本日またランキング乗ってました、ありがとうございますー
アタシは、翔のことを愛してる。アタシがこうして笑顔でいられるのは翔がいてくれるからだ。翔がアタシに愛をくれた、アタシの背中を押してくれた。
──でも、幸せはくれなかった。愛してくれても、幸せはくれなかった。
「次はどこ行くの?」
「とりあえず神戸に三日くらいかなその次は福岡、また帰ってくるときに連絡する」
「……そっか」
「愛してるよ、リサ」
「アタシも」
キスをする。もっと、もっとしてほしい。ベッドの上のように情熱的に、愛を求めてほしい。アタシは翔に生かされてる。生かされていたはずなのに、去っていく翔の笑顔にアタシは、胸を抑えた。
「行かないでって、言えればいいのに」
単純な話だ。アタシは結局、自分の約束に首を絞められてる。アタシと付き合って、一週間で別の女の子の家に泊まりに行った。相手は高校生で、翔のことが大好きで、翔の愛に救われた一人だった。
「……え」
「どうして驚くんだよ。リサがそれでもいいって言ったんだろ?」
言ったよ。言ったケドさ。だからって
翔はアタシを愛してくれると言った。確かに愛してくれる。一番に考えてくれる。でも、本当は翔にとって愛に順番をつけること自体が、間違いなんじゃないかと思い始めた。
「友希那に呼び出されたから、晩飯はいらなくなると思う」
「そ、そっか」
「おう、それじゃあ行ってくるな」
ちぐはぐだった。今から友希那のところに行く。アタシからすれば浮気をするって言われてるのに、抱き寄せられて重ねられた唇はアタシにとって唯一の、アタシが唯一知ってる愛情だった。でも、もらえるのは愛だけ。もちろんアタシが欲しいものはきっと翔は嫌な顔一つせずに用意してくれるんだと思う。デートだって行きたいって言えば連れてってくれるだろうし、行かないでって言えばきっと、振り返ってくれるに違いない。
──だけど、そう言いたくなる度に、あの言葉がアタシの中で喉を傷付けて、言葉を失わせる。リサがそれでもいいって言ったんだろ? 悪意のないただ純然たる疑問。だけど、それが、翔の幸せにアタシのわがままはあっちゃいけない気がしていた。
「リサ」
「友希那、どしたの?」
「いえ、翔は……どうしているかしら?」
練習終わりにそう声を掛けられ、ちょっと考えてから他の子のところに一泊してそのまま神戸だってさと隠すことなく伝えた。そう、と呟く友希那は、去年の冬に翔を求めて、そして抱かれている。それからどうやら春になるまで数回は会ってたらしいけど、春以降はきっぱり、自分の気持ちにケジメをつけるのだと言っていた。
「どうして?」
「どうしてって……翔を求めたのが私なら、彼の帰る場所が違うのだと知っているのも、また私だから」
「えっと?」
「翔にはリサがいる。いくら翔がいいと言っても、それが現実。忘れられないとしても、ケジメはつけるべきだわ」
「……友希那」
アタシの幼馴染は、カッコいいことを言ってくれる。だからこそ、思わずポロっと浮気しちゃったことを話してしまった。
──アタシの愛と幸せは、二つに割れてしまった。愛は翔から、幸せは海斗から。それはいくら自分では何と言おうと二心でしかない。こんなの翔のことが好きな友希那からしたら軽蔑されることだろう、そう思っていたのに。
「浮気をするなら、徹底してやりなさい。いつも女性にヤキモチを向けられるだけなんて、不公平でしょう? 偶には妬かせてやるべきだわ」
「え、ええ……なにその謎理論」
「きっと翔が気づいてるというなら、間違いなくリサが自分から離れるわけがないと安堵して……いいえ舐め切ってるわよ」
結婚までするというなら、不倫はさせるべきじゃないしするべきじゃない。断ち切るなら今しかないと友希那は強くて、でも優しい口調でそう言い切った。それはまるで、アタシが自分で掛けていた呪いの檻から、出口を示してくれるような。
「私は、リサの幸せを願っているわ。翔ではなく、あなたの」
「だから、翔から離れたの?」
「当然じゃない。リサが本当に抱えている気持ちに、私が気づかないはずがない」
うわ、友希那はだから、最初からその冬の間だけって決めてたんだ。自分の気持ちとアタシの気持ちの折衷案を最初から考えてくれてたんだ。
──簡単だ。アタシは正直、こうして同棲をし始めたら翔の浮気癖が直るものだと思ってた。結婚のこともあるし、落ち着いてくれると本気で楽観視していた。でも高校生になって、もう三年になるケド、アイツはまだまだ、他の子のところに行ってはその子を抱いて、デートしてってのを繰り返してる。アタシとはデートなんてしてくれないクセに。
「不満なら、言ってやっていいと思うわよ」
「でも」
「
「いいのかな」
「それで反省してくれるくらいが、リサの傍にいるヒトとしてはいいわよ」
でも、アタシにはそれに対する懸念と良心の呵責がある。懸念は今までずっと我慢してきた翔へのわがままで、本当に翔を繋ぎとめられるのかということ。友希那はああいうけれど、アタシは翔が愛してくれないのは嫌だ。愛してくれないくらいなら、死んでしまいたいくらいだもん。わがままを言って、もし面倒な女だと思われたら……アタシは生きていけない。
良心の呵責というのはもちろん。海斗を利用することになるからだ。海斗は今、すごく傷ついてる。傷ついてるあの子を自分の利益のために騙すようなことをするのは、嫌だな。
「簡単じゃない」
「え? なにが?」
「一方通行だと思うからダメなのよ」
あ、ああ……それを、まさかそれを友希那に言われるとは思わなかった。そうだ。アタシはなんで
「ねね、海斗」
「どうしたの?」
「夏休みさ、お泊りデートとか……どう?」
「いいよ」
「安請け合いだ~、いーのカナ~?」
一緒にキッチンに立ってご飯後の洗い物の最中、雑談でからかってみるけど、海斗はいつもの無表情ながらちょっとだけ暗い印象を保ったまま安くはないよと言い返してくる。確かに、安くはない。恋とか愛とか、めんどくさいものをお互いに抱いていないアタシと海斗が向け合うものは、たった一つ、欲だ。
「ん、ちょ、海斗……っ」
「どのくらいリサを独り占めできるか、だから」
「もう、こんなとこで……っや」
この間海斗と選んだパーカーワンピの部屋着の下から欲に満ちた指が太股を伝ってくる。ホントに、アタシとしてはこの海斗の性欲を翔も持ってほしいなぁとため息を吐きたくなる。翔なんて絶対気づかないからね。そう思いながらアタシはちょっとだけ腰を突き出して真後ろにやってきた海斗を煽っていく。
「やっばー、めっちゃコーフンした」
「確かに、リサの食いつきすごかった」
「あははー、シてみたかったんだよね、キッチン」
事後はお風呂で……まぁここでもアタシがムラムラしちゃうんだケド。抜かりなく洗面所にコンドーム持ってきてる海斗には負けちゃうね。それでも足らなくてベッドでいっぱいセックスして、また朝になってそれぞれバイトや練習、学校に向かって、そして帰ってきていちゃいちゃしてを繰り返す。
翔、アタシさ──こういうことをしてくれる海斗のこと、ただ単純に翔の
これがリサの決意。リサの幸せへの道となるのです。
☆10ひとつ ☆9ひとつ、☆7ひとつ、ありがとうございます。数話前から言っていますがNTRはないです。どうなにが転んでも翔くんとましろがセックスしたりましろが惚れることは絶対にないです。
また感想もいつもありがとうございます。
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