幻想散々的   作:Lan9393

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九十四話:紅魔館にご挨拶・3

九十九話までずっと想鵐Sidoなので省略

 

 

  僕は大きな扉の前に立つ。

どこか威厳すら感じるその扉を開けば、妖艶な笑みを浮かべるレミリアがそこにいた。

後ろのガラス窓には遮光カーテンがついているのに関わらず、どこか朱みを帯びた部屋。

僕は何を思うわけでもなく、レミリアの前まで歩いていく。

レミリアはそれを注意するわけでもなく、見届けた。

 

「・・・何の用かしら」

「それ、みんな言うんだよね。・・・ねえ、レミリア。前持っていた苗はあるかい?」

「ええ、ここに。潤樹がどうかしたのかしら?」

「ああ・・・それ、天狗が幻想樹の代わりにしたものなんだって?」

 

苗を持つレミリアの顔が強張る。

やや間があったものの、レミリアはしっかりと目を見て行ってくれた。

 

「ええそうよ。それがどうかしたの?」

「どこに植えてあった?どうして君が持ってる?」

「・・・この苗も、幻想樹も・・・もうこの世界にはいらない」

「!?」

 

レミリアの発言に、僕は目を丸くした。

いらない?あんなすごい恩恵を与える幻想樹が?

 

「もうこの幻想郷が潤っているわ。今更植える意味がわからないもの」

「・・・」

「それでも園瀬良はあなたを贄に捧げる。その意味がわかるかしら?」

「・・・僕を」

「そうね。そうも考えるわ。純粋にあなたを殺そうとした。そうじゃないんじゃない?」

「・・・」

 

レミリアの言葉は僕の考えを裏返していく。

瀬良は世界のためにやっているんじゃないのか?

瀬良は僕を殺そうとしていたのか?

瀬良はどうしてわざわざあの樹を植えたのか?

瀬良は、どうして・・・・。

 

「昇進のために、あなたを利用したんじゃなくって?」

「それは違う!」

「・・・どうしてそう言えるの?」

「そもそもが、瀬良を悪いやつ扱いするのが間違っているんだよ」

 

レミリアは何も言わず、僕の言葉を待つ。

僕は自分自身を否定した言葉を放った。

 

「瀬良は君のいうような人じゃない。・・・僕は、そう思うよ」

 

そう思うことで、『最悪の思考』を吹き飛ばした。

レミリアは僕を見透かすように目を細め、目を閉じてため息をついた。

 

「・・・あなたは、そう思うのね」

「うん」

「・・・なら、何も言わないわ」

 

諦めたのか、レミリアは笑ってそう言った。

僕も息を吐く。

 

「・・・あなたをフランが待っているわ」

「・・・ねぇ、レミリア」

「なにかしら?妹は短気よ。あまりまたせないであげて」

 

僕は僕を押すレミリアの手をとった。

レミリアはびっくりしたようにこちらを見上げた。

 

「君、自分の気持ちを追いやってないかい?紫と僕を殺そうとした時も、あんな顔をして・・・」

「さあ、知らないわね。早く行きなさいって」

 

レミリアの名を呼ぼうとすれば、その前に口を塞がれて音にならなかった。

 

「・・・わかった。何も聞かない。けれど、レミリア」

「・・・」

 

明後日を向いて、話を聞いているかさえわからない。

僕はそれでも言葉を繋げた。

 

「・・・君一人が抱え込むことはないよ。他に、霊夢とのこととか、聞きたいことはあったけど、いいよね?言わないだろうし」

「・・・あなたについて教えてもらっていたのよ」

「は?」

 

レミリアの意外な言葉に、僕は気の抜けたような返事をしてしまう。

こちらに視線は向かない。呆れる。そこまで厳守することだったのだろうか。

 

「・・・そっか」

「深くは聞かないのね」

「うん」

「・・・あ、そうね。さっき言いそびれたことを教えましょうか」

 

レミリアが苗を持ち上げながら言った。

僕はそれに首を傾げる。

 

「どうしてこれがここにあるのか?簡単よ。紅魔館の敷地内に植えてあったの。だから拝借した」

「・・・天狗が植えたものを、君が?」

「ええ。この土地は私のものよ。それの中にあるものを私がもらってなにが悪いというの?」

 

再び美しく笑むレミリアに、僕は声が出ない。

呆れているわけではない。ただ、レミリアのその理由に圧倒されたというか。

なんとも子供染みたような理由だろう。

例えば小学生が『これ俺のところにあったから俺のもの!』というのと同じである。・・・まあ、身長や見た目的にそう小学生と変わらないには変わらないのだが。

 

「・・・なに?不満そうな顔ね」

「ううん。別に。教えてくれてありがとう。・・・僕はフランのとこにいってくるよ」

「はいはい、さっさといってきなさいな」

 

レミリアが僕を追い払うように言うと、踵を返し部屋の中央でテーブルに触れる。

僕はそれを見ながら、静かに扉を閉めた。

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