三十三話:長い長い宴会を楽しんで!
想鵐Sido
今日でかれこれ十数回目の宴会となる。
・・・やりすぎだって?そろそろ感じてきてはいるさ。
だから、こうやって霊夢のそばで寝てるんだもん。
起きてろ・・・?
無理いうな。なぜか体が重くてたまらんだ。
すると、ふと霊夢が僕のひたいをぺちんと叩く。
「寝るんじゃないわよ?」
「わかってるって。ふわぁぁ・・・」
「・・・想鵐?」
「なにぃ?あくびとかしてないよー」
「してたじゃないのよ」
「さすが博麗の巫女~」
「隣なんだから誰でもわかるわよ」
ため息混じりに、霊夢がぼやく。
そうか。そうですか。
「平和だなぁ・・・」
「この長い宴会も、明らかにみんなおかしいって思うよねぇ」
だらーんとすると、霊夢が立ち上がる。
僕はそれをただただ不思議に思いながら見た。
「・・・・なによ」
「いやぁ、動かないと思ってたんだけど」
「失礼ね」
「だって、ねぇ・・・」
頬を搔きながら、僕は霊夢を見上げる。
「・・・異変らしいんだもの。やるしかないわ」
「どこいくんだ?」
途端に霊夢はため息をつく。
僕も、座って、膝を立てて霊夢に向く。
「紅魔館」
「・・・え、マジすか」
「まあ、一応前にあった異変の首謀者だし」
「紅霧異変だな・・・」
バサッ
羽音が聞こえたかと思えば、噂をすれば。レミリア、咲夜がそこにいた。
「あ」
「・・・?なにかしら」
「早くこの異変を止めろ、バカお嬢様?」
「なっ・・・!?」
レミリアは、霊夢のその言葉に涙目になっていく。
すると、咲夜はその前に出てくる。
その後ろ・・・レミリアの方から「うー」と聞こえるのは気のせいだと思っておこう。
咲夜にそれが伝わったようで軽く頭を下げられる。謝罪の念に気づく。
いや、いいんだけどね。
「残念ながらお嬢様は今回の異変にノータッチなの」
「「へ?」」
咲夜のそのセリフに僕らは絶句する。
レミリアは、「ノータッチ」と復唱する咲夜を見て、僕を見る。
そして、悲しそうにーーー寂しそうに、目を伏せ、眉をひそめた。
・・・?
っていうか、咲夜、復唱する必要あるのか。
「それに私たちは、自首しにきたんじゃなく、手がかりを持ってきたの」
「・・・?」
「宴会にくる亡霊ーー白玉楼の亡霊たちよ」
「・・・あ」
「なにも、異変の犯人は一人で全部行われてたわけじゃあないもんな」
「・・・幽々子、ね」
「いくにしても、このメンツで行くのか?」
「そうなるかしら」
刹那、「やほ~」という気の抜けた声とともに、噂をすれば(二回目)。
幽々子に妖夢が降りてくる。
すると、その瞬間、レミリアがグングニルを放った。
それを妖夢が前へ出て、体をひねり重力を乗せて刀で弾いた。
そしてグングニルと妖夢が着地したのは同時。
幽々子はそれを見て、扇子を口元に当て、「ふふっ」と笑ってみせる。
あーあー、出会い頭にやっちゃってまぁ。
「急に何のご用でしょう?」
「白玉楼の。この宴会騒ぎはなに?」
「・・・は?」
「あらぁ、誤解よ~」
「嘘だろう?私たちもなにもしていない。となればお前らだけだ」
「いえ、一応鈴仙・・・・・輝夜様方が」
妖夢は、鈴仙と口にしかけたところでハッとし、慌てて輝夜と言い直す。
・・・ん?ん?
「あいつらはないな。というわけで、やめてもらおうか」
「もう、気が早いわぁ~」
「幽々子様、お下がりください。ここは私が」
幽々子は「ありがとう」と言って、妖夢の後ろへ行く。
咲夜もレミリアの元へ行こうとするも、レミリアの視線に気圧されて一歩下がる。
「あなたが首謀者がどうか・・・斬ればわかる」
「そんな簡単にすべてがわかるとは思えないのだけれど、亡霊の従者」
「亡霊ではない、幽々子様だ。それに、教えを受けたのはおじ・・お師匠様。お師匠様の教えを侮辱するのか?」
「へぇ・・・じゃあみせてもらおうかしら」
「腕が落とされても泣かないでもらいたい」
「そうなるかしら?」
レミリアの頬には、若干、汗が浮かんでいた。
冷や汗か。無理するものじゃないぞ。
「・・・・っ!?」
レミリアは、飛ぶように走ってくる妖夢の一閃を避ける。
なぜ押されるレミリアよ。
妖夢はどっちかといえば、焦っているのかもしれない。
弾幕ごっこではない。もうすでに『殺し合い』である。
またもう一閃、返した刀がレミリアの鼻先をかすめるも、レミリアは後退し体制を整える。
グングニルを手にし、無差別に突き刺し出す。妖夢はそれを刀で弾いたり流し、さばいていた。
そして、両者が離れる。
すると次に弾幕が形成されていく。殺傷力のありそうな、細い針のような。
フリーダムな弾幕だなと片隅で思いながらも、内心焦る。
どちらかが死ぬかもしれない、のに。
弾幕が相殺しあい、互いの頬や耳、肩などにかすり、服や肌を切る。
止める人は誰一人としていない。
そして妖夢が前へ突進し、ついにレミリアの腕に切り傷を与えた。
「くっ・・・」
グングニルを構えたレミリアに、妖夢はバック転とバックステップで距離を取る。
どこに着地するのかがわからなかったレミリアは、グングニルを投げることはしなかった。
そして、レミリアが妖夢に突進する。グングニルを構え、妖夢を突き刺すようにしながら。
それは弾かれ、僕の方へ向く。それを予想したかのようにレミリアは笑った。
まさか、これが狙いで?!
そのグングニルを枯らす間もなく、
ーーーー刹那。
「やめなさいっ!!!」
霊夢が怒声を放つ。
ピタッとそのばで動きが止まった二人は、息を吐いて下がる。
しかし、レミリアと咲夜を警戒するように、刀をしまっていても、その柄に手が触れていた。
「なんのための弾幕ごっこよ」
そっちですか。
「んで、何が誤解なのよ幽々子」
「うふふ、聞いて驚きなさぁい♪」
「なんでそんな得意げなのか知りたい」
「・・・幽々子様のお考えを聞いた時、必ずと言っていいほど私が反論できていたのですが、今回のお考えは・・・できませんでした」
「・・・・・そうか」
妖夢が反論できれば自信は低下するのか。
・・・大変だなぁ、妖夢。
「私たちはなにもしてないわ。紅魔館方もしてないってなれば他の誰かよ~」
「たとえば、想鵐さんや未來さんといった方ですね。永夜異変の方々はノータッチと思われます」
「っ!?」
「それも、そうね・・・」
「もー!私の言葉取らないでよ、よーむぅ」
「失念しておりました。どうかご処分ください」
「でも、言いたいことはあってたからいいわっ♪」
「お許しいただき、ありがたき幸せです」
いつのまに妖夢はこんな固くなったんだろう。
っていうか処分て。幽々子冷や汗かいたぞ。
「にしても、魔理沙の一人も動かないなんておかしいわね・・・動くかと思ったのに」
そんな霊夢の言葉に僕は全力で突っ込んだ。
「魔理沙が二人もいたら怖いぞ!?」
「それも一理あるわね・・・」
幽々子は、妖夢の頭を撫で、抱きしめながら笑った。
く、羨まけしからん・・・!
レミリアはため息混じりに次の言葉を放つ。
「・・・楽しいのは嫌いじゃないけど、こうも続くといっそ気持ち悪いわね」
「ですね・・・妖夢」
「は、はいっ!?」
「・・・」
「・・・あ、はい」
目を合わせ、妖夢はそのあとにすすすと僕に近寄る。
「えっ」
「あ・・・え・・・その・・・」
妖夢はもじもじとし、指と指をくっつけたり離したり。
僕はそれが可愛くってつい顔に熱が集中する。
すると、後頭部、顔面に激痛が走る。
顔面には霊夢の手のひら。ああ、アイアンクローか。
後頭部に、魔理沙のと思われる箒。その上には魔理沙が乗っている。いつのまに。
「・・・・なに顔赤くしてるのよ」
「理不尽だぜ・・・」
「そんなバカな」
妖夢が視界のはしでオロオロしているのが見える。
そして幽々子は笑っている。笑ってないで助けてくれ。十円ハゲができる。
レミリアは呆れたようにため息をつき、咲夜は苦笑い。前は助けてくれたのに・・・。
「んで、おい。行くんだろ?」
「・・・・ええ」
「いてて・・・問題は、『誰が何のためにどうやって異変を起こしたか』なんだよね」
「そうだなぁ、まだ見たことないやつってことか?」
「かもね・・・」
そこで、僕らは少し話し合ったあと、解散した。
アリスにも協力を仰ぎ、紅魔館組、白玉楼+アリス、霊夢+魔理沙、僕単体で捜索することとなる。
まあこれで平気か、と問われたのだが、僕はその組み合わせを押しきった。
あとで斬られるか刺されるかするだろうなぁ・・・。
単独行動するのか?!
あ、また連投するのでお楽しみに!
想鵐「・・・はぁ」