神無 悠月side
「……落ち着かねえな」
俺は走りながら夜空に浮かぶ偽りの月を見つめる。
幼い頃から眺め続けてきた月じゃないというだけなのに、いつもと違うというだけで俺の心は少しざわついている。それほどまでに俺は月への愛着というのがあったのだろう。
『ユウキ……』
「大丈夫だ。少なくとも戦闘の時ぐらいは切り替える」
『私にも同じ気持ちですよ』
「お前は月の満ち欠けに一番敏感だからな、俺はそっちの方が心配だぜ」
『心配無用です。幸い、力が半分も戻っていないお蔭でそこまで気になりません』
「ならいいが」
俺はそう言うと視線を前へと戻す。
俺らが走っているのは月明かりが照らす夜の森の中、記憶が正しければこの先に人里があり、またその先には竹林があったような気がする。俺の勘はそこへ向かえといっている。
『この先、何があると思いますか?』
「人里……いや、竹林の中か」
『夢の内容もそんなのでしたね』
「『永遠の罪と罰』、それが今回のと関係があるんだろうな」
『話の内容は憶えていますか?』
「残念ながら、月と貴族の娘ってワードだけで絞り込んだのがやっとだ」
『こんなことなら、借りてくればよかったですね』
「無い物ねだりはするな。それよりも先を急ぐぞ」
『ええ』
更に速度を上げようとした時、ふと小さな光が薄暗い森の中に集まってきていた。よく見るとそれは小さな蛍の群れだった。そしてそれを従えるように一人の少女が立っている。
緑色のショートカットヘア、白いブラウスに紺のキャロットパンツ、燕尾状に分かれた黒いマントを羽織り、頭からは昆虫のような触角が生えているボーイッシュな子だ。
少女は俺に気付くと周りの蛍たちを向こうへとやって俺の方へ向いた。
「あ、また人間だ」
「そんなに警戒するなよ。俺は神無 悠月」
『私は夢燈 月美です』
「私はリグル・ナイトバグ、見ての通り蛍の妖怪よ」
「蛍か、夏の風物詩だし俺は好きかな」
「そんなこと言ってくれるなんて嬉しいわね」
「ちなみに月見しながら蛍の光を見るのがベストだな」
『聞いてると人生終盤の人の台詞ですよね』
「私もそう思……あ」
リグルは何かを思い出したかのように声を上げた。
「どうかしたのか?」
「もしかしてルーミアやチルノの友達?」
『あれ? もしかしてリグルちゃんも?』
「ええ、たまに五人でよく遊んでるのよ」
『へーそうなんですか』
「でもやっぱり、話に聴いてた通りの人間ね」
「……一応聞くが、どういう風に聞いたんだ」
「趣味が渋くて弾幕ごっこが強い面白い人間ね」
『まんまですね。論破できません』
「そうだな」
俺は深く溜息を吐くと再び月を眺める。
「なあ、リグルはこの異変の事何かしらないか?」
「さあ? さっき通った人間にも言ったけど、私は何も知らないよ」
『そういえばさっき「また」って言ってましたけど』
「俺らより前にここを通った奴がいるのか?」
「うん。その人、異変のについて聞いてくとすぐにどこか行ったわね」
『その人の特徴、何か覚えていませんか?』
「悠月と同じような服を着た白髪の女性だったよ」
その言葉だけでその人物が誰なのか俺と月美は一瞬で悟った。
明星美羽、アイツもこの異変を追っているみたいだ。しかし、気になる点がある。
「なあ、そいつはすぐどこかへ行ったのか?」
「そうね。最初から行き先が決まっているみたいだったわね」
『行き先が分かっているということは』
「首謀者の居所だけは掴んでいるみたいだな」
『今すぐ追いましょう』
「そうだな」
「何やら急いでいるみたいだけど、気を付けてね」
「ああ、また縁があったらルーミアたちと一緒に遊び来いよ」
「そうさせてもらうわね」
俺は彼女にそう言い残すとその場を後にするようにっ走り出す。
ここ最近美羽が出しゃばってきているみたいだが、一体何が起ころうとしているんだ?
明星 美羽side
「……この先ね」
私は迷いの竹林への道を確かめながら走っていた。
今回も何者かの干渉のお蔭で目的地へ直接ハザマを開けなくなっている。この幻想郷、無駄に広いから走るだけでも少し体力を使わされるから面倒なのよね。
「今回も相当の数が動きだしそうね」
私は気配を探るように視線を巡らせた。
ユウキと月美はすでに動いているようね。主に理由とすればお月見を邪魔された腹いせかしら?
それと、紅魔館の方から咲妃とフランの気配を感じる。この二人が動くのは予想外だわ。
……もっと予想外なのは椿希ね。どうせあの子のことだから深い理由なんてないんでしょうけど。
よくよく気配を探ると他にも何かを感じた。
博麗神社の方からは紅白巫女とスキマ妖怪、魔法の森から白黒魔法使いと人形使いの魔女、紅魔館からは紅い吸血鬼に時止めメイド、冥界からは亡霊姫に庭師、これで合計13人ね。
これだけみると、現幻想郷の主戦力が一斉に動き出しているのよね。
「……これすらも脚本通りなら、とんだ茶番劇ね」
私は苦々しくそう呟くと足早に迷いの森へと向かった。
賽は投げられた。たとえどう転がろうが、私は好き勝手に動かせてもらうわよ。
悠月「……今回は短いな」
月美「戦闘無しだと、話のネタが思いつかなかったようです」
美羽「それと、口調の方で四苦八苦してたわね」
月美「ああ~それについては丸一時間ぐらい見直してましたものね」
悠月「俺らも全話通して口調がずれまくってるしな」
美羽「ところで、駄作者は今日はどうしたの?」
月美「……今日はなんだか疲れたという事で欠席ですね」
悠月「そうか。それじゃあ、今回も次回予告して終わりにするか」
美羽「そうね。それじゃあ、次回もお楽しみに」
次回予告
異変解決へと動き出した咲妃とフラン、そんな二人に暗闇から忍び寄る魔の手が‼
東方永夜抄、もう歌しか唄えない、どうぞお楽しみに‼