幻想散々的   作:Lan9393

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そういえばラッキーすけべって少ないなって。


九十三話:紅魔館にご挨拶・2

想鵐Sido

 

  紅魔館の長い廊下を歩く。

すると、後ろから鋭い殺気が飛ばされる。

僕はふと振り返り、殺気の主を枯らさんと手を延ばした。

 

 

——ふにょん。

 

どこともいいがたい、柔らかな感触。

殺気は一層強くなるも、その確かな感触に僕自身の枯らそうとする意思が折れる。

次の瞬間、僕の意識は刈り取られた。

その時見た揺れるものは、銀の髪。目に焼き付いた・・・。

 

☆  ☆  ☆

 

「・・・ありゃ?」

「起きた?あなた、廊下に倒れたのよ?」

「明らかに誰かに気絶させられた気がするんですがそれは」

「気のせいよ」

 

どうやら通りかかっただけらしい。

咲夜が氷を僕に手渡した。

どこを痛めたんだろうと首をかしげれば、途端に首に激痛が走る。

どんな気絶の仕方したらここまで首が痛くなるんだろう。

氷を首に当てて咲夜を見上げた。

若干赤くなった頬を見ていると、その手にナイフが並んだ。

 

「・・・」

「・・・」

 

僕は無言で視線を戻す。

それにしてもあの感触は何だったのだろう?

何かのクッションを掴んだような感覚・・・。

手をうごうごさせるとなぜか咲夜の視線が痛いほど感じられた。

うーん、通りかかっただけにしては、やっぱり証拠が出揃ってませんかね・・・。

 

「・・・なにしているの?」

「イエ、ナニモ」

「そう」

 

咲夜さんはそっぽを向いた。

僕は氷を当てながら、手を凝視した。

 

「・・・」

「首の調子は?」

「少しでよくなりますかね・・・っと、あ、これ返します」

「いいの?」

「はい。もう」

 

氷を返して、僕は立ち上がる。

咲夜は氷を受け取って僕を見ると、口を開いた。

 

「何の用?」

「・・・君とレミリア、フランに伝えたいことがあるんだ。それは、一人一人確実に伝えたい」

「・・・そう。それで、何を言うの?」

 

咲夜と向かい合って僕は口を開く。

とくに気兼ねする必要もない。

さっきまで話してきた内容を伝えると、咲夜は目をつむってたった一言、「そう」と。

 

「・・・それだけだよ。それで、お世話になったから来た」

「お嬢様や妹様に限ってはお世話を・・・迷惑をかけたほうじゃないかしら?」

「それは違うよ。・・・彼女らには相談に乗ってもらったし、なにより励ましてもらえた。僕は助けてもらったんだよ」

 

たとえレミリアが一回でも二回でも、僕に槍を振るったとしても。

僕は、僕は・・・彼女らに救われたから。

彼女らが迷惑をかけたのに、なんて言った暁には、頭を叩いて笑ってやろう。

 

「・・・なら、いいのだけれど」

「咲夜?」

「・・・私は、あなたになにもしていないのに・・・」

 

咲夜がうつむきがちにそう言った。

僕は首を振った。痛んでいた首は次第にその痛みを訴えなくなっていた。

 

「そんなことないよ。助けてもらってる。バイトした時もだけど、春雪異変でも君に助けられたしね」

「・・・そう」

「咲夜?」

 

未だうつむいた顔。どこか震えてるように見える肩。

僕は下から覗き込む。

ポタリ、と頬に落ちたなにか。

それは液体であった。

 

「・・咲夜、きみ」

「っ!?」

 

僕が覗き込んでいることに気がついたか、咲夜はふいと顔を背けてそのままポケットを漁る。そして何かをつぶやいた。

 

・・・やや、空白の時間が流れたような気がした。

 

気がつけば咲夜はもうそこにはいなかった。

逃げられたかと落胆するも、まあいいかと伸びをする。

頬に落ちていたものを拭って、歩く。

レミリアの部屋を目指した。

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