瀬良Sido
「瀬良!あっちに実を三つ!」
「了解っす!」
オイラはポーチから実を取り出しながら指示された方に実をなげる。
すると、グングンと木が伸びて(幻想樹には劣るが)大樹となる。
オイラの仕事は一段落ついたっと・・・。
「・・・おぅい!瀬良ぁ!客人だぁ!」
「はーい!」
オイラが客人と対面すると、すっと出されたのは苗。
フードをかぶった小さいその子は受け取れと言わんばかりに手に乗ったそれを掲げる。
一切成長してないのに、しかし尚も放つ妖力。
「・・・まさか、これは」
「園瀬良。あなたを見込んで話が・・・お願いがあるの」
聞き覚えのある声。フードの下から覗く紅い瞳。
———レミリア・スカーレット。
「・・・なんですか」
「これを妖怪の山に植えて頂戴」
「・・・幻想樹が植わっている以上、これの意味はありません」
俺はやや間をあけて静かに告げた。
しかしレミリアはふるふると首を振って言った。
「幻想樹がどうとかじゃない。この、『潤樹』を植えて・・・」
「・・・かしこまりました。しかしこれは植えても育たない木。なんのために。妖怪どもが踏んで行くだけです」
「ええ。そうね。だからよ」
「・・・潤樹をわざを壊させて、その力を大地に浸透させるおつもりか?」
「・・・ええ」
レミリアは前を向いて・・・俺を見て、しっかりと告げた。
俺は何も言わない。ただその苗を受け取って、深々と頭を下げるだけである。
「謹んでお受けいたします。紅の主よ」
「・・・ええ」
苗を渡すと、レミリアはすぐ消えてしまった。
俺は不思議に思いながら、潤樹を見やる。
これを植える予定だ。
適当に植える場所を見つけ、苗をこの能力で植え付ける。
「・・・こんなもんか」
からになった鉢植えを指で弾いて割る。
俺はただ帰ろうとした。
「・・・瀬良ッ!会議室へ来い!」
天狗たちがざわめく。
なんなんだ?この、焦り様は・・・。
俺は言い知れぬ不安を覚えながら、山の小屋へはいる。
「なんでしょう?」
「・・・主に、頼みたいことがある」
「それは?」
ポーチだった。
小屋にいた老人が持っていたのは、木の実のたくさんつまったポーチ。
夢と希望が溢れているッ。
「・・・どうも・・・」
「わが同胞よ。せめて、この天狗の故郷を、良き方向へ導けるように、願い、震え、待っていようぞ!」
「わ、悪いのだけど、これ、どういうことです?」
「・・・烏天狗、の瀬良瀬良よ。貴殿は情報屋として、知っているだろうか?我ら天狗がやってきた行いを・・・」
俺は頷いた。
ただ、・・・老人の声を聞く気はなかった。