してきて、『塊』とミレイの間に立つ。

「おっと、君。この子はいじめちゃいけないねぇ」

モグラ帽子をかぶり直し、にへらと笑った彼は真っ白な羽を伸ばし、たたんで腰に手をやった。

そこから下げられた刀が揺れる。

「とりあえず、神成ミレイ。さっさと離れて。今はその時ではないから、君には何はしないけど、いずれかはゆっくり話す時が来るから。自己紹介も、何もその時にね」

「・・・え、あ、はい」

「・・・」

『塊』はなおもミレイめがけて飛び込んだ。

・・・風が巻き起こる。

一瞬、だっただろうか。

黒いそれらは、真っ二つに裂かれ、その場で塵と化した。

それを見ている間に、彼はすでに姿を消してしまっていた。

「・・・誰、だったんだろう?」




というわけで、百二十話!
ミレイさんも来てから数日が経ったかと思います。
(実際には数日どころか一か月、数か月もお借りしちゃってるわけですが)

ミレイ「でも、楽しいよ?」
久遠「そう、なのか?」
ミレイ「うん、まあ」
瀬良「ならよかったっすね!異変が起きるのももう少し。解決も辛抱すればきっとすぐっすよ!」

さりげなくプレッシャーかけたね瀬良くん!

瀬良「いえーい」
アイリス「この章、後二人出てくるんでしょう?・・・ま、頑張れってとこなのかな・・・」

はい、頑張ります(苦笑

ではでは、また次回~!
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