東方絆紡録   作:空亡之尊

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永夜に集う役者たち

神無 悠月side

 

 

「……面倒なのに捕まったな」

 

 

俺は目の前の立ちはだかる二人を見てそう呟いた。

箒に乗って腕を組んで仁王立ち居ている白黒の魔法使いとその傍らでやれやれと言った感じて宙に浮いている人形使い、魔理沙とアリスがそこにいた。

 

 

「さっきは興味なんてなかったくせに、どういう風の吹き回しだ?」

「私はどうでもよかったんだが、アリスにせがまれたんだよ」

『アリスさんに? それはそれで気になりますね』

「みんな今回の異変に無関心だから動いてみたけど、さすがに引きこもりには限界だったのよ」

「だから魔理沙に協力してもらうことにしたのか」

「ええ、さすがに月があのままだと落ち着かないのよね」

『やっぱり人間以外には重要なようですね』

「私はそこまで興味がないが、ただ面白そうだったからな」

「相変わらずだな。で、なんで俺の前に立ちはだかる?」

 

 

俺は魔理沙を睨みつけるように見ると彼女は二カッと笑った。

それは今から楽しい太曽比でも始めるような無邪気な笑顔だ。

 

 

「ユウキ、私と弾幕ごっこしろ‼ でないと今ここで撃つ」

「なんでそうなるんだよ?」

「ちなみに、私を倒さねえとこの先へは進ませねえぜ」

『そんな無茶苦茶な。今はこうしている場合でもないというのに』

「悪いけど、こうなった魔理沙を止めるのは無理よ。観念するのね」

「ったく、結局こうなるのかよ。退屈しない奴等だぜ」

 

 

俺は月美を刀に変えると月を背にする魔理沙へと刃を向ける。

それに応えるように魔理沙は懐から八卦炉を取り出すと嬉しそうに笑う。

 

 

「早く終わらせてお月見再開だ。邪魔するなら容赦しないぜ?」

「ようやくやる気になったか。そうこなくちゃ、面白くないぜ」

「私は近くで見学させてもらうわ。せいぜい頑張りなさいよ」

『できるなら私もそうしたいですが、精一杯頑張らせてもらいます』

 

 

 

 

 

明星 美羽side

 

 

「面倒なのに見つかっちゃったわね」

 

 

私は目の前に立ちはだかる二人を見てそう呟いた。

相変わらずやる気ない調子で身構えている紅白の巫女と相変わらず殺意全開の瞳で私を睨んでいるスキマの妖怪、博麗 霊夢と八雲 紫がそこにいた。

 

 

「こんな所で遭うなんて奇遇ね」

「黙りなさい。どうせ今回も貴女の仕業でしょ」

「なんのことやらさっぱりね」

「欠けた月や終わらない夜、心当たりがないなんて言わせないわよ」

「……終わらない夜? どういうことかしら、紅白巫女」

「とぼけないで、どうせ貴女が……」

「黙りなさい。今は貴女に聴いてないわ」

「聞いた通り。いくら経っても夜が明ける気配が無いのよ」

「……もしかして、月の異変以外に動いている奴等がいる?」

「そう考える方が妥当でしょうけど。アンタじゃないの?」

 

 

彼女は疑いの目を私に向けるが、その瞳はそれ以外を見透かそうとしているように見える。

しかし、それは傍らにいるスキマ妖怪によって妨げられる。

 

 

「何をやってるのよ、早く彼女を……」

「少しは落ち着きなさい。アンタらしくないわよ」

「私は冷静よ。ただ彼女が何を企んでいるのか……」

「今回の二つの異変とソイツは関係ないわよ」

「何でそう言い切れるのよ」

「勘よ。それに、そいつが紫の言うような悪い奴には思えないわ」

「嬉しい事を言ってくれるわね。そこのスキマとは大違い」

「貴女ね……‼」

「『スキマの中で大人しくしてなさい』」

 

 

私はそう告げると彼女の背後にスキマが開かれ、その中へと引きずり込まれていった。

それを見ていた紅白巫女は一瞬だけ視線を向けるとすぐに私の方へと戻した。

 

 

「それがアンタの能力」

「あらあら、紫の事は心配じゃないの?」

「アイツなら簡単にやられないし、それにアンタは大人しくしてなさいって言ったでしょ?」

「……変わってるわね。紫から聞き飽きるほど私の愚痴は聞いてたはずだけど?」

「百聞は一見しかず、私は自分の目で見たことしか信じないわ」

「なるほど。たしかに彼とは似た者同士ね……でも」

 

 

私は鍵のペンダントを握り締めると剣へと変え、彼女へ剣先を向ける。

それと同時に彼女の手にはお祓い棒と数枚の紅い御札が握られている。

 

 

「簡単には通してくれそうにないわね」

「これを機にアンタに聞いておきたいことがあるのよ」

「何かしら? もしかしてユウキの事?」

「っそうかもね……‼」

 

 

 

 

 

霧晴 咲妃side

 

 

「面倒な人に見つかったわね」

 

 

私は目の前に立ちはだかる二人を見てそう呟いた。

無表情で少し呆れ気味な顔をしている銀髪のメイドと少し怒り気味で私とフランちゃんを睨みつけている紅い吸血鬼、咲夜ちゃんとレミリアちゃんがそこにいた。

 

 

「今日は月が綺麗な夜ですね」

「咲妃、私に何か言うことは無いのかしら?」

「え? 何かありましたっけ?」

「『少し夜遊びに出てきます。by咲妃』って、これはなんですか」

「なによ。ちゃんと書置きを残したから褒めてほしいわ。ねー」

「ねー。それよりお姉様はどうしてここに?」

「貴女達を追ってきたに決まってるでしょう。さあ、帰るわよ」

「え? なんで?」

「妹様が道中で妖怪に襲われない心配だからそうですよ」

「ちょ、咲夜!?」

 

 

咲夜ちゃんの暴露にレミリアちゃんは顔を赤くして怒り出した。

なんだかんだ言いながら、やっぱり妹想いの優しいお姉様なのね。

 

 

「やだ、帰らないよ」

「どうしてかしら。それなりの理由があるなら聞いてあげるわよ」

「早く異変を終わらせないとユウキと一緒にお月見できないもん‼」

「え、ユウキとお月見‼ ズルいわよ、なんで誘ってくれなかったのよ‼」

「お姉様も一緒にお月見したかったの?」

「え? あ……」

「あらあら、もしかして仲間はずれにされたのが嫌だったのかしら?」

「お嬢様、それだったら素直に仰ればよいものを……」

「ち、違う、今のは……」

 

 

レミリアちゃんは羽根をパタパタとさせながらあたふたしている。

いくら高貴吸血鬼でも、中身はまだまだ子供みたいで可愛らしいところもあるのね。

 

 

「うー……咲夜‼」

「はい、なんでございましょう?」

「二人を力づくでも連れ帰るわよ‼ 異論はないわね?」

「御意」

「あらあら、怒らせちゃったわね」

「そういうわけですから、力づくで大人しくして貰いますわよ」

「フランちゃんは下がっててね」

「咲妃?」

 

 

私は懐から懐中時計を取り出すとナイフへと変え、数法のナイフを構える。

咲夜ちゃんもそれが分かっていたかのようにナイフを構えて私の方を見ている。

 

 

「こうして戦うのは久しぶりね。あの頃よりは成長したのかしら?」

「ご心配なく。こう見えて伊達に時間を送ってきたわけではありませんから」

「咲夜ー‼ コテンパンにしちゃいなさい‼」

「咲妃ー‼ 負けないでね‼」

 

 

 

 

 

双花 椿希side

 

 

「あらら~面倒な子に見つかったわ」

 

 

私は目の前に立ちはだかる二人を見てそう呟いた。

目の前にいる人物を見て困惑している半霊を連れた庭師と何やら面白い事が起きる予感を察した様子の亡霊のお姫様、よーむちゃんとゆゆちゃんがそこにいた。

 

 

「こんばんは~二人共~」

「こんばんは~椿希ちゃんもこの月の異変で来たの?」

「違うわ~私はユウキの事を追ってきただけよ~」

「え、ユウキも来てるの」

「あらあら、ゆゆちゃん嬉しそうね」

「そんなことないわよ~///」

「うふふ、ゆゆちゃん顔真っ赤っか~」

「もう~」

「あのーこれは一体どういう状況なのでしょうか?」

 

 

私たちのやり取りを見ていたよーむちゃんは困惑している様子で尋ねてきた。

まあ、お月見しに出かけていった人と竹林で遭遇したらそうなるのは当たり前よね。

 

 

「よーむちゃん、よーむちゃん」

「はい、なんでございましょうか?」

「この先にユウキが居るみたいだけど、どう、会いたい?」

「それは会いたいに決まっ……って、何を言わせようとしているのですか‼」

「あらあら、もしかして妖夢もユウキの事が好きなの?」

「幽々子様もなんで乗っているのですか‼ あと“も”ってなんですか‼」

「そりゃあそうよ、だって私“も”ユウキの事が好きだもの~」

「ほ、本当ですか? 嘘じゃありませんよね?」

「私が貴女に嘘を吐いたことってあるのかしら?」

「ええ、嘘というよりは私をからかうために吐いた妄言が多いですね」

 

 

よーむちゃんは冷静なるとジト目でゆゆちゃんの事を見つめている。

それを見てゆゆちゃんは目を逸らすように扇子を広げて口元を隠しながら笑った。

 

 

「やっぱり妖夢は面白いわね~」

「そうですね~」

「はあ……もういいです。幽々子様、先を急ぎましょう」

「待ちなさい妖夢、貴女はいいの?」

「なにをですか?」

「このままだと椿希ちゃんにユウキが取られちゃうわよ」

「あら、それはいいわね~お月見と一緒に先輩を~」

「そういうわけだから、妖夢、椿希ちゃんと戦いなさい」

「何をどうやったらそういう会話になるんですか‼」

「うふふ、面白うそうね」

 

 

私はブレスレットを握り締め刀へ変えると、刃を妖夢ちゃんへと向けた。

色々と振り切ったのか妖夢ちゃんも白楼剣と楼観剣を抜くと私を見つめる。

 

 

「ごめんなさいね。こんなお遊びに付き合ってもらっちゃって」

「いいですよ、幽々子様の命令ですし。それに、遊びでやるわけにはいきませんから」

「二人共~頑張ってね~」

 

 

 

 

 

???side

 

 

「さあ、目に物見せてやるぜ‼」

「動いたら撃つ、撃つと動く、いますぐ動く‼」

 

優しずぎる神殺しの御子VS普通の魔法使い

 

「さあ、ここからは私のオンステージよ‼」

「アンタに本当の結界を見せてあげるわ‼」

 

演技過剰の剣姫VS素敵な楽園の巫女

 

「さあ、ショータイムよ‼」

「貴女の時間は私のもの、逃れられないわ‼」

 

狭霧の斬り裂き少女VS完全で瀟洒な従者

 

「さあ、貴女の罪を数えなさい‼」

「白楼剣と楼観剣に、斬れぬものなどあんまり無い‼」

 

人に成れない天災VS半人半霊の庭師

 

 

迷いの竹林へと集まった現世と幻想郷の役者たち

偽りの月が照らす下、そこには種族や間柄の安っぽい感情などありやしない。

今宵始まるはそんな彼女らの美しくも激しい弾幕ごっこ、どうぞお楽しみください。

 

 

 

 

 




空亡「よくやく始まりますね、第四面。僕はよく魔理沙に潰されます」
悠月「なんだよ、このカオスな展開。いきなりが魔理沙って」
美羽「私の相手は腋巫女か。腕が鳴るわね」
咲妃「これが世に言う『師弟対決』というものかしら?」
椿希「ふふ~久しぶりに暴れられるわよ~」
月美「皆さん、やる気全開ですね」
全員「当然」

空亡「それは良かったです。これで心置きなく皆さんの戦いが書けます」
悠月「待てよ、この小説で俺以外でスペカを持っている奴、居たか?」
空亡「そこはまあ、弾幕ごっこ(近接戦)ということで」
月美「全員分のスペカを考える余裕が無かったようです」
空亡「そういうことなので、次回からは頑張ってもらいますよ」
悠月「トップバッターは俺か。まあ、期待はしないでくれ」
空亡「そういうわけで、次回も楽しみにしていてください‼」


次回予告
第一遊戯、竹林を覆い尽くす星と魔砲の弾幕、それ等を斬り裂き突破せよ‼
東方永夜抄、虹色マスタースパーク、どうぞお楽しみに‼
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