神無 悠月side
「終わった~」
箒を片手に持って満足気に呟いた。
今日は縁側前の庭の掃除、思ったよりもゴミが少なかったので早く終わった。
霊夢からは「別にしてくれなくてもいいわよ……」と言われたが、一応住まわせてもらっている身としてはこれくらいやらないと気が済まない。
「さて、次は境内の掃除っと」
俺は箒を肩に担ぐと境内へと向かった。
その時、境内の方から霊夢とは違う人間の気配がした。珍しく参拝客でも来たのだろうか?
そう思って境内に出てみるとそこには色んな意味で珍しい人物がいた。
「……魔女?」
視界の先の少女を見てそう呟くと頭に疑問符を浮かべた。
少し長い金髪に右側に三つ編み、頭には白いリボンが付いた黒いとんがり帽子、服装は黒いワンピース型のドレスに白いフルエプロン、片手には箒を持っている。
まるで絵本の世界からそのまま飛び出してきたような典型的な魔女の姿だ。
神社に魔女というのは何とも不思議な光景だ。人の事は言えないが。
「おい霊夢、遊び来たぞ~」
魔女の格好をした少女はそう言いながら境内を見渡した。
どうやら霊夢の友達の様だ。…………巫女に魔女、これまた不思議な組み合わせだ。
「霊夢なら今昼寝してるぞ」
「そうなのか…………って、誰だ?」
「はじめまして白黒の魔女さん。俺は神無 悠月、この神社に居候させてもらっている」
「私は霧雨 魔理沙、見ての通り普通の魔法使いだぜ」
「魔法使いな時点で普通じゃないんだが?」
「いいんだよ、そんなこと気にしないで」
疑問符を浮かべる俺に魔理沙はケラケラと笑った。
何だか雰囲気が趣味“程度”で泥棒をしている俺の親友に似ている。
「魔法使いか、お伽話の本でしか見たことなかったな」
「どうせならここでとっておきの魔法でも見せようか?」
「遠慮しておく。それよりも霊夢に用なんだろ? どうせなら朝食も一緒に食べていけ」
「いいのか? なら遠慮なくいただくぜ」
そう言って俺と魔理沙は境内を後にした。
少年少女祈祷中
しばらくして、霊夢と魔理沙と俺との三人で食卓を囲んでいた。
魔理沙は俺の作った料理に膝から崩れ落ちていたが、すぐに復活して美味しそうに食っている。
一方の霊夢は箸は進んでいるが何やら不機嫌そうに魔理沙の事を睨んでいた。
「何で魔理沙がいるのよ?」
「大勢で食事た方が楽しいからな、俺が誘った」
「そうそう。それに、こんなに美味しいモノは滅多に食べられないからな」
「アンタはただ飯を食べに来ただけでしょうが」
「そうじゃないぜ。私にもちゃんとした理由だってある」
「どんな理由よ?」
「何やら面白い事が起きそうな予感がした‼」
魔理沙は目を輝かせながらそう言い放った。
それを聞いた霊夢はやれやれと言った感じで溜息を吐いた。
霊夢が俺に似ていると感じたのはこういう不幸体質を持っていたからかもしれない。
そう思うと俺は無意識に霊夢の頭をそっと撫でていた。
「ど、どうしたのよ悠月//」
「霊夢……悩み事があったら相談に乗るから、あんまり無茶するなよ」
「え、え?///」
俺の行動に霊夢は困惑して顔を赤く染めている。
しかし、そんな事にも気づかずに俺は微笑みながら霊夢の頭を撫で続けた。それと比例するようにみるみる霊夢の顔も赤くなっていく。魔理沙はそれを見てニヤニヤと笑う。
「霊夢、顔が真っ赤だぜ」
「ちょっと魔理沙‼ 黙ってみてないでどうにかしなさい‼」
「でも……」
「(ナデナデ……)」
「面白そうだからしばらく見物させてもらうぜ」
「魔理沙ぁ‼」
霊夢の悲痛な叫びは唯一の味方である魔理沙の耳に届くことなく虚しく響いた。
少年少女祈祷中
「いや~久々に面白いもんを見せてもらったぜ」
「それ以上言うな。思い出しただけで顔から火が出る」
俺と魔理沙は鳥居下の階段に座りながら雑談をしていた。
結局、あの後我に戻った俺はすぐさま霊夢に謝ろうしたのだが、すでに霊夢は顔から煙が出て昇天して、まるで魂が抜けた状態になっていた。でも、その割には嬉しそうな表情だった。
取り敢えず霊夢を寝室に寝かせると、少し頭を冷やす為に境内へと出てきた。ついでに魔理沙も一緒になってついてきた。
「でも意外だぜ、霊夢があんなになるなんて」
「霊夢とは付き合いが長いのか?」
「それなりにな。結構、昔からちょくちょくここに遊びに来る程度だけどな」
「そうか。まあ、見るからに仲が良いからなお前らは」
「本人は鬱陶しがってたけどな」
「嫌よ嫌よも好きのうちだ」
「そういうもんなのかな」
「そういうもんだよ」
俺は空の向こうを眺めながら親友の事を思い出していた。
思えば“アイツ”も必要以上に俺に絡んできてはいつも面倒事に巻き込んでいやがったが、友達がいなかった俺に一番最初に話し掛けてくれたのはアイツだった。
俺と霊夢、“アイツ”と魔理沙がそれぞれ似ているように、信頼関係も若干似ているようだ。
「さて、それじゃあ私はそろそろ帰るぜ」
「そうか、また来いよ」
「おう‼ その時はまたご馳走になるぜ」
「ふっ……やっぱり似てるな」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、なんでもない。じゃあ、またな」
「ああ、また美味しい飯にありつけることを祈るぜ‼」
魔理沙は箒に乗ると大きく手を振ってそのまま空の向こうへと飛んでいった。
元気のいい魔女とは、つくづくここは常識に囚われていない事を実感させられる。
「さて、霊夢の様子でも見てくるか」
俺はそう呟くと神社の奥へと歩いて行った。
空亡「……大変です」
悠月「いきなりどうした。そんな深刻な顔で」
空亡「前作と話が同じなのであとがきで話すことがありません」
悠月「だったら初めから初見用にやれよ。あと、やっぱりこれも変わらないのかよ」
空亡「当然です。可愛いモノは無性に撫でたくなる。なんか愛くるしいではありませんか」
悠月「まずはお前のそのふざけた理想をぶち殺す」
空亡「某幻想殺しさんのパロディはやめ……ゴフッ」
悠月「ふぅ、スッキリした。さて、こんな感じだが次回もよろしく頼む」
空亡「話を増すごとにひどくなる僕への対応……ガクリ」