TS病患者てぇてぇされる   作:バロヌ@一般人

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4.時に勝てないものもある

 2大Vタレント事務所“スリ-ステーション”“大月プロ”があり、どちらも大手企業の傘下企業である。

 

 “スリーステーション”は芸能系のプロダクションの傘下で所属の多い企業で『正統派』『別業種枠』『色物系』と大まかに3種類の分類がされており、良くも悪くも放任主義で個人の実力至上主義と言った雰囲気。

 

 “大月プロ”は音楽レーベル組織内にある部署。

 所属数は少ないものの少数精鋭を図る、と言うか経営方針として各個人をプロデュースしていくライバーに手厚い。現在4期生までいる。

 

 自由性で見れば私はスリーステーション通称3ステに所属しているように思われがちではあるが、所属しているのは大月プロである。

 声優名義で作詞作曲したりした縁もあり、創設時に誘っていただいたのが経緯である。声優としての所属もこの大月プロ。

 

 そんな大月プロの自社ビルに出社するのはそれなりの頻度で来ており、Vtuberとしての仕事よりは楽曲提供の仕事としてよく訪れていた。

 

 月曜の午前10時

 勝手知った建物なので自分のIDカードをカバンから出しつつ、Vの部署がある4Fへ。

 社員用と来客用があり、エレベーターとか部屋の出入りがID制なのでセキュリティー面はすごく気を使っている。前社長時代に情報漏洩で痛い目を見たらしい。

 

 4Fにたどり着くと所属のタレントとは言え必要がない限りデスクの方へは迎えないので打ち合わせブースに入ってない内線電話でマネージャーを呼ぶ。

 

『お疲れ様です、古平です。松田さんはいらっしゃいますか?先週の件でお話に来ました』

『はい、少々お待ちください―――松田をそちらに向かわせます』

『よろしくお願いします』

 

 連絡が取れたので席について少し楽にする。

 程なくしてマネージャー、それに専務が来た。

 

「お疲れ様です、松田さんに加藤専務」

「まだ心の整理も着いていないだろうに、すまないね」

「…??????????超絶美少女???????」

 

 すっと立ち上がってお辞儀をするとナイスガイの加藤専務と頭にクエスチョンを浮かべまくるできる女風貌なのにちょっと間の抜けた顔をした松田さん。

 

「ああ、私が来て良かったみたいだね。松田、彼…いや彼女は古平雛菊さんで間違いないよ」

「え、あ、はい?女装性癖?」

『えーと、混乱されてるみたいですけど、あの、古平です』

「松田、それは殴られる」

 

 困惑の表情と事態が呑み込めていない松田さんに俺を説明する加藤専務。

 俺も声のトーンを変えいつも配信を行っている声を再現するとはっとしたような表情になる。

 

「えー、その病院に行った関係の話等を詳しくお話していきたいと思います」

 

 そう言って、TS病の関係の説明、現状の自分の状態等の説明を一通り行い終わる頃にはいつものバリキャリの松田に戻っていたので今後の話に戻していく。

 

「私もそういった病状の名前を聞いていたことがありますので知識としてゼロではありませんでしたが、ここまで変わる…めっちゃ美肌、キレイ…モデルにしたい…」

「あはは、これ以上は死んでしまいます」

「私も大地から事前に話を聞いていなかったらにわかに信じられなかっただろうね。とまぁ、この後のIDの書き換えなんかはこちらで進めておくよ。今後の話は松田と進めてくれるかい。私はここで失礼するよ」

 

 松田はそのふにゃ付いた表情をどうにかしな、と告げ加藤専務は仕事に戻っていった。

 

「ん゛ん゛。失礼しました。打ち合わせを行いましょう。と、その前に古平さんは本日時間はありますか?あ、配信は明日からにしてください」

「えーと、配信がなければ今日の所は夜の7時頃までは時間があります。別件の配信は止めないでくださいよ?」

「はい、そちらは契約外ですので。時間的にはそこまでかからないかと思います」

 

 すると松田さんはスッと取り出したタブレットからいくつからの動画ファイルを見せる。

 

「以前から社内で度々話が有ったのですが、切り抜きの件について熊平氏の公式切り抜きの作業の重労働性を軽減するべく、公式として切り抜きを行うクリエイターの選抜が行われ、こちらの5名の切り抜きが社内の最終選考に残ったものになります」

「え、あの、切り抜きは私の憩いの時間なんですが」

「はい、ですが現在4期生までいる我が大月プロも現在5期生を募集している状態。さらに増えます」

「むしろご褒美です」

「はい、別にやめろと言ってる訳ではありません。負担の軽減です」

 

「え、あ、あ、まさか」

 

 \Picon/

 脳内に明確に効果音が鳴り響く。

 極力なってほしくない方の、だ。

 もはやゲン〇ウポーズを取り怪しく眼鏡を光らせているのに嫌な予感しかない。

 

「はい、現在熊平虎徹に対してコラボをさせろ、同期もっと絡ませろ、歌枠を出せ、と多くの視聴者要望が募り募ってます」

「え、私はてぇてぇ風景を静観したい壁、観葉植物でありたいんですが!?」

「メール279件、電話146件、公式アカウントクッキー788件」

 

「ああああああアアアアアアアァァァァァあぁっ!」

 

「その悲鳴、イけますね!」

「サムズアップしないでください!CPの間に私は入るつもりはありません!」

 

 キャラ崩壊ってレベルじゃないレベルで松田さんはいい表情をしている。

 

「主に会社が強制的に禁止をしているのか、など多くの声もあり、会社としての信用性に影響与えかねないレベルなんです。部署内一同そろそろクマトラをてぇてぇしたいんです」

「後半が本音か!?」

「ん゛、社内でも多くの配信で熊平虎徹と言うキャラクターは人畜無害、キャラの引き立て上手の壁の化身と呼ばれるライバー愛のあふれるキャラとして一部過激派にすらそろそろ絡んでくれと懇願されるレベルなんです。あきらめてください」

「俺があきらめるのをあきらめてください」

「あなたが3窓するくらい私たちもクマトラが欲しいんです、主にノムトラ」

「ぬぐぐぐぐって、最後はあんたの本音だろうが!?」

 

 いや、ほら、四季でやってる社内イベのちゃんと絡んでますし、希少価値性と言う売りもあるじゃないですか。と食い下がっても変わらず。

 

「ぬぬぬ…わかりました…やります…オフはこの状態なので無理です」

「はい!そこはもちろん調整させていただきます。お泊りオフ、等はいろいろとしがらみがありますのでことの進み具合次第では弊社スタジオ内でのオフはご了承ください!」

「…松田さん今日一番の笑顔ですね」

「ええ、これでいろいろな企画案件が進みますよ!」

「うう…」

「かわいい…じゃなくて、はい。ではこちらの切り抜きに関してなんですけど―――」

 

 机に沈没する俺と対照的にうっきうっきと話を進める松田さんと対照的な構図で話は進んでいった。

 あと、健康体アピール面もあると言われればうなずくしかなかった。

 

 

 〇

 

 

「と言うことで以上が今後の流れの予定となります。公式アカウントでも告知を行いますのでよろしくお願いします。セキュリティーキーの写真も先ほど取らせていただいたものを使用します。本日はお疲れさまでした」

「お疲れさまでした」

 

 あれから2時間が経過して打ち合わせが終了。

・コラボ解禁(内部で様子を見て1か月目途に外部解禁)

・音声作品ペースを他のライバーと同じレベルへ。

・熊平虎徹オリジナル楽曲提供の案内(8件)

・LIVE2D強化

・3Dお披露目決定(完成済)

 と言ったところだろうか。

 

 自身としての仕事は増えるわ、いくら何でも8件も楽曲を提供したいと声がかかってくるとは…同期も音楽レーベルの強みを生かして既に3曲以上手持ちがあるが差がすごい。

 

 俺、トーク中心裏方系Vtuberだったはずなのにどうしてこうなった…

 

 

 

配信上のキャラセリフ前に略称

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