久遠side
まあ、いろいろあって無事脱出できた俺ら。
アイリスは体力も高く、基礎的な体作りはしていると言っていた。
女のくせに、野蛮で乱暴なのにその能力を俺に使おうとするんだもんな、ひどいひどい・・・と、にらまれた。
肩をすくめて、アイリスの視線から逃れようとする。
そんな中、神成は暢気に「ふぅ~一息つけるね」と笑っていた。
その笑みにアイリスも毒気が抜かれて、「そうね」と返事した。
俺もうなずく。
「さて・・・ひとまず慧音さんとこに戻るか。アイリスは、ついてきてくれ・・・ん?神成?」
「うーんと、私も後で行くから、先行ってて?」
「ああ、わかった。無事でな」
「久遠くんじゃないんだから~。じゃ、アイリス、ごゆっくり!」
神成はさらっとひどいことを言って去っていった。
俺も傷つくんだぞ、と反論する暇もなく、その後ろ姿を見送っていった。
なにをしたいんだろう?あまり離れないほうがいいというのに、何か思うところでもあったのか?
☆ ☆ ☆
第三者side
程よく走って、ふと足を止めた。
何気なくその辺を見渡してみると、そこはきれいな花畑だった。
色とりどりの花が咲き乱れ、太陽の光を花弁に受け、成長していくのが見て取れる。
どうせ、妖怪も混じっているのだから、動いているように見えてもおかしくはない。そう思うことにした。
だからか、ミレイは不用意に怪しい花には近寄らないようにした。
(・・・ここに、『彼』を連れてきたとしたら、なんていうんだろう・・・)
考えて、ミレイは首を振った。
(もう、駄目だなぁ。私がいたあそこを思い出すと・・・『彼』が浮かんできちゃう)
小さくて、髪も長い、女の子みたいな『彼』。
ミレイは思い出して、口元を緩めると、花びらに触れた。
蜜を吸いに来た蝶々が驚いて飛び立つが、ミレイはそれを見て、微笑んだ。
生命の動き。
この子はまだ生きているんだ、という安心感。
なんの穢れもないその羽を一心に動かして、蝶々は飛んで行った。
日光を受けて、その羽は透けて見え、きれいになっていく・・・。
・・・その時感じた感覚に体を震わせた。
絶対的な憎悪。
どろどろした黒い感情。
生の気配すら感じないような殺気。
冷たい風。
これから、何が起こるのか?疑問に思い、恐怖に感じるような花畑の様子。
花畑から離れようと判断したミレイは、その場を去るために駆け出した。
(のんきにしてる場合じゃない!強い、強い『闇』がこっちに近づいてきてるっ!)
それは形をとって、黒い『塊』となって追いかけてきた。
ミレイはそれを見て、一層足を速く動かす。
今ここで足を止めていても無駄だ。今は人のいる・・・久遠か、慧音か誰かのいるその場所へ、向かわないといけない。そんな思いに駆られ、恐怖に感じながらも、必死に走っていた。
「・・・もう、いい加減、しつこい、なぁ・・・!」
息も上がってきた。
どれだけ追いかけてくるのだろうか?
いい加減しびれを切らしたは、大きく跳躍して着地した場所を振り返り、『塊』と対峙した。
構えをとったその時、「上空から何かが滑空してきて、『塊』とミレイの間に立つ。
「おっと、君。この子はいじめちゃいけないねぇ」
モグラ帽子をかぶり直し、にへらと笑った彼は真っ白な羽を伸ばし、たたんで腰に手をやった。
そこから下げられた刀が揺れる。
「とりあえず、神成ミレイ。さっさと離れて。今はその時ではないから、君には何はしないけど、いずれかはゆっくり話す時が来るから。自己紹介も、何もその時にね」
「・・・え、あ、はい」
「・・・」
『塊』はなおもミレイめがけて飛び込んだ。
・・・風が巻き起こる。
一瞬、だっただろうか。
黒いそれらは、真っ二つに裂かれ、その場で塵と化した。
それを見ている間に、彼はすでに姿を消してしまっていた。
「・・・誰、だったんだろう?」
というわけで、百二十話!
ミレイさんも来てから数日が経ったかと思います。
(実際には数日どころか一か月、数か月もお借りしちゃってるわけですが)
ミレイ「でも、楽しいよ?」
久遠「そう、なのか?」
ミレイ「うん、まあ」
瀬良「ならよかったっすね!異変が起きるのももう少し。解決も辛抱すればきっとすぐっすよ!」
さりげなくプレッシャーかけたね瀬良くん!
瀬良「いえーい」
アイリス「この章、後二人出てくるんでしょう?・・・ま、頑張れってとこなのかな・・・」
はい、頑張ります(苦笑
ではでは、また次回~!