想鵐Sido
そこは、真っ暗闇。
空気を吸ってる感覚がなく、霊夢の手の感触だけが僕の感じる感触だった。
霊夢は恥らうようにたまに手を引くが、逸れてはまずいと思うために、僕がそれを握る。
それを繰り返しながら、僕らは先へと道なき道を歩いていた。
「・・・おかしい」
「ええそうね、あんたおかしい・・・ぷきゅっ?!」
僕が立ち止まると、愚痴っていた霊夢が背中にぶつかって来て、奇声をあげた。
「なにしてんのよ・・・」
「・・・・・・未來」
僕の目には、妖夢を抱き寄せて、耳元に唇を寄せ何かを囁いている未來の姿が映る。
妖夢の目が僕を見つけたようで助けてくれというように眉を寄せて、視線を送りつけている。
霊夢が察してくれた。一言、
「あとでお詫びで賽銭いれなさいよ」
そう言って未來の背後に行って封魔針を首から背中までを針山にした。
それに気づいたのか、未來は霊夢を見て、面白くないように僕を見た。
「もう来ちゃったの?」
「離して、ください・・・!」
「さて・・・・俺は俺に会う前に俺を殺さなきゃなんだ。妖夢にそれをお願いしてただけなのに」
ねぇ。と未來は妖夢に問い掛ける。
でも妖夢は無言で俯いていた。
首はふるふると横に振られていた。
そんなことは言われてない、というように。
「殺させないぞ・・・未来を、お前には・・!」
「は?俺が俺をどう扱おうといいじゃないか」
「それに、、未来は死んだ!死んだのに、殺すって」
「俺はどこにいるか知っている。・・・そこにいけないだけで」
「・・・」
「・・・」
ニタリ、と笑みを浮かべて、妖夢を僕の方へ突き飛ばす。
「ここでやられちゃうのは不本意なんだよね。だから・・・あげる」
「妖夢は僕のじゃ」
「そのおもちゃ、いらない」
ぷちん、僕の堪忍袋の緒が切れる。
妖夢の刀を抜き、構える。
刹那、真っ暗闇の空間が消えた。
そこは、空間に入る前の森だった。
紫とレミリアの姿はそこになく、ボロボロな魔理沙、輝夜がそこで寝ていた。
「魔理沙!輝夜!!」
「え、な、なんで・・・」
「あんたを連れ出す時に紫とレミリアの足止めしてもらってたの」
「そんな・・・」
妖夢が、輝夜と魔理沙を担ぎ上げ、痛みに顔をゆがませつつおんぶする。
僕以上に腕力があるようだ。・・・悔しい。
にしても、痛そうだった・・・あ。
「・・・・私が運びます。神社に行けばいいんですよね」
「あ、ああ。腕は?」
「おぶればなんとかなりますから。では、お先に失礼します」
「・・・ええ」
妖夢はそのまま飛んで行った。
・・・霊夢が怖くなり、霊夢を向く。
霊夢はむすっとした様子で、僕をじぃっとみていた。
「ご、ゴメンなさい」
「あんた、幻想郷を枯らしたりしないわよね」
不安げに、霊夢が問うてくる。
僕は勢いよくブンブンと首を縦に振った。
なによりこの世界が好きだから、壊したくない。
今の日常を、崩したくない。
飛ばしますー!