およそ三分ほど。
(つまり急展開注意)
『大変なの!永久が・・・永久が・・・!』
『え・・・?』
『変な、空間のゆがみの中に入って、どっかに行っちゃったの・・・!』
『気にするな。あいつは、あいつの目的のために動いてんだから』
第三者side
慧音の家でゆっくりしているところに、パァンッという乾いた音が鳴った。
音の正体は、ミレイの手が久遠の頬を強くたたいたからだった。
久遠は叩かれたのが不思議という表情をしており、呆然とミレイを見上げていた。
どこか耐えているようなミレイは、きゅっと唇を閉じ、かみしめて、そのまま家から出ていこうとする。
「・・・なんだよ、あいつ・・・何で俺、たたかれて・・・」
「自業自得よ・・・。追いかけないの?」
先ほどのやり取りを黙って聞いていたアイリスが、久遠にそっと声をかける。
久遠は、ハッとしてアイリスを見る。
やがて笑いながら、彼は言った。
「俺が行っても無駄だろ。アイリス、行ってやれよ」
「・・・そういう態度が、言葉が、彼女を怒らせたんじゃないの・・・?」
「・・・後でちゃんと謝るさ。俺が行っても無駄だから、アイリス、頼む」
アイリスはそれを聞いて「慧音さん、ちょっと席をはずしますね」と近くにいた慧音に声をかけて、家から出て絵言ってしまったミレイを追いかけた。
家の中には静寂が訪れる。
そう言えば、と久遠は慧音を見る。
・・・否、視線の先はその向こう・・・未だに布団で眠ってしまっている妹紅だった。
すやすやと眠っている彼女の顔色はどこか悪く、久遠はそれをじっと観察した。
ほかには特に変わった様子もない。
そして、口を開いた。
「・・・まだ、目を覚まさないのか?」
「生きてる」
「・・・そうか」
久遠は、妹紅から視線を外し、天井を見上げる。
そう言えば、先ほど何の話をされたのだっけか?
そんな風にどんどんと思考する。
『永久がどこかへ行ってしまったこと』を聞いた彼は、考え事を始めた。
☆ ☆ ☆
「待って、ミレイ!」
「・・・アイリス」
アイリスはミレイに追いつき、ふぅ、と荒い呼吸を落ち着かせた。
その姿に、きょとんとしたミレイは、「どうしたの?」と声をかける。
「久遠に教えたことは、本当なの?」
「うん。・・・空間のゆがみみたいなのの中に、永久が入っていった」
「永久・・・時の精霊、だっけ?」
「・・・」
こくり、とうなずくミレイに、アイリスはうなる。
知らない人のことなのだ、どんな考えを居て、どんな行動をとるか何んて想像もつかない。
ただ、どこか知っているような気はする。
「・・・ねえ、ミレイ。なんで、怒ったのか、聞いていいかしら」
「・・・あんまりだと、思ったから」
「え?」
「永久が、どこへ行ったのかわからないのに、あっさりと『気にするな』なんていったのが、なんとなく・・・ひどいって、思っちゃったんだ」
肩をすくめて、「ごめんね、たいそうな理由じゃなくて」と謝る彼女は、きゅっと服の裾をつまんで、どこかかなしそうに眉を寄せた。
なんでそんな顔をするかはわからない。
どこか、その表情は『彼』に似てる気がして。
「・・・ッ!」
覚えのある気配。
クツクツと笑う声。
目元を覆った包帯。
アイリスは、その声のする方向をじっと見て、歯ぎしりする。
「佐藤、優馬・・・!」
―――――アイリスのよく知る人物が、そこにいた。
☆ ☆ ☆
――ところ変わって博麗神社。
ほのぼのとした空気。
人の気配は一人しかない、そんな平和な空気の中、博麗神社にいる巫女、博麗霊夢はのんびりとお茶を飲んでいた。
部屋の一室に座り、湯呑を持ち傾け、中身を啜る。
うるさい魔女も、少し世話を焼くメイドも、おっちょこちょいな剣士も、常識外れな巫女もいない。
やかましい妖精たちも、どこぞの吸血鬼も、冥界の亡霊も、幻想郷の賢者も訪れない、そんな静かな神社。
少し前までは、もう一人もいたのだが――――。
それを思い出してしまい、霊夢ははぁとため息をついた。
「あいつのこと、忘れるって・・・。あいつはもう、赤の他人だって・・・宣言したのに」
温厚な性格で、そのせいか人(より、妖怪が多かった)に好かれていた彼は、どこか悲しそうで、まるで死に場所を探しているようだった。
・・・途中からは、そんな感じはなかったというのに、勝手に『生贄』になろうなんて言い出した。
彼の姿はもうない。おそらく、きっと、もう彼は現れない。
「・・・わかりきっていることだけど。・・・本当に嫌になっちゃうわよねぇ。
霊夢は、ため息をもう一度ついてから、嫌な気配に顔をしかめた。
かちゃん、と置いた湯呑にひびが入る。
(ああ、そういえば今は昼頃なのに、外が暗いような・・・)
疑問を抱きながら、霊夢は外へ出た。
その外の光景に、霊夢は絶句する。
『何かが起きている』とは、わかっていたけれども。
この光景は想定の範囲からは逸脱していて。
真っ暗な景色。
火も灯りも役に立たなさそうな、妖怪の好む暗闇。
あちらこちらを飛び回る『何か』。
嫌な笑いをする『塊』。
なにより――――。
―――――――――――――――――自分の勘が、これは危険だと告げている。
ただし、どこがどのように危険なのか、わからなかった。
いつもは勘に任せて飛べば済むであろうはずなのに、それができない。
(まさか・・・私の勘が鈍ってる?!いえ、そんなまさか。・・・じゃあ、なんだというの?)
熟考するも、結論には至らず。
「ああもうッ!こういう時に限って、魔理沙も誰もいないんだから――――ッ!」
☆ ☆ ☆
「!・・・これは、まさか」
「へぇ・・・ここまで広範囲に広げられるとは・・・」
「よくやるもんっすねぇ・・・たかがこの程度の目的で」
「博麗の巫女を役に立てないようにしてれば、彼らがのこのことやってくる?」
「ざぁんねん。
ここは、オイラの出番っすよ。
園瀬良の、・・・ね!」
はい、急展開申し訳ありませんでした。
そろそろ異変をはじめないと真剣にやばいと思ったからです。
というわけで、異変が起きました。
幻想郷が真っ暗闇になり、妖怪たちが活発に動き出してしまった。
博麗の巫女はいつもの勘が働かないというハプニング。
そして、『佐藤優馬』とは誰なのか?
久遠は無事に異変を解決し、ミレイを元の世界へ戻せるのか!
そして、瀬良はどういった行動を起こすのか―――っ!
待て、次回!
久遠(何がしたかったんだ・・・)
ミレイ(今回、あとがきはそれくらいしかないのね・・・)
久遠(まあいいか・・・)
ミレイ「では、次回もお楽しみに!」