幻想散々的   作:Lan9393

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九十一話:魔法の森にご挨拶・2

想鵐Sido

 

(・・・魔理沙の時は気楽にノックできたんだけどなぁ)

 

ドアをノックすることに気が引けてどうする!

僕はドアを叩こうとする。そしたら後ろから、

 

「・・・想鵐?」

「うひゃああい!?」

 

急に声が響いた。

驚き飛び上がってそちらを見やる。

そこにいたのはアリスだった。

 

「ご、ごめんなさい・・・」

「う、ううん、こちらこそごめん・・・」

 

なんだか申し訳なさそうに謝ってきたアリスに、僕も謝る。

ううーん、予想していた展開と違うぞー。

 

「・・・中はいる?」

「あ、・・・ううん。すぐ終わるから、このままで」

「わかったわ。それで、用って?」

「・・・僕は、死ぬよ」

 

刹那、僕の頬が思い切り叩かれた。

アリスがこちらを睨みつける。

 

「・・・なんで、そういうのよ?」

「アリスの反応が正しいんだろうなぁ」

 

バカにしているのか、と一層睨みが強くなる。

首を横に振りながら僕は説明を始めた。

瀬良に言われたことをそのまま。

 

「・・・博麗神社に生えた大樹を止めるためにあなたが・・・?植えたのは瀬良でしょう?なら」

「彼しか止めることはできない。命をしてたら天狗界的にも、それ以前に救えないかもしれない・・・そうやって考えたんだろうね」

「・・・そう、それで私にどうしてそれを伝えたのかしら?」

 

どうしてだろう?僕はそれを聞かれたときに首をかしげた。

確か、お世話になった人たちに挨拶周りをしているんだっけか?

アリスには、人生相談っぽいのしちゃったしな・・・。

迷惑もかけたってことで、って感じだった気がする。

 

「うーん・・・照れ隠し的に言うなら『そこを通りかかったから』でいいんだけどなぁ・・・」

「真面目に答えなさいよ」

「ですよね。まあ、お世話になったから」

 

アリスが目を丸くする。

そんな意外な理由だったかな・・・?

 

「・・・なんだ、普通な理由じゃない」

「君は僕をなんだと思ってるんだ」

「別に。どうせはぐらかすんじゃないかと思っただけ。なんだ、心配して損したわ」

 

苦笑しながらアリスが僕に向けて言った。

僕もそれにつられて笑う。

 

「・・・状況は把握できたわ。でも、どうしてあなたが?」

「うーん。そこは教えてもらえなかったんだけど・・・。僕がモノを枯らすとしたら、幻想樹はモノを実らす、潤すんだよ。相反する能力だから、なのかなって」

「・・・そこは短絡的に、純粋にあなたを殺したかったから・・・ではなくて?」

「っ・・・せ・・・瀬良がそれを思うなんてあり得ないな。あはは」

 

アリスの言葉を聞いて、一瞬でもそうじゃないかと思ってしまった。 

いけない、僕が信じないとダメじゃないか!

 

「・・・明日の朝、ね」

「うん」

「はい、これ」

「!」

 

アリスに手渡されたのは人形だった。

誰の、ではない。ただ人形だった。

人であらず妖怪であらず。

神でもなければ幽霊でもない。

首に首輪をつけて、そこから紐で吊り下げられた人形。

どことなくホラーな表情をしているのが見てわかる。

 

「・・・それ、持ってればいいことあるわよ」

「ははっ、ありがとう、アリス・・・それで、これなに?」

「どっかの呪術だったかなんだったか・・・」

「?!」

「ま、いい効果が得られることには変わらないわ。あなたに降りかかる災難を振り払うための力を与えてくれるわ」

「・・・そ、そっか」

 

呪術って、大丈夫なのだろうか・・・。

僕は『もしこれで悪いことが起きたら』を考えて、やめた。

最悪の事態になりかねない。

 

「さっきは叩いてごめんなさい。あなたが帰ってくるのを心待ちにしてるわ」

「・・・死ぬって言ったのに」

 

笑えば、コツっと額が軽く叩かれる。

アリスは笑顔だったから、それを信じていないらしい。

とても、心強いというかなんというか・・・。

 

「ありがとう、アリス。じゃあ、・・・会えたら」

「会うわよ。その人形があれば、ね!」

「あ、あはは・・・まあ頑張る」

 

信用できないんだが・・・まあこの際どうでもいいとしておく。

アリスに手を振り、砂暗に乗る。

目指すは紅魔館。

 

———聞きたいことも、伝えたいこともあるから。

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