幻想散々的   作:Lan9393

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ミレイさんの家にいる時間。
およそ三分ほど。

(つまり急展開注意)


百二十二話:「ああもうッ!」

『大変なの!永久が・・・永久が・・・!』

『え・・・?』

『変な、空間のゆがみの中に入って、どっかに行っちゃったの・・・!』

 

 

『気にするな。あいつは、あいつの目的のために動いてんだから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三者side

 

 慧音の家でゆっくりしているところに、パァンッという乾いた音が鳴った。

音の正体は、ミレイの手が久遠の頬を強くたたいたからだった。

久遠は叩かれたのが不思議という表情をしており、呆然とミレイを見上げていた。

どこか耐えているようなミレイは、きゅっと唇を閉じ、かみしめて、そのまま家から出ていこうとする。

 

「・・・なんだよ、あいつ・・・何で俺、たたかれて・・・」

「自業自得よ・・・。追いかけないの?」

 

先ほどのやり取りを黙って聞いていたアイリスが、久遠にそっと声をかける。

久遠は、ハッとしてアイリスを見る。

やがて笑いながら、彼は言った。

 

「俺が行っても無駄だろ。アイリス、行ってやれよ」

「・・・そういう態度が、言葉が、彼女を怒らせたんじゃないの・・・?」

「・・・後でちゃんと謝るさ。俺が行っても無駄だから、アイリス、頼む」

 

アイリスはそれを聞いて「慧音さん、ちょっと席をはずしますね」と近くにいた慧音に声をかけて、家から出て絵言ってしまったミレイを追いかけた。

家の中には静寂が訪れる。

そう言えば、と久遠は慧音を見る。

・・・否、視線の先はその向こう・・・未だに布団で眠ってしまっている妹紅だった。

すやすやと眠っている彼女の顔色はどこか悪く、久遠はそれをじっと観察した。

ほかには特に変わった様子もない。

そして、口を開いた。

 

「・・・まだ、目を覚まさないのか?」

「生きてる」

「・・・そうか」

 

久遠は、妹紅から視線を外し、天井を見上げる。

そう言えば、先ほど何の話をされたのだっけか?

そんな風にどんどんと思考する。

 

『永久がどこかへ行ってしまったこと』を聞いた彼は、考え事を始めた。

 

☆  ☆  ☆

 

「待って、ミレイ!」

「・・・アイリス」

 

アイリスはミレイに追いつき、ふぅ、と荒い呼吸を落ち着かせた。

その姿に、きょとんとしたミレイは、「どうしたの?」と声をかける。

 

「久遠に教えたことは、本当なの?」

「うん。・・・空間のゆがみみたいなのの中に、永久が入っていった」

「永久・・・時の精霊、だっけ?」

「・・・」

 

こくり、とうなずくミレイに、アイリスはうなる。

知らない人のことなのだ、どんな考えを居て、どんな行動をとるか何んて想像もつかない。

ただ、どこか知っているような気はする。

 

「・・・ねえ、ミレイ。なんで、怒ったのか、聞いていいかしら」

「・・・あんまりだと、思ったから」

「え?」

「永久が、どこへ行ったのかわからないのに、あっさりと『気にするな』なんていったのが、なんとなく・・・ひどいって、思っちゃったんだ」

 

肩をすくめて、「ごめんね、たいそうな理由じゃなくて」と謝る彼女は、きゅっと服の裾をつまんで、どこかかなしそうに眉を寄せた。

なんでそんな顔をするかはわからない。

どこか、その表情は『彼』に似てる気がして。

 

「・・・ッ!」

 

覚えのある気配。

クツクツと笑う声。

目元を覆った包帯。

アイリスは、その声のする方向をじっと見て、歯ぎしりする。

 

 

 

 

「佐藤、優馬・・・!」

 

 

 

―――――アイリスのよく知る人物が、そこにいた。

 

 

☆  ☆  ☆

 

 

――ところ変わって博麗神社。

 ほのぼのとした空気。

人の気配は一人しかない、そんな平和な空気の中、博麗神社にいる巫女、博麗霊夢はのんびりとお茶を飲んでいた。

部屋の一室に座り、湯呑を持ち傾け、中身を啜る。

うるさい魔女も、少し世話を焼くメイドも、おっちょこちょいな剣士も、常識外れな巫女もいない。

やかましい妖精たちも、どこぞの吸血鬼も、冥界の亡霊も、幻想郷の賢者も訪れない、そんな静かな神社。

少し前までは、もう一人もいたのだが――――。

それを思い出してしまい、霊夢ははぁとため息をついた。

 

「あいつのこと、忘れるって・・・。あいつはもう、赤の他人だって・・・宣言したのに」

 

温厚な性格で、そのせいか人(より、妖怪が多かった)に好かれていた彼は、どこか悲しそうで、まるで死に場所を探しているようだった。

・・・途中からは、そんな感じはなかったというのに、勝手に『生贄』になろうなんて言い出した。

彼の姿はもうない。おそらく、きっと、もう彼は現れない。

 

「・・・わかりきっていることだけど。・・・本当に嫌になっちゃうわよねぇ。こんなとき(・・・・・)に」

 

霊夢は、ため息をもう一度ついてから、嫌な気配に顔をしかめた。

かちゃん、と置いた湯呑にひびが入る。

 

(ああ、そういえば今は昼頃なのに、外が暗いような・・・)

 

疑問を抱きながら、霊夢は外へ出た。

その外の光景に、霊夢は絶句する。

『何かが起きている』とは、わかっていたけれども。

この光景は想定の範囲からは逸脱していて。

 

 

  真っ暗な景色。

 

  火も灯りも役に立たなさそうな、妖怪の好む暗闇。

 

  あちらこちらを飛び回る『何か』。

 

  嫌な笑いをする『塊』。

 

  なにより――――。

 

―――――――――――――――――自分の勘が、これは危険だと告げている。

 

ただし、どこがどのように危険なのか、わからなかった。

いつもは勘に任せて飛べば済むであろうはずなのに、それができない。

 

(まさか・・・私の勘が鈍ってる?!いえ、そんなまさか。・・・じゃあ、なんだというの?)

 

熟考するも、結論には至らず。

 

「ああもうッ!こういう時に限って、魔理沙も誰もいないんだから――――ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆  ☆  ☆

 

「!・・・これは、まさか」

 

「へぇ・・・ここまで広範囲に広げられるとは・・・」

 

「よくやるもんっすねぇ・・・たかがこの程度の目的で」

 

「博麗の巫女を役に立てないようにしてれば、彼らがのこのことやってくる?」

 

 

 

「ざぁんねん。

 

 

  ここは、オイラの出番っすよ。

   園瀬良の、・・・ね!」




はい、急展開申し訳ありませんでした。
そろそろ異変をはじめないと真剣にやばいと思ったからです。
というわけで、異変が起きました。

 幻想郷が真っ暗闇になり、妖怪たちが活発に動き出してしまった。
博麗の巫女はいつもの勘が働かないというハプニング。
そして、『佐藤優馬』とは誰なのか?
久遠は無事に異変を解決し、ミレイを元の世界へ戻せるのか!
そして、瀬良はどういった行動を起こすのか―――っ!

待て、次回!

久遠(何がしたかったんだ・・・)
ミレイ(今回、あとがきはそれくらいしかないのね・・・)
久遠(まあいいか・・・)
ミレイ「では、次回もお楽しみに!」
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