東方絆紡録   作:空亡之尊

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ショーニングオブライフ

双花 椿希side

 

 

「か~ごめか~ごめ、か~ごのなかのとりよ~」

 

 

私はかごめ歌を口ずさみながら道を歩いていた。

空を飛べない私には博麗神社までは道のりがないため、こうやって暗い夜道を歌を唄いながら歩いている。やっぱり夜は妖怪の時間というだけあって人っ子ひとりいない。

 

そういえば、かごめ歌って童謡のような明るい調子で歌われるけど、この歌は元々罪人の周囲を現した歌だとも言われているらしい。

かごめは処刑場の竹柵を、かごのとりは罪人の牢屋を、いついつでやるは処刑するためにいつ出てくるかを、よあけのばんは午前四時を指し、つるとかめがすべったはその時に命が尽きることを、

うしろのしょうめんだぁれは後ろに立つ処刑人は誰かを、と少々気味が悪い解釈もある。

 

まあ、私はそんな事よりも先輩とお団子があればどうでもいいんだけどね♪

そろそろ人里に入るころだと思ったその時、私は自分の目を一瞬疑うと注意深く周囲を見渡した。

 

 

「……これは、お団子どころじゃないのかな」

 

 

私は瞳を閉じると冗談交じりにそう呟いた。

冥界から博麗神社までは人里までの街道を辿っていけば迷わずに行けることができる。だから私はさっきまでその街道を歩いてきた。それなのに、街道は私の目の前で途切れている。それはまるでこの先にあったはずの人里が丸々消えてしまったかのように……。

 

 

「これはこれは、偽りの月よりも気になりますね」

 

 

私はそう呟きながら人里があったはずの場所を歩いて行く。

一定の範囲が消えてしまったのなら周りの森にもその被害は出るのでしょうが、そんな形跡など当然なく、まるで最初から存在なんてしてなかったかのように人里だけが消えてしまっている。

 

 

「存在しない……建っていない……歴史がない……」

「お前、そこで何をしている」

 

 

唐突に声を掛けられた私が咄嗟に振り返ると、そこには一人の女性が立っていた。

腰まである青いメッシュの入った長い銀髪、不思議な形の帽子、スカートに折り重なったレースが付いた上下一体の青い服、第一印象は真面目で正義感が強いといったところでしょうか。

女性は私を見定めるような眼で見ると首を傾げた。

 

 

「なんだ、この人間とも呼べるようで人間ではない感じは……」

「人の事を見定める前に質問させてもらっていいですか」

「なんだ?」

「ここには人里があったはずですよね。一体どこに行ったんですか?」

「ならばこちらも聞きたい。お前は人間か?」

「そうですね。“人になろうとしたモノ”というのが正しいですかね」

「どういう意味だ?」

「さあ。でも、貴女だって人の事を言えないじゃないですか。半妖さん」

 

 

私の一言で女性の瞳が警戒するように睨んだ。

 

 

「正確には妖怪に憑りつかれただけの可哀想な人間。 そして人里が消えたのは“その場の歴史を無かったことにしたから”それが貴女の能力ね」

「そこまで気付くとは、お前は何者だ?」

「双花 椿希、冥界に居候させてもらっているごく普通の人間ですよ~」

「普通の人間は冥界に居候なんてしないと思うが?」

「ほらほら、私はもう紹介しましたから、今度は貴女の番ですよ」

「え? ああ、私は上白沢 慧音、人里で寺子屋の教師をやっている」

 

 

そう言って彼女、慧音は警戒を解いて自己紹介した。

寺子屋、昔の学校というイメージがあるけど、ここにもそういうのがあったのね。

 

 

「けーねちゃんかぁ~よろしくね♪」

「け、けーねちゃん?」

「うん。その方が呼びやすいし、なにより可愛いからぁ~」

「そ、そうなのか?」

「そうなのですぅ~」

 

 

けーねちゃんは照れ臭そうに顔を掻きながら首を傾げる。

こういうお堅そうな人はどんどん押していった方が馴染みやすいというのはよーむちゃんで実証済み、それになによりも反応を見ていると可愛いから(本音)。

 

 

「はあ、まったく最近は妙な外来人が増えたものだな」

「ふぇ? 私以外にも誰かお会いになったのですか?」

「ああ、ユウキというお人好しな奴にな」

「先輩にですか」

「知り合いなのか?」

「まあ、元の世界での学校の先輩……というより愛している人ですねぇ~♥」

「え?」

 

 

頬を赤く染めながら恥ずかしげもなく話す私を見てけーねちゃんは唖然としている。

それと同時に私の本来の目的を思い出した。

 

 

「そうだ‼ 早く先輩のところに行かないと」

「あ、それならさっきあっちの竹林へと走っていったぞ」

「え、本当ですか」

「ああ、その前には白髪の女性、少し前には吸血鬼を連れた蒼い髪の女性が通っていったぞ」

「美羽先輩に咲妃先輩まで? 一体どういうこと?」

「おそらく、竹林の向こうにある永遠亭に向かったのだろう」

「永遠亭?」

「この月の異変の首謀者が居る屋敷だ。そこしかありえない」

「ありがとう。良いことを教えてもらったわ」

「お前も行くのか? 正直言って危ないぞ?」

「大丈夫。こう見えても私、天災だから」

 

 

私はそう言い残すとみんなが向かった竹林へと向かった。

それに、この先にとても懐かしい“あの子”の気配がした。

 

 

 

 

 




空亡「今回はのんびりした回でしたね」
椿希「えへへ~友達が増えました~」
空亡「幻想郷きっての先生をちゃん付けで呼ぶなんて、椿希さんの神経は図太いですね」
椿希「だってその方が呼ぶやすいですし~それに仲良くなれますから~」
空亡「やれやれ……ところで、書き始めにかごめ歌の解釈がありましたが」
椿希「ああ~ウィキ〇ディアで調べましたからね~」
空亡「メタいこと言わないで下さいよ」
椿希「でも、この調子だと今回は戦闘が少なそうね~」
空亡「ふふふ、それは次回の話を見てから言ってもらいましょうか」
椿希「ふぇ?」
空亡「それでは、次回も楽しみにしていてください‼」


次回予告
迷いの竹林へと集結したユウキたち、そこで待っていたのは異変に動いた人と妖だった。
東方永夜抄、永夜に集う役者たち、どうぞお楽しみに‼
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