出口から出ると、そこに待っていたのは砂暗を撫でる未来の姿だった。
未来は僕を見つけたのか、こちらを向いて駆け寄ってくる。
無邪気な笑顔。
「あー!先輩!終わったんですね!」
「み、らい・・・?」
明かりもろくにない暗闇で、未来の笑顔を見て、その言葉を聞いて、絶句した。
『あの時』の未来そっくりである。
いや、本人であるからには、そっくりでないとおかしいのだけれど。
「・・・あの地獄の時には、そんな笑わなかったよね・・・?」
「え?だって・・・あの時はまだ思い出してませんでしたし」
「思い出したの?!」
「・・・私の能力覚えてるんですか?」
確か、事実を知る能力・・・・だったね。
僕はそれを思い出して、一人がっくりと肩を落とした。
・・・正確に思い出したわけではない、と。
「・・・あなたのしなければいけないことは知っていますし、とやかく言う権利は私にはありません。ただ、一つだけ」
「・・・?」
「私を枯らしたという事実は消えませんし、未來という存在は、そのことによる恨みが具現化したものでもあります。・・・誰のせいかは知りませんが」
そっぽを向いて無表情で・・・未来はそう言った。
僕はそれを聞いて、強く胸を叩かれた感覚がする。
「僕の、せいか・・・」
「いえ。あなたでないことは確かです。他の人がやったことですから」
暖かな、とは言えないほどだが笑みを浮かべた未来は、僕をしっかりと見て言った。
「・・・そう、かな」
ぺちん、とでこぴんが僕のひたいを襲う。
結構痛かったんですが。
「何でも自分だと思い込むのは良くないですよ。決して、可能性がないわけじゃないんですから」
「・・・そっか」
未来がそう言った。僕はひたいを摩りながら俯く。
「ええ。・・・そうですね。私もあなたになにかしてあげたいですが、生憎と今は未來に見つからないようにしなければなりません。・・・すいません」
「いや、いいんだ」
僕は笑みを浮かべるよう努めつつ、未来に言った。
「じゃあ、僕はそろそろ行くよ」
「ええ。いってらっしゃい」
「・・・うん」
未来の目をしっかりと見た僕は砂暗に飛び乗る。
未来はやがて何処かへ行き、暗闇で見えなくなった。
月が出ている。空も黒く染まり、青白く輝く月がよく映える。
その光景に目を奪われながらも、博麗神社へ目を移す。
その近くには青々とした大樹が立っていた。
なるべく月の近くまで飛び上がり、僕は博麗神社へ飛んだ。
・・・朝までは、まだ僕は生きているんだから、ね。